ISってなに?   作:reレスト

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いい加減疲れたよ……犬でも飼って絵の前で寝るべきか……

はぁ、来ちまったよ。めんどくさいなぁ、マジで帰りてぇ

 

 

………なんか変態君はもうISを装着してやる気満々だな。機体は……ラファールね、まぁ特出したもんがない代わりに扱い易くて戦況に合わせた行動が取れる、使い勝手が良い機体だ。それにこの見せ物みたいな出し物の為に、わざわざ機体のデータをいじって、理想的な射撃体勢の維持と、ある程度の自動補正がついてて命中率の向上がされてるみたいだし。わりと楽な出し物だな

 

 

ん〜?アリーナの中心からスタートで、四方からランダムに出てくる、計30個のターゲットを何個撃ち落とせるかを競うのか。

 

 

スコアの上のやつはほとんどどパーフェクトか、下位のやつでも平均15個ねぇ。簡単過ぎな気もするが、お偉いさんが見てるからなぁ。デモンストレーションとして無様なもんは見せられないだろうから、妥当っちゃ妥当か、

 

 

「よく逃げずに来たな」

 

 

変態君が腕を組みながら声をかけてきた、ISスーツまで着てるとか。どんだけやる気なんだよ、てかへそだしって………まぁ、人の趣味にケチつけるつもりはないが、趣味悪くないか?

 

 

ISスーツを着なくても操縦出来んのに、わざわざヘソ出して露出する意味が分からん

 

 

ん?俺か?俺は普段は普通に制服だけど?

 

 

 

 

 

いやさ、授業の度に着替えんのもめんどいし、ISスーツ着なくても多少、反応が鈍くなる程度だしなぁ。で、色々考えた結果、めんどいから着ないという結論に達した

 

 

……それにどっかの会社のISスーツだけ着たりしたら色々めんどくさいことになるしな

 

 

 

まぁ、変態君は毎回違う種類のスーツを着ては、文句を言ってるらしいけどな。このスーツは俺の動きに合ってないとか、見た目が地味だとか……見た目地味でも性能が良かったらいいと思うんだが

 

 

あぁ、ちなみに。今の格好は執事服だ、これも賞品の為だ。つか、これくらいのメリットがなかったらマジで帰ってるわ

 

 

「フッ、今更ながら怖じ気づいて何も言い返せないか」

 

 

……?あぁ、まだ喋ってたのか。全く気付かなかったな。うーん、この考え事をしてたら周りの話を聞けなくなる癖?は治した方がいいか、攻撃とかだったら反応出来るんだけどねぇ

 

 

「しかも何だよ、その格好。あぁ、お前みたいに企業からISスーツすら貰えないやつにはそんな似合わない服しかないのか」

 

 

変態君がやたらと人を見下した顔をして、微妙にピンポイントなタイミングで皮肉を言ってきた

 

 

似合わないってのは同意出来るな、俺の見た目って普通だし

 

 

けど、ここまで自分の都合良く物事を考えられるのは一種の才能な気がしてきたな。俺もあれぐらい能天気だったら……気持ち悪いことこの上ないな、却下だ

 

 

「なぁ」

 

 

 

「なんだ、降参か?」

 

 

「この勝負って、俺が勝ったら何があるんだ?」

 

 

とりあえず、これを聞いておかないと。俺のモチベーションがもしかしたら上がるかもしれないしな〜……果てしなくろくでもないことのような気もするが

 

 

「は?……プッ、アハハハ!何だよお前、俺に勝てるとでも思ってんのか?あり得ねぇだろ?」

 

 

俺の質問に対して、きょとんとしていた変態君は急に笑いだし。自分が負ける分けがないと、断言した

 

 

自信満々ってかこのパターンばっかりだな、まぁどうでもいいか

 

 

「で、勝てるかどうかは別にして。俺が勝った場合は何があるんだ?」

 

 

「そうだな、まぁあり得ねぇけど。俺にもしも勝ったら、俺が今受けてやってる。企業のテストパイロットの役を譲ってやるよ。」

 

 

………い、いらねぇーー!!

