咲-Saki- 神域を継ぐもの   作:スレ主

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合宿1日目終了


二十三話

達也が自分が負けた話をして自室に帰ったあとのお話………

 

「清澄の人に聞きたいっすけど」

「なんでしょうか?」

「達也さんと清澄の皆さんって仲悪いっすか?」

 

ピシッと嶺上さんとおっぱいさんが固まった

 

「いや、気のせいか達也さんから若干壁を感じるっすけど私だけっすかね?」

 

グサッグサッと両手に畳の上について完全に項垂れてる2人………ちょっと面白い

 

「まぁ、それには訳があるんじゃ」

 

後ろから襖が開き、風呂上がりか顔が少し赤い

 

「えっと、確かに染谷さんでしたっけ?」

「おう、好きに呼んでいいぞ」

「それで訳というのはどういうことなんだ?」

 

ころたん先輩も気になるのか訳を聞きたがってるみたいっす

 

「これはワシと京太郎の推察じゃが、達也は敏感すぎるじゃないか?っていう結論になったのぅ」

 

「「「敏感すぎる?」」」

 

「県2位の京太郎を知っとるか?」

「あぁ、今日挨拶した背の高い男子だな」

 

むー、加治木先輩に覚えられるなんて光栄に思うっすよー

 

「あいつが入部したてのころは役の一つも知らないズブの初心者だったって言ったらどうする?」

「いやいや流石にありえないっすよー、それで県2位とかどんな教え方したんすか?」

 

と笑いながら私が言うと、清澄の皆さんが黙って苦笑いをしてた

 

「それは本当なのか?」

「ほうじゃ」

 

はい?マジで4月までズブの初心者だった?いやいやそれで県2位?………まじすか

 

「それが達也とどう関係してるんだ?」

 

ころたん先輩が訪ねると染谷さんは苦笑いをしながら答えてくれた

 

「京太郎曰く、麻雀に勝てるコツを教わったそうだ」

「麻雀に勝てるコツ?」

 

そんなものがあるなら私だって知りたいっすよ

 

「それは、ありとあらゆるものを認識しろだとさ」

「ありとあらゆるもの?」

「ワシらと達也が初めて打った麻雀の時、視線でワシの国士無双を察知したり、和の理牌のクセを利用したり、なんともまぁ桁外れの麻雀をしたんじゃ」

「聞いただけで人間技じゃないことは理解したっす」

「その離れ技をするためには、色んな物を認識すると思うんじゃ………」

「色んな物っすか?」

「なるほど、だから敏感すぎるのか」

 

加治木先輩は理解出来たけど私は理解出来てないっすよー

 

「彼はいわば感覚が研ぎ澄まされてる状態だ、それ故に人の心理を読むことができ、麻雀で勝つことができる、しかし日常生活からそんな研ぎ澄まされた感覚を持つとそれなりに負担もかかる、例えば、触れるだけで様々な思考や感覚が彼自身負担になる」

「大体加治木さんと同じ結論じゃ、あとあれじゃ、本人は女子とまともに会話したのは小学校低学年頃とか言ってたし、慣れないことだからそれなりに負担も大きいんじゃろ」

「それじゃあ、衣は達也に触れてはいけないのか?」

 

寂しそうに染谷さんに聞くが、染谷さんは首を振る

 

「それこそ達也の為にならんじゃろ、本人も直す気でいるし、むしろガンガン触れていってくれると助かるのぉ」

 

なんか後半のセリフは達也さんが困るところみたいだけなんじゃ………

 

「そうだから決して仲が悪い訳じゃないんですよっ!!」

「そうだよっ!!私なんてしょっちゅう迷子になってお世話になってるし」

「それは普通に達也さんが困ってるんじゃ………」

 

嶺上さんとおっぱいさんがひたすら弁明する

 

「優希ほど仲良くせぇとは言わんが、2人はちょっと距離を置きすぎな所があるからのぉ、これから3年の付き合いなるじゃ、もうちょい頑張れや」

「「はぃ」」

 

「そしてこんなこともあろうかと」

 

ドンとまた襖が開く、清澄の部長さん?

 

「いろいろと策を練っている訳よ」

 

ピラピラと紙を持ちながら語る

 

「まぁ、なんにせよ1日目の自由時間は楽しみにしてなさい」

 

なんか悪そうな顔をしてるっすね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わーい」

「ほい」

「ワハハー」

「ほい」

「え、えいッ!!」

「ほい」

「よいしょ」

「ほい」

 

ただひたすら枕をフィールドに入れる作業だが、戦ってる人は必死だ

 

「ふぉぉぉ、揺れるおもち」

「京ちゃんそんなこと言ってる場合じゃないって!!」

 

おぉ、なんかあそこは幼馴染してるなぁー

 

「えいっと」

 

意外にも………というか地味に東横さん無双してるなぁ

周りが人が認識できてないから枕がポンポン当たるし

 

