デミえもん、愛してる!   作:加藤那智

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前半ウラエウス視点/後半○○○○。○視点(後半は来年3月以降)


気がつけば、ゴーレムを作っていた

 ナザリック第七階層赤熱神殿。信仰をなくした神々の石像が砕けた姿で散らばり廃墟に見えるデミウルゴスの住処。だがそれは表の姿。

 侵入者に見せる為の公的な部分であり、階層守護者のプライベート空間は地下部分に作られていた。

 間取りは玄関である広間サルーン、執務室、書斎兼少図書室、浴室バスルーム、衣装室と多数設計されている。だが、悪魔は睡眠を必要としないので寝室はなかった。あくまで単身を想定した間取りであるーー今までは。

 

「エエェ?」

 

 ウルベルトさんに「ちょっとこい」といわれて赤熱神殿地下に来たら……間取りが増えてる!

 どういうことだろうと横を見ると得意げなウルベルトさん、いつもにも増してドヤ顔してる。

 

「今までは単身者向けって感じだったからな。家族向けの部屋数にしておいてやったぜ」

 

「ウ、ウルベルトさんー!」

 

 か、感動した!

 

 前に「赤熱神殿地下拡張してもいい?」とはウルベルトさんに相談していたけど、わたしはここまでしっかりした拡張間取り作成まで考えてなかった!

 感激のあまりコブラ体でぴょんぴょんと飛び跳ねる。

 

 思わず「おとうさん、ありがとうございます!」て叫んだら「ツチノコを娘に持った覚えはねぇ!」と言われた。

 

 つ、ツチノコ……!?そんな風に思われていたなんて……!しどい!

 

 増えたお部屋は、控えの間と女性の歓談の場として使われる応接間(ドローイングルーム)、女性主人がくつろいだりお茶会をする居間(パーラー)、夕食をとる食堂(ダイニングルーム)、温室(コンサバトリー)、私専用の寝室と浴室と衣装室と更衣室と化粧室、厨房(キッチン)、洗濯室(ランドリー)、使用人ホール、貯蔵室、従僕室、家政婦室、メイドの寝室 等。

 

 あ、あと子供部屋(ナーサリー)もあった!

 

【卵】から生まれたNPCには幼年期〜完成期があるのでつくったらしい。

 

 あれ?家具が一つもない

 部屋を見回っていて気づいた。

 全ての部屋の内装がされていないし、家具も置いてない。

 ウルベルトさんひょっとして……。

 

「好きな家具と壁紙にすればいいぜ」

 

 やっぱりー!

 

「ありがとうございます!」

 

 そうですよね、ウルベルトさん彼女さん、というか奥さんいますもんね、実体験からくる経験者の意見ですね、幸せなんですね、つまりノロケかー!

 

「いや内装は二人で考えたいもんだろ」て、もごもごと言っているウルベルトは放っておいて、さっそく課金、課金!

 家具、家具っと。あ、デミウルゴスの洋服も足しとこうっと。デミウルゴス、スーツしか持ってない、しかも数着しかウルベルトさんにもらってないみたいだし。

 アップデートされた衣装カタログにのっている基本データを片っ端から購入しちゃお!

 

 トラウザーズ、長ズボン、丈長の上着、帽子、ステッキ、モーニングコート、イブニングコート、オーバーコート、手袋、マフラー、サスペンダー……。

 あっ軍服もある!買っちゃお買っちゃおー。マントもマントも!

 

 やばいなーモモンガさんのこと言えないなー、軍服はかっこいいから仕方ないね。いっそのことナザリックをイメージした軍服をNPCみんなの分作ればいいと思うの。おにいたんもナザリック学園制服作ってたし(ただし、女性NPCの分のみ)。

 

 購入したアイテムで内装を整え、家具を配置。デミウルゴスの衣装や小物はデミウルゴスの倉庫に入れておく。

 え?なんでわたしがデミウルゴスの倉庫に入れられるのかって?ウルベルトさんじゃないとできないだろ?て思うでしょ、それがねーー。

 

「ええ!?そんなのダメですよ!ウルベルトさんが作ったキャラじゃないですか!」

「あのな、お前のデミウルゴスファッションショーとかいうのにいちいち付き合わされるこっちの身になってみろ……」

「楽しいじゃないですか!3時間くらいあっという間ですよ!」

「お前がな!お前だけがな!俺は!忙しいんだよ!」

「わたしだって忙しいですよ!主にデミウルゴスを愛でることで……ちょ!なんで頭つかむんですかー!」

 

 ぷらんぷらん。

 

「そんな理由でNPC保持権限移譲しないでくださいよー!デミウルゴスがかわいそうじゃないですか!」

「俺は!俺はかわいそうじゃないのかよ!」

「幸せじゃないですか!視界がー!酔う!酔っちゃいますううう!わああああああ!やああああああ!」

 

 画面が回るー!回るー!ううー!!

 わたしをブンブン振り回すウルベルトさん。おかしい!そんな筋力ないでしょー!

 

「……はぁ、……はぁ……とにかく!拠点戦とかの時は返してもらうから普段はお前が権限もってろ!好きにファッションショーしとけ!」

「うう、うぅ、ぎぼぢわるい……」

 

 でもォ、とさらに言いつのればウルベルトさんはログアウトしちゃった。最近全然来れてなかったのにわざわざこのために来てくれたんですよね、もー。ほぅあー、まだ酔って頭がぐらぐらするーウルベルトさんの真心は体を張らないと受け取れないよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ?!」

 

 びびびびっくりしたー!赤熱神殿からリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで第九階層に移動したのにわたしの後ろをデミウルゴスがついてきていた!ななななんで!?

 ……あ!ひょっとして権限がわたしにあるから?ウルベルトさんからデミウルゴスの権限を移譲されて移譲前の行動命令がリセットされてた?

