今世紀エヴァンゲリオン   作:イクス±

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お待たせいたしました。

相も変わらずの読みにくい長文となっておりますが、それはまぁ私のスタイルということで納得してくれたらそれはとってもうれしいなって。

スタイルがダメならソウルでもいいですよ。

今回はアレですね、日常回?です。




第伍話「男の戦い」

学校……それは青春の舞台。

 

未成人が将来のための準備をするための場所でもあり、あらゆるラノベの舞台でもある。

そうじゃなくても、多くの物語で大事な役割持ってたりする場所だ。

 

それは地球に限った話では無く、異世界に行ったとしても大体は学校に行くことになる。

貴族の家に生まれレベルの高い学校に行ったり、金持ちの家に居候することになってその家の子供と一緒に入学など理由は様々ではあるけど。

 

 

とにかく、物語において学校がどれだけ大切かわかって貰えたと思う。

 

 

最近主人公っぽいことをしている僕こと、碇シンジも例外なく学校に通い始めていた。

 

 

「碇! おはよう!」

 

「おはよう!」

 

 

通い始めてから数日、歩きなれてきた朝の学校の廊下ですれ違い様に挨拶をされたので僕もしっかりと返す。

名字を呼ばれたことから今の男子生徒は僕の事を知っているらしいが、僕はよく知らない。

チラッと顔を見たかな?という程度だね、多分同じ学年なんだろうけど。

 

 

「おはよう碇くん」

「あ! おはよう!」

 

「うん、おはよう」

 

 

僕の在籍してるのとは違うクラスの前を通ったところで、教室の入口付近で話をしていた女子生徒が僕に挨拶し話し相手も釣られて挨拶をしてくる。

挨拶を返しながら二人の顔を見ても、やっぱりよく知らない顔。

さっきの男子生徒程度の認識だ……あ、でも可愛いから違うな、うん。

 

僕は相手を知らないけど、相手は僕を知っている。

こんなの事が多く起こるのは、僕が有名になっているからだ。

いや、自惚れとかじゃないよ?

 

 

理由は二つ。

 

 

一つは、僕自身がやったことが原因だ。

 

初めての登校日に、教団横に立ってクラスメイトに自己紹介をする時、僕は言ってやったんだ。

 

 

「では、自己紹介をお願いします」

 

「はい……転校生、碇シンジ。ただの人間に興味はありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら後で僕の所に来てください、以上」

 

「これ……笑うとこ?」

 

 

完璧だった。僕のこのセリフに対しての反応までもがパーフェクトだった。

もし僕のこれを見て「あぁ、テンプレだなぁ」って思った人はかなり転生物を読んでる人なんだと思う。ぜひ友達になってほしい……じゃなくて。

僕はこれを、現実でやってやったんだ。並の精神力でできることじゃない、と思う。

前の学校の友達にLINEで報告したら、「お前の精神力が怖い」「プラチナメンタルwww」とか言われたしね。

とまぁそういうわけで、このネタを知ってた人には一種の英雄視されてすぐに仲良くなることができたわけだ。

 

 

「みんなおはよう!」

 

「あ、おはよう!」「はよーっす」「おはよう碇くん!」「うほっ、いい碇」

 

 

夏なので開けっ放しだった教室の扉から入りながらそこそこの声量でクラスに挨拶する。

すると教室にいたほとんどの人が挨拶を返してくれた。僕ってばリア充。

自己紹介によって仲良くなったのは一部の人だけ、つまり一つ目の理由ではこうはいかなかっただろう。

僕はそれでもよかったんだけど。

 

 

「おっ? 来たかシンジ!」

 

 

挨拶を返してくれたクラスメイトにワンテンポ遅れて僕が来たことに気づいた男子生徒。

名前は相田ケンスケ。例の自己紹介にナイスな反応をしてくれたのはケンスケだ。

だからこの学校で一番最初に友達になったのもケンスケだった。

……僕がここまで有名になる原因を作ったのもコイツだけどね。

 

 

「今日は訓練無いのか?」

 

「午後からなんだ、だから午前は学校ってわけ」

 

 

そう、ケンスケは僕がエヴァのパイロットであることを知っている。

というか、みんな知ってる。

 

 

二つ目の理由は、僕がエヴァのパイロットであることをみんな知っているからだ。

 

 

僕がエヴァのパイロットであることはNERVが掛けた情報の守秘義務によって知られていなかった。

現に一日目は仲良くなった人と少し話した程度で終わったよ?

