城下町のダンデライオン-ちょっと変わった生活- 作:ダラダラ
第二話を投稿できました。
いつまで続けられるかな?って感じですが、頑張りたいと思います。
今回は、サッカーがメインでサッカー部の方々しかほとんど出てこないオリジナルです。申し訳ない。
つまらないと思いますが、どうか見てください
朝、まだ誰も登校していない時間だが、校門通り校舎の中へと入る
そして、職員室へと足を運ぶ
コンコンッ
「失礼します」
普段は多くの先生がいるはずの職員室にも、まだ出勤して来るには早い時間のため、数人の教師しかいなかった
俺は、その中の一人、俺たちサッカー部の顧問にして監督の橋谷先生のところまで行く
「おぉ、蓮斗。相変わらず早いやつだな。まだ一年生も来てないぞ。」
「知ってますよ。だから、部室の鍵を拝借しに来ました」
普通は一年生が上級生より先に来て、グランドの整備やボールの準備をしているところが多いようなのだが、俺はそういうしきたりに興味がない
俺としては、好きなサッカーの準備をするのに、先輩後輩は関係ないと思ってるからだ
その考えは先生にもあるようで、たとえ練習試合だろうと優秀な選手は1年生でも選出し、試合に出させている
「ほら鍵」
「あざっす!それでは失礼します」
先生から部室の鍵を受け取ると、俺は再び昇降口へと向い靴を履き替えて更衣室に向った
ドカッ
バンッ
「よっ…と」
更衣室で制服から半袖半パンのサッカー部ジャージに着替え、俺はグランドにボールなどを準備して一人でボールを蹴り準備運動を行う
一人でボールを適当に蹴ってしまうと取りに行くことが面倒なので、フィールドのペナルティーアークの真ん中に立ち、ゴールに向かってボールを蹴った
蹴ったボールは、クロスバー(ゴールを形作る2本のポールで支えられたポール)の中央に当たり、再び俺のところへと帰ってくる
しばらく繰り返していると、遠くの方から声が聞こえる
「蓮斗!」
その呼び声にボールを止め、聞こえてきた方へと振り向くと俺と同じジャージを身に纏った男が大きく手を振り掛けてきた
「よう、
「相変わらず早いな、お前は」
「そうか?さっき来たところだぜ?そういうお前も早いじゃねぇか」
「俺はキャプテンだからな。監督から今日のメニューを聞いとく必要があるし、それに今週の練習試合についても話があったからな」
こいつの名前は、
俺たちサッカー部のキャプテンを務めている
ポジションは
「そうか、今週は涼宮高校とだったな。ってことは、今日と明日で紅白戦って感じか?」
「あぁ、そうだ。そのメンバー構成についてな。何しろうちは試合に出ることができる奴を、全員参加の紅白戦で決めるからな。人数が多くて大変だよ」
「頑張れよ~キャプテン!」
「お前な~!本当はお前がキャプテンを勤めるはずだったのによ、俺に回しやがって」
「ははっ、お前の方が適任だって!俺はお前みたいにしっかりしてないし」
「おいおい、うちのエースが何言ってんだ…しかも、司令塔のトップ下もやっててよ…」
俺たちが2年生の時、3年生が引退して次のキャプテンを決めることになった
その時、監督や前キャプテンは俺を指名してくれたのだが、俺自身は前からこの国の代表選手としてユースに数度呼ばれていた為、不在時が多くて勤めることはできないと考え断った
そして、今、キャプテンを務めているのは孝也だ
「それより、何してたんだ?蓮斗」
「ん?ボール蹴ってた」
「そりゃ分かってるわ…どうやって練習してたかってことだよ。俺も練習付き合うよ」
「おぉ、ありがと。でも、これは一人でもできるぞ?こうやって…」
ドカッ
バンッ
「っと、こんな感じに」
「っ!!お前ずっとそれやってたのか…?」
「あぁ、取りに行くのも面倒だからな」
