詳細は活動報告にて。まずは、なんとかかんとか書き上げましたので、ご笑読を……!!
自宅のベッドルームの窓は道路に面している。
その窓のすぐ外、
『やだ――っ! がっこういきたくない――っ!! ママといっしょにいる――っっ!!』
今年度になってから聞こえ始めたので、おそらく小学校一年生だろう。
ママ離れできていず、休み明けの朝にはこうして、玄関先でいつまでもぐずるのを、迎えに来ている近所の上級生が、彼の母親とともに必死でなだめ、登校を
夏休み明けのときなんか、そりゃもうすごかった……。
ふだんなら、同業者として彼の担任の苦労を察しながらも、つい
「うるせぇぞガキ……私のほうが一〇〇〇倍は学校行きたくねぇんだよ……!!」
私は台所の
うううぅ……! チョー学校行きたくねぇ……!!
////
ようやく私の体調が回復し、運転できるようになった頃には、比企谷はとっくに
疲れもあったし、重たい雰囲気の中、
時速九〇キロで淡々と後ろへ流れていくアスファルトの上の点線。
静かな帰路だった。
キャンピングカーの後部座席から聞こえてくるのは、
「うっ……うっ……! ど、どうしよう、ゆきのん……!? ヒッキー怒っちゃった……! ゼッタイ嫌われちゃったよぅ……!!」
いつもは明るい由比ヶ浜が、これまで見せたこともなかった弱々しい様子に、胸がズキズキ痛んだ。
「本当にごめんなさい由比ヶ浜さん……私が勝手な行動をとったせいだわ……」
雪ノ下が、彼女には珍しく、消え入るような声で由比ヶ浜に
「う、ううん、ゆきのんのせいなんかじゃないよ……! あ、あたしが、あたしがそもそも無理を言わなきゃ、こんな事にはならなかったんだし……!!」
由比ヶ浜は泣きながら首を横に振り、雪ノ下に謝り返していた。
「いや、悪いのは私だ……! 私がこんな
私は前を見て運転しながら、二人に聞こえるように謝罪した。
「……」
「……」
……、
……あれ、反応なし?
あ、あれ――……?
……え、マジで私のせい……?
そういえば
酒で記憶が飛ぶことはあまりない(てゆっかよくある)方なのだが……。
私……な、なにか、やらかしちゃったの、かな……?
いまさら二人に聞くのも
「……とにかく、明日、比企谷くんは部活に来るとは言ってたのだし、包み隠さずこちらの事情を話して、
「ヒッキー、あたしたちの話、ちゃんと聞いてくれるかなぁ……?」
「分からない……今回ばかりは、彼から
二人は結局、私の言葉には無反応のまま、明日の作戦を練り始めていた。
ね、ねぇ……?
しかし、比企谷にどう
……あ!
そういや月曜の四限、F組で授業じゃないか……!
などと突然思い出し、二日酔いで吐きまくってボロボロの胃が、ふたたびギリギリと痛み出した。
う――わ――……明日学校行きたくねぇ……!!
////
……とはいっても……、仕事だしなぁ……。
いつまでもウダウダしてはいられないので、のろのろとメイクと着替えを済ませ、ダラダラと家を出た。
家から学校までは、クルマで二〇分弱。朝礼には十分間に合う。
朝の
……いや待て……! 比企谷は遅刻魔だったっけ……。
もし昇降口で厚木教諭に
じわりと冷や汗がにじんできた。
ま……まぁ、あんな形だったとはいえ、いちおう比企谷には、こちらの最低限の事情は説明済みだ。厚木教諭に対しては、うまく合わせて乗り切るだろう。
しかし、その後、私自身がどんな目に
四限はF組で授業。そのすぐ後は昼休み。
比企谷に
それが、怖かった。
……一七歳の少年にギャーギャー言われるのが、ではない。
これまで少しずつだが確実に築けていた
いや違う。うそだ。
比企谷が怒っているのを見るのが、私のせいで怒っているのを見るのが、怖かった。
////
遅く出て焦ってる時に限って、ほぼ全ての信号に引っかかる。
学校には朝礼ギリギリで
教頭から軽く注意を受けたものの、その後は
途中、厚木教諭が私の机へやって来た。
「平塚先生、土日はお疲れ様でした」
声をかけられて、一瞬ギクリとする。
しかしこちらの気持ちとは
「ええ……どうも」
「朝、比企谷に会いましたわ。気持ち
はっはっは、と、厚木教諭は言うだけ言って去っていった。
ひ、比企谷が……気持ちよく、挨拶……!?