 

 ためしにその場をぐるっと回って歩いてみる。後ろをついて来ているデミウルゴスもぐるっと回って歩く。

 

 う、うれしい!一緒に歩いてる!

 

 いつも抱っこしてもらって運んでもらうか、階層巡回プログラムされたデミウルゴスの後をついていくかの二択だった。けれど、いまはデミウルゴスとどこでも一緒に行ける……!?これってデートみたい!?

 

「ついてきてる!ついてきてる!あ、でも、こう……歩けばデミウルゴスのほうが前を歩いているように見えなくもない!わー!」

 

 わたしは嬉しくてその場をぐるぐる回りまくった。そんなわたしの後をデミウルゴスもぐるぐる回る。

 

「はっ!」

 

 一緒なのは嬉しいけど……どうしよう……連れ歩いているのを見られたら……。きっと、きっとギルメンに見つかったらいじられるんじゃないだろうか……?

 

「あ、ああ、ややばい!はやくウルベルトさんが入力していた巡回命令をいれといたほうが……こんなところを誰かに見られ「あれ?ウラちゃんじゃん (。☌ᴗ☌。)」るううしふぁあああああさああ!」

 

 ーーもっとも見られたくない人に見つかってしまった。

 

 ウラエウス は にげだした!

 

 …

 

 ……

 

 

 しかしまわりこまれてしまった!

 なんでナザリック1の敏捷高さを誇るわたしより速いの!翼の数か!堕天使だからか!

 

「あっれ?デミウルゴスなんで一緒なの?おーとうとうサブマス権限乱用はじまっちゃった?はじまっちゃった?(゚∀三゚三∀゚) ?」

「ち、ち違うよー!ここここれはですね……っ」

 

 るし★ふぁーさん、全然ログインしてないのになんでこんなときだけバッタリ会うのー!?

 

「よーし、パシャパシャ(⑅∫°ਊ°)∫!」

「ちょ、スクショまって!まって!」

「みんなに見せにいこーと (乂'ω')♫」

「まってぇえええええええええーー!!」

「ノルアドレナリンでちゃう?でちゃうщ(゚д゚щ)?」

 

 もおおおおおお!すぐこういうー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 るし★ふぁーさんがわたしとデミウルゴスのツーショットをギルメンにすぐ流した。

 

 ああああああ恥ずかしいーー!

 

 殆どのギルメンから生あたたかいコメントを投げられた。しかし、若干1名からは抗議?コメントをいただいてしまった。

 

「みー、浮かれすぎだろ。そいつ第九階層まで連れてきて、もし侵入者がきたらどうするんだよ。大体デミウルゴス、デミウルゴスばっかりかまいすぎなーー」

 

 仕事場に缶詰多忙なおにいたんの長文コメント。

 侵入者きたら経費節約のためにわたしとモモンガさんで撃退しに行っているので、デミウルゴスの階層までは侵入者はやってこれてないのが実情なんだけど、おにいたんの言うことは正しいので気をつけよう。でもデミウルゴスに関しては自重しない。

 コメントにメッセ返ししてると、ポーンとあたらしいメッセが届く。

 

「ウラちゃん、今度また遊びに来ない?娘が進路で悩んでてさ、ちょっと相談にのってあげてほしいんだ」

 

 あれれ、多忙でガワ置き放置のブループラネットさんから珍しいお悩み相談?

 

「わたしで良かったら!こないだのブルーさんのおうちでキャンプ気分楽しかったですー」

「横から申し訳ありません。よろしければ私の娘もご一緒させていただけませんか?」

 

 えっ、たっちさんまで!?というか中身いたんですか!結婚式からアバター微動だにしてませんでしたよね?っていったら、ギルボイチャログチェックはしてるとのこと。

 

「是非是非きてください、たっちさんもお悩みで?」

「お恥ずかしながら「お父さんはわかってない!」と言われてしまいまして……」

「こないだの事件のマスコミ対応も大変そうでしたもんね……」

「男親って難しいですよね」

 

 悩めるお父さんズ。お二人の娘ちゃんたちは美人でかーわいい。会うとよくお父さんの愚痴をいっている、けど本当はとってもお父さんのこと好きなんだよね。

 

「そういえばウラちゃん動画みた?」

「動画?なんの動画ですか?」

「ブルーさんそれはーー」

「あ、え、やばかった?」

 

 動画?なんの動画だろう?わたしを気遣うようなたっちさん、焦るブループラネットさんの様子が気になる。

 

「動画のアドレス教えてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「るぅしふぁああああああああああああアアァァァーーーー!!」

「こーこまでおいで♫ほーらほらほら☆〜(ゝ。∂)」

 

 わたしはるし★ふぁーさんに八つ当たりしていた。そう、八つ当たりの自覚はある。装備したのは自分の判断だ。自己責任だ。でも、でも、でもーー!

 

 八つ当たりの発端、それは結婚式後ナザリックにプレイヤーたちが攻め込んできた戦いを録画した動画がネットに流れていたことだった。

 動画には普段のアインズ・ウール・ゴウンにはまず見られない様子が、礼服と本気装備をアンバランスに装備しているギルメン、タキシードを着たデミウルゴス、ウェディングドレスを着て顔を隠したわたしが映っていたーー映ってしまっていた。

 

 わたしは普段顔バレをふせごうとナザリック外ではいつも全身鎧を着て(ヘルメット)をかぶっている。

 しかし結婚式の時はまさか必要になるとはおもっていなかったから、(ヘルメット)をギルド倉庫に入れていた、しかもそのことをすっかり忘れていて撃退しようとしたときにアイテムボックスにないことに気がついた。

