F-1で怪異に物申す!   作:べっけべけ

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やっとこうなりました。同じ表現ばかりでも怒らないで(泣)


やっとこさ来ただよ

ロックオンをされたあの日から次の日。今日はエアブレーキ(スピードブレーキ)を使ったゲームのような急旋回の練習をしていた。

 

 

 

……結果としては失敗だった。ブレーキを開いたとしてもそこまで減速は叶わず、それよりも単純に操縦悍を目一杯引いたりフラップを少し下ろした状態の方がより効果的なことがわかった。

 

エースコンバットのようにできないことは少しばかり残念だったが他の方法が判明したので儲けもんだろう。……というかフラップを動かせる時点でエスコン以上なのだが。

 

 

あと発見したことが1つ。機銃を撃つときは敵ネウロイにHUDのピパーを照らし合わせるわけだが……若干下の方に合わせて撃つと当たりがいいことがここ数日で判明した。そこまで大きくはない発見ではあるが、対地攻撃の時や狙い撃ちたい時なんかには役立つ……かもしれない。

 

 

あとは……いつもと変わらない。ネウロイを撃墜することが日常な時点で非現実的ではあるが気にしない。気にしたら負けだ、うん。

 

 

 

 

 

 

 

暇な時間を過ごしていた間、対艦攻撃を行うF-1を思い出したので何を思ったか低空飛行に挑んでみた。

 

最初は高度50m程から始まって、現在じゃ高度20m……やっと素人なりにここまで落とせた。これ以上は無理だ。絶対に。

 

HUDに高度等は詳しく表示されないので低空飛行中は計器と前方を目線が行き来する。……はっきり言ってこれ……生ぬるいゲームに慣れた俺には辛すぎる。

 

 

かなり高度な技術を要するシュミレーターゲームのような操作がまず必須となる。が、この高度で飛行することがまず必要とはされず、普通は中高度から高高度でしかネウロイとは戦闘を行わないためそう頻繁に必要となるものではないだろう。

 

(そういえば……何でネウロイって飛行機型はあっても船型とかは無いんだろう?)

 

ふと思ったのだが、海上を見ていて今まで船を模したようなネウロイを見たことがない。何かしらの理由があるのだろうか?……そもそもあいつらが兵器なのか生物なのかすら危ういところではあるのだが……。

 

できることなら……というより是非とも船を模したネウロイに出現してもらいたい。

 

 

本来F-1は対地、対艦の方が向いている…はずの機体。何より対空用の兵装よりも対地攻撃用の通常爆弾や空対艦ミサイルなどの方が種類が豊富なことからほぼ攻撃機なことは明らかだった。

 

(最初はF-15とかF-2とかにしといた方がいいかなって思ったけど…何だかんだでF-1で十分だったな。俺英語得意じゃないし)

 

 

F-1より機動性も空対空能力も優れた機体はいくらでもある。けどそれじゃあグラスコクピットのHUDや多機能ディスプレイの情報が読み取れず、ちんぷんかんぷんになっちまう。

 

シンプルを目指したいのなら零戦や零観のコクピットがいいかもしれない。なぜなら計器にほとんど日本語が書かれているから……。

 

だが俺はそこでF-1で行く。何故か?……俺も知らん。

 

 

そうしてまた時間は過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方。

 

敵ネウロイにピパーを合わせてトリガーを引く。もう既に聞き慣れた破裂音とともに機関砲から弾丸が吐き出され、前方にいたネウロイの被弾した場所ガンからドス黒い煙が噴出される。

 

もう一度トリガーを引いてトドメを刺す。あれほど黒かったネウロイが今度は白い破片へと姿を変えて海へと散ってゆく様子はなんともいえず、時々自分が何をしているのかさえわからなくなる。

 

自分は何をしているのか?相手の目的はいったい何なのか?ネウロイとは一体何者なのか?

 

この頃、心に余裕が生まれてきたからか最初は気にも止めなかった事に最近気にするようになってきた。

味方となる存在はこの世界に居るのだろうか?このまま一人で戦い続けるのか?

