ISってなに?   作:reレスト

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憂さ晴らし+八つ当たり=災難……あ、割りに合わねぇわ……

「お帰りなさいませ、お嬢様方、どうぞこちらに席へご案内いたします」

 

 

微笑みを浮かべて新しい客を空いている席に案内する、朝から始めてかれこれ4時間程が経つが客足は絶えるどころか増え続けて今はだいたい1時待ちだ

 

 

俺は賞品の為に頑張ってはいるがそろそろヤバイから休憩に入りたいのだが、いかんせん執事&メイド喫茶と銘打っている手前、執事とメイドが抜けるのは厳しいものがある

 

 

それでも今並んでいる客で一旦店を閉じて2時間程の休憩を取れるようにしてもらった、そろそろ限界だしなぁ、ん?あぁ、俺じゃねぇぞ、確かに腹はへってきてはいるがこんなもん賞品のことを考えたら何とかなる、問題は……

 

「いらっしゃいませ、席へご案内します」

 

 

「君カワイイね〜、名前なんて言うの?」

 

 

「どうぞこちらに」

 

 

「冷たいな〜、ねぇ休憩いつ取るの?もしよかったら一緒に学園祭まわらない?」

 

 

「こちらがメニューになります、お決まりになりましたらベルを鳴らして下さい」

 

 

と言って男の質問を全て無視してとっとと次の客のところに向かう織斑、愛想のかけらもねぇな、おい

 

 

そう問題は織斑だ、無表情で無愛想とおよそ接客に大切なものをごっそり抜き取ったような態度で今まで仕事をこなしている、本来なら笑顔を浮かべてお帰りなさいませご主人様、という感じの接客だったんだが

 

 

「そんな気持ちの悪い挨拶など出来るか!それに面白くもないのに笑える筈ないだろう」

 

 

と言って今の主人(客)に冷たいメイドが出来上がったという訳だ……接客?斬客だろ、これ

 

 

まぁそれでも見た目がいいから店に寄ってくるお客様(善意の募金者)が絶えないんだからすげぇよなぁ、織斑を知っていてナンパしに行く猛者は中々いないが気付かずにナンパして撃沈していく奴らは後を絶たない

 

 

よくやるな〜、ちなみに基本、男の対応は織斑が、お嬢様方の対応は俺が受け持っている、百合が咲いていそうなお嬢様は顔を若干しかめながら織斑が対応している

 

 

……まぁ貢献度が上がって賞品に近付くから良いんだが、接客が二人っておかしいだろ?それでも店が廻ってんだから織斑も俺も凄いと思う

 

が、さっきも言ったように織斑がそろそろヤバイ、かなりイライラしてきているからめんどくさいことになる前に休憩に入りたいんだが、っと席が開いたし次の客を入れなきゃならんな

 

 

「お帰りなさいませお嬢様、出口はあちらになっております」

 

 

 

「ゆーくんひどいよ〜、今の束さんはお客様なんだよ!ちゃんと接客してね♪」

 

 

すまん、さっきは大丈夫だとか言ってたが駄目だ、かなりイラついてきた、そもそもなんでこいつが客として来てんだよ、仕事は……ないんだったな、メイド服を着るだけ着て仕事は全くしない、というよりはこいつの接客は接客なり得ない上に厨房に行かしても連携なんか出来ないから自由にさせてたんだったな

 

 

はぁ、やりたくねぇなぁ

 

 

「失礼いたしましたお嬢様、席にご案内いたしますが、その前に、胸元、肩、髪留め、袖についている小型カメラをおとり下さい、当店での写真撮影等は禁止されておりますので」

 

 

「な、なんのことかな〜?束さんには分からないんだよ〜」

 

 

ほう、しらをきるつもりか、ならこちらにも考えがある

 

 

「そうですか、ならすみませんが一応身体検査を受けていただけますか?こちらが間違えていたなら商品は全て無料とさせていただきますので」

 

 

「えっ!身体検査!そんな〜こんなところでなんて、ゆーくんのえっち///」

 

 

顔を赤くしくねくね動きながらふざけたことを宣うウサ耳バカ

 

 

「いえいえ、滅相もございません、ちゃんと控室でいたしますよ」

 

 

「人気のない所に行くの?ゆーくんもしかしてホントに」

 

 

「当店のメイドが」

 

 

「ごめんなさい〜ちゃんと渡すからそれだけは許して〜」

 

 

様々な箇所からカメラを取り外しつつ半泣きになりながら謝ってくるウサ耳バカ、そりゃあ俺の後ろからバンバン殺気を飛ばしている織斑(冥土)の顔を見たらそうなるだろうよ、顔が見れない俺でも今の織斑の状態は想像がつくのに直で見てるウサ耳バカにはキツイだろうな

 

 

……隅の方の席に連れて来て正解だったな、今の織斑の顔を見たら多分客は逃げるだろうし、売り上げが、ねぇ?

