ISってなに?   作:reレスト

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ある程度予測出来る未来(さき)って、厄介な事だと目を逸らしたくなるな……

『わぁぁーー!!』

 

 

モンド・グロッソという世界最強のISと操縦者を決める大会の会場は大会が始まる前から異様な熱気と歓声に包まれていた

 

 

ISという既存の兵器を全て過去の遺物に仕立てあげた最強の兵器、表だって兵器としての運用は『白騎士事件』のおかげで(おかげというのもおかしな話しだが)抑えられているが

 

 

どこの国もISの本来の開発理由である宇宙進出を忘れ自国の防衛力向上のためという大義名分の元に兵器としての開発が進められている

 

 

そしてその自国の開発したISを公然と世界に見せ付ける事ができる機会でもあるこの大会を使って、ある国は世界的地位の向上のために、ある国は他国の技術を盗むために、ある企業は自分達の技術を見せつけ売り込むためなど、様々な思惑が絡み合った結果がこの異様な熱気と歓声なのだろう

 

そして大会に出場する各国の代表とその代表が使用するISの整備士達は自身のコンディションと集中力を高め、使用するISの最終調整をそれぞれのピットで行っている

 

 

そこは観客席の熱気とはまた違った熱があった、一分一秒でも惜しいというように動き回る整備士達、その整備士達と話し合い今日、この日のコンディションに合わせた調整をする代表など、戦場のような雰囲気を漂わせていた

 

 

そんな中俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あや取りをしていた

 

 

……何だよ、なんか文句あるのかよ?ん?出だしの真面目な雰囲気はどうしたって?そんなもん暇つぶしにパンフレットの記事と地元雑誌の記事を読んでただけだよ、俺が真面目にやるはずがねぇだろ?

 

 

マジな話しだと騙された奴、素直でいい人だ、これからもその心を忘れないでよかったら俺の平穏を一緒に願っててくれ、騙されなかった奴、気をつけろよ?だいぶ毒されて来てるから、今ならまだ間に合うから人を信じていけるようになろう、んで何シリアス気取ってんだよ、そんなことしてもお前の平穏は来ねぇよ(笑)とか思った奴

 

 

……暗い夜道には気をつけろよ?

 

さて、誰に言ってるのかもわからない独り言を考えている内に俺はとうとう完成させた、かの、引き出しから出て来る不法侵入及び未来からのオーバーテクノロジーを現代で未来の法律?なにそれ美味しいの?と言わんばかりに使用しまくる、某青いタヌキが登場するアニメの駄メガネ君の数少ない特技である

 

 

あや取りの奥義と言っても過言ではないあの超大作

 

 

「東京タワ〜完成」

 

 

「何をしてるんですか」

 

ピットで俺のあや取りを見ていた織斑が我慢出来なかったのか呆れながら聞いてきた

 

 

「見て分からないのか?あや取りで東京タワーを作ってんだよ」

 

 

「いえ、そういう意味ではなく何故ここで雑誌を読みながらあや取りをしているのか聞いているんですよ」

 

そんなもん決まってんだろ

 

「暇つぶしだよ?」

 

 

「暇つぶしでパンフレットと雑誌を読みながら無駄に高度なあや取りを完成させないで下さい」

 

 

色々とキャラが崩れてますよ?という織斑の発言に俺は織斑の方を向きながら

 

 

「織斑……ならお前はこの死線(視線)の中どうやって時間を潰す?」

 

 

と言った

 

 

「……その、携帯を使うとか」

 

 

「こんな機密が飛び交うようなところに記録媒体を持ち込めると思うか?」

 

 

「……えぇと、本を読むとか」

 

 

「寝起きに無理矢理連れて来られて本を持ってくる余裕があるか?」

 

 

「……すみませんでした」

 

「そういうことだ」

 

 

そもそもこの雑誌とパンフレットだってそこらに落ちてたやつを勝手に持ってきてるだけだからな、特に面白い訳でもねぇ

 

 

「それになんでこんな所に来させてんだよ、珍しいから見てる奴らもいるが真剣に邪魔だって感じの視線も混ざってるし、明らかに場違いだろ」

 

 

「それは……」

 

 

本来ならこんな所には俺みたいなただの付き添いの類は入れない……いや、入れないってのは語弊があるな、正確には入らない、だな

 

