咲-Saki- 神域を継ぐもの   作:スレ主

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祝通算UA100000突破っ!!

感謝ッ………!!圧倒的感謝ッ………!!

そして今回はちょい長くなりました


二十九話

side憧

 

 

龍門渕に着いてまず思ったこと………デカイ。

 

「うっへぇー、憧の家の神社よりデカイ」

「うちも結構大きい神社だけどこりゃデカイわ」

「むむぅ、今回はおもちセンサーの反応が悪いですね」

「もう玄ちゃん」

「………たぶん無理だと思う」

「ほらほら、ちょっと遅れてるから急ぎなって」

 

少し歩くと門の前に執事服とメイド服を来た人がいた。

 

「お待ちしておりました、阿知賀高校の皆さんですね」

 

男の人だったので、ほんの半歩下がったら、その執事さんは少し私から離れて案内するようになった。

………流石に気のせいかな?

 

そして案内された所に入ると

 

 

「お待ちしておりましたわ!」

 

いかにもお嬢様という雰囲気をだす龍門渕透華さん

 

前大会の副将戦の牌譜を見たが最後の怒涛の追い上げは中々凄かったのを覚えている。

 

「こいつらが奈良代表?」

「こいつらとか失礼だよ純くん」

「よろしく…」

 

先鋒の井上純さん。

牌譜を何度か見たけど正直訳わからない鳴きをする人だと思う。

私も鳴きを中心としたプレイスタイルだけど井上さん鳴きは相手の流れを潰す麻雀って感じかな?

 

そんな井上さんを注意するのは国広一さん。

クセのある龍門渕で攻守共に隙の無い人だ。

牌譜を見ても至って普通………と思いたいが、この人なんと公式戦全てプラス収入で終えているのだ。

周りがクセのある人が多いので埋もれがちだが、他の高校に行ったら間違えなくエースクラスだ。

 

そして次鋒の沢村智紀さん。

 

「ピキューン!!おもちセンサーに反応アリっ!!」

 

………玄は後で締めといておこう。

この人は一言で言えばデジタル打ち。

しかも和と同じレベルの高いデジタル打ち………和は確か副将戦だから灼先輩と沢山打ってほしいな。

 

そして………

 

「さぁ、麻雀を打とうではないか」

 

前年度MVP天江衣さん

 

練習相手にしては随分豪華なメンツね………

 

「それと連絡があったと思いますが、男子が2名ほど追加されますがよろしいですか?」

「えぇ、丁度12名で三卓できるので大丈夫です」

 

………男子か。

いやまぁ、見てる時間も勿体ないし、それなら打ってた方が練習になるよね。

 

扉から出てくると、1人目は

 

「本当にいいんすか?」

 

「デカッ!?」

「おぉー金髪だ」

「むむ、おもちセンサーが反応している、あの人もおもちを愛していると」

「玄ちゃん、ちょっとこっち来ようか」

「煩わし…」

 

「相変わらず京太郎は目立つな」

 

もう1人は至って普通の男子。

女子から見れば少し背が高いかな?

 

「では、紹介しますわ、県予選男子個人戦1位小高達也さんと個人戦2位の須賀京太郎さんですわ」

 

「今日はよろしくお願いします」

「どーも」

 

「個人戦一位と二位ッ!?」

「そうですわ、ついでにこの二人は」

 

龍門渕さんがもっといろいろと言おうとしたが、黒髪の方が龍門渕さんの口に手を当てる。

 

「まぁ、なんにせよ打ってからのお楽しみってやつだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、朝。

 

 

side京太郎

 

 

「ハギヨシさんすげぇな」

 

俺とハギヨシさんは龍門渕の庭の手入れをしているが、正直このバカ広い庭の手入れをハギヨシさん一人でやっているのだ。

 

「ここまでくると愛着ができてあまり苦労とか感じないですね」

 

など言っていたが流石に量が多いでしょ。

そして達也も手入れのお手伝いをするかと思いきやハギヨシさんに見学をしろという指示の為達也は動けない。

 

