3度目の人生は静かに暮らしたい 作:ルーニー
あ、あとオリジナルアーティファクトが出てきますのでご注意ください。
夜の街に不気味な笑い声が響き渡った。
クスクスという笑い声が耳を障り、一瞬ではあるが狂気に満ちた笑い声にも聞こえる時すらあった。
その声を聴いた人は全員どこから声が出ているのかと辺りを見回してみてもどこにもそんな声を出しそうな女性はいない。どこにもいないのに聞こえるその不気味な声に恐怖を感じていた。
夜の墓地に、ゾンビが現れた。
そのゾンビは犬のような顔を持つ化け物で墓を掘り返す、常軌を逸脱した化け物であると。
それは素行の悪い高校生からの言葉だった。噂だけを耳にして面白がり、そして実際に目撃してしまった哀れな人間の言葉は誰1人として信じるものはいなかった。
夜の空に火の玉が走った。
その火はまるで意志があるかのように空を走り、大地へと降り、再び空へと昇る。
しばらくそれを繰り返していき、最後には森の中や山の中へと沈んでいくのを何人もの人が見ていた。しかし、落ちた場所から火事になることはなく、しかしそこには何かが燃えたような跡があることが分かっていた。
そして、テレビやラジオからは海鳴町から素行の悪い中学生、高校生の行方不明者、原因不明の死者が出たというニュースが、何日にも渡って流されていた。
「……ない」
日の光の刺し込まない深い森の中、フードの付いた膝まである長く黒いコートを着た少年は
「ない。ない。ない?何故ない?」
パキリッという折れてはいけないものが折れる音が響いた。同時に折れたそれをもぎり取って中を確認するが、大したものもなかったのか忌々しげな表情を浮かべてそれを放り捨てた。
べっとりと血の付いた手袋をつけたまま、続いてかばんの中、ポケットの中、下着の中と様々な場所を調べるがその表情は苛立ちを隠そうともせず徐々に歪んでいた。
「ありえない。何故やつらの情報がない何故下らないやつらの情報しかない何故クリーチャーがいない
バキンッと振り下ろした腕でそれをへし折る。
血を抜かれたように瑞々しさが失われ、まるでミイラのように全身を縮ませていた死体。それが6つ、男女関係なく金や銀、赤、緑と言った通常ではありえないような色の髪をし、耳や鼻、唇にピアスを開け、今時の少年少女ですら好かれそうにない服を着ているものが服を崩し、腕を折られ、頭を砕かれ、荷物を荒らされ口内を暴かれ体内を露見させられ内臓を切られている物がほとんどであった。
「何故なにもわからない!?あいつらを使って、夜をさがしているんだぞ!?昼にだって俺は探しているというのに、何故欠片も情報が出てこないんだ!?来る奴見る奴全部がクズばかり!魔術を使った形跡もなければ道具すらもない!これじゃまるで
……クス
「くそ!なんだ!?なんのアーティファクトを使えばこんなことになる!?なんの教団が裏についている!?なんの邪神を祀って……!?」
……クス、クスクス
「……まさか、本当に
クスクスクス……
「……ふざけるな……」
クス……アハハ……
「ふざけるなよ……!また、あれがここにいるのか!はやての足も、あの神が絡んでいるってのか!?」
クスクスクス アハハ……アハハハハ……!
「黙れ」
ピタリと、女性の笑い声が止まった。先ほどまでの激昂が嘘のようになりを潜め、しかし次の瞬間信也はなにもいない筈の木を睨み付け、わずかな血と大量の脂のついた包丁を持って握りしめた。
「何をしている。俺は全ての人を襲うことを許可した記憶はないぞ」
……アハハハハ
「確かに俺はあそこに入った奴らを襲うことは許可した。だが、死ぬまで血を吸い続けてもいいと言ったのは2人までであとは殺した後で青山霊園に持っていくと言ったはずだ」
アハ、キャハハ
「何がおかしい」
キャハハハハ……キャハハハハハハハ!
「 」
キャハハハハハッッ!!