普通ISの整備にはかなりの人数が必要とされるがそんな何人も入れるスペースはここにはない、だから規定の人員以外入ることができない

 

 

そのため此処にいるのは整備士のなかでもその国のえりすぐりの人達となる、だから関係のない家族等は入らないのだが……

 

そこで言葉を切った織斑と俺は微妙な顔で俺が此処に入れる、いや入れられた原因に目を向けた

 

 

 

そこには空中ディスプレイという周りに喧嘩を売っているとしか思えない技術を見せつけつつ尋常じゃない速さで技術提供のために解体された『白騎士』に続く織斑の新しい専用機である『暮桜』の調整を行うウサ耳、もとい篠ノ之がいた

 

ピピピ、ピピピピ、パッ、シュン

 

 

「えっと、ここをこうしてこれは……うん!こうしちゃおう♪」

 

 

「でーきた!ちーちゃん終わったよ〜!さすが私!我ながら完璧だよ!褒めて褒めて〜♪」

 

相変わらずのハイテンションで嬉しそうに織斑に向かって来るウサ耳

 

 

「……早いな」

 

 

「ふっふーん!当然だよ!何たって天才束さんだからね!」

 

天才ねぇ、天災の間違いだろ

 

 

「それよりも、いいのか?空中ディスプレイなんか出して、内容を見られたらいろいろと面倒なことになるんじゃないか?」

 

 

織斑がもっともな質問をするが……このウサ耳天災バカのことだから対策は完璧だろうな

 

 

「ノープログレムだよちーちゃん!遠目からじゃ何をしてるのか分からないだろうし、仮に録画してても全く違うディスプレイが見えるようにしておいたからね」

 

 

無駄にハイスペックだな、おい

 

 

「そうか」

 

 

「そうだよ〜、あっ!ゆーくん見て見て!束さんが頑張って調整したこの暮桜の素晴らしい性能を!」

 

 

 

と言って空中ディスプレイを出して俺に見せてきた、まぁ暇つぶしにはなるかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………見なきゃよかった

 

「どうどう?すごいでしょ〜♪」

 

 

「……そうだな」

 

 

「わ〜い!ゆーくんに褒められた〜♪」

 

 

俺は痛くなってきた頭を押さえながらウサ耳に返答し、ウサ耳バカはそれを聞いてはしゃぎ回っている

 

 

はぁ、なるべく食べたくなかったんだがなぁ、仕方ないし食べるか

 

 

カサッ、パク、カリコリ

 

 

……やっぱあんまり旨くねぇな

 

 

「どうしたんですか?悠夜さん?ディスプレイを見た途端、頭を押さえてしかも何時も食べている飴もあんまり美味しそうにしてませんし」

 

 

俺の方を見ながら怪訝そうに織斑が尋ねてくる

 

 

……あぁ、織斑はディスプレイ見てねぇのか、ならそういうリアクションするわな

 

「ディスプレイの方は……まぁ試合すればわかるだろ、チョップチャプスは胃薬配合だからマズイんだよ」

 

「……ディスプレイの方は何となく察しがつきますが、そんな物売ってるんですか?」

 

 

「売ってたから今食べてるんだよ」

 

 

「それはそうですが……」

 

織斑がものすごく微妙な表情で見てくるがスルーだ、誰のせいだ、と言いたかったがいらん問答でこれ以上疲れたくなかったから黙っておいた

 

そんなことを言ってる間にコールがあり織斑の試合が入った

 

 

「もう私の番か、それでは行ってきます悠夜さん、束、行ってくる」

 

 

「まぁ、それなりにがんばれ」

 

 

「がんばってね、ちーちゃん♪」

 

織斑は俺達に声をかけ颯爽と会場に向かって行った、さて、このハイテンションウサギをどうするかなぁ

 

 

俺は試合よりもそっちの方に気をさいていた

 

 

 

あん?最低だなおまえ?もっとちゃんと考えてやれ?……普通ならもうちょい気も使うがな、あのディスプレイに載ってたスペック見たらそんな気も起こらんわって、言ってる間に始まったな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……鬼だなあいつ、相手はマシンガンを装備して接近されないように構えてたんだが、開始のブザーが鳴った瞬間、バカみたいな速度で突っ込んで行ってマシンガンを切り捨ててそのまま連続で暮桜唯一の武器である雪片で攻撃して相手のシールドエネルギーが無くなって試合終了〜

 

