東方紫陽花考   作:氷川蛍

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貴女と私

 すきま風が抜ける音は、洞の中程に立つ警邏眼を通す事で耳に響く噛み切りにへと変化を遂げていた。

要を林立させた間の奥、石の柱をくぐった所に僅かな光が見える。

洞の奥にとどく微かな冷たさを前に緩く流れる灯籠の火。

陰影を仄かな色で写す御座の中で、静かに構える金子に向かって妹子は言い訳をしていた。

 

「狐が来るなど考えよらぬ事、やむえぬ次第であった……」

 

 青石の物取りから一足飛びで山に戻った妹子だったが、金子の前に立つに要した時間は一刻ほどあった。

目的は果たしたが、八門金鎖を作る二重の札を全て失った事をどう言いつくろおうと考えあぐね、結局良い形に纏められぬまま金子の前に立っていた。

 

「八雲の狐は、ネコが青石を持っていた事知っておったであろうに」

 

 深く沈んだ声。

所用を済まし戻れば、金子の座る対座にいるはずの妹子は、御簾をくぐれず外に立っている。

まるで捕り物の報告に来ていた白狼達と変わらぬ程に引いた態度で顔を歪めると。

 

「それはわかっておったが……今日の今日、よもや直に合うなど思いよらぬ事……」

「いつ、どこで出会うても不思議ならぬ事であろうや?」

「それは……」

 

 御簾の奥、脇息に体を預け、足を長く崩した金子は大きく作られた御帳台の後ろに広がる紫水晶洞を横目で見ながら小さく息をついた。

尼の頭巾こそ質素な白の正絹だが、服はこの前とは違った。

かつて平安の御代を遊んだ頃に近い、単を着崩した物。赤の袿は裾で乱れ白い足を見せつけるように転がした姿の金子。

 

 妹子の帰りが遅かった理由などとっくにお見通しの目が、薄く洞に張られた水面を見つめながら扇を突いて、不機嫌を音にして外に伝えた。

 金子の怒りまでの道は長い。

むしろ妹子から見ても、普段は気の長い者だという認識はあるが、一度怒ってしまうと容易に許さないところがある。

ツクシの墓標のように並ぶ警邏眼の要にまで響いた扇の棘に、妹子は少しばかり強気に言い返した。

 

「石は取ってきたぞ、用は果たした。我は怪我まで負うて戻ったのに……そのように態度を見せられては」

「もう良い、どうせ遊んだのであろう」

「いや、それは……」

 

 持ち直した扇を、御簾の影が揺れて示す。

格子の影から顔を隠した金子は、怒りで熱くなった息を細く吐き出した。

白く煙る息、外の冷たさを知らせる息で曇らせた青石を、櫻染めのユカケをした手でつまんで眺める姿に妹子は背筋を正す。

遊んだ事は確かだが、不要に時間を使った収奪法には不満があったからだ。

 

「そも、何故に触れてはならぬと? 郷人を使う手間は何用がためぞ?」

「それも言うたであろう、石は不可解な物。生きてここまで来た石に何やの備えがないとでも? あろうぞ、見よ」

 

 口を曲げて見過ごしに顔を近づけた妹子を、御簾越しに扇で叩く。

 

「中に入れ、よう見るがいい」

 

 触らぬ何か、距離を持った態度で近寄ろうとしなかった者を内に呼ぶ。

金子は用心深く洞の入り口に目線をやりながら、ユカケを付けた右手で持っていた石を、中に入った金子の手に渡した。

 

「あつ!!!」

 

 掌に渡された石を投げ飛ばさん程に飛び上がった妹子から、素早く石を取り返す。

持ったというよりも掌に落ちた石の跡は黒く平の肌色を塗り替えていた。

 しかも、熱いという声が飛び出るほどのもの、焼けた皮膚の匂いと痛みに妹子は金子を睨んだ。

 

「何をす……」

「黙れ」

 