 

疑問ばかりが頭に募っていく。

 

 

ヴゥゥゥゥ…ヴゥゥゥゥ…

 

膝に付いたタブレットが振動しネウロイ反応を知らせる。

 

(距離は……此処からだいたい2000kmくらいか…アフターバーナー焚けば二時間くらいで着くってとこかな)

 

さっきまで頭に思い浮かべていたことはすぐに切り捨てて俺は機体を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二時間後、もうとっくに日は落ちていた。

 

(レーダーにも反応が出ているんだけど……何処にいるんだ?)

 

これが真っ昼間ならすぐに発見できるのだが、生憎今は夜。ネウロイの表面が黒いこともあり目視での確認が困難となっていた。

 

レーダー上ではネウロイは12時の方向にいるはず。だけどいくら目を凝らしても何も見えず敵が何処にいるのやら……

 

「ん?」

 

ふと斜め上へと視線を向けた時、ようやくネウロイが見えた。

灰色の雲から突き出た黒い物体。鮫の背鰭のように一部だけが飛び出たソレはかなり高速で移動しており、発見できなかったら逃げられていたかもしれない。

 

雲のすぐ下にまで高度を上げてミサイルを選択、マスターアームスイッチが入っていることを確認する。

 

ピー…

 

ネウロイにロックをかけ、親指で兵装リリースボタンをカチリと数回押す。

 

 

命中が確実といえない範囲では数撃ちゃ当たるとは言ったもんだ。敵はフレアやチャフといった自己防衛のための装備を持っていないが、代わりにレーザーがある。……しかも全方位に発射可能なやつ。

 

 

4本のAIM-9Bは瞬く間に雲の中へと姿を消し、操縦悍を前へと押し倒す。予想通りと言うべきか、先ほど俺が居たところ周辺がネウロイのレーザーで埋め尽くされ内心ヒヤリとする。

 

(あの量のレーザーじゃあミサイルは……まぁ落とされるわな)

 

すると突如ネウロイが蛇行し始める。……何の意味があるというのだろうか…?

 

エンジン出力を上げネウロイとの距離を2kmほどまで接近、機銃用のピパーがネウロイと重なるようにHUD内に捉えて引き金を引いた。

 

何度も蛇行を繰り返すネウロイに当たることは殆ど無く、大量の弾丸は命中せずにバラけていくものが殆どだった。

 

(くっそ…当たらない!せめて蛇行さえしななかったら…!)

 

そう思ったその時、空を覆い尽くしていた雲がネウロイのすぐ近くだけ爆発の炎により吹き飛ぶ。ぽっかりと大きな口が空いたかのように円形に抉り取られた雲の穴からは何も見えない。いったい誰の仕業だろうか?昨日のウィッチだろうか?

 

数秒後、今度は立て続けに爆発が起きネウロイに損傷を与えた。数kmとはいえその後ろを飛んでいる俺には地獄絵図にしか見えない…突如目の前で大爆発、ちょうど目の前で炎が消えるというのは本当に肝を冷やされる。

 

するとネウロイは雲の中に潜んでいた形から突然上昇、雲の中へと姿を消していく。それを追うべくネウロイ同様に雲の中へと入っていくがここで不可解な現象が起きた。

 

[ザーッ…♪~ザッ…♪~♪~]

 

今まで開きっ放しにしていた無線にいきなり通信が入ったのだ。しかしその内容は言語や信号ではなく何かの曲のようだった。

 

(……誰からだ?)

 

相手がわからないので返事も返しようがない。よくわからない内容だったので無線の音量を下げておく…操縦の邪魔だ。

 

 

高度を上げていき雲の上へと辿り着く。雲を突き抜けた瞬間、最後までキャノピーにまとわり付く小さな雲が幻想的だがそれは後回し。目の前にまだ居たネウロイをHUD内に捉える。

 

ピー……カチッ

 

燃料が燃焼されるのを知らせるかのようなロケット音とともにAIM-9Eミサイルが飛翔し、ネウロイへと狙いを定め始めた。

 

発射したと同時に目に写るのはネウロイの飛行先。数km離れた暗い空に浮かんでいたのは幾つかの青白く丸い円をした何かが浮かんでおり、そこからは二筋の弾幕が曳光弾によって描かれていた。

 

そしてミサイルが着弾、後方に居た俺の機体に黒い煙がそのまま覆い被さる。

 

(うっ…何も見えな[ガァンッ!]はぁっ!?)