相手が弱かった訳じゃなくて織斑と暮桜が強すぎんだよなぁ、速度だけでも他のISのだいたい二倍くらいあるからな、想定してた速度よりも速すぎて相手さん反応出来なかったみたいだし、他のスペックも軒並み高かったからな

 

 

 

それにかなり反則臭い能力もついてるしな、そうそう負けんだろあれは

 

 

 

俺がつけたあだ名?の『桜』と『雪』を使ってるから最高性能で規格外にするよ〜!とか言いながら作ってたから嫌な予感はしてたんだよ、初めてスペックを見た時は吹いたな、マジで、自重しろって言わなかった過去の俺を殴りたくなったよ

 

その時のスペックより出力が上がってんだから、つくづくこいつは天災だと思ったな、まぁそんなバカみたいな機体を完璧に操ってる織斑も大概どうかしてると思うがな

 

 

織斑が勝った瞬間に飛び付いてきたウサ耳バカをかわしながら俺はそんなことを考えていた

 

 

試合から帰ってきた織斑は開口一番

 

 

「なんだあの性能は!」

 

 

とウサ耳バカに怒鳴っていた、そりゃそうだよなぁ、自分の機体のスペックが急に上がってて、そのことについてなんの説明もなかったんだから文句も言いたくなるよな

 

 

「うぅ、なんで怒るの?ちーちゃん、せっかく束さんが頑張って調整したのに〜」

 

 

「そういう問題じゃない!出力を上げたならちゃんと説明しておけ!」

 

 

「ちょっとしたサプライズだったのに〜」

 

 

篠ノ之は半泣きになりながら怒られていた、篠ノ之が悪いから弁解の余地はないな、ご愁傷様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でなんやかんやで決勝戦もクライマックスだ、何?戦闘描写?此処までの試合はどうなったか?

 

 

……作者が何度書いても上手く書けないとかほざいて亡くなったよ、マジで駄目作者だな

 

 

ちなみにファイルスとは三回戦で当たったな、ファイルスは射撃特化型のISだったから一回戦と似たような展開かと思ってたんだが、そんなことはなかった、あいつはこの大会で今やっている決勝戦を含めてただ一人だけ織斑のスピードに完璧についていって尚且つカウンターまで決めてたからなぁ、他の代表も色々対策をとってたけど完璧に捕捉したのはあいつだけだった

 

 

最後は織斑が振り下ろした雪片の刀身にライフルを当てて軌道を逸らしてそのままグレネードに切り替えて撃てば勝ち!ってとこまで行ったんだが

 

 

織斑は雪片の軌道を逸らされた瞬間に瞬時加速(イグニッション・ブースト)スラスターから放出されたエネルギーをもう一度取り込み一気に爆発させることで凄まじい加速をする技術、を使って一気に下降してファイルスの視界から消えて捕捉される前に暮桜の反則的な単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)である

 

『零落白夜』を発動し逆袈裟に斬りつけてファイルスのシールドエネルギーを一瞬でゼロにして勝利した

 

 

『零落白夜』はシールドを貫通して相手に絶対防御を発動させて大量のシールドエネルギー削るっていうかなり卑怯な能力だ、使用している間は自分のシールドエネルギーを消費するっていうデメリットもあるが、任意のタイミングで発動、停止のスイッチができる織斑にはほとんど関係ないしな

 

織斑が直ぐさま反応出来たのは一度、というか何度か同じことをされたことがあるからだ………そうだよ、俺だよ、やりましたよ必死でな!模擬戦をやらされた時に零落白夜を発動しながら正面から斬りつけてきた時に命懸けでやったよ

 

シールドバリアーが意味を成さないのに正面からくるんだぜ?そのまま喰らったら俺は真っ二つだったよ

 

 

まぁそんな感じでファイルスに勝って二言三言話して織斑は楽しそうに帰ってきた、なんでも次の勝負では負けないと言ってきたそうだ、中々対等な勝負ができない織斑からしたらライバルが出来たみたいで嬉しいんだろう

 

 

『ワァアァーーー!!!』

 

ん、考え事してる間に終わったみたいだな、格闘部門優勝は織斑か、これで総合優勝は織斑になるから名実共に世界最強ってわけか、すげぇな

 

 

「ゆーくん!ちーちゃんが勝ったよ!優勝だよ!当然だね!」

 

 

 

当然って言ってる割には嬉しそうだな

 

 

「あぁ、そうだな、ほら織斑のとこに行ってこい、おめでとうって言ってやれ」

 

「うん!ゆーくんも一緒に行こう!」

 

 

「俺はここの片付けをしてから行くし先に行ってこい」

 

 

「うーん、わかった!行ってくるよ!」

 

 

ちーちゃ〜んとドップラー効果を残しながら篠ノ之は織斑の所に突っ込んで行った

 

……さて、巻き込まれる前に帰ろう、片付けなんかもう終わってるしな〜、今日は朝っぱらから連れ出されて苦労したんだからこれ位いいだろ?