「いいんですかハギヨシさん?」

「小高君のことですか?」

「さっきから、これでもかってハギヨシさん睨んでますよ?」

「アレでいいんです、彼は少し休んだ方がいい」

「はぁ?」

 

正直俺はハギヨシさん意図が読めない。

そんな俺の顔を見てハギヨシさんは手を動かしながら語る。

 

「無意識を意識する、これは須賀君もやっていることですね」

「はい」

「私も意識してますが、常時それをやっている訳ではありません」

「………と言いますと?」

「つまり普通の時、私の場合は仕事の時は意識していますが、休み、つまり寝る時や就寝前とかは意識はしてません」

「ん?それって普通のことじゃないですか?」

「彼はその普通のことをしてないんですよ、………昨日の夜君達二人の部屋に入ったんですよ」

「えっ!?全然気が付きませんでした」

「勿論バレないように入ったんですが……彼は私が扉に触れた瞬間に起きましたよ」

「はぁ、でもそれってマズイんですか?」

「彼は寝ている間も無意識を意識してる、つまりほとんど休んでない状態なんですよ、聞くにはそれを数年前から続けているみたいですしね」

「えっ、じゃあ達也は」

「肉体的には身体を休むことができていますが………精神的には」

「それって結構マズイんじゃ」

 

思わず聞いてしまうが、ハギヨシさんは少し困ったような顔をする

 

「精神的に休めてないと言っても、本人の意思の強さによりますね」

「じゃあすぐに何か起きるって訳じゃないんですね」

「そうですが、早く改善した方がいいですね……………彼はどうして生き急いでいるんでしょう」

「はい?」

 

後半少し声が小さくて聞こえなかったので尋ねると

 

「いえ………龍門渕は男性が少ないので是非とも仲良くなりたいなと思っただけですよ」

「あはは、俺も達也もハギヨシさんのこと友達だと思ってますよ」

「それはとても嬉しいですね」

 

ハギヨシさんはニッコリ笑う。

その顔はとても晴れやかなものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………何故か朝の仕事をハブられた俺。

まぁ、何かしら意図があっての休めだと思うけどさ……

 

「小高さん?」

「はい、なんでしょうかお嬢様?」

 

と執事対応したら物凄く嫌な顔された。

 

「………なんですか、透華さん」

「えぇ、実は今日の予定に練習試合があるんですけど」

「練習試合ですか?」

「えぇ、是非とも参加してみませんこと?」

「………相手女子なんすよね?」

「そうですけど……問題でも?」

「いや、この時期にやるってことは多分相手全国決まってるチームっすよね?」

「えぇ、今回相手になるのは奈良の県代表ですわ、それがどうかしました?」

「いや、俺ら一応清澄じゃないすか?俺と京太郎が仮に打って、その情報がそのまま女子に流れるとか考えてないんすか?」

「………確認させていただきますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(と言ったが、結局やることになった………男子だから舐めてるのか、それとも別の意図があるのか)」

 

ちらっと阿知賀の顧問の人を見ると向こうも俺と目が合った、とりあえず会釈しておく。

 

「(あの子が例の男子ね………)」

 

--赤土晴絵は手元の資料を見る

 

「(打点、速度、状況判断………どれも学生レベルじゃないわね………けど、少しほつれもあるわね)」

 

--達也の判断はほぼ正解だ。

赤土晴絵は達也を強いと言っても男子プロと同レベル、どんなに高く見積もっても「男子レベル」と見ている。

たしかに牌譜を見ると一方的に蹂躙しているが、ちょくちょく和了が噛み合わない感じがある。

赤土晴絵にとってそれは学生故の驕りだと思っている。

しかし実際は違う。

達也はチャンタシステムの見直しをしていたのだ。

長期の麻雀でチャンタシステムは多大なる効果を発揮する。

しかしそれは長期の麻雀。

短期決戦の麻雀では、速度と打点の高さは非常に重要だ。

インターハイルールでは赤ドラの多さ故に断么系が好まれる、それ故に達也は么九牌を落とした所を狙い打っていた。

しかしこのチャンタシステムにも弱点がある。

実際京太郎はそのチャンタシステムのスキをつき達也の連続和了を止めたのだ。

速度を上げつつ相手を縛り、その上自分は和了る

よりこのインターハイルールに適応した新たなシステムを構築している途中である。

 