 

ネウロイの破片か何かが当たったのかわからないが突然キャノピーがヒビ割れ、ウインドシールドとキャノピーの間にできた隙間から風が機内へと物凄い勢いで入り込み、細かい塵か何かが下げていたバイザーの表面を傷付けていく。

 

すぐにタリスマンが光を放ち始め修復を開始するがそんな時間も待っていられない。直ぐさま操縦悍を引き黒煙の中から機体を離脱させ、曇りガラスと化し使い物にならなくなったバイザーを上げて視界を確保する。

 

いつもより眩しく見える月明かりに照らされながらも機体を反転、下に居たネウロイの姿を今一度視界に入れる。タブレットでAIM-9P空対空ミサイルを瞬時に選択、反転した機体をそのまま降下させHUD内にてネウロイにミサイルロックをかける。

 

「これで……墜ちろ…!」

 

立て続けに放たれた4発の飛翔体は螺旋を描いた後に真っ直ぐネウロイへと接近、4発中3発がその真っ黒な体に叩き込まれる。

 

「ギイィィィィィィィィィィィ!!」

 

大気を擘くようなネウロイの悲鳴が辺り一面に響き渡り、密閉され切っていなかった機内にもその悲鳴は反響する。エンジン音があまり耳に入らないようにイヤープロテクトの役目も果たすヘルメットをしているにも関わらずネウロイが発する叫び声(?)は俺の鼓膜を破らんとばかりに揺らした。

 

(っ………てめぇらの声は空間制圧兵器か何なんかか?あぁ!?)

 

何かが頭のなかでプツリと切れた気がする。そこからはあまり覚えていない。

 

 

気付けば目の前でネウロイは白い結晶となりその命を散らしており、自分でも自分が何をしたらこうなったのか理解できずにいた。たぶんさっきの弾幕を張っていた者がトドメでも刺したのかもしれない、うん、たぶんそう。

 

(さて、何処かにでも行くか。宛なんて無いけど)

 

そう思い高度を下げるべく機体を反転させると、視界に入るのは幾つかの黄色く光る照明。さっきの弾幕を張っていた正体だろうと予想し目を凝らすが……ひとつの何かだと思っていたが、どうやらその考えは間違いだったようだ。

 

彼等は向こうから近付いてきて接触(コンタクト)を図ってきた。で、わかったことだが……彼等は彼等ではなく彼女等(・・・)だった。

 

 

まるで父親がうちの子は渡さん!とでも言っているかのように睨んでくる銀髪で長髪の子、頭の上に[?]を大量生産している茶髪でセーラー服の子、何か光る触角を頭から生やした子……それぞれが手に持つ銃が馬鹿でかくて逃げ出したくなります。はい。お兄さん怖くてチビっちゃいそう。

 

 

フラップを最大まで下ろし失速ギリギリまで機体の速度を落とす。万が一誤射があったら恐ろしいので緊急切り離し装置で両翼下に1つずつ取り付けてあったパイロンを投棄、クリーン形体にした後にマスターアームスイッチをOFFへと切り替える……これで全兵装はスイッチをONにしない限り使用不可能となった。

 

「フーッ……ハァー……」

 

やっとタリスマンでの修復が完了したので1つ深呼吸。綺麗に元通りになったバイザーを下ろすと視界にいつもの色が戻る。

 

かなり速度が彼女等のと近くなったからかどうにか編隊を組むことができた。横に並ぶ姿はさぞかし異様だろう……何せ人、人、人、ときていきなりドーンと馬鹿でかい森林迷彩をした機械なのだから。

