咲-Saki- 神域を継ぐもの   作:スレ主

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京太郎強化回




六話

清澄高校の麻雀のレベルはとても高い

そんな中頭一つ抜けている咲と達也

 

咲は女子達と数多く打っているが、達也は最初の一回以来ほとんど打っていないその理由が………

 

「頭がおかしくなる」

「おかしくなるくらいが丁度いいんだよ」

「麻雀は業が深いな」

 

京太郎の指導だ

 

 

 

 

時は戻り一週間前のお昼休み、達也は久の所へ向かった

 

「えっ?須賀君の指導をする?」

「ええ、流石に初心者一人だと京太郎もいろいろと感じることがあると思いますし」

 

久は正直小高君には女子達とガンガン打ってもらいたかった

プロにも負けないのではないかという圧倒的実力と他人には真似できない理

レベルが拮抗してる相手だけではなく圧倒的存在を相手にする必要がある

 

「それは………夏が終わってからじゃダメかしら?」

「それは京太郎を夏まで雑用係にするっていう発言として捉えていいんですか?」

「………えぇ、そうね」

 

ほんの少し考えた

当然部長の発言は正直問題発言だが

しかし、久の心情も考えてもみる

三年待っての初めての団体戦、当然勝ちに行きたい

三年だ、この人は三年も待ったのだ

ほんの少しは我儘を言いたくなるだろう

しかもこの人そういう本音は言わず自分か悪者としている

なんというか素直じゃない人だ

 

「妥協案を出します、一週間ください、そしたら京太郎を初心者から脱却させます」

「うーん、それくらいならいいでしょう」

「ありがとうございます、では一週間くらい部活休みますので」

「あら?部室で教えないの?」

「牌と卓がワンセットしかない部室でどうしろと?」

 

清澄高校麻雀部、部としてあるのはこの人が学生議会長の権力を使って残しているのだ

当然そんな部活動に部費なんぞほとんどでない

 

「それを言われると中々辛いわ、では小高君須賀君の指導よろしくね」

「分かりました」

 

そして達也による京太郎初心者脱却特訓が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

達也と京太郎は達也の自宅に向かいながら話をしていた

 

「さて、京太郎には泊まり込みで教えてやるが、麻雀を教えてやる前に麻雀が強くなるコツを教えてやるよ」

 

「マジで?そんなんあるならさっさと教えてくれよ」

 

「それはだな、意識することだ」

 

「なにを?」

 

「この世のありとあらゆる全て」

 

「はぁ?」

 

「麻雀をやる要素ってのは、なにも麻雀だけじゃない、数学ができれば牌効率もわかるし待ちの増え方も分かる、国語ができれば他人の捨て牌からどんな狙いをしたいか分かる」

 

「まぁ、理屈は分かるけど」

 

「そう、『理屈は分かる』京太郎お前は自分が強くなる方法は分かってるんだよ、京太郎に限った事じゃない大概の中級者や初心者も

『理屈は分かる』けど実践しないんだ」

 

大概の人間はやらないのだ

学校の宿題をやらなきゃいけないのにやらない

頭が良くなるためには勉強しなきゃいけないのにやらない

強くなるためには練習しなければならないのにやらない

 

「なるほど」

「でだ、俺の言った意識することっていうのは、普段当然であることをより高みにしていくことだ」

 

「高みに?」

 

「普段呼吸なんて意識してないだろ?それを腹式呼吸にしてみろ、他にも自分の姿勢なんて意識してないだろ?背筋伸ばしてみろ、歩くのも意識してないだろ?自分が思ってるよりほんの少し足を前にだしてみろ」

 

達也はどんどん追加して言う

 

「これ、結構疲れるんだな」

 

「こうやって日常生活でも人は鍛えることができるんだよ、これが何を鍛えるのかっていうと集中力だ」

 

「へー」

「麻雀ってのは、一人に集中しちゃいけないもので、卓全部を集中しなきゃいけない、そんな中、牌効率、相手の思惑、リーチ後の対処、残り牌の確認、通る牌、通らない牌、逆転への点数計算、挙げたらキリがない」

 

「うへぇ、そりゃ大変だな」

 

「それに慣れる為の意識をするんだよ、普段から多くの思考をすれば、昨日俺が皆に言った理にも気づく」

 

「あの、和のクセとか染谷先輩の国士無双の察知とか?」

 