「(まぁ本命は今日の龍門渕よ、この練習試合が少しでもみんなの糧になってほしいね)」

 

 

 

 

 

 

適当に空いた席を選び、席決めの牌をとる。

 

「よろしくお願いします」

「うっ、よろしく」

「よろしくねー」

「………よろしく」

 

俺の入った卓は阿知賀の新子さんと松実宥さん、龍門渕からは智紀さんだ。

 

新子さんは男子が苦手みたいだな。

うんで、松実宥さんは………

マフラーと厚手のセーターを着ていて寒そうにしている。

………今って7月の後半だよな?

 

「どうかしたの?」

 

ジッと見たら声をかけられた。

 

「いえ、寒いんですか?」

「ちょっと冷えるけど我慢出来ないほどじゃないよー」

「………そうですか」

 

この件について考えるのはやめよう。

 

「………ツッコミを放棄した」

「体質みたいなものなので気にしないでくれると助かるわ」

 

智紀さんには突っ込まれ、新子さんは苦笑いされる。

 

 

 

 

 

 

 

東一局 親 松実宥

 

「リーチ」

「ポン」

 

先制をしたのは智紀さん、そしてその牌をすかざすと鳴く新子さん。

………新子さんは鳴き麻雀か。

 

「ポン」

 

今度は松実さんの牌を鳴く。

 

「ツモ、役牌、ドラ2、1000、2000です」

「「「はい」」」

 

 

東二局 親 新子憧

 

「(とりあえず先制した、このまま一気に放すっ)」

「(うーん、親流されちゃったし、先制リーチでオリは引いたの失敗だったかな)」

「(………リー棒取られた)」

 

「あっ」

「ポン」

 

智紀さんが中を出したと同時に新子さんが声を上げ、松実さんが鳴く。

 

「(そっか、宥姉の特性を知らないからそりゃ中を普通にだすよね)」

「(久しぶりのあったかい牌鳴けた)」

 

そして2巡後

「ツモ、中、混一、ドラ1、2000、4000です」

「うぅ、親かぶり」

「ふふっ、お返しだよ」

 

 

東三局 親 沢村智紀

 

「ポン」

 

新子さんまた鳴いて来たか。

 

「チー」

 

智紀さんも鳴いてきたか、親の連荘狙いか。

 

「ロン、ダフ東、ドラ1、5800」

「はい」

 

松実さんが智紀さんの三面張に振り込む。

 

「一本場」

 

 

東三局 一本場 親 沢村智紀

 

「(そう簡単に離させてもらえないわね)」

「(うーん、普通に振り込んじゃったよ)」

「(………細かい麻雀になりそう)」

 

--東三局一本場は流局し親は流れた。

 

 

ここまでの点差

 

松実宥 24200

 

新子憧 28000

 

沢村智紀 24800

 

小高達也 24000

 

東四局 親 小高達也

 

「(さて、親はこの男子。県一位と言っても、ここまで焼き鳥ね)」

「(………ここまで一回も鳴いてないし、早和了りもしない………速度勝負はしないで打点の高い手を待ってるのかな?)」

「(………最初の山場が来た)」

 

9巡目

 

「リーチ」

「ポン」

 

--達也のリーチにすぐさま突っかかる憧。

そして切った牌は

 

「ロン、リーチ、平和、断么、一盃口、ドラ2………裏ドラ乗って跳満」

「うっわ、親っパネ」

 

--ここで達也が一気にトップに上がる

 