「(なんてコントロールの上手さだ…!正確にクロスバーに当てて、帰ってくるボールが自分のところにまで飛んでくるようにしている…しかも、蓮斗はその位置から全く動いていない…これがこのサッカー部エースだけではなく、この国の代表エースの力か…いつも驚かされるが、さすがだ…くっそ、否が応にも実力差を思い知らされるな…)」
「どした?孝也」
「っ!!いや、なんでもない。そんじゃ、みんなが集まるまでパス練習でもするか!」
「あぁ」
俺と孝也はそれぞれ距離を取り、パスの練習をスタートさせた
その後、翔や琢磨や他の部員たちが集まり、サッカー部の朝練習がスタートする
「集合してください!」
「「「「はい!!!!」」」」
朝練も終盤になり、複数人いる女子マネージャーの一人の声で練習を止め、橋谷監督の所へと集合した
「朝の練習はこれまでだ。放課後は紅白戦を行う!もちろん、一年・二年・三年全員に紅白戦は出て貰うぞ。チーム分けや試合時間は後でマネージャーから配布されるプリントを見ておくように。人数が多いから、紅白戦は今日と明日の放課後で行うこととする!尚、この紅白戦は今週末に行われる対涼宮高校との練習試合に出す選手の選定に関わることだけ伝えておこう。各自、俺が来る前にアップを終了させておくこと!!いいな!!?」
「「「「はい!!!!」」」」
「では、解散!!」
「「「「ありがとうございました!!!!」」」」
朝練を終えて更衣室に向う前に、マネージャーから紅白戦のチーム分けのプリントを貰い確認する
あ、俺、今日か…ポジションシステム2-5-3で、バックに位置する守備の
俺はトップ下だな
「蓮斗~同じチームだな!よろしく!右サイドは任せろよ!」
「おう、翔。よろしくな!後は、
「結構、3年生が固まったねー」
「よろしくな、蓮斗、翔!」
そこに現れたのは先ほど名前の出た英二と雅、洋平、そして孝也だった
「おう、こちらこそ」
着替え終えた俺と翔、琢磨で教室へと向っていると、
「蓮、おはよう」
「葵、今日もぎりぎりだな。また、茜か?」
「うん、今日は能力を使わないでこれたんだけど、少しギリギリになっちゃって。あ、そうそう。これを茜から預かってきたの。昨日、ジャージを借りていたでしょう?朝練習の時、大丈夫だった?」
「あぁ、すっかり忘れてたわ。最近は厚くなってきたし、必要なかったから全然問題なかったよ」
「そうなの?よかった。あ、洗濯はしてあるからね」
「悪い、ありがと」
教室へと向う途中、葵に会って共に教室に入る
一日の学校生活の始まりだ
1時間目の授業は「現代国語」
2時間目の授業は「英語」
3時間目の授業は「数学」
4時間目の授業は「古文」
ちなみに俺の成績は中の中。それほど悪いわけではないが、朝の楽しい運動をしているとやっぱり眠くなんだよな~
4時間目はピークだ…俺の中で古文=呪文と思っている
「グ~グ~…絶対にシュートを打たせるか~…」
「…。せんせー、琢磨君が夢の世界に旅立ってまーす」
「何っ!!?」
俺はすっと挙手して、古文の教師でありサッカー部顧問の橋谷先生に琢磨を売った
ちなみに俺は余り授業中に注意されることは少ない
なぜなら、シャーペンを持ち肘を立てて寝ることであたかも勉強していますよ風に寝ているからだ
琢磨は俺の前の席にいるが完全に突っ伏しているため、分かりやすいしよく怒られている
そうこうしている内に、橋セン(橋谷先生のあだ名)は、琢磨の横に青筋をたててやってくると、未だに気持ちよさそうに眠る琢磨に
「起きんかぁぁぁ!!!!」
「うぇひぃぃぃ!!!す、すすすすすんません…!!!!」
「よっぽど、グランドを走らされたいようだな~…!?昼休み、校庭10周!!」
「ノォォォ~!!!?」
琢磨と橋センのコントにクラス中が笑いに包まれた
昼休み
「ぐはぁぁ!!助かっ…た…」
「なんだよ、校庭10周しないのか?」
「橋センに死ぬほど謝って何とか許してくれた…っつか!よくも俺を売りやがったな!?」