「そっ、だけど今の京太郎はそもそも麻雀のルールを理解しないからそこから行くか」

「よろしくお願いします先生‼︎」

 

そういって京太郎の特訓が始まった

 

 

 

2日目

「とりあえず座学はこの辺にして、次は牌に慣れるか」

「やっと………終わった」

「あのな、ぶっちゃけ理さえ理解すればあとは簡単なんだぞ、むしろ理だけでも麻雀はできるからな」

「分かってるけどよー」

「分かってるなら実践しろ、二流ぐらいでいいなら今日で特訓終わりにしてもいいぞ」

 

そう、言われたら下りられない

男の子なら上に行きたい、もっと強くなりたい、二流ではなく一流、中級者ではなく上級者、弱者ではなく強者になりたいそんな願望を持つ、それが男の子

 

「いや、やるよ」

「うんじゃ、山作るか一つ30秒な」

「おう」

 

 

3日目 学校にて

 

「そういえば最近京ちゃん授業中寝てないね」

「ん?そうか」

「うん、いつも眠たそう顔してつっ伏せるのに」

「んー特訓の成果かな」

「あれっ?それって麻雀の特訓なんだよね?」

「達也の言葉を借りると、麻雀をやる要素は麻雀以外にもあるってやつだよ」

「へー、なんか大変そうだね」

「でも、なんかだんだん楽しくなってきたかな」

「頑張ってね京ちゃん」

「相変わらず宮永さんはいい嫁だな」

「嫁さん違います‼︎」

 

 

 

 

 

「うんじゃ、そろそろネトマでもやるか」

「ついに麻雀が打てるー」

「ここまで牌に慣れつつ理を詰め込んだからな、まぁ初心者ではないだろう」

「おお、ついに麻雀初心者の脱却‼︎」

「うんじゃとりあえず、明日までに上級卓に入れ」

「はい?」

「明日までに上級卓に入る、簡単な特訓だよ」

「は、マジで?」

「おう、うんじゃ飯作らなきゃいけないから適当に頑張れ」

「いやいや、流石に無理なんじゃ」

「負けが込んでも寝なきゃ大丈夫だろ、明日まで時間はたっぷりあるからな」

 

 

 

 

 

 

4日目

「あれ?小高君、京ちゃんは?」

「風邪を引いたってことにしといた」

「しといた?ってことは」

「そっ、俺の家で特訓中だ」

「えっと………学校出なくて大丈夫なの?」

「まっ、1日くらい問題ないだろ」

「あはは」

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃああああ、上級卓行けたぁぁぁ」

「近所迷惑だっつうの」

「あいてっ、やっと終わったぜ」

「まぁ、今日はもう寝ろ、明日から土日だからさらに詰め込むぞ」

 

うつらうつらとしていて話を聞いていない

 

「………麻雀っておもれーのな」

 

そのまま倒れこむように寝てしまった京太郎

 

 

 

 

 

 

「………おもれーか」

 

 

 

 

 

5日目

「今日から俺と打つぞ」

「いや、二人でどう打つんだよ」

「俺が山3つ使ってお前が一つでやる」

「それお前がめっちゃ有利じゃん」

「だからおれはお前の捨てた牌でしかアガれない、当然ツモアガリもなし、鳴くこともしない」

「うーん、それなら」

「さらにお前は持ち点は1000からスタート」

「はぁ?そんなんやったらすぐに飛ぶわ‼︎」

「だから俺から東風戦を取ってみろ」

「東風戦を?」

「そう、全部上がったら終了だ」

「かなりキツイと思うんだけど」

「なに、ちゃんと手加減するから」

 

 

 

 

 

最終日

「徹夜で麻雀がこんなに辛いとは」

「ほれ栄養ドリンク」

 

もうすでに達也とは2000局近く打っている

それもそのはず、京太郎は1000点しかない点棒を守らなければならない

しかしノーテン罰符でも死ぬ

振り込んでも死ぬ

つまり上げらなきゃ勝てない

しかし、アガれない

事実このルールは達也が数段有利なルールだ

しかし、京太郎も気づいているが達也は完全デシタル打ちをしている

つまり相手は牌効率のみの麻雀しかしていない

偶にアガれるが大概東2局で飛ぶ

つまり完全に手詰まり状態である

 

「ネトマの牌譜をみたけどよ、そこまで運がないんじゃないだけど、現実の麻雀も運が悪いか知らないが不要牌が来るパターンが多すぎるんだよな」

 