 迫り来るプレイヤー。敵は目前だ。

 焦ったわたしは仕方なくイベント狩りの時にドロップしてそのまま持っていたアイテムをかぶって戦った。

 そんなわたしの外見が周りからみたらどんなふうに見えるかなんて慌てすぎて考えなかった、戦うのに忙しくって考えられなかった。

 

 ーー上はアフリカ産の自然と精霊一体がテーマという原色巨大なシャーマニック仮面、下は白いウェディングドレスの奇妙なわたし。

 

 全世界に公開された動画には無数の「笑」コメントがついていた。

 それを見たギルメンも大笑いしていた。

 

 地球を脱出したい。死にたい。

 

 恥ずかしくて恥ずかしくて1週間ログアウトし、でもサブマスだからと気を取り直して狩場にでたらーー。

 

「あ、仮面のww」

「やべwwwwww」

「あの仮面かぶってスクショとらせてもらっていっすか?wwww」

 

 て言われた。

 

 どうやったら重力振り切れるの?お月様になりたい。死にたい。

 

 もう嫌だー!とナザリックに引きこもったら、ギルメンから結婚式戦闘時のスクショを送られてきてーー。

 

「この角度まじかっけぇ」

「仮面に目覚めるwwww」

「私も仮面つくろうかな」

「ちょ、たっちさんwwwww」

「それじゃ私も」

「俺もみーとお揃いつくるわ!」

「おれ、二個持ってるw」

「どう?似合ってる?」

 

 とかギルボイチャでみんなしていいはじめてた。正気?正気ですか?なんでまたそんなに全力?

 しかもいつもならおさえてくれるはずのモモンガさんまでーー。

 

「みんなで仮面かぶってなんかポージングを考えましょうよ!」

 

 てノリノリに輝いていた。骸骨の頭頂部がピッカピカするくらい。

 えっ、そういう戦隊もの的なの引いてませんでしたっけ?いつ心境かわったんですか?モモンガさんてばギルメンの中の人イン率上がってはっちゃけやがって……!

 しかしモモンガさんには怒れない、ここのところ落ち込んでいたし、楽しそうなのは久しぶりに見たし。

 もういいもういいよ!みんなわたしの屍の上で楽しく踊るがいいさ!

 

 もはやどこにもわたしの安寧できる場所はない、デミウルゴスだけがわたしの癒し。泣きながら赤熱神殿に移動しようとしたらーー。

 

「ウラっち見てくれたー?俺の撮ったカメラアングル!(^з^)いやー慣れないことして疲れたわー!編集を手伝ってくれたのはーー」

 

 ーーまさか、いやまさか。

 

「……ネットにアップされていた結婚式の動画のことじゃないですよ、ね……?」

「それそれ!最高だったでしょ!(⌒▽⌒)」

 

 ーーお前かあああああああ!

 

「るぅしふぁああああああああーー!!」

「わあ!そんなに喜んでくれて俺もうっれしー(≧∇≦)」

「ミサイル花火が地上に流れたのってぜぇぇたいわざとでしょおおおおお!?」

「えーまっさかー♫ちらっと考えたけどー考えたけどー(*☻-☻*)」

「もおおおお!!」

「おっ本気装備?やる?やっちゃう?カモーンカモーン(゚∀三゚三∀゚) 」

 

 KILLLLLLLLLLLLLL‼︎

 次元断切(ワールドブレイク)してやる!

 

 怒りに任せてワールドチャンピン・オブ・ムスペルヘイムを引っ張り出して装備する。

 PvPエリアに移動してギッタンギッタンにしてやるー!と、るし★ふぁーさんを振り返ったら、視界の端にーー。

 

「殺しあってストレス発散しても、ネットに流れた動画もスクショも消えないよ……止めようよギルメン同士が相争うなんて……」

 

 といいながらギルメンみんなからお金をとって賭けをはじめる音改(ねあらた)さんが見えた。ちょお。

 

「今日もウラちゃんだな!」

「るし★ふぁーがうまく幻惑したらわかんねぇぜ」

「だから結婚なんかしなきゃよかったのに!」

「わたしは、みーに賭けるわ!」

「ボクも」

「はいはい、皆さん闘技場に移動しましょー」

「はーい」

「うぃ」

「bbb」

 

 ーーひ、ひどい!ギャンブル禁止ーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーわたしの安心できるところはここしかない。

 

「しくしく」

 

 賭けの対象にされギルメンに慰めという名のいじりをされた後、わたしはコブラ体でデミウルゴスの膝の上で横になって寝っ転がってふてくされていた。

 

「しくしくしくしく」

 

 わたしがサブマスになってからモモンガさんいじられ回避率上がってきている気がする。なんでだ、骸骨そんなに敏捷高くないというのに。おかしい、うちのいじられ主役はモモンガさんのはずなのに。

 

「デミウルゴスーみんなひどいよーしくしくしくしくしく」

 

 デミウルゴスのお腹のほうをむいて「泣く」コマンド連打しまくった。

 

「もー!るし★ふぁーさんのばかー!」

 

 今日のはいつにも増してひどかった。

 実はわたしとるし★ふぁーさんとのPvP(殺し合いはるし★ふぁーさんがギルド加入以前からの日常茶飯事。じゃあ、るし★ふぁーさんが戦闘狂なのかというとちょっと違う。

 あの人とは出会いからしておかしかった。

 PKされてたところを見かけて助けたら逆に、

 

「いいところだったのに!かわりにきちんと殺してね!プンプン!( *`ω´)」

 

 て攻撃してきたので驚いてPKしてしまった。

 るし★ふぁーさんは死までのタイムリミット12秒中やたら楽しそうで、

 

「いいね!いい感じ!一撃死ってなかなかないんだよー!さんくす✺◟(∗❛ัᴗ❛ั∗)◞✺」

 

 PKしてお礼いわれるなんてはじめてだった。

 

