【完結】ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れない兄になって死にたくなってきた   作:食卓塩准将

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本当の後語り

 2013年の1月下旬、当時受験生だった自分はストレスの発散にこの作品を、衝動のまま書き連ねて、マトモにプロットも練らないまま投稿しました。

 

 そこから紆余曲折を経て、2022年の10月下旬に、こうして本当の本当に終わりを迎える事になりました。

 

 それまでの拙作に対する想いなどは、3章完結時の後書きに書いたので省略しますが、書かれてない部分で言えば、自分との戦いが多々ありました。

 エタる、という意味はもちろんですが、何よりもこの物語を書き始めた頃の……つまり野々原縁(頸城縁)を作った時の自分との乖離を如何に埋めるか。これが本当に大変でした。

 

 同じ人間でも、まだ学生で未成年だった自分の感性と、社会人になった自分の感性は、所々食い違うところがありました。

 そのせいでプロットは出来てても、他のキャラたちの言動はイメージ出来ても、作中一番作者の投影になってしまう、主人公を動かせなくなってしまい、書けなくなる事が多かったです。

 

 それでも最後まで終わらせる事が出来たのは、ヤンデレCDというコンテンツが好きだと言う気持ちと、このコンテンツがCDからASMRと形を変えてはいても、続いた事でモチベーションが途絶えなかったからだと思います。

 また、同じヤンデレCDが好きな仲間が出来て、彼らと作品について語り合ったり、彼ら自身が書いた物語を読んだりしたのも、創作意欲の原動力になりました。

 

 まさかのヤンデレCDを生み出したオオシマPともTwitterで繋がりが出来て、この作品に感想を書いていただく事もあったり(現在は諸事情で消えてしまってて悲しい)、本当に退屈とは無縁の時間ばかりでした。

 

 そんな、大変だけど楽しかった時間ですが、最終的には1〜3章までの物語が全部無かったことになって終わります。

 

 別にBADENDが好きでこんな終わり方にしたのではありません。

 しかし続きを考えていくうちに、どうしても夢見にだけは勝てるビジョンが浮かびませんでした。

 他のヒロインなら勝てる、という事では無いですが、小鳥遊夢見というキャラの心情や言動に、野々原縁のスタイルはあまりにも、合わないと思ったのです。

 

 だから、夢見を出してしまった時点でもはや何もかもお終いになる。

 3章まで頑張って積み上げたものも、全部台無しになる。

 どうにかしたいなら、過去からやり直すしか無い。まだ野々原縁のスタイルが通用する時代に戻って何とかするしかない! 

 そんな理屈で、こういう終わり方になったのです。

 

 ここまで読んでくれた読者の皆さんがどう感じたかは分かりませんが、私自身の心情で言えば、正直寂しかったです。

 あんなに縁は頑張ったのに……でも綺麗なものを壊すのも美しいからやっちゃうね! と心を鬼にして書きました。正直楽しかったです。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 ここからは、本編最終回時点での作中キャラの簡単な解説と、この後どんな展開が起こるかについてサラッと書いていきます。

 

 実は“2週目”として続きの構想自体は今もあります。勝手に頭の中で想像して、書いて見たい気持ちもあります。

 ですが、最終回と決めたのでもう書く事は2度と無いため、この場で供養させていただきます。

 

 

 ・野々原縁

 基本的に性格や言動は作中と変わらない。しかし頸城縁の人格が無くなったので、以前より不用意な発言が出やすくなっている。

 最終回で記憶が戻るまでは、ヤンデレCDの主人公らしく優しくて流されやすい性格になってたので、渚や綾瀬のヤンデレポイントをしっかり稼いでいる模様。

 また、2週目ではクラスメイトになってる園子とは図書委員になってたり、東京で咲夜と出会って図らずも神保町デートしたり、以前は無かったフラグが立っている。

 今更だが、彼の性格というか立ち振る舞いには、うっすらイメージ元の作品があります。【嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん】という作品の主人公ですね。

 

 かなりヤバい状況だが2週目でも変わらず頼れる仲間の悠と、諸事情で2週目では仲間の夢見と協力した上で、1週目で得た経験や度胸を武器に、ヤンデレ地雷を撤去する日々を過ごす事になる。

 綾瀬の事は好きだったが、自分が好きなのは1週目の綾瀬なので、2週目の綾瀬とは切り離して見ている。

 誰とも付き合うつもりは無く、最終的には東京の大学に一人暮らしをしようと考える様になる。北海道に旅行して現実逃避もアリかな、とか思ったりもしてる。

 

 

 ・野々原渚

 実は縁が危惧するほど縁に対してはヤンデレ化していない。

 買ってもらったマフラーが彼女の孤独感を癒やして、1週目の様な寂しさを埋めるための存在としてでは無く、純粋に愛する兄として縁を見ている。3年前に死にかけた事で強く兄の存在を意識した事も大きい。

 兄が死にかけてる時に、兄を感じられる物だったマフラーを大事にしており、季節感無視して首に巻いている。

 総じて、ヤンデレCD4の野々原渚に近い性格になった。

 

 

 ・河本綾瀬

 自分が協力した結果、自分の目の届かない場所で縁を失いそうになった事が強烈なトラウマになり、1週目よりヤンデレ化の進行が早い。

 2週目では高2の時点でクラスが変わってしまい、一緒に居られない時間が増えた事も影響して、縁が自分から離れる事を恐れている。

 普段は表に出ないけど、縁が自分の知らない女と仲良くし始めてるのを知った時は、1週目では働いた理性があまり仕事しない。常に縁を守れるために、カバンには五寸釘を忍ばせている。

