魔法科高校の劣等生(男女逆転サバイバル編)   作:4月の桜もち

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どうも今日は。お久しぶりの方もいるかも知れません。やっとこさ意欲が湧いてきました。

暑くなってきたのでバカンスにでも行こうかーと思ったらお金がなかったので代わりに彼らに楽しんでもらいます。


流石は姉上です。

「納得出来ません」

「まだ言っているのか・・?」

 

第一高校の入学式、より、2時間も早い時間に校内で佇む真新しい制服に身を包んだ男女が何やら言い争っていた。

同じ新入生、同じ制服に見えるが微妙に、しかし明確に異なる点が1個だけあった。

女の胸元には第一高校のエンブレム、8枚の花弁がデザインされている。しかし男のブレザーにはそれが、無い。

 

「何故お兄様が補欠なのですか!入試の結果はトップだったというのに!お兄様がお兄様でお兄様のお兄様お兄様お兄様」

 

 

「んん・・・?」

 

 

「・・・ね・・・・・え・・・あね・・・え」

「んー・・・」

「姉上!」

「わ、びっくりしたよ」

 

そう言う割に少女の寝起きの顔からは何の情報も読み取れない。

思ったような反応が得られなかった少年は、ほう、と艷やかな溜息を吐いた。

 

ここは閑静な住宅街に建つ一戸建ての家の部屋の1つ。

(※ここは〜…どうも一戸建ての家に兄妹で住んでいるそうです。もう1人住人がいるらしいけど(゚⊿゚)シラネ)

 

この部屋の主はベッドの上でぐっと伸びをしている少女、司波達美(し ば たつみ)

(※司波達美…原作では皆さんおなじみの主人公、司波達也(

ば たつや)お兄様。俺ってば名家の生まれだし、高性能CADも自作できるけど劣等生だわー、俺まじ劣等生だわー)

 

平凡な顔立ちだが、うっすらと開かれた瞼から見える眼差しは鋭い。

その少女の着替えを準備している少年は司波雪雄(し ば ゆきお)

(※司波雪雄…司波深雪(し ば みゆき)さん。確かに私は校内一の美少女だし、成績もトップクラスだけどお兄様には敵いませんわ。だってお兄様は世界一強くて、賢くて、何よりも優秀なんですもの!それを雑草呼ばわりするとかまじ許せんし、氷漬けにしてやろうか貴様等。だけどそんなクズですら許されるなんて流石はお兄様ですわ!)

 

達美の弟である。しかし、姉弟と言うにはあまりにも似ていなかった。

箪笥の中の衣服を眺める切れ長の瞳は黒真珠よりも黒く、悩ましく顰められた眉に掛かる漆黒の髪は動きに合わせてサラサラと揺れる。

コーディネートを考えている、ただそれだけなのになんと絵になることか。

 

「姉上、こちらにお着替えを置いておきます」

「ありがとう雪雄」

 

何故かベッドの横に跪く弟の頭を当たり前のように小さな手でゆっきりと撫でる姉。

当人達はとても幸せそうだ。

 

「お着替えが済んだら下にいらしてくださいね。朝食を準備しておりますので」

「雪雄の手作り?」

「ええ、もちろん」

「それは楽しみ」

 

撫でられるのに満足したのか、スッと立ち上がり最後にニコリと微笑んだ後、扉の向こうに消えてしまった。

 

(さて、シャワーでも浴びようか)

 

寝汗でベトベトの体をさっぱりさせる為に達美はシャワールームに向かった。

 

シャァアア

 

(あの夢は何だったんだろう?私達が入学した時と全く同じだったけど)

 

温かい湯を浴びると段々、頭がはっきりしてきた。徐々に覚醒する頭には先程の夢に対する疑問が浮かんでいた。

 

(私に似た男・・・雪雄の女の子版みたいな可愛らしい少女。私達と同じ様な事を喋っていた・・・まあ、所詮夢だし考えても仕方ないか)

 

キュッと蛇口を捻ってシャワーをとめる。

湯気の溢れるシャワールームを出て、タオルで適当に髪を拭いている。短めの髪なのですぐに乾きそうだ。そして雪雄の出してくれた服を着る。と、言っても制服なのだが、雪雄は凝り性でその日その日に合ったレースを着せないと満足できないようなのだ。

 

(今日は先生の所に行く日じゃないし、暇だな。雪雄の手料理でも食べて何して暇をつぶすか考えよう)

 

階段を降りるとジュージューと油の弾ける音と、食欲をそそる香りが漂ってきた。

 

「どうぞお席に着いてください。姉上」

「うん、いい匂いだね。雪雄の作った朝ごはんを食べると1日中元気でいられるよ」

「そんな、姉上、姉上の為ですから。腕によりをかけますよ。何でも仰ってください」

「ありがとう、じゃあコーヒー貰えるかな」

「喜んで」

 

雪雄が引いてくれた椅子に腰掛ける。

至れり尽くせりだ。何か手伝おうとした事もあったようだが、雪雄が頑なに断るのでその内手を出すのをやめてしまった。

 

「どうぞ」

「ん、いただきます」

「いただきます」

 

達美の目の前に置かれたのはこんがりトーストとふんわりオムレツ、カリカリベーコンの乗ったサラダという豪華な内容の朝食だ。そして新たにコーヒーが乗せられた。

コーヒーは悪魔のような色をしていたが、1口飲んでみると、色に反して軽くさっぱりとした味わいだった。

お次はこんがりトーストにバターをたっぷりと。焼きたてのパンにじんわりとバターが染みこんでいく様は見ていて楽しい。

パクっといけば、人生でも五本の指に入る幸せに出会える。

 

「良い小麦粉が入ったので焼いてみましたが、どうですか?」

「美味しいよ。すごく美味しい。やっぱり雪雄は料理が上手いね。いいお婿さんになるよ」

「やめてください、婿だなんて」

 

今日は何だか雪雄の様子がおかしいようだ。現に今もクネクネしている。

彼の威厳のために言うが、いつもはこんな軟体動物のような動きはしない。

 

「沢山お食べになって下さい。今日は動くでしょうから」

「今日は何かあったっけ?」

 

そう言った途端、雪雄の目が大きく開かれた。つまり、驚いた表情をしているのである。

 

「どうしたの?」

「お忘れですか、姉上。今日は校外試験のある日ですよ」

 

すっかり忘れていたようだ。

時計を見るといつもならまだ悠々と朝食をとっている時間、だが、校外試験というからには準備するものがあるだろう。時計が早く動けと急かしてくる。

 

「そう、だったか・・・急がないと」

「そうですね。でもよく噛んで下さいね」

「うん」

 

忙しい食事風景は面白くないのでカット。

 

「行ってきます」

「行ってきます」

 

誰もいない玄関に向かって呟く。声は誰が聞き届けるでもなく虚空に消えていく。

 

「参りましょうか、姉上」

 

車の中から達美を呼ぶ雪雄。

 

「それじゃあ、行こう」




沖縄・・・ハワイ・・・まあ、暑いの苦手なんで家の外に出たくないんですけどね。

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