「アッハハハハハ!モンちゃんモンちゃん!コレ凄くない!?ヤバくない!?異世界だよ!草原だよ!夜空キレー!!」「あの、キャンさ「アルちゃん喋ってる可愛い!エンちゃんも可愛い!!コキュートスカッケェ!」」   作:カミカミュ

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ちょいと、あっちこっち行ってました。

久々に人が多いところに行くと人に酔う…。


11話 私は狂う

 

 

 

骨が砕けた手からの激痛をこらえ走り出そうとするエンリの背中を騎士は怒りに任せて切り裂く。後ろに目を向ければ剣を再度振り上げる騎士の姿が見える。妹を庇いながらエンリは二つのことを理解した。

 

一つは、あと数秒後には自らの命が確実に失われるだろうこと。二つ目は、単なる村娘でしかない自分には、それに抗う手段が一切ないこと。

 

せめて妹だけでも助けたい。

 

その思いが激痛と諦めの感情の中での希望。何か、何か手段はないのか。妹を助ける手段を思案する。

 

しかし、何も浮かばない。ならば、剣をこの身に受け抜けなくすれば妹を助けられるかもしれない。ならばその可能性に私の全てを賭ける。

 

迫る剣と視界の端にもう一人の騎士の姿が写りこんだ。運命はたった一人の妹の命を助ける手段を崩壊させ、絶望に包まれながら剣が肉体に食い込――。

 

 

 

その瞬間、目の前に現れた光り輝く透明な黄色の壁に剣が弾かれる。

 

驚愕に目を見開く騎士と私。私たちを助けてくれた存在が私と騎士の間に着地し、赤黒く脈動する大鎌から同色の光が漏れ出し視界を覆う。

 

次に目をを開くと、周辺の大地が捲れ上がり、木々が刻まれ、空間が悲鳴を上げるかのようにギシギシと音を立てる。騎士はその光景と違い、吹き飛ばされただけの自分に目を白黒させている。

 

私は、目の前の存在に目を向ける。幼い少女漆黒の装備に身を包み、身の丈に似合わない大鎌。太陽の光を受けキラキラと輝く長い金髪と瞳は紅く光り輝き、表情は笑顔。

 

その表情を見た騎士は顔を強ばらせる。なぜこれほどの破壊が広がっているのに自分たちが無事だったのか理解した。コイツは俺たちを簡単に殺す気はないらしい。

 

 

「あっはぁ♪あははははははは☆いひひひひひひひひ…あなたの血は綺麗な赤色かなぁ?こーんな酷いことをするなら紫や緑かなぁ?見せてよぉ…お願いだからぁ!赤い血と美味しそうな内蔵をぉ!!トロトロな脳みそは美味しいのぉ!?眼球を舌の上でコロコロと転がして食べたらどんな味がするのぉ?教えて教えてぇ!!アナタの味をぉ…ゲスでクズでクソったれなアナタはどんな最低で最高の味がするのか私に教えてよぉぉぉ!!!あっひゃはははは!!私がぁ狂ってると思ったぁ?…でもそれが私なのぉ……だから、もっと、私を狂わせてぇ!!!!!!」

 

 

悲鳴が出そうになる喉を気にせず、剣を放り投げて必死に逃だす。後から来たリーガだったか?そいつも一緒に逃げ出していた。涙と鼻水が溢れ出す。少しでも逃げる速度が上がるように装備を脱ぎ捨てながら走る。

 

あんな狂った奴の相手なんてゴメンだ。ウサギを狩っていたはずなのに巨大な魔物が目の前に現れた気分だ。あの瞳はヤバい。狂気に濁った色をしていた。

 

そんな思考の途中で、隣の奴の短い悲鳴と倒れる音が聞こえた。

 

見たらダメだ。そう思っていても視線は仲間の死体を見た。飛んできた巨大な鎌に頭を貫かれ、脳漿を飛び散らせながら倒れた仲間を。

 

走る速度を上げる。筋肉が悲鳴を上げるがそんなの知るか。他の仲間と合流してあの化物を討つ――いや、逃げたほうがいい。あんな化物に勝てる奴なんて。

 

ズシリと、左肩を掴まれる感覚。ミチミチブチブチと左半身が引き裂かれ、激痛が走る。地面に倒れた俺が最後に見たのは全身に俺の血を浴びて狂ったように笑い声を上げる死神の姿だった。

 

 

 

二人の騎士は死に、静寂が広がる。

 

先程まで狂ったように笑っていた彼女は、私の目の前まで来ると。

 

 

「神秘の雫一本いっとkぎゃん!?」

 

 

金色の小瓶をを取り出した彼女は後ろから現れた骸骨に頭を殴られ、涙目になりながら睨んでいる。

 

 

「なにすんのさーモンちゃん!?私の紙装甲だと拳骨一発でHPレッドゾーン突入するんだけどwww」

 

 

「ソレを使うなといっただろうが!?普通の治療薬で十分だろうが!」

 

 

「ふっふっふー、ちょっと半神化するだけじゃないか。もっと神になれよォォォ!!!」

 

 

「フォールンダウンにする?それともソード・オブ・ダモクレス?」

 

 

「どっちも超位魔法にワロタwwwwまってまってw本気で発動しようとしないでwww」

 

 

どうやら、骸骨の方は彼女の知り合いのようだ。

 

その光景を眺めていると、彼女が先程とは違う赤い液体が入った小瓶を渡してきた。ポーションだと説明を受け、飲んでみると傷が綺麗に治り私は驚く。

 

骸骨の方は魔法詠唱者(マジック・キャスター)だと言った。そして、私たちを守るようにドーム状の魔法をかけてくれた。

 

 

「生物を通さない守りの魔法と、射撃攻撃を弱める魔法をかけてやった。そこにいれば大抵は安全だ。それと、念のためにこれをくれてやる」

 

 

取り出された小さな角笛が私たちの所に投げられる。

 

 

「それは子鬼将軍の角笛と言われるアイテムで、吹けば子鬼…小さなモンスターの軍勢がお前に従うべく姿を見せるはずだ。そいつらを使って身を守るが良い」

 

 

「なら私は神竜の角笛をにゃが!?」

 

 

「やめような?お願いだから、な?」

 

 

彼女が取り出した両手に抱えるほどの大きな角笛は骸骨の方に取り上げられ、拳骨を貰っていた。聞き違いだと思うが神竜と聞こえた気がした。気のせいだ忘れよう…。

 

そうだ、まだ名前を教えてもらっていない。それにお礼も!

 

 

「あ、あの。た、助けてくださって、ありがとうございます!」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

地面に頭をつけながらお礼を言う。

 

 

「…………気にするな」

 

 

「気にするほどのことじゃないよ♪」

 

 

「あ、あと、あなた様方のお名前は…」

 

 

「私はキャンだよ☆こっちがモn…」

 

 

キャン様が骸骨の方の名前を言おうとして止められる。

 

そして、数秒悩むようにして。

 

 

「……我が名を知るが良い。我こそが――アインズ・ウール・ゴウン。……あと、こいつはバカで十分だ」

 

 

「ちょw酷くない!?」

 

 

 

 

 





来週でオバロは最終話ですかー2期欲しいですねー。

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