心臓にひやりと冷たい
ありえない。
せっかくのソロキャンプを……おそらく、人生で初めて夢中になった趣味で、コツコツと準備して、やっと実現したであろうソロキャンプを、あんなふうに台無しにされて。
今日の比企谷が、いい表情など出来るはずがないのだ。
かつての私なんか、キャンプ中に補導されて以来一〇年以上、警察を恨めしく思ってたというのに。……いやそれ今も、ってことじゃん……。
どういうことなんだ……?
なにか、嫌な予感がした。
胸のざわざわが収まらないまま、二年F組の教室へ向かった。
始業チャイムを聞きながら、ふたつ深呼吸。
……と、とりあえず、今は目の前の授業を片付けねば……!
私はいつもどおり姿勢を正し、教室の扉を開けて、つかつかと
起立、礼、着席。
ざっと教室内を見渡す。生徒全員、黙ってこちらに注目している。
由比ヶ浜と目が合った。彼女は少しあわてて、こちらへこっそり
ううっ……!
私も……チラリと、つとめてさり気なくチラリと、比企谷の方を見……
完っ全に腐り直していた。
それはもう「腐り直した」としか表現できないような目の腐りっぷりだった。
まぶたは完全に脱力して締まりなく、どんよりと
その目が、私の方をじっと見ていて、視線を外そうとしなかった。
うううう……、い……、いたたまれない……!
結局、今日のF組での受業は、新しい題材の表面を
だめだ……! 今日はマジでダメダメだ私……(泣)
などという感情を、生徒の前ではおくびにも出さず、備え付けのちびたチョークで乗り切った。
これ安物だな……。普段、
比企谷とは結局、授業中、目を合わせることが出来なかった。
////
「先生。ちょっとだけお時間、いいですか」
授業後、そそくさと教室を出たところで、背中に比企谷の声を聞いた。
「う……うむ」
キタ――……!!
覚悟していたとはいえ、実際に声をかけられると、心臓がドキン!と痛いほど
どんだけビビってるんだ私……。
「……できれば、指導室とか、人のいないところでお話を……」
そう言う比企谷の声は小さく、ぼそぼそしているのに、不思議と耳に届く。
「……分かった。だが、少し待ってくれないか。昼に、ラーメンの出前を取ってしまった」
つとめて平静を装いながら、視線が合わない程度に首だけ少し振り返って返答した。
てゆっか、何でこんな日にラーメンなんか注文したんだ私……!?
昼休みすぐにとっ捕まったら、
し、仕方なかったんだ……! バタバタしていたせいで朝食を抜いて空腹とはいえ、二日酔いで胃がもたれてて、ガッツリ丼物という感じでもなかったし、かといってコンビニのサラダやサンドイッチは、軽すぎて夜まで腹持ちしないし……!
体の奥の脱水状態を解消する十分な水分と塩分(スープ)、即座にエネルギー化する炭水化物(麺)、適量の肉(チャーシュー)と野菜(ネギ)……。
まさに今の私の体調から理想的な食事は、ラーメン以外になかったんだ……!
「了解す。じゃあ二〇分後に、ということで」
「ああ、……分かった」
良かった。ラーメン頼んでたのはツッコまれなかった。
比企谷の気配は、そのまま遠ざかっていった。
二〇分の延命がきいて、少しホッとしてしまった自分が、情けなかった。
そんな精神状態だったからか、スープも残さず飲み干したのに、ラーメンの味をいまいち感じることが出来なかった。
……意外と
時間がなかったので、食後の
指導室の前の廊下で、比企谷は壁にもたれてぼんやりしていたが、私を見つけるとすぐに直立し、真剣な顔つきになった(ただし目は腐っていた)。
ううう……!