 それからマップで出会うたびに「やたー会えた!ウラちゃんヤろーねえねえヤろー(*∩ω∩)」て殺しにくるので、こういうコミュニケーションする人もいるんだーと何度か殺りあっていたらギルド加入申請してきた。

 えー?と思いつつ、みんなに聞いた後に「じゃあお試しで」と加入オッケーだしたら、タブラさんの個室にイタズラを仕掛けて気があったり、ギミック担当してたギルメンとゴーレム作りの話盛り上がってたり、すぐに馴染んでた。

 でもやんちゃも激しくて、ナザリック内でトラップを仕込んで、チグリス・ユーフラテスさんに解除してもらったり(転移後のこと考えるとね)してた。

 真面目なギルメンは馬が合わないみたいだったけど、るし★ふぁーさん自体が直接イタズラする相手は選んでいるみたいで、そんなに大きな不満はおきなかった。イタズラは多いけど悪質じゃないし、個人の資源も使ってナザリックのギミックつくってるし貢献してるよね、アインズ・ウール・ゴウン(うち)を利用しようとしない人だね、とギルメンによる人物見定めに合格し正式にギルドメンバーになった。

 

 正式メンバーになったらなったで、わたしとたっちさんにやたらとPvPを誘ってきた、というより殺しにかかってきた。

 たっちさんは外向きにヤるときはヤるけど、内向き(ギルメン)に対しては保護するものと考えているので、スキル・クラス再構成の目的以外でのギルメンのPKは断っている。なのでるし★ふぁーさんの相手はわたしに一極集中。わたしは何度るし★ふぁーさんを殺して、何度レベルダウンさせたことかわからない。あの人のドMレベルに上限はないんですか。

 もし物語でるし★ふぁーさんがモモンガさんと一緒に転移していたら、きっととんでもないことになっちゃってた。

 モモンガさんに「ねえねえ殺して殺してよ(*^o^*)♫」て迫ってドン引きさせるだろうし、少し目を離したら目に入る景色を地平線までゴーレムで埋め尽くそうとする、きっとするーーだって、るし★ふぁーさんだから。

 ソロモンの小さな鍵(レメゲトン)を67体で作るのやめたのだってーー。

 

 思わず、はっとする。

 

 ……。

 ……67体のゴーレム……。

 るし★ふぁーさんの作った67体のゴーレム動き出したらどうなるんだろう……。

 お風呂場のライオンゴーレムはセリフ指定条件で戦闘開始……だった……。

 ……。

 ナザリック内に仕掛けられたイタズラは見つけたのは外したけど、ゴーレムは……どんな設定してるのか……。

 設定、こわくて知りたくない。

 67体のゴーレムみんな戦闘開始したらどうなっちゃう……の……?

 

「ややややややややややばい!絶対やばい!

 きっと大丈夫とか、るし★ふぁーさんが関わったら考えられないよ!?嫌な予感しかしない!

 どどどどうしよう……!そうだ抑止力!抑止力を作らないとーー!」

 

 ぴょん!と立ち上がる。

 

 ーー恐ろしい未来が脳裏をよぎった。るし★ふぁーさんの影響を色濃く受けた気まぐれトラブルメーカーな67体がザリックを壊滅させる未来が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダメ、絶対、るし★ふぁーSTOP!

 わたしは、るし★ふぁーさんの影響を色濃く受けるゴーレムの被害を最小限にとどめるため対策を考えはじめた。しかしなかなかいい案が思い浮かばない。気ばかり焦る。

 

「うーんうーーーーーんん!」

 

 るし★ふぁーさんへの抑止力といっても何をどうしたらいいのーかー。

 ゴーレムが何らかのスイッチが入ってお茶目な行動するのを阻止したいけど、何がスイッチになるのかわからないし……。

 

「ウラちゃん」

「あっ、ごめんなさい音改(ねあらた)さん」

「緊張してる……わけじゃなさそうですね」

「ちょっと、るし★ふぁーさんのフォローを考えてました」

「はははっ、さすがウラちゃん、このメンバーのなかでユグトラシルの考え事をしているとは思わなかったです!」

 

 いけないいけない、つい考え込んでしまった。

 今わたしは音改さんと金融会の大物ランチ会に参加していた。いままではこういった会に誘われても参加したことはなかったのだけど、音改(ねあらた)さんが参加するということで誘われてきたのだ。

 参加者は大手投資銀行元会長、大手保険会社CEO、ヘッジファンドCEO、投資銀行CEO……。財閥血縁者もいる。

 貼り付けた微笑みと天然のシャンパンを片手に会話を楽しみ、こないだあった金融危機など全くの他人事の億万長者たち。

 

「ややや、わたし音改(ねあらた)さんのオマケで入れてもらえただけですし!」

「普通はもっとね、この機会に周りとコネを持とうとするんですよ。なのにウラちゃんときたら」

「うーん、音改(ねあらた)さんのご親切はとてもありがたいのですが表の対応は大人の代理人に任せてますし、表立ってわたしが動くとちょっと。今日は音改さんの横でお話聞いてるだけですごくためになるかなーなんて」

 

 この人達の中にはうちの担当者が声をかけてる人もいるはず。でも支配層は血族内でお金を回すからお客にならない。なのでうちの私募投資パートナーシップーーいわゆるファンドは成金機関投資家向けのみである。

 

「それでいいの?幼い君の頭脳を売り込まないんですか?」

「ズタボロにされるだけですよ!」

「ははっじゃあ遠慮なく歩き回りますよ」

「はい!助かりまーす」

 

 音改(ねあらた)さんと人と人を渡り歩く。音改(ねあらた)さんが情報収集している横でわたしは親戚の子供扱いでニコニコと話を聞いているだけ。支配層の人たちってすごーく外面がいいからわたしみたいな素性のよくわからない子供にとても優しい。

