F-1で怪異に物申す!   作:べっけべけ

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お久しぶりです。こんな小説を見ていただけることにまず感謝です。


さぁ出げ……あり?(´・ω・`)

建物に沿って島をグルグルと回っていくこと20分。崖に心底ビビりながら進んだ先には滑走路の端が目に入る、ということは格納庫があるはず。

 

(やっとか……つか割とデカかったんだな、この基地って)

 

建物の角を曲がり滑走路の根元へと向かう。昨日の着陸の際見たオーバーランしたら終りな滑走路と格納庫の位置関係にはかなり驚かされたためこの周辺だけは鮮明に覚えている。

 

(たぶん方向的に考えて……こっちに行けば……)

 

方向音痴な頭を精一杯フル稼働させて考える。そして行き着いた結果としては無事に格納庫に着くことができた。……まぁ島の沿岸を辿るだけなのだが。

 

(……何の為の装置だ?)

 

格納庫内にあったのは見たこともない不思議な機械。レシプロ機を思わせるカラーリングが施された脚につけるアレ、それを固定している変な台のような機械には黄色と黒のシマシマ模様があるため何とも近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

 

それらがズラーっと並ぶ中、壁際の空いているスペースに俺のF-1は駐機されていた。

 

(……よかった……)

 

機体に触れながら一周してみたところ、外見的には異常は見当たらず、ひと安心した。

 

(……でもなんでこんなに汚れが無いんだ?あんなに塩とか煤みたいなのが付いていたのに……)

 

機体をなぞりながら一周した筈なのに自分の人差し指には何の汚れも付いておらず、機体の表面は磨き上げられていた。

 

勿論自分にはそんなことやった覚えなど無く……昨日は事情聴取でさんざんな目にあった。なので機体から降りてからは1度も触れていなかったが……これも自動的な機能?それとも誰かが……?そう考えていた時だった。

 

「あ、おはようございます」

 

「お、おはようございます……」

 

格納庫の奥から現れた人物に気付かず、一瞬身構えしてしまった。

 

「いや~……昨日はホントに驚きましたよ。いきなりうちの班長が白兵戦用意!なんて指示出すんで何かと思ったら、貴方の乗ったこの飛行機が来るんですもん」

 

「白兵戦ですか……そんな指示が急に出たからモップやら箒やら持った人が居たんですね」

 

「ぷっ……確かに……」

 

(あ、思い出すとヤバイ……(笑))

 

「「ぶはははははっ!」」

 

脳内再生であの光景がもう一度甦ると堪えきれずに思わず吹いてしまう。……特にヤカンと枕が。

 

 

「ひー……お腹痛い……あ、そうだ忘れてました。自分の名前は佐藤健(さとうたける)です。この基地では整備員をさせてもらっている者です」

 

目の前の作業着姿の男性はそう名乗った。

 

「え……と、僕は武内一。一応この機体のパイロットの人間です」

 

「「宜しくお願いします」」

 

そうして互いに握手をした。

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

「すいません、自分の機体を掃除してもらって……」

 

あれから聞いたところ、やっぱり健さんを始めとしたこの基地の整備員達の手によってF-1は掃除してもらったらしい。それも雑巾一枚で。

 

「いやいや。自分達がやりたくなったからやったまでです。むしろこっちが怒られなくて良かったですよ……俺の機体に触るなーとか機密だからとか言われたらもうどうしようかと思いましたし……ところでひとつ質問いいですか?」

 

「?……ええ」

 

「……あなたは一体何者ですか?」

 

(……ここで俺はなんて答えるのがベストなんだ?)

 

「う~ん…………」

 

「いや、そう無理しなくてもいいんですよ。本人が良かったら聞きたいな~くらいでしたし」

 

「すいません……自分でも何とも言えないんです」

 

実際自分では何て言えばいいのかわからない。馬鹿正直に神様の頼みで来ましたとか言うか?俺には無理だと思う……というか信じられないだろう。こういう質問に対してあやふやな返事はするべきではないだろうが……いつか言えばいいよね。

 

 

 

「見た感じハジメさんは外見的にも名前的にも僕と同じ扶桑国の人間に思えるんですが……違ったりするんですか?」

 

「たぶん同じじゃ……ないですかね?」

 

「でしたらこれなんか知ってます?」

 

そう言って健さんは作業着の胸ポケットから小さな袋を取り出し、中から出てきたのは……

 

「金平糖ですか」

 

色んな色をした小さなモヤ○とボール。金平糖だった。

 

 