緊張で指先が固く冷たくなっていて、カギが開けづらかった。
指導室の中は、
それが緊張感を
ふつう、指導室では中央の大きなテーブルを挟み、教師と生徒が
テーブルの片側で二人して向き合って座った。
向き合ってすぐ、今日の比企谷は猫背でないことに気付いた。背筋がすっと伸びている。なぜか、緊張しているようだ。
真剣に、話をしに来たのだと、その様子で十分に分かる。
ようやく、
……ここで誠実であらねば、教師としても大人としても、示しがつかない。
「比企谷……改めて、昨日は本当に……」
申し訳なかった、とまず頭を下げようとした瞬間、
「先生、土日のキャンプの件、ありがとうございました。それと、ご迷惑おかけしました。ここまで
比企谷は私より早く、勢いよく頭を下げ、
――気持ち
息が止まって、頭が真っ白になった。
ほんの数秒後、気づくと、私は比企谷の
比企谷は一瞬
それから私が彼に何と言ったのか、実はハッキリ覚えていない。
無我夢中で、私をちゃんと怒れ、君は怒っていいんだ、というようなことを、わめいていたような気がする。
いやだ、と思った。
彼のその、芝居がかった謝罪で、比企谷と私の間に、とても大きな壁が、とても深い溝が、できてしまったような気がして。
彼に突き放されたような気がして。
彼に掴みかかって、必死に叫んで、そして私は、彼に
本音で語ってくれと。本気で私を見てくれと。本当の君の心を見せてくれと。
だが。
「……いやだね」
光のない彼の瞳が、まっすぐ私を見つめてくる。
腹の中に冷気が走った。
彼を掴んだ手から、力が抜ける。
目の前が涙で
悲しさと悔しさが胸の中にあふれ、溺れそうなくらい息苦しい。
急に、初めて彼と話をした時のことを思い出した。
彼を奉仕部へ連行したときのこと、初めてのファーストブリット、いっしょにラーメンを食べたこと、千葉村行きの車の中で二人で繰り広げた会話、文化祭後、独りで黙々と片付けをしていた彼の背中。
このまま終わってしまうのか……!?
そう思ったときだった。
比企谷は少し震えている
「分かったんですよ。親父もあんたも、俺の怒りや恨みが自分に向くなら、それで済むなら、それでいいと考えてる。そうなるように、動いてる。……誰かさんにそっくりだ」
……!?
何の話か、一瞬分からなかった。
しかしすぐに、彼の父親とのメールでのやりとりを思い出した。
アレを読んだのか? どうやって? 彼の父親が見せた?
……小町くんか?
いずれにせよ、確信した。比企谷は、あのメールを読んだのだ。
……だめだ。もう完璧にアウトだ。
自分の知らないところで、大人たちがコソコソと自分のソロキャンプのお
しかも一七歳の思春期。自分自身の力を試そうと意気込んでいるときに。
そんなことをする大人に、……心を開けるわけがない。
……私は、悟った。もはや私は、彼に何を言う資格もないのだt
「……俺に、俺のやり方は通用しない。だから、恨んでなんかやらない」
……ん?
『俺のやり方』……?