何だよそれ。そんなもん大分前に断った。てか、拒否した役じゃねぇか!何が悲しくて、そんなもんの為にこんなくそめんどくさいことをしなきゃなんねぇんだよ

 

 

ヤバい、やる気が全く起きねぇ。あ〜、他の景品でも変態君から貰える物とか全くないしなぁ。勝っても負けてもデメリットしかないとか、どんな嫌がらせだよ

 

 

「あぁ、じゃあルールに追加で文句なしの一発勝負にしてくれ」

 

 

「はぁ?なんでだよ」

 

 

 

 

 

「今まで、そっちが一方的に色々決めたんだ。それくらいいだろ?それとも一回で勝つ自信がないのか?」

 

 

変態君が俺が出した条件に質問してくるが、説明したら意味がないのでかなりテキトーな挑発をする。普通のやつだったら乗らないだ「調子に乗るなよ!いいだろう、その条件でやってやるよ!」

 

 

………まぁ、普通じゃないとは思ってたけどさ。これはさすがに、ねぇ?なんとなく、変態君の扱い方が分かったわ

 

 

「格の違いを見せてやるよ!」

 

 

と言って、変態君はアリーナの中央に向かって行った

 

 

さて、実際のところ、どんだけ出来んのかねぇ?見たことないからなんとも言えんしな

 

 

「お前らは知ってるか?」

 

 

 

「……見てもいないのになんで気づけるんですか」

 

 

「すごいね〜流石ゆーくん!これも束さんとゆーくんの愛の力だね!」

 

 

後ろから近づいてきた天災達に質問したら、一人には質問で返されて、もう一匹は完全に話を無視してアホなことを言ってきた

 

 

「……質問に答えろよ」

 

 

「悠夜さんも主語を入れて話してくださいよ」

 

 

「だいたい分かってんだろうが、変態君の実力だよ。気づいたのはあれだ、小動物とかの危機察知能力みたいなやつ?だよ」

 

 

「……実力は見たら分かりますよ。悠夜さんが小動物?笑えない冗談ですね、そんなこと言ったら世の中の8割の生物が小動物ですよ」

 

 

「あれぇ?二人共〜束さんを無視しないで〜」

 

 

「さいですか。お前らという災害に怯えて察知する、っていう点では同じだろが。つか機嫌悪いからって八つ当たりしてくんな」

 

 

「束はともかく、私まで災害呼ばわりはひどいですね。……ここまで来る間に『三角関係?それとも四角関係?』等と外部からの客に噂され、学園の生徒には同情の視線を送られたら八つ当たりもしたくなりますよ」

 

 

「お〜い、なんで二人共、束さんから視線を逸らすの?泣いちゃうよ?束さん泣いちゃうよ〜?」

 

 

「方向性が多少違うだけで、お前らは俺からしたら大差ねぇんだよ。だからって俺に当たるな。

 

 

 

ただでさえこれからめんどくさいことをやらなきゃならんのに、これ以上疲れさせんな」

 

 

こうなった原因はこいつらなのに、なんで八つ当たりまでされなきゃなんねぇんだよ。めんどくさい

 

って、喋ってる間に始まったな。まずは正面から飛んで来る的を……は?なんで撃たずにスルーしてんの?

 

 

「フッ」バン!

 

 

変態君は飛んできた的を撃たずにスルーしたかと思ったら、後ろに飛んで行った的を振り向かずに手だけを後ろに向けて片手で撃った。

 

 

 

 

 

が弾は的には当たらずに見当違いの方向に飛んで行った

 

 

ISにはハイパーセンサーっていう視覚外のことまで知覚できる便利な物もついてる

 

 

そのハイパーセンサーのおかげで360°全ての方向を目で見てるのと同じように認識できる。けど、そんな便利な物があっても主体になるのは自分の目だ

 

 

なのにわざわざ格好をつける為に見ないで撃つとか……バカだろ

 

 

しかもあんなテキトーな構えかた(構えですらないが)で撃つなよ。この出し物で使われてるISには理想的な射撃姿勢の維持と、ある程度の自動補正がついてる。理想的な射撃姿勢ってのはつまりだいたいの型があるっていうことだ。

 

まぁ、慣れてきたら構えとか気にしなくても当てられるけどなぁその型をなぞって、自動補正に任せて撃ったらある程度は当たるように調整されてるんだが……

 

 

 

その補助を全部無視して、無理やりあんな動きしたらIS自体に負荷がかかるぞ。今日は朝から整備なしでずっと使ってたみたいだし、そろそろヤバいんじゃねぇの?

 

あのISって変態君の後は俺が使うんだが………壊れてたりしないよな?IS自体は頑丈なんだが、色々繊細なデータを入れてるみたいだし、あんな動きを想定してデータを入れてないだろうしなぁ。データがイカれて変な動きをしそうでかなり心配だ


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