 子供相手でも侮らないところが逆に怖いなーもうちょっとボロ出してください、ボロを。

 あー、るし★ふぁーさんどんなゴーレム作ってたっけ。能力値はわかるけど外装は未配置だからまだ見せてもらってない。やっぱり外装も教えてほしいなあ……るし★ふぁーさんにお願いして見せてもらおっかな。

 ……ん?なんだろう、入り口のあたりがザワついてる。

 

音改(ねあらた)さん?」

「まさか……!嘘だろ、◯◯◯◯◯◯◯家の跡取り?こんなパーティに出て来るなんて……!?」

「え、◯◯◯◯◯◯◯家!?それってここにいる支配者役とは違う、本当の支配者のお家じゃないですか!?」

 

 わたしと音改(ねあらた)さんは顔を近づけ小声で話した。音改(ねあらた)さん動揺のあまり素がでている。無理もない。

 今日の参加者に分家の人間がちらほらいるけれど、まさか本家の後継者が人目につくところに来るなんて滅多にない。しかし顔を知ってる音改(ねあらた)さんもすごい。

 

 人波が少し分かれ背の低いわたしにも当主の青年の顔が見えた。

 

 ーーげっ、イケメン。

 

 高身長、長い手足、彫り深く高い鼻梁、切れ長な目、整いすぎた怜悧な美貌。年齢は20……30代かもしれないが老化防止していたらわからない。富裕者は目が飛び出るような金額をかけて若作りしているものだから。

 

「跡取りにしては若くないですか?」

「見た目通りなら異例だね」

 

 歴史の裏に連綿と続く複数の家族ファミリーで構成された真の支配者、血の繋がりこそ全ての閥族。泡沫の名誉、地位、権力は目立ちたい人間に「支配者」という役割を与え、自分たちは闇にまぎれリスクをさけて目立たない仮初の職業について生きている。

 だから一族を率いる者である当主たちは人前に出ることを極端に厭うというのに。

 

「……なんで来たんだろう」

「会いたい人でもいるのかな。でもほら、それが誰なのかはわからないようにしたいのか……。全員と挨拶と軽い会話をしようとしてるように見えるね」

「うんうん。……え、てことは私たちの方にも来るんじゃないですか?」

「あ……だね」

「これはチャンスですよ音改(ねあらた)さん!」

「え!あのレベルはもう僕じゃどうにもならないから!」

「売り込み!売り込み!」

「待って待って!」

 

 わたしは尻込みする音改(ねあらた)さんの背中をぐいぐい押して、青年を二重三重に囲む人の話に突っ込んだ。青年の傍付きのボディガードが人をさばいている。ここで待っていればそのうち音改さんの番もやってくるでしょう、むふふ。

 しかし女性陣はみんな顔を赤らめて夢見るような目で見てるし、人心を掌握する支配者っていうのは容姿も整ってないといけないものなんだね。うーん、やっぱり【スキャニング】だけじゃ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「るし★ふぁーさーん!72柱の67体のゴーレムの外装見たいでーす!」

「えー?見たいの?見たいの?ウラっちてば積極的なんだから(///▽///)破廉恥えっち!」

 

 あれから悩んでもいい案が浮かばなかったので72柱の全データをみせてもらって分析することにした。

 

「破廉恥なのはるし★ふぁーさんのほーです!そんなにいかがわしいの作ったんですかっ」

「うん(^ω^)」

「え?ほんとに……?おにいたんみたいな事を?よよく規定に引っかかりませんでしたね、あっ、だから普段は未配置なんですか?」

「そーそー、配置しちゃうと修正はいるもー⊂((・x・))⊃」

「そっかあ」

 

 じゃあ見せてもらえないかーて諦めようとしたら、

 

「ほい」

「え?ーーあっ」

 

 ユグドラシル外経由でるし★ふぁーさんからメールが届いた。

 

「いいんですか?」

「うん、俺の画面スクショ」

 

 こわごわとDLするため画面をタッチする。

 わードキドキする!画像データDLするの怖いよー!

 一体どんないかがわしいものが送られーー。

 

 

「ーーえ」

 

 ーー有機的な具象

 ーー幾何学的な抽象

 ーー定型と非定型

 ーー反復リビテーションと交代オルタネーション

 

 ーー見事なバランスで音楽的な律動と旋律。

 

 万象無限な形状からあえて醜悪さを選び取りながら、

 醜い表層すら凌駕する本質的な美を浮かび上がらせ、

 悪を意識した形状でありながら人の本質に訴えかける美を持った67体の悪魔のゴーレムたち。

 このゴーレム達がただ裸であるというだけで修正されるなんて勿体なさすぎる、

 ギリシャ彫刻に修正なんてしないーー。

 

 ーーなんて……繊細なデザイン、色彩感覚、立体の優美さ美しさ……!

 

「……きれい、なんて……美しい」

 

「美」の概念は時代、地域、民族、によって異なる。

 普遍的なものは存在せず美醜は多様な価値観を含み精神的ものに左右されやすい。

 だがこれはそんなものを超える美だ。

 

 こんな感性の持ち主だなんて……知らなかった……。

 こんなの見せられたらるし★ふぁーさんを尊敬……しちゃうよー!く、悔しいんん!

 あんな普段ハチャメチャるし★ふぁーさんにこんな凄まじい才能がー!

 はっ!?わたしの作った悪魔5体とるし★ふぁーさんの悪魔たちが並んだら……。

 本格ダークファンタジーモンスターたちの横にJRPGヒロインじゃないですかー!

 ミスマッチすぎる!むっちゃ違和感ある!違和感しかない!

