咲-Saki- 神域を継ぐもの   作:スレ主

16 / 32
まさかのまだ終わらない……


十六話

「2日間にわたる県予選団体戦、この半荘が最終ラウンド‼︎開始直後からとんでもないことになってきました‼︎

前年比の覇者龍門渕高校天江衣、四連続和了‼︎前半戦も含めると6連続…まさにラッシュ‼︎

その親は未だ続行中‼︎

 

一方現在最下位の風越女子高校の点数はなんと0点ジャスト‼︎生きてはいても死と隣り合わせ

風越が振り込んだり風越以外がツモ和了りした瞬間に龍門渕高校の優勝が決まります

 

つまり清澄と鶴賀は風越以外からの出和了りしかできません‼︎

 

点差だけではなくこの状況も相当厳しい…‼︎」

 

 

「点差は74700…天江か鶴賀から直撃で取るしかないわね…」

「ダブル役満ならツモってもあのお子様をブチ抜けるじょ?」

「忘れたか、今回のルールにはダブルがないんだよ」

「そうだっけ?」

「優希はルールブックを見直せ……」

 

(役満自体は無理じゃない会話ですね…)

 

東二局三本場

 

(前局、ヤツは手加減した…あたしを殺せたのに殺さなかった…‼︎…みじめだな…)

 

空っぽの点数入れをみてさらに絶望する

 

(今まで聴牌もままならなかったのに三巡でドラ4聴牌か…6筒待ちだけど点棒がないからリーチもかけられない…でもこれでノーテン罰符で死ぬことはなくなったかな…)

 

衣ここで6筒を出す

 

(役がないから和了れないし‼︎でもまだ3枚ある…それを引けば…)

 

「ポン」

 

(これで残り1枚、どこにあるんだ…お願いしますあたしのツモる所にいてください…)

 

「カン」

 

 

 

「嶺上開花‼︎でも和了ったら負ける‼︎」

「だから点棒をあげるんだろ」

「えっ?」

 

 

(和了れまいさすればお前は即敗滅‼︎)

 

「もいっこカン」

 

(連続カン⁉︎)

 

「ロ……ロン…ッ‼︎搶槓ドラ7、16900‼︎」

 

「はい」

 

(はっ‼︎こいつ⁉︎)

 

「風越女子の池田初和了りで窮地を脱出‼︎そして今大会二度目搶槓が飛び出しました‼︎」

 

(清澄の嶺上使い、今のを故意にやってのけたのか…⁉︎)

 

 

「うちが3位に…このままじゃ全国に行けないじょ…」

「いや、この失点はワザと………この点棒でここから先の局を買う」

 

「ここから先の局?」

「風越が0点だといろいろ制限が多すぎるからな」

「確かにこのままだとツモは駄目ですし龍門渕がツモでも即終了………なるほど勝つための失点ですか」

「そゆこと」

 

 

「東京のスパで私の水着をお披露目できなくなっちゃうじょ!」

「は…?水着?」

「おっ?食いついたね?私の水着に食いついたね?」

 

京太郎なにがなんだか理解できていない

 

「毎日のどちゃんのおっぱい吸ってるから夏にはすごいことになってるじょ」

 

優希は自分の手を制服の中に突っ込みまるで巨乳のように見せる

しかも、制服を持ち上げているせいか大きくお腹がさらけ出て正直目に毒だ

 

「そんなことさせてません」

「だいたいお前の存在と水着というアイテムにイメージの接点がねーよ、どこでつながんだよ」

「私の夏のグラマラスボディーを見てからいうんだな小僧‼︎」

 

(この人たち緊張感なさすぎです…)

(そういや全国って東京でやるんだっけ?)

 

 

東三局

 

池田開始前に咆哮

 

(咆哮…?)

(あまりの点差にネジが飛んだか?)

 

(華菜ちゃんは図太いんだ‼︎まだまだ頑張るぞ……あれっ?)