「売らないといった覚えはないさ~」
「くっそぉ!!放課後の紅白戦、覚えてろよぉ!コテンパンにしてくれるわ!」
「返り討ちにしてくれるわ!」
琢磨と馬鹿な会話をしている時、購買でパンを買っていた翔が戻って来て俺たちは昼食を食べ始める
その時、俺の隣の席である卯月の机を囲んで座る葵・静流・菜々緒の4人も会話に入り、実質7人で昼食を食べた
「あんたたちって本当飽きもせずにずっとサッカーしてるよね?」
「当たり前だ!あんな面白いスポーツはない!」
唐突な菜々緒の言葉に琢磨が反応する
「この前、体育でサッカーしたけど、全く面白さが分からなかったよ」
「そうそう、確かその時、卯月がボール蹴りそこなって転んでたよね~!あれには笑ったわ!」
「もう!その話は止めてくださいよ~」
そして、静流も菜々緒の話に乗り、卯月をからかって笑っていた
「卯月とは反対に葵は大活躍だったけどね~やっぱり葵って蓮斗にサッカー教えて貰ってんの?ほら一応、サッカー部のエースなんでしょ?」
菜々緒の話の矛先が俺と葵に向けられる
「一応ってどういう意味だよ…葵とサッカーやったことはそんなになかったな~昔、俺が公園でボール蹴ってる所を見てただけだったような気がする…」
「うん、そうだね。私は大体見てるだけだったような気がするな。一緒に公園に行っても蓮はずっとサッカーボール蹴ってから。楽しそうだなって思いながらベンチで見てたよ」
その時、何故か、俺と葵以外の他5人が呆然として、食べていた手と口を止める
俺たち二人はその様子に理解ができず、頭に?マークを浮かべた
「え…?見てるだけ…?」
「え…?ずっと…?」
「「「「え…?何が楽しいの…?」」」」
菜々緒と琢磨の言葉の後、菜々緒、静流、琢磨、翔は呆れたように口を揃えて言われてしまった
「何がって、蓮がボールを蹴っているところを見ているのが…かな?」
「え?何!?葵は、ただ、ひたすら見てただけなの!!?」
「えぇ!?あ、後は、休憩の時にスポーツドリンクを渡したり…?」
「「「「マネージャーか!!!?」」」」
またしても口を揃える4人組
「まぁまぁ、皆さん。落ちついてください…!」
卯月の言葉に何とか落ち着き、そして、4人の話を聞くとどうも昔の俺たちの様子がおかしいらしい
「だって、ただひたすらに見てるだけでしょ?ってか、そんな昔っから蓮斗ってサッカー馬鹿だったんだね」
「女の子と一緒ならもっと公園の遊具とかで遊べよな、蓮斗~。ちゃんと女の子をリードしねぇと!」
「葵も葵でほかの子と遊ぶとか、蓮斗に違う遊びをしようとか言ったら良かったのに」
「蓮斗って昔から女の子のこと分かってなかったんだね~モテるのに勿体無いな~」
「まぁまぁ、皆さん…」
菜々緒、琢磨、静流、翔と口々に文句を言われて卯月が仲裁してくれているが、俺には不服だ
「私も楽しかったから大丈夫だったよ?それに、偶には遊具で遊んだり、家で一緒にテレビ見てたりしたから」
「どうせ、サッカーの試合でしょ?」
「…う、うん」
静流の的確な答えに葵は肯定するしかない
だだ、俺もココまで言われて黙ってられない
「うるせぇなぁ!!そん時は、サッカーにしか目が行ってなかったんだよ!!!」
それまで黙って聞いていたのだが、俺は大きい声で反論してしまった
それがいけなかった…こいつらは、こういうことを聞き逃すような甘い連中ではない…
「「「
「へぇ~今はサッカー、一筋じゃないんだー」
はっ!!しまった…!!
4人が前回と同じようなにやけ面の嫌な顔に瞬時に変わる
俺は嫌な汗を掻き、頭の良い葵もそれに気付いて少し顔を赤くしているところを見てしまった俺は一気に顔に熱が集まる感覚がした
「あ~あ~、なんか
「ね~?なんでこんなに
琢磨と菜々緒は手のひらで仰ぎながら、わざとらしい会話を繰り広げる
ほんっとこいつら嫌だ…!