 

 ……るし★ふぁーさんが飽きて制作放棄したソロモン5体は「わたしの考える可愛い女の子」を好きに作っちゃったんだよおおお。

 5体をるし★ふぁーさんに見せた時も、

「いいじゃーん!(*´ω`*)」て気に入ってもらえたからいいかなて思ったのに!

 こんなミスマッチになるのがわかっていたら、

 るし★ふぁーさんに何としても残り5体作ってもらったのにー!

 Noooooooooooooooooooooooーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しくしくしくしくしくしく」

 

 またもデミウルゴスの膝の上。落ち込んだ時はデミウルゴスにひっつく。

 るし★ふぁーさんの作った悪魔ゴーレムのデザインに合わせて、

 抑止力になるゴーレムを作ろうとかなと考えていたけれど、

 るし★ふぁーさんのデータを見てデザインを合わせるのはすっぱり諦めた。

 才能以前の問題。

 感性が違う。

 はああああああ。

 

「なに作ればいいーのーぶーぶー」

 

 やさぐれながらも72柱情報を検索する。

 あっソロモン72柱を調べたら対応する天使がいるんだ、ほほー。天使、天使かー。

 元々天使って人型じゃないし頭や目や手や足や羽根がたくさんある異形だからナザリックにはぴったり。

 神聖系対策、例えば光輪の善神(アフラマズダー)対策にもちょうどいいかも。あれ使われるとナザリックのプレイヤーキャラもNPCもほんと残らない。

 拠点戦でも神聖系で攻めてくるからなあ。

 もし転移したらモモンガさんアンデットだし、

 神格持ちのわたしが一緒に行けたとしてもわたしも神聖系には弱いし。

 ナザリックの面々も殆ど悪だから天使モリモリ作っておけばモモンガさんも助かるよね。ヴィクティム達の所に置いとけばモモンガさんのレベルダウンを最小限にとどめられるかも。

 これは一石二鳥、三鳥なひらめき!むふふ。

 

 さて、作るものは決まった。材料どうしよう。

 るし★ふぁーさんのつくったゴーレムは超希少金属製。

 対抗できるゴーレムをつくるなら同じく超希少金属が必要だねー。

 さっそくモモンガさんにメッセを飛ばす。

 

『モモンガお兄ちゃんー宝物庫の金属使ってもいいー?

 使った分後で補充しておくから』

『いっぱいあるしいいよ、何つくんの?』

『るし★ふぁーさんのゴーレムだけだと迎撃中によくわからない行動する可能性あるから、

 第八階層の強化にゴーレム増やそうかなーって』

『あー……るし★ふぁーさんね……でも維持コストがなあ』

『大丈夫!収支バランス考えとくから!他のギルメンにはおっけーもらってきたよ!』

『んーじゃあいいんじゃないかなー』

 

 ゆるゆるギルマスあんどサブマスである。

 かくしてわたしの天使ゴーレム作りははじまった。

 

 ん?そんなに超希少金属ないでしょ?だって?

 むふふ、物語を読んだわたしは採掘場をずっと独占できないことを知っていたので、

 鉱山占拠前から音改さんとぷにっと萌えさんに相談して【お金】【資源】確保するための方針を決めていたのだ。

 

 まずウロボロスをギルメン全員力を合わせて複数入手。

(結婚式に使用したウロボロスはこのときのあまりだった)

 鉱山を発見したらすぐにウロボロスを使用し【拠点】化させ、時間でマップが変更になる迷路に作り直し、

 ギルド外プレイヤーに【拠点】化と気付かれないような高レベル自動ポップモンスターを無数に配置して勘違いさせた。

 超超超難易度鉱山の出来上がりである。

 多分、役割特化ガチビルド高レベルプレイヤーチームで発掘しに来ないと発掘は無理というレベルの鉱山。

 ワールドアイテム所持者やワールドを冠するプレイヤーという強者であっても、

 探索は時間がかかりすぎる作業ゲーとなり、さらに発掘は山ほどある仕掛けに「採掘面倒くさい」という気持ちになるだろう。

 勿論アインズ・ウール・ゴウンのギルメンは鉱山ギミックに攻撃されない。

 

 そして占拠しつつも完全独占はせず少量の金属を市場に流し流通量をコントロールした。

 つまり大金を払えば金属は手に入る、自分で取りに行くのは手間がかかりすぎるという状況に。

 正直強者たちはお金を余りに余るほど持っている。

 そして金属が欲しいプレイヤーたちが結託しないように、

 複数のギルドと直接取引きを持ちかけ時期によって優遇するギルドを変更した。

 

 それでも「異形種憎し!」を信条とするチームや、「もっと希少金属が大量にほしい」というチームにウロボロスを使用されワールドを出入り禁止にされたことがあった。

 その事態も予想していたので即座にウロボロス返しをして鉱山を取り戻し、

 取り戻した後しばらく金属を市場に流さなかった。

 

 この事件でとばっちりをくったのは、

 アインズ・ウール・ゴウンと取引きで超希少金属を入手していて、

 鉱山奪取に参加しなかったギルドらと奪取したチームが所属していたギルドだ。

 彼らと仲良くしていたのは、わたしを含めた数名のアインズ・ウール・ゴウンのギルメン。そう、仲良くするように指示されたのだ、ぷにっと萌えさんに。

 

 今回の鉱山確保にあたり、ぷにっと萌えさんはアインズウールゴウン内に不和があるようにギルド外に見せかける提案をしてきた。

「アインズ・ウール・ゴウンは、ギルド外親睦派とギルド外排斥派に分かれている、そんな主義の違いはあるけれどギルメン同士は仲が良いギルド」

 親睦派のリーダーはわたし、排斥派のリーダーはモモンガさんを指名しそれぞれ派閥にあったロールプレイをするようにいわれた。

 ギルド外のプレイヤーへの接し方については、ぷにっと萌えさんに演技指導までされた。

 そこまでする必要があるのかなー?ていったら、

 

「やるなら徹底的に完璧に」

 

 と計略をめぐらすのが楽しそうなぷにっと萌えさんだった。

 魔王ロール強化を指示されたモモンガさんは最初こそ「そんな、私が……」といっていたけど、「これはモモンガさんにしかできないんです!みんなに信頼されるギルマスのモモンガさんにしか!」とぷにっと萌えさんの一言で、

 

「えー!いやあ!必要ならしかたありませんよね!大事な希少金属確保のためならしかたありませんよねー!」

 

 とノリノリになり嬉しそうに新たなるアイテムーー『魔王マント・オブ・モモンガ』、『魔王の王冠・オブ・モモンガ』ーーを作成していた。

 のせられすぎだよ!モモンガお兄ちゃんー!