 切り返しの扇、顔の二つに割るように叩き込む痛みに今度は口を押さえて転がる妹子に、金子は苦く尖った口調で教えた。

 

「この石はな、妖の力を採取する事によって生き、命されて持つ者を決めておるのよ。何故にかはわからぬが簡単に他の妖の手に渡らぬように石自身が攻勢防御陣を張っているわけじゃ。故にこうして徐文のユカケや袋で無くては触れる事が出来ぬ」

「そういう事は早う……」

 

 起き上がり怒りの顔をぶつけようとした妹子は、またも金子の扇に頭を叩かれた。

 

「やかましい、静やかにせい。お主、何度身を滅ぼすつもりぞ。色恋を遊ぶなと教えたであろうに」

 

 足下に倒れた妹子を、座ったまま上から見下す尖った瞳。

叩かれ言われるままの中で口惜しく歪んだ顔に、金子の叱咤は続いた。

その昔、妹子は色事に遊び過ぎ方術を使わずに子を作ってしまった事があった。人との間に子供を作り、それが元で本来なら大天狗になるだけの格を持っていたのに失った。

事、情事や不埒な性に執着して、自分を見失う癖がある事を何度となく金子は叱ってきたが、今に至るまで改善はされなかった。

洞に帰って来た時に紅潮を隠せない頬を見た時、ため息が漏れたのもこのせいだった。

失敗の言い訳を繕われるより、苦く苛立つ思い出に、つい語尾が強くなるというもの。

 

「同じ過ちを犯すでない」

「戯れなしに何をせよと!!」

 

 転がりながら逃げるように距離を取り、几帳の端に蹲った妹子は声を小さくして言い返した。

鼻っ柱を赤くした顔で、遊びもない事など出来ぬと顔を背けて見せる。

どうにも目先の遊びに逸る姿は、妖怪そのもので人の世を遊び尽くした金子の思考には程遠いが相方無しに事は進まぬと息つくと。

 

「妹子、戯れで事が露見したらどうするものぞ? 仕込みこそ大事であろう、ここにきて五十年。ようやっと夜があける所まで来たというのに、主の軽々しい戯れで全てを水の泡にしたいのかや?」

 

 落ち着いた口調で拗ねて返事もしない相手と話す。

金子にしてみれば、こんな事が起こらぬように自分が石の収奪に出かけようとしたのを妹子の願いで仕手を代わった事に後悔さえ浮かぶ。

遊ばず戯れず、後に来る祭りを楽しもうと仕度してきたのに今更ご破産などあり得ない話しと一瞥する。

 

「確かに狐を防ぎ、石を持って来た。これで長い夜は終わった。明日より遊びぞ」

 

 褒めもしない、ただ巧みに言葉と態度で叱責が終わり次に進んだ事を告げる。

柏扇を開き、顔を隠した金子は返事をしない妹子をよそに、紫水晶洞の水盤に青石を投げ込んだ。

十分に注意した備えで、ユカケに二重に撒いた虎の目魔石の数珠を持って。

 妖気に過剰な反応を示す石。

触れては成らないと言った意味はここにあった。

強い妖気に狂ったように水の中を回り続ける石、安直に触れるのを避けて、郷人がいかほど死のうが人の手による強奪を進めたのはこの気を感じていたからだ。

身に覚えのある気。

水に投げた石が、生きている限り単体でもなんらかの防衛形態を見せるのかと考えていたがその様子はなく、駒のように水文の妖字を乱して回り続ける。

尼頭巾の中で輝いた目は、手を翳し石の図面を光りの線にして広げた。それは万華鏡のように大きな中心に置かれた洞から花開く形で青石の中身を解いていく。

 

「ほう……これは」

「どうしたのじゃ?」

 

 金子の驚嘆に、これ以上距離をもたれるのがいやな妹子は自分から折れて近づいた。

言い争っても、地力でも勝てない相手に拗ねつづけても甘露を逃すだけ、この策を立てたのは金子だから、今意地を張って遊びから外されるのは余計につまらないと、独り言を楽しげに呟く金子の後ろから洞をのぞき込んだ。