 

「誰か牌いじった?」

「何も…」

 

(なんだこれ…さっきとまでと全然違う感じだし‼︎)

 

「スポーツでも大きな声を出すとアドレナリンが出るっていいますよね」

「カラオケ行きたいな」

 

何というやる気のない実況……ッ‼︎

 

(イメージするんだ、この手からどのような可能性があるか……

ラス引いて3位をまくるのも難しそうな時、心が折れて弱気になったらくる牌まで弱くなる気がする

もし神がいるのなら、前に向かうものを好きでいてくれるはず‼︎)

 

 

風越控え室

 

「ツモ…でもこれだとツモのみ1100」

 

(まだ…)

 

「フリテンだけど一盃口…ツモれば2000」

 

「ドラ、これで4000」

 

(もっと高く‼︎)

 

「平和がついてフリテン解消‼︎しかも高めで三色‼︎」

 

(天江…清澄以外は眼中になし…か)

 

「ここでテンパイ崩し⁉︎」

 

(さっきあたしをトバさなかったことを後悔させてやる……)

 

「純全もついた……ッ‼︎」

 

「リーチせずにはいられないな」

 

「ツモ…リーチ一発平和純全三色一盃口ドラ……3数え役満‼︎32000‼︎」

 

池田ここで数え役満を叩き出す‼︎

 

「そろそろ混ぜろよ‼︎」

 

 

 

 

東四局 親加治木

 

(結果的に2位になったわけだが、天江との差は未だに89000残るこの東ラスと南場だけ…か)

 

 

 

 

「先輩は3年生っすよね」

「今更の質問だな」

「3年生は秋の選抜には出られないんすよね……もし明後日の県予選で負けちゃったりしたら私と先輩が一緒にいる意味はなくなっちゃうんですか?」

「それは…」

「……こんな時間もなくなっちゃうんすかね」

 

 

「……負けたくないっす、頑張るっすよー‼︎」

 

 

(モモ………答えられなかったな」

 

「チー」

 

(それは卑怯なのか臆病なのか)

 

「チー」

 

(親の鶴賀が2副露…こっちは4筒押さえてるし鳴きの一気通はできないはず、河を見る限り三色ではなさそうだし役牌バックだとしたらダブ東くらいか…)

 

鶴賀ここで東をだす

 

(東でもない?、チャンタかピンズ染めか…?)

 

天江ここで6萬だす

 

「ロン、11600」

 

(これだけ点差あるのにカンしないのか!)

 

(やはり卑怯者かもしれないな)

 

「一本場」

 

 

 

 

 

(清澄ばかり注意してたら、連続で他に和了られた…此は如何に

奴らの顔に絶念の色が聊かもない…拉ぎ折ったはずの心が何かに繋ぎ止められてる‼︎

清澄もあれから粛々としている暗がりに鬼を繋ぐごとくか……)

 

 

 

(うーん…確かに小高君が言ったとおりどこか違うような気がするよ…

家族麻雀の時や合宿最終日のあの感じ、あれがまだ…何が違うんだろ)

 

 

 

 

合宿最終日

 

「今日もいいお湯だったじぇー今晩でこのお風呂とお別れだと思うと名残惜しいじょ」

「その前に優希はそのはだけた浴衣をどうにかしろ」

「えー‼︎そしたらのどちゃんだってはだけてるじょー」

「あれは浴衣のサイズの問題だろ」

「………浴衣じゃなくて胸のサイズがってあいてっ‼︎」

「馬鹿なこと言ってないでさっさとちゃんと着ろよ湯冷めするぞ」

 

合宿中に気づいたんだけど小高君って意外と世話好きなのかな

 

まぁ、私も迷子でものすごくお世話になってるけど………

 

「明日の朝は無理でしょうか…」

「入りたい‼︎」

 

朝からお風呂なんて凄くいいかもと考えてるいると

 

「うぉうこれは…ッ‼︎たっ…足袋ソックス‼︎こんな素敵アイテムが常備されてることに最終日まで気づかないなんて…私はいったい何を学んできたのだ?」

「麻雀だよっ‼︎」

 

京ちゃんが思わずツッコミを入れてるけど本当だよ、それにしても

 

「それいいものなの?」

「試してみるかいぼうず」

 

試しに履いてみるけど……

 

「ここ、ここ」

 

優希ちゃんは足の親指と人さし指の間を指してすんごく気持ちよさそうにしてる

 

「この割れ目が…割れ目が擦れて気持ちいいじょ」

 

………ちょっとエッチな発言に聞こえたのはそういう本を知ってたとかじゃなくて、別に今の少女漫画だって普通に過激なシーンとかあるし、それで文学少女としてはいろんな作品を読んで感受性を高めているだけであって、私が別にムッツリではないと思うんだよね‼︎