 

 そんなわけでわたしもぷにっと萌えさんが目星をつけた取引き相手候補のプレイヤーたちと親睦を深め、

 彼らのレベル上げの相談にのり、

 アインズ・ウール・ゴウンでは必要とされない人間種用と亜人種用がドロップしたときは優先的に譲ってあげたり、

 PK集団からから守ってあげたり、

 探索のお手伝いをしたり、

 積極的に仲良くした。

 

 そのかいあってか、アインズ・ウール・ゴウンは物語(オーバーロード)のようなDQNギルドではなく、DQNなプレイヤーもいるし、マトモなプレイヤーもいる悪役ロールギルドという認識になっていた。

 

 アインズウールゴウン内の親睦派(わたしとギルメン数名)とお付き合いしているプレイヤーたちからしてみれば、

 いままで仲が良いプレイヤー(わたしとギルメン数名)から、時間も手間もかかる鉱山金属を発掘する労力を割くことなく、適正価格で超希少金属を融通してもらい優遇されてきたという感覚がある。

 なのに、鉱山を独占しようとするDQNプレイヤーたちのせいで取引できなくなったのだ。

 

 さらにうちはギルドコメントとして「ギルドメンバーは仲良くしていた人たちに裏切られて傷ついています、時間をいただけますか?」

 と被害者コメントをだした。親睦派と仲良くしていたプレイヤーにも鉱山奪取に手を貸したプレイヤーがいると思わせた。

 DQNプレイヤーの多いギルドと名高いアインズ・ウール・ゴウンのコメントなんて、というプレイヤーもいたけれど、ぷにっと萌えさんの指示による慈善行動がここで効いてくる。わたしを含めた一部のメンバーの親睦派はアインズ・ウール・ゴウンの良心と言われているらしく、味方してくれるプレイヤーが結構いたのだ、主に上位ランクギルド所属プレイヤーに。うん、よく一緒に探索したし助けたしね。

 水は高いところから低いところに流れる、道徳に根ざした大義名分がたてば人の心はそちらに流れやすい。

 

 かくして、ナザリックと対決するデメリット、鉱山発掘の手間、

 時間がたてばまた流通してもらえるメリットを天秤にかけて大部分のプレイヤーたちはうなづいた。

 鉱山を奪取しようとしたプレイヤーたちからすれば、

 再度ウロボロスを使用してまたカウンターされるならウロボロスを入手する労力に見合わない、

 奪取派の意見はまとまらず平行線、よって様子見となる。

 このやりとりを何度か繰り返し、アインズ・ウール・ゴウンが超希少金属を流通させてくれるから、

 わざわざ鉱山取りに行かなくてもいいだろうという価値観をプレイヤーたちに植え付けた。

 それでも鉱山を奪おう!と考えるプレイヤーは、

 同じギルドメンバーやチームメンバーから、

「奪取すれば市場に半年は出回らなくなるから」とたしなめられ自主規制をうながされた。

 かくして超希少金属は実質アインズ・ウール・ゴウンが管理するのが当たり前となった。

 

 なので、いまだにアインズ・ウール・ゴウンで鉱山を隅から隅まで掘って掘って掘りに掘りまくっていて、

 さらに表には採掘量ごまかしているので超希少金属は十二分に余っているのだ。

 

 さーて、ギルマスの金属使用のおっけーもでたから早速作りはじめよ。

 どんなのにしよー。

 

 今度は性別つけるのやめておこう、特に男、イケメン作るのは苦手、というかイケメンが苦手。

 リアルイケメンて生き物はですね、

 持って生まれた顔ゆえに周りから優遇されるのが当たり前で生きてきたので、

 大体性格悪いんですよ。

 前世はそんなリアルイケメンにルサンチマンなブスハラ嫌がらせをされまくりでした……。

 なまじ仕事頑張っちゃったから。

 ナルシスト男の嫉妬はネチネしてて湿っぽかった。

 

 だからこそデミウルゴスの外見のみならず中身もイケメンなところに惚れる!

 デミウルゴスがいれば他にイケメンいらないのだ!デミウルゴスは癒し、癒し。

 よーし、ミニキャラっぽいのにしておこうかな、キモカワ系の。

 あ、まだるし★ふぁーさんに希少金属スターシルバー、使い込まれてなかったから使っておこー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天使のゴーレムにヘヴル語の3文字を刻む、やっと完成。

 

「ふえーやっと35体目ー」

 

 ゴーレムつくるの本当大変。

 5体ならまだしもこんな大量のゴーレムつくるとなると骨おれまくってバッキバキ。

 作るだけじゃない、まずるし★ふぁーさんのゴーレムと同格かそれ以上にしようとするならエンチャント+5以上いるし、

 失敗するとゴーレムそのものが消失しちゃう。つらい。

 