「一本場」

 

東四局一本場

 

「(うーわ、いきなり最下位転落よ、けどまだまだこれから)」

 

憧の第一打、1萬

 

「ポン」

 

--達也これをすかざす鳴く

 

「(ん、いきなり鳴かれた。けど私の手そこそこ速いわよ)」

 

智紀の第一打、西

 

「ポン」

 

--憧もこれをすぐに鳴く

 

そして次順

 

「チー」

 

--再び憧は鳴き、牌は切ると

 

「ロン、チャンタのみ、1800」

「うっ、はい」

 

--憧の溢れ牌がまた綺麗に達也に当たる。

 

東四局 二本場

 

「(なんか急に)」

 

「ロン、断么、ドラ3、二本場で12600」

「は、はいぃ」

 

東四局 三本場

 

「(連荘が)」

 

「ロン、役牌のみ、三本場で1900」

「………はい」

 

東四局 四本場

 

「(止まらないっ)」

 

「ロン、チャンタ、三色、四本場で4100」

「うっ、はい」

 

東四局 五本場

 

「(………あっという間にトビ寸前ね)」

「(連荘止まんないよ)」

「(………配牌が中々酷い)」

 

「ポン」

「ロン、役牌のみ五本場で3000」

「えっ、は、はい」

「(あの捨て牌だと、三面待ち捨てて単騎待ち………)」

「(憧ちゃんが鳴いてから振り込むなんてあんまりないのに、さっきからぴったり待ってるよ)」

「(………そろそろ阿知賀の人が飛ぶ)」

 

ここまで点数

 

松実宥 11800

 

新子憧 1100

 

沢村智紀 22900

 

小高達也 64400

 

東場四局 六本場

 

「あらら〜ここは憧がトビ寸前か」

 

先ほどまで、違う卓を見ていた阿知賀の監督。

新子さんの点数を見て簡単に感想を漏らす。

 

「(ありゃ、いつもだったら一言二言噛み付いてくるけど、そんな余裕もないか?………って六本場?ずいぶん連荘してるな)」

 

 

--赤土晴絵はそのまま新子憧の後ろに立つ。

 

「(全体的に真ん中寄りの牌が集まってるし、憧の得意の鳴き麻雀がでるかな)」

 

--ぱっと見で、8巡くらいで和了る形が見えてる。

 

「………ポン」

 

--憧はほんの少し悩んだが、宥の牌を鳴く

 

「(上家が宥だし、筒子、索子の牌が簡単に溢れるから憧もやりやすいでしょ)」

 

--あっという間に聴牌になる憧の手配………しかしまたしても切った牌は

 

「ロン、ダブ東、ドラ1、トビ終了だな」

 

--達也の当たり牌になる。

 

「(………多面待ちに取らずに単騎待ち………憧の溢れ牌を狙い打った?)」

 

 

 

 

 

 

東場で終わったか………周りを見るとまだまだ南入したばかりだし

 

「検討でも」

「どうして憧の溢れ牌が分かったの?」

 

しましょうか?という前に阿知賀の………赤土さんが声を掛ける。

なんか前にもこんなことあったな………

 

「………キズですよ」

「「「キズ?」」」

「あー、クセって意味よ、久しぶりにそういう言い回し聞いたわよ」

 

俺の周りだと、クセって言うよりもキズって言う人の方が多かったからな

 

「新子さんは普通のポン、チーは問題ない。手配から抜いてパンこれで終わり、だけどこんな形だとちょっと違う動きがでる」

 

簡単に牌を並べる

 

「例えば牌の並びが7、8、8、9、9の時、上家から索子8が出た時、新子の指は一瞬8の対子に指がかかる、一瞬ポンかチーか考えでるんだろうね、だから俺はそのどっちかの余り牌を待てばいいって話」

 

ポンならば7で待てばいいし、チーならば9で待てばいいただそれだけ。

 