「ええ、食べます?」

 

「それじゃ1つ……」

 

 

甘い。やっぱりというか当たり前というか金平糖は金平糖だった。そこは変わらないらしい。

 

この世界の日本……扶桑にはかなり日本と共通点があるようで、懐かしむように健さんは語りだす。

 

自分が生まれ育った土地の話や軍に入隊するまでの出来事。その入った軍ではどんな経験をしてどんな感情を抱いたかやこの世界の人類の敵……ネウロイについても。

 

健さんの家では犠牲者があまり出たりはせず、壮絶な過去を送ったりはしていないそうで……ネウロイに異常なまでの執着心や復讐心は持ち合わせといないとのこと。それでも町が襲われたりした後の焼け野原を見たときの喪失感は何物にも言い難く思えるそうで、一匹でも多くのネウロイを掃討できるように軍に入隊したそうだ。

 

 

 

 

……しかし軍に入隊しただけでは何も出来ない。聞いたところウィッチ達のような《魔力》は男性が持ち合わせることは皆無だそうで、せいぜい神話の中でぐらいしか魔力を持った男性は確認されていないそうだ。

 

そうするとウィッチのようにネウロイの発する《瘴気》とやらを弾き返すことができず、遠距離からの砲撃などしか攻撃手段がないとのこと。

 

 

 

それで最初は海軍の軍艦に乗るか陸軍の戦車に乗るかで迷ったそうだが、なんやかんやで何故か整備士になったそうだ。

 

……何でも、最前線で戦うウィッチーズの装備を完璧な状態に保つことも重要なの事なのではないかとある日突然思い始めた事がきっかけらしい。

 

 

 

 

「なんか色々あったんですねぇ……」

 

「そうですね、でもこうして今を生きていることがまず幸運なわけですし……だったら意地でもネウロイに一矢報いてやろうと何故か思ったんですよね」

 

「へー……ところで健さ『ウウウゥゥゥゥゥ!』えっ、何々!?」

 

自分の声を遮って響き渡るのは明らかに緊急事態を知らせる警報。

……一瞬消防署から正午に鳴るサイレンかと思ってしまった自分が恥ずかしい。

 

「ネウロイの出現を知らせる警報です。では僕はウィッチ達の緊急出撃を手伝わないといけないので、また後で……」

 

そう言って健さんは立ち上がり、格納庫内に広がる機械に手をつけ始めた。

 

(ここは下手に動かない方がいいよな……てか俺も出撃した方が良いか?)

 

このスクランブルで全員無事に帰ってくる保証は何処にも無い。……ならば邪魔にならない範囲でネウロイ撃墜に参加すべきだろう……というかやりたい。

 

 

(ならエンジンを始動させ…………ん?エンジン?)

 

自分の考えに何か引っ掛かりを感じる。F-1には何の異常も無い……ならこの何か忘れているような感覚はなんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………あ……)

 

そこで気がついた。これで自分の中の引っ掛かりも無くなることだろう……ああ、良かった良かった。

 

 

「エンジン始動車無いやん(´・ω・`)」

 

何故気がつかなかった。スクランブル発進しようにもエンジンが元から動かないこの状況、どうやって打破しろというのだろう。

 

 

現代の自衛隊で使用されているF-15EJやF-2は外部からの干渉無しに自力でエンジンを始動させることが可能だ。だが数世代前のF-1支援戦闘機は自力でエンジンを動かすことが出来ない。

 

某動画投稿サイトなどで「F-1戦闘機 エンジン始動」などと入力すればわかると思うが、エンジンを始動させる際に機体の下部にホースが左右のどちらから一本ずつ接続され、機体のすぐ近くに機材が置かれていると思う。おそらくそれがエンジン始動車だろう。

 

 

この基地にはジェットエンジンを始動させる機材なんてあるわけが無いし、そもそもジェットエンジンすら実用段階ではないのかもしれない。

 

……この状況で自分に出来ることは?

 

 

 

 

(……じっとしておこう……)

 

自分の愛機の上で胡座をかいた俺はウィッチ達のプロペラが風を切る音を聞きながらただ虚しくその飛び立つ後ろ姿を見ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 




できれば主人公の僚機となる人物を出したいなーとは考えたのですが……

・友人の小説の主人公を引っ張り出す(チート)

・ある友人の性格を元に作る(MiG-17)

うう……周りにF-1好きな(というか知ってる)人が少ない……

もしよかったらコメント、アドバイスください。誤字脱字、事実とは違う点があればそちらも遠慮無くお願いします。

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