人の出せるものではない音を出し、狂った笑い声が止まると同時に、血の通った肉がつぶれる音とともに辺りに衝突音と衝撃が響いた。まるでトラックがぶつかったかのような衝撃が地面を揺らし、決して小さくないクレーターを作った。そして、そのクレーターの中心には、何かがいたのかそこからは血のような何かが花が咲いたかのように散っていた。
「生きていれば、死んでいても万全の状態であるなら生き返らせて情報を絞りとれたのに、勝手なことをするなと言ったはずだ」
……キャ、ハ、ハ
「 」
再び衝撃と振動が森の中を襲った。潰れた肉は物言わぬ肉塊へと変化し、辺りに血を飛び散らせた。その血はしんやのコートに張り付き、生臭さと鉄臭さを出していた。
「燃やせ」
クレーターの中を一瞥した信也は興味が無くなったかのように目の光を無くし、そう呟く。
ユラリと、風もないのに火が揺れた。燃えるはずのない鉄を燃やしているその火は徐々に大きくなっていき、複数の炎の塊となって飛び出した。
空に浮いているそれはまるで生きているかのようだった。何もないはずの空間が燃え、
その炎はまるで意志を持ったかのようにゆっくりとクレーターの中とミイラと化した死体、死体の持っていた所持品を包み込み、嫌な臭いと煙を上げて燃やす。火の爆ぜる音と熱により変形する音が森の中に響き、ボロボロと崩れて行くそれを信也は何の感情もなく見ていた。
「……なぜ、こうも情報が出ない」
燃えていく遺体に何も感じずにただ見つめ、何もわかることがないという状態にただただ苛立ちだけが募っていくばかりの信也は、光のない目に黒々とした、しかしドロリとした何かが混じった混沌の光を目に宿していった。
「ッ!?」
突然、大地が揺れた。さっきの自分で起こしたものよりもはるかに大きく揺れたそれは、公園の方角で光っている何かが原因であるということにすぐに結びついた。
「こんな真昼間からやってくれるとはなぁ……!」
苛立ちを隠そうとせず、ギリリと歯を鳴らす。燃えている鉄を鉄の箱の中にしまい、それを懐にしまう。そして何かを探すように懐の中をゴソゴソと探っていた。
「クソ共に地獄を見せてやる……!」
ドロリとした暗い光を目に宿し、懐から取り出したそれは、時を刻んでいるような蠢く何かが入った瓶を握っていた。
「そこまでだ!」
ジュエルシードの暴走が収まり、再び衝突しそうになったその場に、黒い少年は突然現れたかのようにそこに姿を現した。
突然の出現に金髪の少女と茶髪の少女、フェイトとなのはがその少年を見るが、フェイトは何者か悟ったのか顔を歪ませ、どうやってこの場から逃げ出そうかと思考を始めた。
「この場は管理局……っ!?」
少年、クロノの言葉は続かなかった。その言葉は森から現れた火の玉がクロノに襲い掛かり、しかし済んでのところでシールドを展開して防ぐことに成功した。
「な、なに!?なんで火が勝手に燃えてるの!?しかも浮いている!?これもあなたたちの仕業なの!?」
「ち、違う!こんなの、私は知らない!」
「魔法、でもない!?なんだ、これは!?」
ユラユラと揺れている火の玉を見て三者三様の反応を見せる。火の玉はユラユラと警戒するかのように漂い、それに警戒して杖を構える中、幼い少年の声が公園内に響いた。
「お前らが原因か」
ふらりと、森の中から黒いフードを被った少年が現れた。左手には赤い液体と白いナニカが付着しており、右手には不気味な液体が入った瓶を持っている。顔はフードのせいで見えず、しかし身長からまず10~12の間ぐらいであろうことは予測できる少年の声は、どこか焦っているかのようにも、怒りがにじみ出ているかのようにも、喜色に満ちているかのようにも感じた。
「誰だ!君は一体何者なんだ!?」
クロノは火の玉の主であろう黒い少年に杖を構えながら声をかけるが、それが聞こえていないのか少年はその言葉にはピクリとも動かず、しかし次の瞬間全身が震え、ポツリとかろうじて聞こえる音量で声を出した。
「お前らが原因でこの街に奇妙なことが起きているのか。お前らのせいでクリーチャーが出てきているのか。お前らのせいであの子が苦しんでいるのか」