 

「あ……忘れてた…」

 

そう一人で呟いてスイッチをOFFからONへと切り替えた。触れたスイッチが意味する内容は機体の外部照明……両翼端や機体下部なんかが光っていたりするあの部分だ。今まで僚機なんて存在居なかったし、ネウロイと戦闘を行う時にこちらが光っていたりすると位置がバレるため照明を切りっぱなしだったこと……すっかり忘れていた。

 

 

3人は進行方向を変え始めたので同じようについていく。が、彼女等……機動性が化け物だ。方向転換がほとんどその場で行われており、Su-27ファミリーも真っ青な動きだった。そんな機動にF-1が付いていけるとでも?答えは言わずともわかるだろう。

 

付いていこうとして思わずエンジン出力を忘れていた俺はロールしたと同時に操縦悍のシェーカーが震え始めたことに気が付いた。操縦悍が震えることはストールを知らせるため。もう遅い判断ではあるがスロットル・レバーをMAXまで押し込み、アフターバーナーに点火させる。

 

ゴオォォォォォ

 

基地の近くに住んでいた頃の懐かしいエンジン音が響き渡ると同時にエンジンの回転数、排気温度を表す計器の針がグンッと跳ね上がる。

 

なんとか失速、落下することは免れ進行方向も無事変えることができた。あとはまた先程までと同じように彼女等の後を付いていくだけだ……そしてまたエンジン出力を俺は落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして飛ぶこと十数分。3人は雲の中へと突っ込んでいった。

 

その後を追うべく操縦悍を前へと倒すのだが……これが間違いだった。

 

「う"っ……うえっ……おぇ……」

 

反転して+Gにしなかったのがいけなかった。-Gは体を襲い、機内を一時的な無重力状態に陥らせたのだった。エレベーターで軽くなるあの現象がレッドアウトまでとはいかないが俺を襲ryうえ…。

 

 

 

 

 

 

 

何てことも起きてぐったりしながら基地上空にまで来た(泣)。自動操縦の機能が無かったらもっと症状が悪化していたかもしれない……。

 

 

彼女等が降りていった基地……ん?あれほんとに基地か?俺としては城に滑走路を付けただけにしか見えないのだが……。そしてこの島の構造考えた奴出てこい!とんだ欠陥抱えてんぞこらぁ!

 

滑走路の先が基地って……万が一オーバーランしたら仏になること確実だろ……。せめて基地に対して垂直じゃなく平行に作って欲しかった。

 

事故に繋がりやすいと思うとハラハラするが……物は試しだ。ぶっつけ本番とはいかなくても先ずはタッチアンドゴーといこうじゃないか。

 

 

 

 

ある程度(7km程?)滑走路から距離を取った後、高度を下げていき着陸体勢に入る。フラップはあれから下げたまま、あとはスピードブレーキと降着装置だ。

 

車輪を下ろすため動きの堅いハンドルをガリガリと音を立てながらDOWNへと動かしていき、計器が車輪が正常に下りたことを知らせる。

 

(これでよし)

 

滑走路へと近付いていくに連れてスロットルレバーについているエアブレーキの作動スイッチをOUTにする。空気抵抗が増した機体はゆっくりと速度を落としていき高度も徐々に下がってくる。

 

計器の姿勢指示装置と高度計を見ながら操縦悍を引き、機首を5度程上げ……タッチダウン。キュッ!という車輪の擦れる音と共にやって来るのは割りと大きな衝撃……俺ってば着陸下手だなぁ……。

 

数秒後、スロットルをMAXまで押しつつ親指でブレーキのスイッチをINにする。

 

すると機体は速度を急激に上げていき、ガタガタと振動を起こした。

 

充分飛行が可能な速度に達すると同時に操縦悍を慎重に引いていき、離陸。すぐに車輪を仕舞うとフラップを少し上げて旋回へと移っていった。

 

 

 

 

 

 

 




次で原作キャラに会うわけですが……キャラ崩壊しないように気を付けないと…アワワ(´Д`)

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