俺の睨みも利かず、4人は昼休みが終わるまでにやけ面を晒してきやがった
残りの授業が終わり、HRも掃除も終えた俺と琢磨、翔は部活へと向おうと歩き出そうとしていた
「あ、蓮。ちょっといい?」
「なんだよ?」
しかし、葵から声を掛けられて歩みを止める
「蓮~先に行ってるな~」
「おう」
葵はこれから1年生の教室、茜の所に行くつもりなのだろう
とりあえず途中までは一緒なので葵が鞄を持ってくるのを待ち、一緒に教室を出る
「実はね、今週末、テレビに出ることになったの。お父さんが急に決めちゃって。それで試合の応援に行くことができないから、それを伝えとこうと思ったの。ごめんね」
「あぁ、そんなことかよ。気にすんな。試合って行っても練習試合で場所はココのグランド。いつも見に来て貰って悪いと思ってたからさ、大丈夫だよ。」
葵はいつも俺の試合を見に来てくれていた
試合に出れず、ずっとベンチの時でも
それはきっと、あのことがきっかけだと思うのだが…
練習試合にも来てくれていた事に悪いと思っていたし、問題はない
「それより、テレビに出るって何するんだ?ドラマにでも出るのかよ?」
俺はで冗談を笑いながら、葵に質問する
「違うよ!私たち兄弟が全員出る何かイベントを行うそうなんだけど、嫌な予感しかしない…」
「国王が企画か…確かにそれは心配だな…んじゃぁ、俺はそれを録画してじっくり見させて貰うわ~」
笑いながら、またからかうと、葵は少し膨れてしまった
「もう、からかわないで!」
そんな葵の表情に俺は笑ってしまう
サッカー部のグランドでは、現在、11対11の紅白戦が繰り広げられていた
俺はまだ出番ではないため、審判を行って全員の健闘を祈った
一年生は、この紅白戦に初めて参加することや上級生と一緒であることに、緊張してしまい、思う存分の力を出すことができていないようだ
だが、チームにいる上級生の2・3年生は、1年生の緊張をほぐす為に声を掛け合っていた
これも重要なチームワークの一つだ
緊張して当たり前の試合をチームでどう乗り切ることができるか、それによって試合は大きく変わることがあるからな
結果としては、紅チームの勝ちとなり終了したが、これは勝ち負けがメインではない
この試合で一人ひとりが"何を残せるか"
それが選定の基準だ
今の試合で何かを残せたと感じた者、何もできなかったと感じた者がそれぞれいる
これがこの学校の紅白戦だ
「次のチームはグランドに入ってください!」
マネージャーの声で俺はグランドへと立った
「次の試合、蓮斗先輩が出るのか!」
「あの人の試合をこんな間近で見られるなんて…!」
相手チーム
「さすが、蓮斗先輩だな。一年生に大人気!けど、さっきの監督に俺を売った恨みは忘れてないぜ?仕返しの時間だ!」
「はっ!百倍にしてお返しするよ」
いつもは仲間だが今は敵
お互いに好戦的な笑みを浮かべる
そして、俺たちチームのボールからキックオフとなり、マネージャーの笛の合図で本日2戦目の紅白戦がスタートした
試合は終盤入った
30分の試合時間で、マネージャーがストップウォッチを気にし始めた
残り時間は3分あるかどうかといったところか
ドンッ
「「「「っ!!」」」」
「上がれー!」
その時、俺たちの陣地の奥まで来て、ゴールの機会を狙っていた相手チーム2年生の視覚からボールを奪ったDFの雅の合図で俺たちは敵陣地へと走る
そして、雅が上げたボールは右サイドにいた翔の下へ
翔の足の速さはこの部で一番だ
相手チームの右サイドをどんどん突き離し、敵陣地へと到達
翔からクロスが上がり俺の足元へ
これが最後の攻撃になる…確実に決める!!
「止めろぉ!!蓮斗にボールを持たせるなぁ!!」
敵の司令塔が叫び、相手チームがどんどん集まってきた
「行くぜ…」
一人目の相手チームのトップ下司令塔の2年生が前から来る
俺は視線を左に向けると敵は
「左サイドケア…っ!!?」
ダッ
左に視線が行ってしまった敵の隙を見て右から抜ける
そして、また両サイドから相手チームが挟み撃ちにしてボールを奪おうと来ていた
右から来た敵が左足を前に出し、ボールを奪おうすると、俺はそいつの股下からボールをくぐらせ、両サイドの敵を避けて二人を振り切る
「「なっ…!!?」」
ゴール近くになった時、GKが止めようと前に乗り出す
そして、また左の視覚から敵がスライディングをしてくる敵もいた
ので…
トンッ
「っ!!!!!?」
「はっ!!しまっ…!!」
ドカッ
ザンッ!!