 

「なるほどのお、来るべくして来た……葛の葉様の護石か」

「葛の葉? あの古狐の石なのかや? その石は」

「いや、違う。それほど新しくもない……むしろもそと古い時代のものじゃな……なるほど、なるほど、それで八雲の狐か……」

 

 一人納得と顎に手を当てる金子に、水文の字が読めない妹子は不満げに背中に張り付く。

水の中、錐の部分を横に回る石を見続けても、高等方術の基礎を学ばなかった妹子には理解ができない、出来るのは金子が作った札を使う事だけ。

 そもそも妖怪は地力が基本の妖。

天狗の身の上でわざわざ謙って、人が妖怪退治のために作り上げた方術を身につける者などいない。

好きこのんでそれを学んでいた金子を妹子は変わり者だと思っていたぐらいだったが、今はそのおかげで生きながらえここまでやってきた。

 

「のお、何がわかったのや我にも教えてたもれ、この石は何か指しておるのか?」

 

 

 黙々と図を読み取る金子に、文字通り張り付き体を寄せる妹子は、水盤に浮かぶ石を指して質問した。

元来放って置かれるのが苦手な天狗、なんとか話題にしがみつこうささやかな反抗的質問に、金子は笑みを見せると。

 

「……狐を倒した方角であろう」

「左様、そちらの方ぞ……何故に石が狐を指す?」

「……仙狐の妖狐だからよ」

「何ぞ? わからぬぞ」

 

 真円に近い紫水晶洞に張られた、山の清き水。

九天の滴を思うと言われる程の澄み切った生浄水を満たした洞に、四方を飾った魔石虎の目の中、青石は羅針盤の針のように一定の方向を指して止まっていた。

 

「いかな事よ?」

「さしたことでもないわ、元は持ち主のネコ指しておるのだろう」

「ネコを?狐は?」

「ネコは殺してはおるまい、持ち主にここにいると知らせておるのよ。狐は……そうよな、防人の火のようなものよ」

「……」

「これは面白い事になってきよったわ、因縁因果……星が重なりましたなぁ」

 

 意をはぐらかす言葉の前に妹子は頬を膨らましたが、金子はそれ以上の事を教えようとはしなかった。

これもまた遊びなのだといつもの笑みの口を見せ続けるのみ。

 

「ネコを殺さなかったのは暁光、いずれ必要になるやもしれぬ」

「八雲との駆け引きに使えると?」

「そうぞ、この遊びに勝って賢妖八雲紫様と肩を並べる者となる……山を我らの御所にして、石をもって賢妖様と同じ力を振りかざす。そのためにものお」

 

 水からつまみ出した石を魔石の数珠でくるむと、幸菱を綴った袋に入れ、まだ言い足りない、聞き足りないと訝しげに顔を寄せる妹子を扇で払うと、束に付けていた賽子を見せた。

 

「どうじゃ、どちらに飛ぶ? 今度は賽の目で仕手を決めようではないか」

「棋譜を揃えて置いて最後は賭けかえ? いつもそうじゃが」

 

 ユカケを付けていない金子の左手、整えた桜色の爪で掴んだ黒色の賽子。

黒檀を磨いた高級品で今では手に入れられない唐渡りの一品を、目を輝かせて見せる。

 

「棋譜は完璧じゃ、故の遊びを作らねばならん。今より遊びぞ、賽の目の出す運命(さだめ)を繰って良き戯れを引こうぞ」

「ほうほう、それは良い」

 

 白の尼頭巾の下、先ほどまで尖っていた目はすっかり角を落として嬉し目を見せている。

妹子にとって、叱咤の嵐を過ぎた金子の言葉はあっという間に灰色だった性根を明るく塗り替えると。

対座に構えて、簡単に決まる遊技を促した。

 

「丁半でたのもう、我は半で」

「よかろう、我は丁で」

 

