幸運の一番星に憧れた者   作:大夏由貴

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序章 二人の日常
プロローグ


 

 

 

 

毎日が退屈だった。

 

 

 

幼い頃に母は交通事故で死に、父はそのショックで倒れ、意識が戻った今でも病院でカウンセリングを受け続けている。

 

甘えたい年頃だったが、甘える相手が居なかった。

 

初めは泣き叫んで暴れるやんちゃ坊主だったらしい。

 

 

祖母は娘を失い周りに当たり散らすようになり、祖父はそれが原因で家族との関係に亀裂が入り、実家に帰ったまま戻って来なくなった。

 

日々虐待を受け、誰も止めやしない。

 

最初は泣いていたが、次第にどうでもよくなっていた。この頃から俺は図太い性格を持ち初めたようだ。

 

 

性格の悪い姉二人はいつも嫌がらせをしてきて自分達だけで良い思いをしてきた。

 

何か良い物を手に入れてもすぐに持って行かれる。

 

特に気に入っていた玩具を取られた時は流石に腹が立った。

 

 

学校に言っても普段はあまり喋らない性格だったからか友達と言える人物もおらず、いつの時代にもいる悪ガキ連中には因縁をつけられた。

 

教師すら知らんぷりして、ずっと孤立していた。

 

退屈な日々を繰り返し、刺激を求めていた俺は正面から喧嘩を買い、再起不能になるまでぶちのめした。知らない内に大分ストレスが溜まっていたようだ。

 

 

別に何もかもが嫌になるなんて事は思ったりしなかったけど、このつまらない毎日には不満しかなかった。

 

 

 

そんな下らない日常を過ごし、モノクロな人生を送っていた俺に、

 

 

 

 

色を付けてくれたのは、何時だってお前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

毎日が充実していた。

 

 

 

お母さんはちっちゃい頃に死んじゃったけど、お父さんがその分沢山構ってくれたから、寂しいとは思わなかった。

 

何時も一緒にゲームしたり、一緒にアニメ見たりして笑い合った。

 

けどたまに仕事の事で部屋に籠った時は邪魔しちゃいけないから、一人でゲームをしたりアニメを見たりしたけど、何時ものように楽しめなかった。

 

 

小学校では何人か友達も出来た。

 

多いとは言えないし年の割に随分ディープな話をするから「よく分かんない」って言われる事もあったけど、気楽に話せる仲間達だった。

 

だけど友達から親友にはならなかった。クラスが変わった日からはもう会う事は無かった。

 

 

合気道の道場では一番強くなれた。

 

流石に師範代達には勝てなかったしリンゴを握り潰したりは出来なかったけど、同年代相手では一度だって黒星は取らなかった。

 

けれどもレベルに合った対戦相手には出会わなかった。だからか他の人達と話す事もあまり無かった。

 

 

 

それでも楽しい毎日だったし、面白い人生を過ごせたけど、何処か物足りなかった時、

 

 

 

 

とても面白そうなイベント真っ最中のキミに出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直馬鹿馬鹿しいって自分でも思うけど、

 

もしかしたらこれは、そんな未来に沈んでいた人間(俺 私)に、神様がくれたプレゼントなのかもしれない。


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