あらためて比企谷の顔を見た。相変わらずジトッと腐った目で、私を見つめていた。
だが、最近分かってきたのだが、彼の腐った目にも、いろんな
だるい時の目、スケベなことを考えてる時の目、
そして、……痛々しいほど真っ直ぐな、決意の目。
――『人 〜よく見たら片方楽してる文化祭〜』とか――
……あの時の目だ。
それに思い至った瞬間、私は彼の言葉を理解した。
「……ていうふうに思ったんですが、そうすると論理的に考えて、あとは感謝と申し訳無さしか残ってなかったわけで……。だから、別に
モソモソと付け加えるようなその言葉を聞いて、その後、じわじわと彼の
私たちのことを、許す、と。
しかしそれは、広い心で「いいよいいよ」と受け流す、というものではない。
大人が怖いから悔しいけどじっと我慢する、ということでもない。
私や親父さんの意図を、策を、理解して、なおかつ、それに乗るまいと、さらに上の手で仕返そうとしているのだ。
怒ってるはずなのに、悲しくて悔しいはずなのに、その感情を乗り越えて。
なんという……なんという子どもらしくない
……けれどそれは……。
「……い、一応言っときますが、割と本気で感謝してますよ! 俺の立場を救ってもらってたのは事実なんだし、キャンプだって、別に邪魔されたわけじゃないし……!」
そう続けた比企谷は顔を真っ赤にして、視線を四方へ散らしていた。
「……はぁ……」
私は深く
体の奥から、今まで無自覚だった緊張が解けていった。
胸の底から息を吐いたせいか、
その熱はしだいに、鼻を、目を、そしてもう一度胸を、温め出した。
「君って奴は……本当に……」
なんだろう。胸がどんどん熱くなっていく。
鼓動が早まっていく。
比企谷、それはな、君のその考え方はな。
本当の、ほんとうの意味で「人を許す」ということなんじゃないのか……?
私は、比企谷を力いっぱい抱きしめた。
完全に
自分でもわけがわからなかった。
この瞬間、彼がいとおしくてたまらなかった。
こんなに人を「いとおしい」と感じたことはなかった。
私の手が、指先が、髪が、胸が、頬が、耳が、比企谷に触れている。
彼に触れている。彼の熱を感じている。彼の匂いを感じている。
私の全神経が、心が、感情が、それを喜んでいた。
「な……え、お、……ちょっ……!!?」
いきなりのことに全身をこわばらせた彼のうめき声が、私の耳をくすぐった。
つとめてさりげなく、すいっと彼から体を離す。
私の髪が、最後に
「……十年早い……!!」
口から出たのは、全く意味不明な言葉。
顔がものすごく熱い。
逃げるようにして彼に背を向け、指導室の窓を開けて
……って。
……いや、何が十年早いんだよ!? マジで意味わかんねぇよ私!!
なんだこれ……どうしてこうなった……!!!???
「……な、何……を……!!??」
背中の向こうで比企谷がうめいている。
冷や汗がどっと噴き出した。
ほら、おい!? どうすんの、どうすんのこの状況!? なんて説明すんの!!?
し、指導? 指導とか言ってみる!? 指導室だしね!?
あっ、それだわ、それ!! 指導・自然!!
「光栄に思え……『抹殺のラストブリット』を発動した相手は君が初めてだ」
ナ――――イス!! ナイス指導、私!!
素晴らしい! 最強の指導は『
設 定 追 加 確 定 !!
んなわけあるか!!
だが、比企谷はそれでなんとなく納得したらしく、はぁ、と溜息のようにつぶやいていた。
「……まもなく五限だ。もう行きたまえ」
腕時計をちらっと見て、私は比企谷に退室を
実際は、昼休みはあと十分ほど残っていたが。
「は……はい……」
比企谷は引きずるような足音と共に、指導室を出て行った。
ぱたり、とドアが閉じられ、比企谷の気配が完全に消えたのと同時に、私はヘナヘナと窓枠にすがりついた。
どぅうっっっっはぁああああぁぁぁ……!!
なにしてんだ私……自校生徒相手に……マジで……!!
だが、とんでもない
胸の中には、じわじわと
よかった……! 許してもらえてよかったよぉお……!!
そして……。
……いや、ああ、分かった。
何が十年早いのか。
////
最後の授業を終えて、職員室に戻ったと同時に、どっと机に突っ伏した。
つ、つかれた……! もうダメ……!!
なんか、今日一日で疲労がハンパない。月曜だぞ……!?
仕事は色々山積みだが、今日はもう、これから残業できる気分じゃない。
家に帰って、頭から布団をかぶってジタバタしたい……!!