 互いの顔を見て、遊びに緩む口を晒して、扇の束に付けていた賽子を壺にいれる事なく金子は転がした。

磨き上げ、月の姿さえ正確に映し出す銅鏡の上を賽子は二転三転と滑るように転がり、四・二を出していた。

 

『四・二の丁』

 

 勝ちを出した賽を掬って金子は立ち上がった。

そのまま整えた調度を越えて、几帳をくぐると朝焼けを嶺に這わせた空に向けて深く白い息を吐いた。

 

「では我は今より南麓に参る」

「では我は北麓に」

「どちらかに射命丸が来たら……それを嗾けようぞ」

「おおよ、彼奴が走ったら……」

 

 互いに役割を交換する中で、妹子は既に遊びに心を浮かせていた。

 

「のう、もし大洞に射命丸が来たら……」

「好きにしたら良い、殺しても犯してもかまわぬが、血は流すな……要を縛る糸を汚しとうない。それ以外なら主の好きにすればいい」

「そうなる方を取ったと信じたいものよ。もしもの時は彼奴を命韻(メイン)に使うがよろしいかや?」

「かまわん、我もそうしてやろうと思うておったから」

 

 頭岩の山から吹き下ろす、雪の欠片は少しずつ顔を出し始めた朝日に照らされて、光の花びらのように舞踊って見えた。

少しずつ開けていく空の境界を、目を細めて見ていた金子は柏扇で顔を隠して、浮き足立つ妹子に釘を刺した。

 

「戯れに溺れでないぞ、始末は主で付けて、後を汚さぬようにな」

「わこうておる」

 

 互いの柏扇を合わせて叩く。

 

「では後で」

「おうよ、この山を、頭岩山を我らの手に頂いき、勝利の酒を呑もう」

 

 二つの影は素早く消えて、後は冷たい風が小波のように幾度も山肌を通るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

『貴女も母になれるのです』

「馬鹿げた事だ、何故にそんなものにならねばならぬのだ」

 

 山狐たちの童を御帳台から前に並べ、方術の手ほどきをしていた得子の声に、藍事瑞九女は麻布で隠した顔の下、牙を尖らせて返事した。

思考の感覚、鈍く疲労に落ちた自分が菖蒲の刃から得られた過去を読み返す、浅い眠りにいる事は容易に解っていたが、今何故この夢に自分が引き戻されているのかをぼんやりと見ていた。

 幻想郷に来て何百年にもなるのに、これ程に一度目の終焉の過去へ邂逅をしたのは久しぶりで、ただ漠然としたまま眠りの波を游いでいた。

 

 得子と女童達の姿。

山狐たちは、黒髪を緋色のヒモで二分けにした女童に化けてこまごまと得子に使えて歩く。

板間を分けた庇と渡りを賑やかに、扇で口元を隠した女童達はいつもつまらない報告を得子にしていた。

「昨日、柱に物の手をはやして見せた」とか

「渡りの橋の下に濡れ女の幻想を作ったとか」とか

妖の術を、日々精進して遊ぶ姿は、妖狐として名を馳せた瑞九女にはくだらない繰り言だった。

だけど、その華やかで優しい空間を今はゆっくりと思い出す事ができた。

あの時も「くだらぬ」と断じながらも、母のように山狐を教え諭す得子を羨ましく見ていたのだと。

たくさんの狐や、方術を習いたいと訪れた妖達にかこまれ、それを教えて日を過ごす妹の姿はすでに霞んでいた。

 

「彼奴らは、私を恐れていたな」

 

 常に寝殿を共にした仲間達から、いつも外れ御所を眺めていた自分。

少しずつ、得子の思惑どおり牙を丸く削られていた日々を己で壊した。

緩い日々で衰え、栄華を見失うのではという焦りから、細々しい手順を飛ばし時の上皇をたぶらかした。

完全なはずだった方術は、見事に外れてしまった。

すでに都の半分、洛陽の側を仕切っていた葛の葉の方術が要を通して干渉していた事に気が付いたのは、死の直前だった

 