「透華さんアウトー」

「きぃぃぃ、目立つ前に当てられてしまいましたわー」

「ほら、透華落ち着いて」

 

龍門渕さんと国広さんも仲がよろしいよなぁ………

 

そして二回戦も滞りなく勝ってしまいそして決勝

 

「決勝についてから言うのもアレなんすけどうちのチーム清澄固まってません?」

「ほら、男子はか弱い女子のチームに入れるから自然とこうなっちゃったのよ」

「部長が………か弱い?」

「あら、咲?何か言いたいことある?」

「いえいえ何でもありませんッ!!」

「そして私だけボッチっすねー」

「クジで決まっただけですから偶々ですよ」

 

部長、宮永さん、原村さん、東横さん、京太郎が決勝か………

 

「それでは各チーム1分間の作戦タイムだ」

 

部長の代わりに審判をするのは加治木先輩だ………あの人すごくリーダー気質だとおもうんだけどなぁ

まぁ、なんにせよ

 

「京太郎の相手は俺ですね」

「男同士の戦い」

「うむ、両雄並び立たず勝ってこい」

「イメージ的には河原で喧嘩かしら?」

「それはちょっと古いんじゃないかー?」

 

「それと東横さんですけど」

「ワハハー、モモは私がマークしておくよ」

 

同じ学校だからなんとなくわかるのだろう

 

まぁなんにせよここまで来たんだ勝ちに行こうか

 

「それでは位置ついてよーいスタート」

 

一斉に枕が飛び交うが、明らかに一つスピードがおかしいものが俺に飛んできた

 

「ッ!?」

 

ほぼ反射で動いたため、隣の沢村さんにぶつかる

 

「すいません、怪我してませんか?」

「大丈夫だ、問題ない」

「それ大丈夫なんすか?」

 

というか………

 

「今、京太郎右手使いましたよね」

「あら?確かに女子に右手は使ってはいけないと言ったけど、男子に右手を使ってはいけないとは言ってないわよ」

 

この部長は………

 

「だけどここからは乱戦だからそうそう使えないはず………それと離れて貰わないとぶつけられる」

「……っと、すいません」

「………意外に初心?」

 

オーケー、クールに行こう

 

 

「奇襲失敗しちゃいましたね……ッと」

「いや、アレを躱す小高君がおかしいわよ」

「さすが元ハンド部のエース、伊達じゃないね」

「まぁ、運動はそれなりに得意だからな」

「………なんで京さんは麻雀部入ったんすかね?」

「それ私も気になりますね」

 

美少女に憧れて入ったなんて言ったら怒られるだろうなー

 

「今よッ!!」

 

相手チームは基本、相手に枕を投げさせたら一斉に投げ返すカウンター型のチーム

 

こっちも5人だから躱す場所も大きく減る

そうなると

 

「……あっ」

 

「宮永さんアウトだ」

 

「ううぅ、2回連続一番最初にぶつけられたよぉ〜」

「相変わらず鈍臭いなぁ」

「鈍臭いって言うなー」

「まぁ、後は任せろってお姫様」

「むぅ、頼みましたよ王子様」

 

 

「このやりとり何回見ればいいのかしら」

「多分アレは素でやってるっす」

「………ちょっとだけよくありません?」

 

なんか二人くらいゲンナリしてるけどまだまだ勝負はこれからだ

 

 

--それから、一進一退の攻防が続きお互いのチームは一人だけになった

 

「まぁ、こうなるわな」

「クックックッ、麻雀の恨み今ここで晴らしてやろう」

「完全に悪役じゃねぇかよ」

 

--お互い両手が解禁され、仲間が居なくなり大きく動ける二人、そして何よりお互い女子がいないという心のセーブもなくなり紛れもなく本気で動いている

 

「うぉぉ、犬のくせにやるなぁ」

「身体の大きい人は何かと有利からねぇ、走るにしろ、投げるにしろ」

「逆に小高君は細かいフェイントを入れて躱してますね」

「流石に元ハンド部エースの投げる枕は達也も脅威と感じるんじゃのぉ」

「こ、こういう時ってどっちを応援すればいいのかな?」

「「「(お主)咲(ちゃん)は京太郎(須賀君)を応援してなさい」」」

 

 

 

(にゃろぉ、投げる方向が分かってるみたいな動きしやがって、こっちも体力が無尽蔵にあるわけじゃないんだぞ)

 

(馬鹿みたいなスピードの枕を投げやがって、躱すのに二つ以上フェイント入れるこっちの身になれっつうの)

 

 

(………駄目だ、このままじゃジリ貧だ)

 

(………ギリギリまで待て、京太郎が我慢できなくなるのを待て)

 

--ピタリと京太郎が動くのを止めた

 

(………うっし、これで決める)

(きた、ここが勝負どころだな)

 

--ゆっくりと京太郎が後ろに下がり枕を一つ持つ

 

「フッ!!」

 

--フィールドの半分のところまで走り、飛びながら投げるモーションに入る

この動きはハンドボールのシュートのモーション

京太郎その大きな右手はギリギリまで枕を持つことができ、相手が反応した後から投げることができる

故に京太郎はハンドボールでエースになることができたのだ

しかし達也は躱すどころかほんの少し前に来てる

 

(無駄だ、前にスライディングしても当てることはできるぜ)

 

--ギリギリまでシュートモーションを保ち達也の回避コースを全て予想し、京太郎は投げた

そのコースは達也の体幹である

 

(身体の体幹は移動するのにほんの少し時間がかかる、この距離と俺の投げるスピードなら当たるッ!!)