 

 

ちなみに写真撮影禁止なのはそんなことをしていたらキリがないし、俺も織斑も撮られのが嫌だったからだ、何が悲しくてこんな恰好の自分を撮られなきゃならんのだ、それに盗撮なんかあったら客足が減るからな

 

 

「……確かに預かりました、ではメニューはこちらになります、お決まりになられましたら備え付けのベルをお鳴らし下さい」

 

 

グイッ、とそこから離れようとしたら服の裾を掴まれた

 

 

「……どうかなさいましたか?服が伸びるので、御用でしたら出来るだけ声を掛けるかベルを鳴らして下さい」

 

 

一瞬、素の表情と声で反応しそうになったがこいつでも一応、一応は客なので笑顔で対応する

 

 

「ふっふっふ、束さんのメニューはもう決まってるんだよ!」

 

 

とニヤニヤしながら宣言してきた……まさか

 

 

「324332*のNo.2852チョコレートケーキで♪」

 

 

……なんでお前がそれ知ってんだよ、それはここに来て一度来る度にもらえる暗号を五個手に入れてそれを解かなきゃ分からない筈だ、回数来ても今まで誰も解けなかったから安心してたのに、つーかこいつ五回も来てねぇだろ

 

 

「……失礼ですがお嬢様は当店に何度来られましたか?」

 

 

「今回が初めてだよ〜、あ!暗号のことならなんか集まって解こうとしてたのを見て解いたんだよ!別に貰えた暗号を持ってこいとか言ってなかったし答えだけで大丈夫でしょ?」

 

 

……おい、俺はちゃんと言った筈だろ、暗号も持って来るように説明しとけって?なんで暗号無しになってんだ

 

 

と厨房(といっても紅茶やケーキが置いてあるだけ)を見たらなんか皆頭を下げてカンペ?を見せてきた、何々、『ごめんなさい、言うの忘れてました』か………殴っていいかな?今の世の中男女平等どころか女性優位なんだから問題ないだろ?ん?それとこれとは違うって?……ならこのやり場のない怒りはどうしろって言うんだよ

 

……はぁ、とりあえず仕事するか

 

 

「そうでしたか、すみませんでした、少々お待ち下さいね、直ぐにお持ちします」

 

 

「うん!お願いね〜」

 

 

ウサ耳バカに声を掛けて厨房に戻りメニューを告げる

 

「特別メニューのチョコレートケーキを一つ」

 

 

「う、うん、あのごめんね水無月君」

 

 

「何に謝ってるのかな、俺には分からないな」

 

 

俺は何故か謝ってきた女子とその後ろの女子達にイイ笑みを浮かべて質問する、なんか顔を青くしてるけどなんでだろうねぇ?

 

固まってしまった女子達は放っておいて普通に出しているケーキとは違う所に置いている特別メニューのチョコレートケーキを持ち出し運ぶ

 

 

「お待たせいたしました、こちらが特別メニューのチョコレートケーキになります」

 

 

「わぁ〜い!待ってたんだよ〜!すっごく久しぶりだね、ゆーくんの手作りのお菓子♪」

 

 

……全く店の手伝いしてなかったくせになんでこいつはこういう事だけは覚えてるんだよ、って当たり前か、特別メニューの手作りのお菓子を作る羽目になったのはこいつと織斑のせいだったな

 

 

 

なんで俺がこんなお菓子作りなんてたまにしかしないことをして特別メニューとして出してるのかと言うとだ、この喫茶店のメインは当然のことながら執事とメイドだ、だけどそれだけじゃインパクトが足りない!とかクラスの女子達が言い出して何か他にないかと考えていたところにこのウサ耳バカが

 

 

「ねぇねぇゆーくん、束さん、久しぶりにゆーくんの手作りお菓子が食べたいなぁ〜」

 

 

といらんことを言いやがった上にさらに追い討ちかけるように

 

「そうだな、悠夜さんの作るお菓子は絶品だったからな、是非ともまた食べたいものだ」

 

 