「………でもそれだと鳴いた後で私の手配が分かるだけで私の余り牌を狙うことなんてできない」

「そこで新子さんの上家、松実宥さんの特性ですよ」

「………特性?」

 

智紀さんが頭を傾げる

 

「この卓に入ってから妙な違和感を感じてたんですよ」

「違和感?」

「はい、松実宥さんは手配に赤い牌が偏って引いてますね」

「………そうなの?」

「あったかい牌が来てくれるの〜」

 

とってもいい笑顔で言われるが智紀さんは少し手を顎において

 

「………とりあえずそう仮定しておく」

 

と言った。

原村さんみたいに「そんなオカルトありえませんっ!!」とは言わない。

まぁでも、本人もガチガチのデジタルだし根拠のない理論ってのが好きじゃないだろうな。

 

「本人も赤い牌を集めてるので必然的に索子や筒子などの牌が溢れる、そうなると新子さんも鳴く牌はほぼ索子か筒子になる、そこまで分かれば後は溢れそうな牌で待てばいいってことですよ」

 

--そして達也は多くは語らないが、女子特有のキズがある。

牌の整理だ。

達也が初めて清澄で打った麻雀で和の牌整理から手配を読みきり、溢れ牌を狙うという技。

これは何も原村和だけのキズではない。

言ってしまえば几帳面な性格の人物のキズである。

事実達也はこの半荘憧だけではなく、宥や智紀からの直撃をとっている。

何もこれは偶然ではなくほぼ狙った形の和了である。

この三人の共通点は几帳面な性格。

故に達也にとっては相手の手配はガラス張りのような物………それでどうやって負けるのだろうか?

 

 

「はーー、しかし良くもまぁたった一回の半荘、いや東風戦でそこまで分析できたわね」

「どーも」

 

赤土さんと会話してると周りも終わったみたいだな。

 

「一回検討しますか?」

「うーん、時間が勿体無いから全員打ってからにしようか」

 

とりあえず阿知賀の人全員と打つことになった。

 

 

 

 

 

 

「勝てない………!!」

「また衣の勝ちだー」

 

頭を突っ伏しているのは高鴨……じゃなくてシズ。

一度高鴨さんと呼んだら周りも見渡して「私かっ!?」と叫んだ。

それから本人から「シズ」と呼ぶようにと言われたのでシズと呼んでる。

 

シズは突っ伏した顔を上げて「もう一回お願いしますっ!!」と言うが、赤土さんが「一回検討してからねー」と言い雀卓からテーブルに移った。

 

「………ぶっちゃけ打ってみてどうだった?」

 

赤土さんが席について堂々と聞いてくる。

龍門渕との練習試合なので自然と視線は龍門渕の人達に集まる。

 

「正直な話厳しいですわね、チーム全体のポテンシャルの高さは認めますが、全国レベルかと言われると………」

「………奈良の晩成を倒したと言っても晩成がノーデータだったから」

「もし仮に決勝とかに晩成と当たってたら負けてたかもよ」

「まぁ、総じて言えばこのままだと全国一回戦負けだな」

 

容赦無い龍門渕のコメントが阿知賀のメンバーに次々と刺さる。

 

「あははこりゃ手厳しいね、男子の方はどうだったかな?」

 

赤土さんは俺と京太郎を見る。

京太郎に先に言えと目線で送ると口を開く。

 

「えっ、あー、うーん、自分も清澄で打ってますけど…うちの女子の方が手強いって感じましましたね」

「えっ、清澄っ!?」

「あー、そういや言ってなかったわね、この二人、清澄高校の男子麻雀部だよ」

「和がいる高校じゃんっ!?いいの私達の情報だだ漏れよっ!?」

 

新子さんが声を上げて文句を言うが。

 

「うーん、私も全国に行けたのは運が良かっただけだと思ってるの」

 

赤土さんがなんとも無いように言う。

 

「だから、運が良かっただけの阿知賀を見せても清澄側はあんまり得は無いかなーと思って男子の練習試合を受けたの」

 