「な、何の話をしているんだ!?」
「黙れ日常を壊すバカ共が平穏を潰すクソ共が安心を汚すカス共がクリーチャーを出しやがって道を壊しやがって街を壊しやがって黒い仔山羊を出しやがって楽に死ねると思うなよ狂信者共がぁッ!」
一息すらせず、淡々と、しかし徐々に強くなっていく言葉にその場にいた全員が息をのんだ。なのははそのほぼすべてが自身も関わっていることだけあって心に来るものがあった。
『クロノくん!あの包丁から血と人の脂の成分が検出されたよ!あの子人を殺してるかも!』
「な、なんだと!?動くな!事情を聞かせてもらう!」
少年の手にしていた包丁の成分を理解した瞬間、目の前の少年をただの警戒すべき存在から捕まえるべき存在と変え、いつでも捕まえる構えを取る。しかし、それすら眼中にないのか、それとも興味がないのか、右手に持っていた瓶を振り上げた。
「猟犬に怯えろ」
そう言って瓶を放り投げ、黒いフードを被った少年は逃げていった。
「待て!」
逃げた少年を追いかけようとクロノが動いた瞬間、火の玉は妨害するかのようにクロノへと殺到した。意志を持っている物でもあり、同時にただの火でもそれは初めて見るクロノからすれば対処することが難しく、ついには瓶は砕け、中が飛び散った。飛び散ったそれは気化しやすいのかすぐに色の付いた煙となり、しかし不自然に空中に留まった。
「っ!?」
「なんっ!?」
「うっ!」
「くっ!」
「ちぃ!」
その煙はゆらゆらと形を変え、徐々に何かを形作っていった。そして、それはまるでテレビのように動く絵を映し出し、とある光景がそこから見ることとなった。
「っ!?ば、バカな!?」
「これは……!?」
「なに……?」
それは見た覚えのある、いや、見た覚えのない景色だった。
そこは間違いなく今いる場所だった。音はないが間違いなくそれはなのはとフェイト、ユーノ、アルフの4人だった。なのはとフェイトが戦い、それ見守るユーノとアルフ。その戦いは今までにやったことのない、出来るとは思えないほど成長していた。
呆然とそれを見ていた5人だったが、戦いの最中、突如煙の絵が角ばった。
「……え?」
それをつぶやいたのは誰か、分かりはしなかった。しかし、その声を合図にしたかのように絵の角ばりはひどくなり、そして丸みがすべて消え去ったその絵の中から強烈な存在感が生まれ、
それを見た全員が何かに見つかったような悪寒が走った。
「ひっ!?」
小さくなのはは悲鳴を上げる。同時に煙から出される絵が消え、暗い闇のような、悪意と言うものを色に変えたと錯覚するような色へと変わった。そしてそれは悲鳴すら目印と言わんばかりに色が濃くなっていき、悪寒はだんだんと強くなっていく。その悪寒は、悪意は割れた瓶からあふれ出し、見るものすべてを嫌悪感に包む煙を上げた。
「なん、だ、これは!?」
クロノの疑問に答えるかのように、それは姿を現した。
この世の悪意を集めたかのような、膿のようなものを滴らせたそれが、ガラスの破片の先端から出現した。
いやぁ。色々と展開が凄まじいですね!(白目)
色々なクリーチャーや呪文、オリジナルアーティファクトが一気に出てきましたね。どうなってるんだ分かりにくいなぁもう!って人、ホントゴメンなさい。私の腕ではこれが限界です(泣)
クリーチャー、呪文に関しては薄々何かわかるんじゃないかなぁと思います。ですが、具体的な名前が出るまで説明は伏せておこうかなぁと思います。その方が悶々として夜も眠れなくなるでしょうしね!(ゲス顔)
オリジナルアーティファクトに関してはなんじゃこれ?と思うようなものですが、みんな大好きな子を出すために作りました。自分も超危険なため使いたくない手ですけどね!
しかし、やぁっと呪文出すことができましたよ!これでクトゥルフらしくなってきましたね!え?リリカルらしさがない?今更ですね(震え声)
ごめんなさいホント今の状態だと絡ませるの結構無理やりじゃないときついんです勘弁してください。
蟹化ってなんだ。修正しました。ホントこの蟹化ってなんだろ。