 

あと……

 

「私はちょっと駄目かも…脱ぐね」

 

足が圧迫される感じがちょっと駄目見たい…

 

 

 

 

 

 

あ……思い出した‼︎

 

 

私は監視員の人に尋ねる

「あの…脱いでもいいですか?」

「えっ?……」

「靴……」

「えっ?…あぁ…靴…大丈夫ですよ」

 

「清澄高校、宮永選手いきなり靴を脱ぎ始めました‼︎」

「あーこれはわかる気がするな…」

「はい?新幹線のグリーン車とかにフットレストがあるだろう」

「えぇ…?」

「前の座席の下についてる足を置けるアレな

出張の時は私も使うのだが、靴を脱いであそこに足を置くとなんとも楽すぎる…あれがあるとないとでは大違いだ

靴を脱いでいるかどうかで快眠レベルに差が生じる…今の清澄はまさにそう……快眠状態!」

「フットレストあっても私は足を曲げるから疲れますけどね」

「えっ…ちょっとそれ私が足短いって意味?」

 

 

「実況っていつもこんな感じなんですか?」

 

達也思わず尋ねる

 

「まぁ、これでもマシなほうよ、福与アナウンサーと小鍛冶プロの実況なんてもっと脱線するわよ」

「他にも野依プロと村吉アナウンサーの実況や三尋木プロと針生アナウンサーの実況も中々個性的じゃのぉ」

「これでマシなほうなんですね……」

 

京太郎思わず苦笑い……

 

 

「ツモ 500・800です」

 

(なっ……なんだその手ーー⁉︎)

(血迷ったのか……⁉︎この点差だぞ‼︎)

 

 

鶴賀控え室

 

「やすっ」

「あんな手で先輩の親番が飛ばされるなんて…ひどいっす」

 

 

 

龍門渕控え室

 

「原村のチームメイトあんなことでよろしいのかしら私達を勝利にて近づけるだけというのに」

「どうかな…点差に縛られたら衣の支配からは逃げられない、もしかしたら清澄の大将には違うものが見えてるのかもしれない」

 

清澄控え室

 

「大丈夫なのか咲……」

 

京太郎が心配そうにみるが、達也はテレビ越しに流れが変わり始めたのを感じる

 

南一局

「カン ツモ嶺上開花‼︎」

 

(あたしの最後の親番がそんなゴミ手でーー‼︎)

 

 

南2局

 

(月は出ている…力も充実している…点差も十分…だがなぜだーー月に翳りを感じる)

 

「カン」

 

「もいっこカン」

 

((連槓…‼︎))

 

(まさか…)

 

「切りました」

 

「あ…ああ…」

(嶺上開花ではないのか…)

 

(にゅぁああああ、カンドラが、ドラ2一向聴が…断么ドラ9に化けだし‼︎)

 

「リーチだし‼︎」

 

(気息奄々としていたはずの上家から感じる…澎湃たる気運‼︎コイツが和了ることができるのは安手のはずだった)

 

はやくツモれよー

 

(だが今感じるのは安手ではない………そうか清澄の槓)

 

はやくツモれってばー

 

(…………)

 

衣1萬を切る

 

「ロン110符1飜 3600です」

 

「珍しい点数じゃのう」

「連風対子を4符で扱うルールじゃないとねぇ」

 

池田、次順の牌を確認

 

(一発ツモだったし……)

 

「風越の池田は残念でしたね」

「清澄はこれで3連続安和了りだな」

 

龍門渕163900

 

鶴賀101400

 

清澄87800

 

風越46900

 

南三局 親宮永

 

「勝負はもう南三局、あと2局を残すのみとなりました‼︎依然として龍門渕の圧倒的リードその優位はこのまま揺らぐことがないのか‼︎」

 

(清澄の、あの手ならまだ高目を狙えただろうに…なぜ安手ばかりで場を進める…?)

 

(何考えてんだよー清澄)

 

 

 

 

「そろそろだな……」

「何がだじぇ?」

「高いのが1発くるぜ」

 

 

龍門渕控え室

 

「6筒ポン⁉︎」

「八万近い点差があるのになにしてますの⁉︎」

「親だし食いタンで連荘狙いかもね…って、テンパイにとらない…じゃあ今のポンは何……?」

 

 

 

(こいっ…こいっ…ホイきた国士無双‼︎これで天江に直撃かませばまだチャンスはあるし!)