だから男子の練習試合を受けたのか。

しかし、赤土さんの発言でより意気消沈する阿知賀のメンバー。

そんな中顔を下げない人が一人。

 

「全国行けたのが偶然でも運が良かったとしても…私は和と一緒に遊びたい、だからもっと私達と打ってくださいっ!!」

「………シズ」

「シズちゃん」

 

その目には諦めは無い。

どんなに可能性が低くとも、彼女は決して諦めることはしないだろう。

 

「(………どこはかとなく天さんと似てるんだよな、打ち筋というか、性格というか)」

 

彼女の打ち筋はまだまだ甘い所が多い。

そんな中でも、彼女の一打には諦めた一打は一つも無い。

どんなに点差が離れていても、どんなに負けを重ねても、彼女は勝ちを諦めることはしないだろう。

そんな一打一打に俺は天さんの面影が見える。

 

 

そしてその後も俺たちは彼女らと麻雀を打った。

 

 

 

 

そして龍門渕玄関前

 

 

「須賀君…いや京太郎君っ是非ともおもち同盟を結んでほしいっ!!」

「松実さん…いや玄さんっ、組みましょうっ!!おもち同盟をっ!!」

 

 

少し目を離した隙にいろいろと手遅れ感があるんだが………

 

「結局一回も勝てなかった」

 

頭をうな垂れ、自慢のポニーテールもしょんぼりしているシズ。

 

「県2位っても龍門渕は去年一年生だけで全国行ったようなチームだぜ?そう簡単には勝てねぇよ」

「でも清澄は勝ったんでしょ?」

「………まぁ今の阿知賀が清澄と同じレベルって言われたら違うとは言えるな」

「うぅ」

 

余計しょんぼりし始めたシズ。

ただでさえ低い身長も更に縮み完全に小学生に見える。

頭がいい位置あったのでつい手を置いて撫でてしまう。

 

「まっ、それでも可能性はある………原村さんと遊びたいんだろ?」

「うん」

「なら頑張れ、せっかく全国まで来たんだろ?当たる前に負けんじゃねえぞ?」

「うんっ!!」

 

しょんぼりしてた顔が急に元気よく頷く。

そのまま頭をぐりぐりと手に押し付けてくるからつい頭を撫でてしまう。

 

「うひひ」

 

撫でられて気分がいいのか、だらしなく笑う。

 

「ほーらシズ、いちゃいちゃするのはいいけどそろそろ帰りの支度するよ」

「んにゃ!?」

 

赤土さんがそう言うと顔を赤くして離れる。

「そんなじゃないって!!」と大声を出すが赤土さんは「はいはい」と軽く流す。

うーうーと唸っていたが、俺の視線に気付き

撫でられた頭をを抑えつつこっちをチラチラと見る。

 

「うんじゃ、全国でな」

「うん、全国でっ!!」

 

軽く手を挙げるとわざわざ近づいてきて手を叩きにくる。

 

「またねーー」

 

車から手を振ってくる阿知賀のメンバー

その手は俺たちが見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

車の中 side穏乃

 

「龍門渕強かったねー」

 

疲れ気味に玄さんが言う。

確かに龍門渕の人達はみんな強かった。

 

「………でもあれに勝った清澄はもっと強い」

「それだけじゃないよ」

「それだけじゃない?」

 

宥さんの疑問に赤土さんが車を運転しながら言う。

 

「清澄の男子………と言うか小高君、今日打ってて感じたと思うけど正直あの子だけトッププロレベルだったね」

 

赤土さんがそう言うと車の中の空気は重くなった。

 

「小高君の卓に入ると絶対焼き鳥になる」

 

少しトラウマなのか涙目になってる玄さん

 

「あったかい牌じゃない時はとほとんど振り込んじゃった」

 

少し遠く見つめる宥さん

 

「………鳴いて切った牌がほとんど当たり牌」

 

憧は不機嫌そうに言う。

 