と織斑が言いやがった、結果、俺が特別メニューのお菓子を作ることと相成った……とりあえずあれだ、執事とメイドが居てどこがインパクトが足りないんだ?まぁ結局作った物は誰にも味見させず、暗号も俺がかなりめんどくさく作ったから数はいらんだろと少しだけ作って置いといたんだが、甘かったか

 

 

あん?なんでお菓子なんか作れるのかだって?………今までの俺の生活知ってるんだったらわかると思うけど、胃がな、やばいんだよだからあんまり市販の甘味ばっか食ってると胃に悪いってんで自分なりに味をあまり落とさず胃に優しい甘味を作ってる内に上達した

 

……やめろよ、その生暖かい目を、死にたくなって来るから

 

 

で、なんで織斑達が知ってるのかというと、少しケーキを作り過ぎたときに紅葉と海に持っていってやったんだよ、ちょうど二人揃ってたから手渡して俺が作ったやつだから日もちしないし直ぐに食べろよ〜と言って帰ったのだが、二人は心優しいことに自分達の分を半分にして姉達にも食べさせたそうだ、俺が作ったことを言って

 

 

 

……あれは怒れないよなぁ心優しく育ってくれててなによりだよちくしょう、そのせいでばれたって訳だよ、四人とも揃いも揃ってシスコンのブラコンってことを考えなかった俺が悪かったんだな、きっと、はぁ

 

「ではどうぞごゆっくり」

 

と言って立ち去ろうとしたのだが、直ぐさまベルを鳴らされて立ち止まるしかなくなった、ちっ

 

 

「どうかなさいましたか?」

 

 

「逃げちゃダメだよゆーくん、ちゃんと特別メニューをしてくれないとね♪」

 

 

満面の笑みでオーダー(拷問)を出してくるウサ耳バカ……覚えてやがったか

 

 

「そうですね、大変失礼いたしました、それでは少し失礼して」

 

 

顔が引き攣るのを必死に我慢してフォークをとり、一口サイズにしたケーキをウサ耳バカの前に運ぶ

 

 

「あ〜ん♪」

 

 

そのまま口を開けたウサ耳バカに食べさせる、とそれを見た周りから黄色い声が上がった……うるせぇ

 

 

 

要するに特別メニューとは俺(執事)が作ったお菓子を俺(執事)に食べさせてもらえるというものだ、こんなこと例え賞品のためでもやりたくなかったから暗号を難しくしたのに意味なかったな、ちなみにメイドバージョンはない、千冬様にはそんなことさせられないんだと、思い出したらまたイラついてきたがとりあえずこの拷問をとっとと終わらせよう

 

 

「うん!すっごく美味しいよ〜♪あのいじわるな暗号をがんばって解いた甲斐があったよ!ゆーくんがこんなにサービスしてくれるなんてこんな時くらいしかないからね!」

 

 

 

私幸せですって感じのオーラ全開で感想を言ってくるウサ耳バカ、余計なお世話だ

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

それでも笑顔を絶やさずに俺は苦行を成し遂げた、頑張った自分を褒めてやりたい

 

 

「おいしかった〜ごちそうさまだよ、ゆーくん」

 

 

「ご満足頂けたようでなによりです、お会計は」

 

 

ダンッ!

 

 

「おいおい何だよこの店は!客にこんなもん食わせるつもりか!」

 

 

やっと拷問から開放されたと思って会計をとろうとしたら耳障りな怒鳴り声が聞こえてきた

 

 

「どうかなさいましたか」

 

近くにいた織斑が怒鳴り声をあげた客とその連れの席に向かい対応した

 

 

「どうしたもこうしたもねぇよ!俺が頼んだ紅茶の中に髪の毛が入ってたんだよどうしてくれんだ?あぁ!」

 

 

どうやら紅茶の中に髪の毛が入っていたとクレームをつけているらしい、この女性優位の世界でそんなことができるとは素晴らしいバカだな、が、ちょうどいい

 

「すみません、直ぐに取り替えます」

 

 

「取り替えたらいいってもんじゃねぇだろ!」

 

 

「代金の方も結構ですので」

 

「それじゃ足りねぇな、そうだあんたメイドなんだろ、メイドなら俺達にご奉仕してくれよ」

 

 

「そうだな、客にこんなもんを出したんだから当然だろ?」

 

 

「なっ!」

 

 

ニヤニヤしながら頭の悪いことを抜かす勇者(バカ)二人、織斑の顔が怒りで歪みそのままだったら織斑があいつらを叩きのめして終わりだろうがそれはダメだ、店のイメージが壊れるし、なにより

 

 

「オラ、早くしろよ」

 

 

「お客様、どうなさいましたか?」

 

 

「あぁ?何だテメェ」

 

 

「当店の執事ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺のウサ晴らしができねぇだろ?