「お前達は、あの都でいった何をしようとしていたのだ……」

 

 遠くなる景色は歪みまたも真っ暗な闇に塗りつぶされて、最後の時に聞こえた葛の葉の声だけが耳の中で渦巻いた。

 

『共に生きるのです。人も妖も……貴女と私も』

「何がだ!!!」

 

 途端に途切れた夢から跳ね起きた。

切れるというよりもそこで自分が一度死んだがために夢は必ず終わる。その段に至った事で目が覚めた。

藍は何度か頭を振って状況を整理しようとした自分の膝に黒猫がいる事に気が付いた。

自分の怒声にも、動じることなく後ろ足で頭を掻く姿に一気に気が抜ける。

肩に走った力が抜けて、当然の一言が零れ出た。

 

「ネコ……ネコ? なんでこんな所に?」

 

 見回す場所は、先ほど天狗の妹子と争った空の見えない場所だった。

薄い洞の横を、木の根が簾のように下がった奥に自分は半分腰掛けるような形で寄せられている。

土気の匂いが強く、外の寒さの少ない場所。

膝以外にも、手元や石本に複数のネコたちがいるのに気が付いたのは、夜が終わり、外が少しずつ赤らみ始めた気配のせいだった。

 

「おっ……起きた、藍」

 

 手足の感覚を少しずつ整えるために起き上がろうとした藍に、軽く黄色の声がかかった。

破れかぶれの着物と作務衣を重ね着した姿、着ぶくれし過ぎて手足が短い凧のように見うるそれは近づくと。

ドロで汚れきった顔に白い歯を見せて安堵で笑った。

 

「良かったよ!! 血だらけで倒れてたし……怪我を塞ごうと思ったんだけど服は脱がせられなかったし……どうしようかと思ってさー」

「……誰だ?」

 

 目は覚めたが、覚めたと言っても糸目が開くわけではなく白眉の眉が忙しく動くことで相手の様子をうかがう橙。

誰?と問われて

 

「橙だよ!!! 助けに来てくれたんでしょ、藍。その後倒れたから……ここまで連れてきたの」

 

 寝起きと、失いすぎた血の両で頭の中にまだ星がいる藍は、小首を傾げて考えた。

橙とは? 飛びすぎた記憶を顎に手をあてて検索する。

 

「橙? ああ、化け猫の」

「そうだよ!! 前にご飯一緒に食べた橙だよ!!」

 

 不本意ながら橙を助けたという感覚はなかった。

石を取り返そうと飛び出し時、すでに重傷だった藍は自分を保ちながらの戦いで手一杯だった事を今更のように思い出して頭の後ろを掻いた。

 

「私はどのくらい眠っていた?」

「まだ一刻ぐらいだよ。血は止まったの?」

 

 言われるまでもなく、自己修復は少しの休息の間でも進んでいる。

そのための法衣でもある。青の上衣に描かれた文殊はそれ自体が障壁の文字宝珠で、相手の攻撃を妖術八割、物理二割を削ぐ壁になっている。

下衣の白布は清浄を現し、その内側には体内結界の補助文様が書かれている。これが負傷時の皮膚の再構築や怪我の修復にフル回転で働くのだから、物理的な穴は完全にふさがっていた。

ただ、菖蒲の刃はさすがに効いたらしく、全身にドロを被るような重さが残っており完全回復にはまだ少しの時間が必要とされていた。

 

 青く輝く石、あれを天狗は持ち去った。

 

「橙、お前のもっていたあの石はいったいなんなのだ?」

 

 日が昇る朝まではかかりそうな回復への時間、この時を使って藍は石が何かを正確に把握する事に決めた。

気を焦らさず、正確に。

それが今大切な事だと立ち上がっていた腰を下ろして。

 




妖怪と人間が結婚すると何が産まれるんだろう。
不幸なのか、幸せなのかはその者次第か。

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