(京太郎は事実ネトマではデシタルを完全に打っていた

しかし、何故か知らないが現実の麻雀になると途端に運が悪くなっている)

 

達也は知るよしもないが、京太郎は決して運が悪い訳ではなくむしろ一般人より高い運を持っている

しかし、達也の強大な運気に飲み込まれていて、京太郎の運気がほぼ無い状態で打っているのだ

 

(普通はこれだけ負けが込みいれば放り投げたくなるが、負けがただの負けのままじゃなんも変わらないぜ京太郎)

 

京太郎も若干だが気づき始めた

(こんだけ打って明らかに俺に有効牌がこない時が多い、正確な統計は測ってないけど多分普通より悪い、常に普通以下なんて異常事態なんだけど相手が相手だから仕方ないと割り切るしかないけど)

 

ジッと手配を見る

(悪くない手配を引いたのも数え切れないほど引いた、だけど上がったのは数回だけだった、つまりこの手配は悪くないが、ツモが明らかに悪すぎる、つまり山をズラせば悪いツモ番もズレる)

 

「ポン」

 

(これで多少マシになるか………そういや染谷先輩は河からイメージしてアガれるパターンとアガれないパターンを探してるって聞いた、真似するにはいいけど問題は俺が上がるパターンが少なすぎてアガれる気がしないんだよな)

 

 

「チー」

 

(とりあえず鳴いて鳴いて仕掛けまくるしかねぇ)

 

「ロン」

 

(おっふ、そこもう張ってたのかよ、もっと集中しろ卓全体をみろ、もっと潜れ、卓の深い底まで潜れ)

 

(徹夜明けの麻雀なのに集中力が落ちてないな、むしろ何か掴みかけてるな)

 

(確かに俺の中じゃ、圧倒的にアガリパターンは少ないだけど逆を言えば達也のアガリパターンが腐るほどある、そこからどんどん見つけろこの手配がアガれるパターンを)

 

達也は卓の高みに行くなら

京太郎は卓の中に深く潜る

 

達也の築き上げたアガりを一つ一つ思い出す約2000局近く打ったなかで、達也とこの手配が近い形を見つける

 

(見つけた、さらにここから相手の手配を読め、上家は典型的な断么九系、下家は三食狙ってるのか?いや一気通貫か染め手、対面はまだ端の牌の整理をしてる、んで、あくまで達也は面前でこの手配を作ったけど俺にはそんな運がない、だから鳴く‼︎)

 

「チー」

 

(よしこれでテンパイ)

 

次順京太郎

 

「ツモ、断么九三食2000オール」

 

(よしっアガれたこのまま一気に行く)

 

(掴んだみたいだな)

 

この後京太郎は東四局までアガり

 

「特訓は終了」

 

と、達也に言われ無事特訓は終了したが

 

「もっと………もっと打ちたい」

 

と京太郎の強い要望で結局2日連続の徹夜でやり京太郎の特訓は終わった

 

 




作者は京太郎が好きです

ぶっちゃけると主人公は京太郎にしたかったですが、京太郎に後付けみたいな設定はしたくなくて←好きすぎて

素のままの京太郎を強くしたかったです

あと何より他の京太郎主人公作品より面白い作品が書ける気がしなかったので、オリ主という形でこの作品を書いたって感じですかね

とまぁ、ここまで読んでくださってありがとうございます
感想や評価等お待ちしております


追記

感想で京太郎の努力描写についてのご指摘がありましたので説明します

作者は「努力=頑張ること」とは思ってません
作者は努力というのは「努力とは目的の為の有意識行動」と考えてます
この場合ですと、麻雀部に入って部活動をするのが「目的の為の有意識行動」ですよね
じゃあ主人公が教えたのは何か?
「無意識的行動を有意識行動に変えること」です
本編でもあった通り、普段、無意識だったものを有意識に変えることは物凄く大変です、呼吸をするのも、足を動かすのも、手を動かすのも普通の人は無意識的にやると思います
だけどこれを有意識に変えると、呼吸も、足を動かすのも、手を動かすのも、全部意識してやるということです
じゃあそれに意味があるかというと、これも本編でもあった通り集中力が上がります
そして「努力=有意識行動」と考えると「努力してない=無意識的行動」だと作者は考えてます
つまり努力描写を入れるとすると、京太郎の日々の生活が努力描写だと考えてくれると助かります

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