「ゴール!」
スライディングしてきた敵を避けるためにボールと共にジャンプをし、ボールを踵で後ろに飛ばした
それをすかさず後ろに来ていたFWの孝也のヘッドでボールはGKがいないゴールへと吸い込まれていく
その時丁度、試合終了のホイッスルが鳴り響いた
結果としては、6対1の俺たち白チームの勝ちで終わったが、結果をどれだけ残せたかは一人ひとりにしかわからない
例をした後、本日の紅白戦は終了のため、監督の下へ全員集合となる
「それぞれ結果を出せたと思った者、出せなかったと思った者、いると思うが、それがサッカーだ。この紅白戦は、それぞれの課題を見つめる試合になったと思う。決して、満足はせず鍛錬を続けるように!鍛錬を怠る者に我が桜華高校サッカー部のユニフォームを着る資格はないと肝に銘じておくように…以上!解散!!」
「「「「ありがとうございました!!!」」」」
そして、本日の部活動は終了となった
「だぁ!畜生!!負けたぁぁ!!絶対に蓮斗に勝ってやるって思ってたのによ!!」
「なんだよ、そんなに橋センに怒られたこと根に持ってたのか…?悪かったって!」
「おや、そうじゃない!…それもあるけど、そうじゃなくてさ~、やっぱ、誰でもお前には勝ちたいって思うわけだよ」
琢磨は部活が終わり全員で後片付けをしている時、大きな声で叫ぶからこっちが驚いてしまう
そんなに寝に持たれていたとはと思ったのだが、どうもそういうわけではないようだ
「琢磨の言うとおりだよ」
「そうそう」
「誰でもお前に勝ちたいと思うもんさ、何せうちのエースだからな」
「俺もGKだけど、蓮斗に何回もシュートを決められてるからな~練習にはなるけど、止めたいと思うよ」
俺と琢磨がコーンを持って倉庫中へ入った時、倉庫の中で作業をしていた翔・雅・洋平・英二が話に加わった
ってか、倉庫の中にそんなに人いらないだろ…片付けのサボりだな…
「1年生や2年生もお前を超えようと必死に勉強してたぜ?今日の試合を見ながら」
「でも、最後のドリブル突破には驚いてたな」
「最初の一人は、視線で相手の隙を付き、振り切り、次も相手が足を出したときを狙って股下にボールを通して振り切り、最後は、ジャンプと一緒に踵で後ろに来ていた孝也に正確なパスを出す…どれも、派手なフェイントじゃないのに、見事にやられてたな」
雅・洋平と続き、英二はGKの位置からよく見ていたようで解説をされた
「よく、見ていますな…」
さすがに俺もどう返していいのか分からない
そんなに語られると逆に照れるぞ
「何照れてんだよ!!ったくよ~今度は絶対に勝ってやるからな!!何度でも挑戦してやる!!」
「あぁ、蓮斗を超えて俺たちも代表入りを目指すからな」
「DFだとして、ゴールは決めさせねぇ!」
「次に敵として紅白戦をすることになったら、俺は絶対に蓮斗からゴールを守るよ」
「速さじゃ俺のほうが上だからね!置いてけぼりにしてやるよ!!」
「…あぁ…あぁ!全員、返り討ちにしてやる…!」
嬉しかった…
俺は、琢磨・雅・洋平・英二・翔、みんなが俺をライバルとして見ていてくれたことが、なにより嬉しかった…
次の試合でも白熱した戦いお望み望んでくれていたことを…
俺は、何よりも嬉しかった…
このチームにいて、本当によかった…
中学生2年生のときの俺に言ってあげたい
未来では最高の仲間と最高に楽しいサッカーができるんだって…
「お前らぁぁ…!!倉庫の中でサボってないで片付け手伝え!!」
「げっ!?孝也!!」
「わ、悪かったって~…」
「俺は、倉庫にコーンを置きに来ただけだ!サボってたのは、洋平と雅と英二と翔だって!!」
「あ、ってめ!琢磨!!」
「ひどいよ!琢磨!に、逃げろぉ!!」
「待てごらぁぁぁ!!!」
倉庫の中でサボっていたことがばれてしまい、キャプテンの孝也が鬼のような顔で入ってきた
洋平と雅は怯えながら答え、琢磨は4人を売り、それに反論する英二と翔
そして、全員がその場から急いで逃げていったのを鬼のキャプテン孝也が追いかけていこうとしていた
「ふっはは!」
その様子に吹き出して笑いながら、俺もグランドの片付けへと行こうとしたとき、追いかけていったはずの孝也が俺に振り返る
「蓮斗!俺もお前には絶対に負けないからな!!」
「っ!」
孝也は笑顔で人差し指を俺に向け、宣戦布告をする
「…格好付けだな。後、人に指差すなよ」
「うるせぇ!ってか、俺の言葉は無視か!?高校生になってこんなこというの恥ずかしいんだぞ!?」
「なら言うなよ!!」
孝也と俺はグランドへと向った
夕方、オレンジ色の空の下、今日も俺たちはサッカーに勤しむ