 

--しかし、達也は笑う

 

達也そのまま前中をする

 

「「「ちょっ!?」」」

 

--アクロバットに避ける様はまるでハリウッド映画並みの動き

当然これは京太郎の想定外の動き………だが

 

(予想の範囲内だッ!!)

 

--京太郎はこの一撃で決まるとは到底思ってなかった、むしろなんらかの方法で達也は避けるもしくは防ぐと考えていた(前中は想定外)

 

故の二段構え

 

着地と同時に横にすっ飛ぶ京太郎

そして、そこには枕が一つ置いてある

 

(達也も投げた後のだから隙がある、これで………)

 

ぱすっ

 

「えっ……あっ、須賀君アウトだ」

 

「惜しかったな京太郎………作戦は良かったが最後が分かれ道だったな」

 

--京太郎は達也を見たが、その姿はまるでサッカーのシュート後のような姿

 

達也も京太郎と作戦は京太郎とほぼ同じだった、出来ることなら着地後に仕留めたかったが、予想以上に京太郎が動きが機敏で枕が当たることはなかった

 

しかしここで分岐点

 

京太郎は投げようと枕を取りに行こうとしたが、達也は枕をとって投げるよりも枕を蹴ったほうが早いと判断したのだ

 

そのわずかの差で京太郎は枕をぶつけられたのだ

 

「…………ちっくしょおぉぉぉぉぉお」

 

「ふぅ」

 

いや、なんだかんだ結構ギリギリだったよ、顔には出さないけど

 

「とりあえずAチームの優勝でいいのか久」

 

「えっ………ええ、優勝はAチームよッ!!ハイ拍手」

 

パチパチと拍手がくるが正直応えるだけの体力もない

 

「あー、疲れた」

「すごかったぞー」

 

あぁ、これは天江先輩だな

 

むぎゅっと正面から抱きついてくるが、取り乱したりない

相手は先輩だが、気持ちは兄になった気分だ

 

「大丈夫、立てるかしら?」

 

福路さんが声をかけてくれるが正直天江さん込みで立ちあがるは辛い

 

「ちょっと休憩すれば立てますかね」

「そう………あら、すごい汗ね」

 

気づいてみればそれなりに汗をかいてる

 

「天江先輩、汗かいてるからちょっと離れて貰っていいすか?」

「問題ないぞっ、どうせ衣もこの後は水浴びをする」

「そういう問題じゃ」

「はい、タオル」

 

沢村さんがタオルを渡してくれる

 

「あっ、すいません」

 

受け取ろうとするが天江先輩が腕ごと抱きしめてるので受け取れない

それを察したのかそのままタオルを持って俺の顔を拭こうと………

 

「いや、それは恥ずかしいですって」

「………大丈夫、私は気にしない」

「俺が気にするんですよ」

 

顔そらすとクスッと笑われたが、わざわざ注目を浴びるようなことはしたくない

 

「そろそろ動けそうかー?」

 

蒲原さんが布団を片付けながら聞いてくる………そろそろ邪魔になるな

 

「大丈夫っすよ」

 

嘘、めっちゃ疲れた早く布団に入って寝たい

 

「京太郎ほら、風呂行くぞ」

 

蹴りを入れつつ、京太郎を布団の上からどかす

 

「痛い痛いって………ふぅ……うっし、行くか」

 

お互い体力がないのは分かってるが、女子の前だ、多少見栄を張りたくなるものだ

 

「それでは行くか」

 

さっきから、コアラのように背中に張り付いてる天江先輩を純さんに預け、風呂場に行く

 

遠くから「やーだー、衣も一緒に入る」「屋敷ならともかく流石に宿の風呂はマズイから駄目だって」などの会話が聞こえてくるが気にしないにしよう

 

「あー、マジで疲れた」

 

まだまだ合宿は始まったばかりだ

 





なんだかんだ1日目終了ですッ!!

明日はムロ&マホがくるからちょいと楽しみ

夜遅くにランキングを見たら地味に自分の作品がッ!?
とりあえずスクショしました

麻雀描写より枕投げのほうが書きやすいという現実………
麻雀描写は頭使うから作者に向いてませんね

あとifストーリーという名の思いついたネタとか書きたいなーとか思ってる所存です←書くとは言ってない

ここまで読んでくださいありがとうございますッ!!
感想や評価等お待ちしておりますッ!!

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