……でも、悪い気分じゃなかった。
それに、たぶん今から、雪ノ下と由比ヶ浜は奉仕部で、比企谷と改めて話をするだろう。
比企谷があの様子なら、うまく仲直りするはずだ。
結果も気になるし、雪ノ下が鍵を返しに来るまでは、残っておこうかな。
彼女から、いい報告が聞けることを祈りつつ、私はだらだらと職員室に居残って、書類を片付けたりお茶を飲んだりしていた。
が。
突然、ガララッとドアを開けて、雪ノ下と由比ヶ浜が職員室に入ってきた。
つかつかと、まっすぐに私の方へ来る。ふたりともニコニコと、
おっ、首尾よくいったか。今日はもう終わりか?
などと思ったのも一瞬だった。
二人はニコニコしていたが、近づいてくるにつれ、その表情にものすごい違和感を覚えた。
よく見ると、由比ヶ浜にガッチリと
あれっ……!?
なんか、嫌な予感がした。
「ゆ、雪ノ下……?」
「先生、単刀直入に伺います。昼休み、比企谷くんと何があったんですか?」
笑顔を向ける雪ノ下から、いきなりダイレクトな質問が飛んできた。
「ふぇっ!?」
その微笑みに、全身の血が凍った。いきなり過ぎて頭が働かない。
「な……なんのことれしゅか……!?」
噛んだ。しかも敬語。
「ありのままを答えてください。昼休み、比企谷くんと、何をしたんですか?」
雪ノ下はなおも聞いてくる。てゆっか微妙に質問内容変わってない!?
笑顔なのに、彼女の
やべえ、答えなきゃマジでありのままにされそうだ。これぞまさに
「先生、正直に答えてください。でないとあたし……」
そして、雪ノ下にも劣らぬほどの迫力で迫ってきたのは由比ヶ浜。
彼女も微笑んでいるのに、背後にどす黒い
かげろうのように周りの景色がゆらいでいる。
やばいやばいやばい! 焼かれる!! 消し炭も残らないほど焼きつくされる!!
誰だ三浦程度のを『獄炎の女王』なんて言ってたのは……!?
「べ、べべべ、別に何も……な、なぁ比企谷……!? ふ、フツーに話し合って……」
二人の視線から逃れるように、比企谷に目を向ける。私より顔が青い。
「……先生、もうダメです……!」
「「黙れ」」
二人のドスの効いたひと声に、ひっ、と比企谷の息が引っ込んだ。
私の息も引っ込んだ。
……そこからたっぷり、完全下校時刻までの間。
私と比企谷は二人の前に正座させられ、絶対凍気と極大熱炎で
がっっっっっっっっっっっっっつり
ここで比企谷が「いや……先生の方からいきなりな……!」と、私をキレ――イに売り渡した。
てめぇこのやろう比企谷……!! 覚えてろ……!!
結局、「比企谷が今回の件を許してくれて、感謝感動のあまりちょっとハグした」、という感じで話は落ち着いた。
雪ノ下たちも「まったく……男子生徒に対して……! 比企谷くんだから問題にならないものの……」くらいで
こうして、私の長い月曜日は、なんとかかんとか終わったのだった。
【いちおう解説】
平塚先生が授業中に言っていた「羽衣製」とは、黒板用チョークのロールスロイスとも言われ、日本だけでなく世界各地の教師、数学者(黒板に数式を書いて頭を整理する)、予備校講師などに愛用者が多い「羽衣文具」製のチョークのことです。
二〇一五年三月末、羽衣文具は国内でのチョーク需要の減少や、後継者がいないことなどが原因で、チョークの生産を終了、廃業しました。
このとき、けっこうな数の関係者が在庫を爆買いしたとのこと。
ただ、国内では引き続き、技術を継承した(株)馬印が、一部の主要チョークの生産を継続することとなり、また韓国の予備校講師が、製造機械をごっそり買い取り、韓国にて同品質のチョーク製造をおこなう事業を始める、と話題になっていました。
いま、どうなってんのかなぁ。