「降りるたびに当たり牌だった」

 

灼さんは牌譜を確認しつつ語る。

 

「毎日トッププロレベルの子と打ってる清澄だよ、間違いなく県予選より強くなってる」

「………アレと毎日打ってればそりゃ強くなるわ」

「でもこっちにもハルちゃんがいる」

「期待してくれるのは嬉しいけど流石にアレは別格よ、………でも不思議と何にも感じなかったんだよなー」

「私もですー」

 

と玄さんは同意するが

 

「えっ、ものすごく感じましたよっ!!」

 

私は否定する。

 

「もー、すっごいすっごい大きな空って感じですよ」

 

身振り手振りで伝えるが皆はあまりいい反応はしない。

 

「それより私はアンタがあの男子とイチャイチャしてたほうが驚きだったわ」

「ちっ、ちがうし別にイチャイチャなんか」

 

突然憧がそんなこと言うから変にキョッドたら、皆好き放題に言ってくる。

 

「ねー、シズちゃん撫でて貰いたくて頭押し付けてたし」

「見てて心があったかくなっちゃった」

「………惚れた?」

「おー、ついにシズも恋をするようになったかー」

「だからそんなんじゃないって!!」

 

その後も皆私の反応が楽しいのか好き放題言われた………

 

でも、また会いたいな。

 

 




………皆の言いたいことは分かります。

それでもあえて言おう、「作者はロリコンではありませんっ!!」

いや、分かるっ!!
明らかに小さいキャラばかりに好かれてる主人公。
作者も正直どうしてこうなったよく分かってない←無自覚なロリコン疑惑
でも阿知賀に限っては悩みました。
ただ阿知賀には有名なSSが多く存在しており、その中でも筆頭ヒロインは憧ですっ!!
そんな有名所と同じような感じになるかもしれないっ!!
故に作者は憧には手は出せないっ!!
松実姉妹に至ってはクロチャーのせいで京太郎絡みになる。
灼さんのヒロインは赤土さんです(迫真)
ハルちゃんのヒロインはすこやんです(レイプ目)

だから、仕方なくシズ?

正直に言いましょう。

シズが焦って否定してる所想像したら可愛かったので採用しました。

ツンではなく、顔を赤くしながらも、「ちっ、ちがうし」と一生懸命否定するシズが書きたいが故にシズにしました。
可愛いは正義いいね?





作者のとてつもなくどうでもいい話。

二十八話を投稿して数日くらい経ってからランキングを見るとなんと自分の作品が載ってたんですよ。
作者は嬉しいという感情よりもヤバイという感情が湧き出ましたね。
これで、「この作品めっちゃつまらん」とか「読みづらいから書くな」とか「お前の机ねーからっ!!」とか書かれたどうしようって日々悶々としてましたね。
増える感想欄、見たくないという感情、しかし気になるという現実。
まぁ、普通に見ましたけど、うわー恐いわーって感じでしたね。
しかし、想定してた罵詈雑言はなく、「これ間違っとるでー」とか「ここ、こうした方がええやん」などが多く寄せられてきました。
そんな中に「応援してます」とか「頑張ってください」という言葉には作者は「ふひひー」と気持ち悪く笑っています。

まぁ、何が言いたいかと言うと

感想書いてくれて誠にありがとうございましたっ!!

作者は基本アホなので普通に誤字脱字しますし、読みづらい書き方をしてしまいます、なので「アレここ変やなー」とか「アレ?間違っとるで」と思ったら即感想欄に書いてください、一生懸命修正しますっ!!

作者はランキング欄に自分の作品が載ると胃が痛くなりますが、他の咲作品とかが載ると「おおー頑張れー」ってなりますね。
咲も天も超有名な作品ではないですけど、ランキングに載ると「ちょっとでもいろんな人に知れたらいいなー」とは思ってます。
目指せランキング10位←作者の最高が22位くらい………多分。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございましたっ!!
感想や評価等お待ちしておりますっ!!

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