 でも完成したゴーレムがふよふよ浮かぶと嬉しいし、

 るし★ふぁーさんのゴーレムの肩とか頭にのせたところを想像するとセットっぽくてかわゆいにちがいない、

 かわいいからがんばれる。

 天使たちの属性はヴィクティムと同じくカルマ中立にしておいた。

 そうそう内部分裂しないように設定に「ナザリックはみんな仲良くしよう!」て書いとこ。

 製作者わたしがデミウルゴスやギルメンのこと好きなら悪魔やカルマ悪ギルメンとも敵対しないと思うけど念のため念のため。

 属性の違いが派閥になって殺し合いになったら嫌だもんね。

 

 あ……リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの設定にもかいておいたほうがいいかも。

「リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを身につけた者同士は種族と属性の違いはあれど和合する」て書いておけば、

 後々守護者たちが身につけた時も争い防止力ありそう。

 うんモモンガさんに相談しよっと、多分オッケーて言われそう。最近本当明るくノリがよくなったよねモモンガさん。

 んー天使ゴーレム作り終わるころには【卵】が孵るかな……。

 

「ウラっちがゴーレム作るなんてめずらしー」

「わっ!るし★ふぁーさん」

 

 いきなり後ろにるし★ふぁーさん!?びびったー!這いよらないで!

 るし★ふぁーさんのアバター何万もの小羽根でできた何千もの翼で本体が見えなくて、

 さらに翼には目が無数にあるから、後ろに立たれると無数の目に見られて目力強すぎてビビる。

 

「フーン。何で天使のゴーレム作ってんの」

 

 なんか面白くなさそうなモーションだしてる、るし★ふぁーさん、顔文字ないし。

 そんな不機嫌になられても困る、むしろこっちが不機嫌になりたい。

 

「るし★ふぁーさんのせいですよ」

「え、俺?」

「悪魔ゴーレム72柱作ったでしょう、正確には67体だけど。

 るし★ふぁーさんが67体いるようなもんじゃないですか、

 面倒をみるゴーレムも同じ数いないとと思って」

「えー面倒みてくれんの?ていうか俺とゴーレムは別もんじゃん」

 

 今度はニヤニヤして楽しそうなるし★ふぁーさん。

 るし★ふぁーさんの心の琴線わからない。

 ゴーレムはるし★ふぁーさんの精神を宿すはず、

 転移したら目も当てられないトラブルメーカーが67体だよ?殺されるために全力で攻撃してくるんだよ?

 

「ゴーレムはるし★ふぁーさんにそっくりです」

「えーどこが?外装全然ちがうじゃん」

 

 見た目じゃなくてー。頭おかしいと思われるだろうから転移することを言えないのが!

 

「姿形は違うんですけど、中から滲み出る……心、精神?

 魂が似てる……んだと思う、思います。そう、同じ!」

 

 イタズラ満載のるし★ふぁーさんの様子からは想像できないけど、

 悪魔ゴーレムたちの表層に浮かびあがる美しさは、るし★ふぁーさんの才能、内面なのだ。

 普段イタズラの後始末させられている立場からすれば認めたくないけど、

 るし★ふぁーさんの心には美しい精神があるんだと思う。逆にそう思えばイタズラの後始末しがいがある……のかな?

 んー、ここはもっと羽根ちっちゃくしたほうがいいかなー。

 

「……」

「るし★ふぁーさん?」

 

 ……あれ?るし★ふぁーさんが沈黙?黙り込むるし★ふぁーさんて、めずらしい。すごくめずらしい。

 悪いものでも食べていまお腹痛くなったのかな?

 

「俺も手伝う!(。・ω・。)」

「ーー!?え!ま、わあああ!」

「ほらほらこんな感じもいいじゃん!ウラっちはこっち作ってよ(=゚ω゚)ノ」

「早っ!できるのはやいよ!」

 

 いきなりやる気になってる!?なに?どうしたの!?

 手伝ってくれるのはありがたいけど、

 天使ゴーレムまでるし★ふぁーさんに作られたら抑止力の意味がなくなっちゃうよー!

 制作の主導権は握らせない!握らせないんだからー!




おつかれさまです!
年末進行デスマーチ終わりました!生き残った!イェーイ!みなさんは生きてますか!

大変大変申し訳ないのですがさらにこれから更新遅れそうです。理由は、

Blu-ray特典小説が在りし日のアインズ・ウール・ゴウンということで!楽しみすぎる!早く読みたいー!!読みたい!!ジタバタ!!ジタバタ!

……と心から小躍りしているのですが、この特典小説の情報を見た時に「デミえもん、愛してる!」にギルメン話をわりと盛り込んであるので、特典小説次第で、修正、原作と大きく離れる場合部分削除の可能性があるなあーと思いました。
で、るし★ふぁーさん、ぷにっと萌えさん、ブループラネットさん、の捏造話を書いた後アップしていいのかどうか悩んでるうちに上巻のチラ見がきたので読んだら「あっこれ待ったほうがいいわ」てなりました!

転移前のアインズ・ウール・ゴウンを描いたBlu-ray特典小説は、12月の4巻に上巻、来年2月の6巻に下巻に発売予定です!(宣伝)
10巻は1月発売(予定)だそうです!(宣伝)

上下巻読むまで小説の更新一時停止いたします!

でも書きたい!書きたいよー!オバロもえー!
仕方ないので寸止めされてたまらない気持ちは絵を描いてしばらく発散するしようかと思います!文章だともう進むしかないので、となると捏造を重ねるしかなく、しかし修正・削除の必要可能性大なのでお休み!

こっちで絵だけは載せられないと思いますのでピクシブにしばらくおります!
みなさんお元気で!良いお年をお迎えください!アデューアディオスアミーゴ!!

↓家族がツチノコかいてくれたよ!


【挿絵表示】


↓触発されてウラエウス半人半神verかいてみたよ!


【挿絵表示】


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