 

その時チンピラもどきを見た俺の顔は魔王すら裸足で逃げ出すほどの愉悦と歓喜が滲み出た狩る者の表情だったと後にウサ耳が語ったらしい

 

 

「テメェなんか呼んでねぇからとっとと失せろ」

 

 

俺の突然の登場に少しチンピラもどきは身構えたがすぐに自分達が有利だと勘違いも甚だしい態度に戻る、観察してみたら何かスポーツでもやっていたのかなかなかのガタイだった

 

 

「いえいえ、そうはいきません、当店が粗相をしたなら直ぐさま対応するのがわたくしめの役目ですから」

 

俺は笑顔を絶やさずに対応する

 

 

「チッ!うるせぇ奴だな、テメェらが出した紅茶の中に髪の毛が入ってたんだよ!」

 

 

カップの中を見てみると確かに髪の毛が入っていた、が

 

 

「おや?確かに髪の毛が入っていますが随分短いようですね?」

 

 

というとさっきまでニヤニヤ笑っていた勇者(バカ)二人があからさまに動揺した、アホだなこいつら

 

 

「そ、それがどうしたってんだよ!」

 

 

「いえ、当店の従業員は私以外は全て女性ですのでこのように短い髪をした者は居ないんですよ、それに私もこのような長さの髪ですし、少し気になったんですよ」

 

 

「な、何だよ!テメェは俺らがこの髪の毛を紅茶に入れたとでも言うのか!あぁ!」

 

 

不利になったら怒鳴ってごまかす、単純だねぇ

 

 

「滅相もございません、お客様がそのようなことをするはずがありませんでしょう?」

 

と助け船をだすとホッとするバカ達、助け船っつっても爆薬が満載の船だけどな

 

「あ、当たり前だろうが」

 

「そうでしょうね、ですので今からこの髪の毛のDNAを調べます」

 

 

「はっ?」

 

 

アホずらを並べるチンピラもどき、愉しくなってきたな

 

 

「ご安心下さい、当学園には最新の機材が揃っていますのでお客様に粗相をした者を直ぐに見つけだしてしかるべき対応をさせます」

 

「あぁ、もちろんそのようなことは有り得ないとは思いますがもし仮に髪の毛の持ち主がお客様だった場合は、おっとすみません、わざわざ有り得ないことの末路を言っても仕方ありませんね」

 

 

今まで浮かべていた笑顔を嘲笑に変える、もちろんチンピラもどき達だけに見えるように

 

 

今まで有利だったのに一転して追い詰められて顔を青くしていたチンピラもどき達は俺の顔を見て真っ赤になる

 

 

「ふ、ふざけんじゃねぇ!」

 

 

ガシャン!と髪の毛が入っているカップを俺目掛けて弾き飛ばしてくる、へぇ証拠隠滅に俺への攻撃か、割りと頭回るねぇ、けど

 

 

飛んでくるカップの取っ手をを直ぐさま掴み、カップの中身を零さないようにその場でカップの推進力に逆らわずに受け流し回る、そしてそのまんま360°回転し紅茶の中身をチンピラもどき達にぶちまけて優雅にカップを皿の上に戻す、我ながら完璧だな

 

 

ん?何かおかしいか?完璧だっただろ?カップも割れてないし周りの客にも被害は無しでこいつらには紅茶を味あわせてやったんだからな

 

 

「「ギャアアア!!アッチィ!!」」

 

 

顔を押さえて転げ回るアホども、そりゃあ熱いだろうよ、紅茶は冷えないように特殊な皿の上に置いてあったんだから

 

 

「おや、これは失礼しました、私もまだまだ未熟ですね」

 

 

「テメェ!ぶっ殺してやる!」

 

俺の慇懃なもの言いにキレたガタイがいいほうのバカが起き上がり突っ込んできて拳を振り上げ殴りかかってくる、周りから悲鳴が上がるがこんなもんあのブラコン(斬鉄)の攻撃に比べたら遅すぎる

 

 

俺は殴りかかってくる手を掴み軽く手首を拈ると突っ込んできたバカは華麗に宙を舞った、本来ならここで綺麗に背中から落として引き上げてやったらそこまでのダメージにはならないが残念、これは俺のウサ晴らしなのでそこまで優しくねぇ、空中で手を離しバカの落下地点のしたに執事服とセットの革靴を履いた足の爪先を立てて置いておく、すると