 

 縁が頭を打って以降、失っていた記憶を戻したのだと直感で分かる。

 またあの危うい縁に戻ってしまったのではと危惧する中、案の定縁は柏木園子を助けようと動き出す。

 そんな縁を結構ガチで止めようとする。1週目は渚と対立した縁だが、2週目は綾瀬と対峙する事になる。

 最終的には縁は在学中誰とも付き合わない事を宣言して、どうにか綾瀬も我慢するが、次第にそれも──という所。

 

 

 ・小鳥遊夢見

 遠方の小鳥遊家に預けられてたが、途中から参戦する。

 縁の事は変わらず好きだが、助けられた事もあって感謝しているため、迷惑行為とハッキリ言われたストーキング行為はしていない。

 そのかわり、事あるごとに縁の写真を撮影しようとする。

 スニーキング力は健在で、事あるごとに縁の行動のサポートや、他のヒロインが何処にいるかの連絡を入れてくれる。

 実は3年前に縁の目を見た時、彼の中にある自分への怒りや憎しみ、拒絶を感じ取ってしまい、理由は分からないが自分の恋は実らない事を悟る。そんな気持ちを抱えても必死に助けてくれた事が嬉しいので、まあ良いのだ。

 

 

 ・綾小路悠

 キャラの変貌はあまり無い。

 悠もまた、縁が非日常的な経験をしてると確信しており、いつか聞きたいと思ってるけど、現状はヤンデレに苦戦する彼を助ける事を優先している。

 悠の容姿についてたまに聞かれる事があります。見た目は昔のエロゲーの【ダ・カーポ】に出てくる、工藤叶みたいなのをうっすらと考えて幾星霜。

 コイツは本来、1話の時点で出てこないキャラでした。

 ヤンデレヒロインから生き抜くには、主人公だけじゃ足りない。理解ある親友が必要だと考えて、ついでに物語動かしやすい金持ちキャラにした方が便利だなと思って、2話以降のプロットを練る中で作られた追加発注キャラだったんです。

 その結果、確かに色々凄く活躍してくれて、そこそこコイツを好きな人もいたみたいで、嬉しいです。

 

 ……便利すぎて駄目だから、オリキャラなのもあって最終章でいきなり死んだのは、ここだけの話。

 

 

 ・塚本せんり

 2章(とその他ちょいちょい)で主に野々原縁を苛立たせるために生まれた男。

 その正体はヤンデレCD惨の番外ストーリーや、世界観を同じにする【らぶバト!】の設定で語られてる裏の世界のやべー奴(の中で1番情報戦に長けてる)【千里塚インフォメーション】に属する人間。

2章の活躍だけだと本当に嫌な奴で終わったけど、その次の番外編では何故か頸城縁と仲良くなってた。

 最終的には頸城縁と七宮伊織の、誰も知らない(記憶に残らない)恋物語の観測者になるが、2章で死んでるので本当に作中では無かった事になってしまった。

 

 2週目では多分出番はない。というかこいつが出ても喜ぶ人が居ないと思う。皆さんはコイツ好きでした?

 

 

 ……と、まあこんな感じです。園子や咲夜は性格に大きな違いはなく、強いていうなら咲夜は2週目だと縁に惚れるため、2章(2週目)は縁を監禁しようとする咲夜vs縁を守ろうとする悠(+α)な構図になるくらいです。

 正直、1週目より面白い話書ける土台が作られた様な気もします。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 最後に。

 

 しばらくは、小説も二次小説も、書く事はしなくて良いかなと思ってます。ヤンデレCD原作の二次小説も、現状はもう書ける気力もありません。完全にすっからかんになりました(笑)

 

 どの話もその時その時の自分なりに頑張って書きました。

 番外編も好き勝手書きました。『雨が晴れた後』とかは多分今の自分には書けないタイプの話ですね(笑)

 

 野々原縁と、頸城縁は、自分の10代の最後の名残、繋がりとも言える存在でした。

 そんな主人公の物語を明確に終わらせる事は、自分にとってやっぱ寂しい物ですが、ちゃんと終わらせられた事の方が嬉しいです。

 

 彼らの物語に最後まで付き合っていただき、本当にありがとうございました。

 色々とオリジナル要素が多かった拙作ではありますが、少しでも楽しんで、そして何よりも、ヤンデレCDというコンテンツに興味関心を抱いてくれたのならば、1ファンとしてこれほど幸せな事はありません。

 

 ヤンデレCDは先述の通り、今はR18のASMR作品にステージを変えて、続きが出ています。

 2022年11月には、ヤンデレCD惨の桜ノ宮姉妹をリブートしたキャラが登場する、【ヤンデレCD 桜襲】も発売されます。

 年齢制限を突破してかつ、興味のある方は、買ってみてください。体験版もいいぞぉ! 

 

 

 ……とまぁ、最後の最後に宣伝みたいな事を書きましたが、続いて欲しいので宣伝みたいになってしまうのは御了承ください。

 

 

 では、今度こそ本当に、おさらばです。

 

 皆さんの人生に、どうかヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れない日々が有ります様に!! 

 

 

 ──でも、死にたくなってきたとか、思っちゃダメですよ? 

 


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