なのになんで知られてしまったのか。

 

……さっきも言ったけど、ケンスケが原因だ。

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

ケンスケがやらかしたのは次の日の朝だった。

その日は学校の敷地内に入った途端、視線のようなものを感じた気がした。

僕はいつものように「貴様! 見ているなッ!」と脳内で叫びながらその方向を見た。

瞬間、僕の視線と複数の視線が交差する。

少し離れた場所に数人ほど生徒が集まっていて、全員で僕の事を見つめていたのだ。

 

……えっ、何?

 

僕はとりあえず露骨に視線を合わせてみることにした。

<●><●>といった感じで歩きながらも首だけその方向に向けて目を見続けると、七割くらいは耐えられなくなったのか少し笑いながら視線を逸らすが、残りは負けじと僕に視線を合わせて来ていた。

 

ほう、中々できるな……じゃなくて!

 

その集団も通り過ぎ、いい加減首が痛くなって来たので顔を前に戻すしいつもの推理的な何かを始めようとするが、それは叶わなかった。

ずっと同じ方向しか見て無かったから気づかなかった。

複数の視線というのはさっきの集団に限った話では無く、学校にいる生徒のほとんどが校庭を歩く僕を見ていた。

すぐ近くから、昇降口内から、そして教室の窓から。あらゆる場所から僕を見つめていた。

さっきの集団は転校生が僕だと誰かから聞いて、物珍しさから見ていたのかと思ったけど違うみたいだ。

だって視線の数があまりにも多すぎる、明らかに異常だ。

とてもそんなありふれた理由で僕を見ているとは考えられない。

であれば、みんなが僕を見つめている理由は普通ではない異常な理由があるということになる。

そして僕には、そんな異常な理由についてものすごく心当たりがあった。

 

どうやら、なんでか知らないが僕がエヴァのパイロットであることがバレてしまっているらしい。

 

そこまで考えた僕は、これ以上今ある情報で考えてわかることは無い、と思考を打ち切ると教室に逸早く向かうことに思考を切り替え、視線の雨に打たれながら歩を進める。

野郎の視線は無視し女の子には軽く手を振りつつ移動して教室にたどり着き、中へ入ると我が同志ケンスケの机を囲むように人だかりができていた。

一体なんだと興味深く観察しながら近づくと、輪を形成する生徒達の外側に位置していた数人が僕の存在に気づき、唯でさえ煩かった喧騒がさらに大きなものと成ったのちにパックリと人だかりが割れ、机に座った状態のケンスケが姿を現した。

 

 

「やぁ、おはようシンジ」

 

「うん、おはようケンスケ」

 

 

そんな挨拶を交わした後に、状況を見てこの視線の雨を作り出した原因はケンスケにあると判断した僕は、問い詰めようと詰め寄るが彼が僕の斜め後ろを指さしたことで足を止め、後ろを振り返り何を指しているのか確認した。

ケンスケが指示した先には、もうすぐでホームルームの時間になることを告げる時計があった。

 

 

「そういうことだから事情は昼休みにでも話す、今は我慢してくれ」

 

「じゃあ一言だけ質問、ばらした?」

 

「あー……うん、そうだな」

 

「把握した」

 

 

どういう経緯でそうなったのかは知らないが、ケンスケはどうにかして僕がエヴァパイロットであることを知りその情報を全校に知れ渡るレベルで広めてしまったらしい。

聞きたいことを聞けた僕は一先ずこれで納得し、素直に自分の席に座る。

座ってからケンスケの方をチラリと見ると、こっちを向き手を合わせて謝る様子が見えたので故意では無いと理解した僕は、ため息をつきながら頷くと視線を逸らし、僕と同じように席に座ったり自分の教室に帰り始めたりと大移動を始めた生徒達の動向を眺めながらホームルームが始まるのを待つのだった。

 