 

(こいつの手、またしても強大な気配……危険‼︎

 

それに比べて清澄はささたるものしかもテンパイすらしていないように感じる…)

 

「風越の池田、逆転につながる国士無双をテンパイ‼︎龍門渕の天江が降りたら北が出るかもしれませんね」

「それはどうかな、それより清澄の6筒ポン…アレがなければ天江は1萬をツモっていたこの南三局は終わっていたはずなんだ」

(衣……感覚に頼るなそれはお前の感覚を超越する相手だ)

 

 

(清澄も張ったか…しかし高くはない)

 

「カン」

 

(加槓‼︎)

 

「もいっこカン」

 

「嶺上牌は2連続で2索‼︎嶺上開花だ‼︎」

 

「カン」

 

「嶺上開花見逃しで3連続カン…」

 

(やつの手は幽かで…しかも張ってすらいなかったはず…それが一巡で……‼︎)

 

「ツモ 嶺上開花 断么 対々 三暗刻 三槓子 8000オールです」

 

 

「清澄高校、宮永選手…なんと親の倍満…‼︎2000点の手が24000点に化けたーーーッ‼︎」

 

 

(テンパイ気配のない安手の一向聴からいきなり倍満を和了る相手…衣の支配の及ばない王牌から牌を掠めていく敵‼︎)

 

「清澄…逆転できると思っているのか?」

「ん?うん、勝つよ麻雀部のみんなで全国に行ってお姉ちゃんと仲直りして…また家族一緒に暮らすんだ」

 

 

「………かぞく…?」

 

 

 

 

 

 

(残念です…貴重な研究者を二人も亡くすなんて…)

(奥さんが海外の引き抜きに応じなかったのはお子さんのためだとか、それであの事故に巻き込まれるとはね…)

 

 

「わたくし、透華といいます、あなたの従姉妹ですわ」

 

 

 

「衣様は学校でお友達ができないみたいで…」

「問題ナッシング‼︎友達の百人や千人わたくしが集めてみせますわ‼︎」

 

 

 

「さぁ、これからわたくしたち5人で、うちの高校のロートル麻雀部員を殲滅しますわよ

 

県予選、全国…そして世界‼︎

 

あなたと楽しく遊べる相手が、必ずどこかにいるはずですわ‼︎」

 

 

 

 

 

 

(家族…友達…畢竟するに衣は

 

やはり孤独のままなのだ

 

こうして他人と戯れても

 

その他人たちは楽しくないのだろう

 

衣と違って独りぼっちではないようだし

 

それでいて麻雀をやらない衣なんて誰も必要としないのだ

 

もう一切合切……烏有に帰せればいい‼︎)

 

突如照明が割れ始め停電になる

 

 

 

そして会場から離れたここにも伝わる感情

 

(………ずっと孤独が嫌で仕方なくて、友達と遊んでもみんなは楽しくなさそうで、そんなみんなは家族がいて……ズルいなんで衣だけが)

 

「………孤独か」

 

暗闇の中彼女は誰にも見せることなく泣いていたのだ

 




思った以上に長くなりましたね……

大将戦も残り少しですね‼︎


散々言いましたが今日は赤木の葬式の日ですね……

「いいじゃないか…!三流で…!熱い三流なら、上等よ…!まるで構わない…!構わない話だ…!だから…恐れるなっ…!繰り返す…!失敗を恐れるなっ…!」

大多数の人は挫折をして、自分の夢を曲げて、いわゆる平凡な人生を歩んでいるとおもいます

自分の思い描いた人生じゃないけど問題はそこじゃないんですよね

「成功を目指すな…と言ってるんじゃない。その成否に囚われ…思い煩い…止まってしまうこと…熱を失ってしまうこと…これがまずい」

衝撃的でしたね……

赤木のように生きたいと思った瞬間でしたし、赤木のように死んでいきたいと思いましたね

咲は基本的命はかかってませんが、勝負師の台詞をぶちこみたいですね‼︎

あとがきであんまり名言使っちゃうと本編で使えなくなっちゃうから、みなさんも是非調べてみてください‼︎

ここまで読んでくださってありがとうございます‼︎
感想や評価等お待ちしております‼︎

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。