 

 

メキッ

 

 

「カハッ」

 

 

自分の体重+速度が爪先一点にかかり、ちょっといやーな音とともにバカその1は気絶した、ちなみに足は周りに見えないようにやった

 

 

さて次は

 

 

「ひっ!」

 

 

もう一人のバカを見るとあからさまにビビられた、まぁ見るからに肉体派の相方が瞬殺されたからな、そらビビるわな、まぁ手は抜かないけど

 

「う、うわぁー!!」

 

 

自棄になったのか突っ込んできたバカその2をさっきのリプレイの如く同じように気絶させる、そしてその場で一礼、すると周りは歓声を上げた

 

 

はぁ−スッキリした、俺が清々しい顔をしていると織斑が近づいてきた

 

 

「悠夜さん、ありがとうございます助かりました」

 

 

「ストレス溜まってたからちょうどよかったな」

 

 

「……だからあのまま落とさずに足を入れてたんですね」

 

 

「さぁ?何のことだ?」

 

 

「はぁ、それよりもどうするんですか?紅茶の中身を全部こいつらにかけたからカップの中にはもう髪の毛はありませんし、下手をしたら悠夜さんまで怒られますよ」

 

 

「何言ってんだよ?ちゃんとカップ見てみ」

 

 

とカップを覗いた織斑がびっくりしたような顔でこちらを見てきた

 

 

「ちゃんと入ってるだろ?」

 

 

「どうやって」

 

 

「ガタイがいいって便利だよなぁ、そっちの方に目が行くし影になる部分も多いからな」

 

 

俺の返答を聞いて顔を引き攣らせる織斑

 

 

「……空中を飛ばしてる間に、ですか」

 

 

「何言ってんだよ、カップには最初から入ってただろ?髪の毛」

 

 

俺が笑顔で言うと織斑はこめかみを押さえた、ばれなきゃいいんだよ、ばれなきゃな

 

 

「とりあえずこいつらを警備員に引き渡すか」

 

 

「そうですね」

 

警備員を呼んでチンピラもどきを引き渡し残りの客をはけて、ウサ耳バカをテキトーにあしらってやっと休憩時間だ、来年にあるかは知らんが今度やるときは招待状みたいなのを使わないと来れないようにしろよな、じゃないとあいつらみたいなチンピラもどきがどんどん来るし面倒だ、制限設けないからこんなことになんだよ

 

 

そんなことを考えつつどう休憩時間を使うかなぁ、と考えていると着替えた織斑が来た

 

 

「どーかしたか?」

 

 

「いえ、その、悠夜さん」

 

「何だよ?」

 

 

顔を若干赤くし、もじもじしながら何か言おうとしている織斑

 

 

「き、休憩時間の間に少しだけ一緒に学園祭を廻りませんか?」

 

 

「いやだ」

 

 

俺は即答した、いくら文句を言われようとさっきので目立ってしまった上に織斑と学園祭を廻ったりしたらまたあのバカどもみたいなのに確実に絡まれるだろうしもう手遅れな気もするが今後の学園生活がめんどくさくなる……自分で言ってて泣けてきた

 

「……そういうと思ってましたよ、でもいいんですか?これ、ばらまきますよ?」

 

 

と言って織斑は数字とNo.が書かれた紙を見せてきた、それを見た俺は盛大に顔を引き攣らせた

 

 

「なんでそれが、ってあのボケウサギか」

 

頭を抱える俺を見ながら話しを織斑は話しを続ける

 

 

「正解です、束が全ての暗号を解いていたので貰って来ました」

 

 

嘘だな、確実に勝手にパクってきただろ

 

 

俺は今の苦痛と後の苦痛を天秤にかけた結果

 

 

「……ぐっ、分かった、要求を飲もう」

 

 

「そうですか、それじゃあ早く着替えてくださいね」

 

「そういえば篠ノ之は一緒なのか?」

 

 

「いえ、束は一緒じゃないですよ二人で廻りたかったので……ダメでしたか?」

 

 

「はぁ、聞いてだけだから気にすんなよ、それに交渉してきたのはおまえだろが、文句は言わねぇよ」

 

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

嬉しそうに頬を染めながら先に行く織斑、傍から見たらかわいらしいかも知れんがやってることは脅しなんだよな、はぁ

 

 

とりあえず着替え始める俺

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからまた面倒になるのかとへこみながら織斑のところに向かった


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