そしてその後の昼休み、人影が少ない屋上にて事情を聴いたところ、NERVで働いている親のPCの中身を盗み見たことで僕がエヴァの搭乗者であることを知ったケンスケは興奮のあまりうっかり知り合いに漏らしてしまい、瞬く間にそれが広まってしまった、ということらしい。

朝、ケンスケの周りに集まっていたのは、情報の出所を知った生徒が噂の信憑性を確かめに来ていたためらしい。

 

いや、いつまでも隠し通せるとは思ってなかったし、いいんだけどさ。

 

 

「……流石にバレるの早すぎるでしょ」

 

「いやぁつい……ホントにすまん! そのうちなんか奢るから!!」

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

で、そこまでショックも受けて無かった僕はそれでケンスケを許して、その日からめっさ注目される学校生活が始まったわけだ。

流石に数日経った今じゃ最初の頃ほど注目はされてないけど、それでも普通の生徒と比べれば異常なレベル。

 

まぁ、そのお陰でとても新鮮な気持ちで学校生活を送らせて貰ってるけどね!

 

 

「おーいシンジ、そろそろ考えは終わったか?」

 

「あ、ゴメンねケンスケ、それで何さ?」

 

「それがな、今日からトウジも学校来るんだってさ」

 

「トウジが!?」

 

 

トウジは僕がこの街に来て一番最初に友達になった人だ。ケンスケは学校で一番ね。

フルネームは鈴原トウジ、分かる人にはわかったと思うけどサクラちゃんのお兄さんだ。

三回目くらいのサクラちゃんのお見舞いの時に病室でバッタリ会っちゃったんだよね。

そしてお互い自己紹介して僕の事情を話して仲良くなったんだ。

あの時は土下座されてお礼言われたから驚いたなぁ……

 

 

「まーたトリップしてる……まぁ俺もたまにあるからわかるけど、っと碇!うわさをすればなんとやらだぞ!」

 

「え?あ、トウジ!」

 

 

ケンスケに揺さぶられて現実に返って来ると、静かに教室に入ってくるトウジが見えた。

トウジは僕の声に気づいたのか、ゆっくりと顔をこちらに向けると幽鬼のようにフラフラとこちらにやって来る。

なんか元気無さそうだけど何があったんだ?

 

 

「お、おいトウジ、どうしたんだ?」

 

「おう……久しぶりやなケンスケ……いや、今はシンジや」

 

「や、やぁトウジ!一体何があったのかな……?」

 

「シンジぃ……わいはお前を一発殴らんとアカンのや……」

 

「なんでさ!?」

 

 

トウジのいきなりの暴力発言に思わず声を上げて驚く僕。

僕とトウジの共通する話題……まさか!

 

 

「サクラちゃんの身に何か!?」

 

「そこでサクラちゃんの話題が出るあたりホントシンジはブレないよな」

 

「そや!お前のせいでサクラがなぁ!!」

 

「え? マジなのか!?」

 

 

なんかケンスケがツッコミに周ってる・・・じゃなくて!

 

 

「一体何が!?」

 

「サクラがなぁ……うるさいんや!!」

 

「「は?」」

 

 

僕とケンスケの声が重なる。

いや、ホントどういう事?

 

 

「わいが病室に入るたびにアイツガッカリした顔しよんねん!!「シンジお兄ちゃんじゃないんかぁ」ってな! まぁそれはええわ! それだけならまだ我慢できるんや!! サクラの奴わいが病室にいる時なんかずっとシンジシンジ言っとんねん! なんやアレ!? どんなフラグの建て方したらあんなんなるんや!?」

 

「あぁ……それは悪い事したトリ―」

 

「お前全然反省しとらんやろ、叫んでスッキリしたから殴るのやめたろ思うたけどやっぱ殴るわ」

 

「シンジがなでポ……つまりシンジは踏み台……? 俺が主人公の可能性が微レ存!?」

 

「「それはねーわ」」

 

「なんだよお前ら!?」

 

 

この会話をした日の昼頃、使徒はやって来た。

 

 

 




原作よりも大分早くパイロットバレしてしまったシンジくん。
なお、実害は全くないもよう。

イクス±の次回作にご期待ください!





……8月21日か。小説書いてたらいつのまにか誕生日になってた件について。

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