 

 

自分に言い訳しながらお祭り騒ぎになっている会場から抜け出してホテルに戻った

 

 

そぉいえば変態君はまだデータ採集(モルモット)やってんのか?まっ、厄介事が居なくてラッキーだったな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はあれからホテルに戻り自室に篭っていた、織斑と篠ノ之は優勝記念パーティーに出席させられてた、本来なら大々的にやるつもりだったようだが織斑が拒否した為俺らが拠点にしているホテルのホールを貸し切っておこなったようだ

 

 

 

……それでも十分大々的だと思う俺は小市民なのか?いや、平穏でいられるなら小市民でいい、寧ろ小市民万歳だ

 

 

で、俺はというとパーティー会場からばれないように食い物と飲み物を拝借してきて部屋のテラスでちびちび夜食がわりに食ってる

 

 

パーティーに混ざれって?馬鹿言うなよ、なんでわざわざ自分からあんな腹黒い奴らの巣窟なんかに行かなきゃならんのだ、確実にめんどくさいだろうが

 

 

俺はグラスにいれた赤紫色の飲み物を飲んだ

 

 

 

「ふぅ、なかなか旨いな」

 

「未成年の飲酒は犯罪ですよ」

 

 

「かたいこと言うなよ、お前もどうだ?優勝記念に」

 

 

「……そうですね、せっかくのお誘いですし少しだけ」

 

と言って俺が新しいグラスに注いだ赤紫色の飲み物を飲む

 

 

 

「……ワインじゃないんですか」

 

 

 

「一応、元ワインだぞ?アルコールはとばしてあるけどな、なんだワインを飲むつもりだったのか?駄目だぞ〜、未成年の飲酒は」

 

 

 

俺がこいつがきた時の台詞をそのまま返してやったらブスッとした顔を向けてきた、別に騙したわけじゃないしな〜、ちゃんと『赤紫色の飲み物』っていう説明しただけで酒とは言ってねぇ、そうだろ?

 

 

 

「はぁ、参りましたよ」

 

 

 

「何に負けたんだ?戦女神(ブリュンヒルデ)」

 

 

 

俺がこの大会で総合優勝を果たした者に与えられる称号で呼ぶと本気で嫌そうな顔をしてきた

 

 

 

「その呼び方はやめて下さい、そう呼ばれるのは嫌いですし壁を作られているようで嫌です」

 

 

 

「だろうな」

 

 

 

「分かっていて言ってたんですか」

 

 

 

質が悪い、と言ってきやがった、おまえらも大概いらんことを言うだろうが

 

 

 

「あぁ、そうそう優勝おめでとう織斑、よし俺の用事は終わったからもう遅いし自分の部屋に戻れ」

 

 

 

「相変わらず軽いですね、もう少し気持ちを篭めて言って下さいよ」

 

 

 

「嫌だめんどい」

 

 

 

「………ストレートな理由ですね」

 

 

「それ以外にないだろ?それとも何か?俺に畏まった態度でいろと?」

 

 

ないない、と首を振っていたらなんか嬉しそうにしていた

 

 

 

「ふふふ、やっぱり悠夜さんは変わりませんね、私が、私達がどんな立場になっても変わらないで居てくれる」

 

 

 

「なんでお前らの立場に合わせなきゃならんのだ」

 

 

 

めんどくさい、前にも似たようなことがあったようななかったような

 

 

 

「それよりもウサ耳バカはどうした?」

 

 

 

「束なら暮桜のデータをまとめています」

 

 

 

よくやるなぁ

 

 

 

「そうかならそろそろ部屋に戻れ、さっきスルーはされたが忘れてないぞ」

 

 

 

頼むから早く帰ってくれ

 

 

 

「そうですね、でもその前に」

 

 

……まずい

 

 

 

「優勝したのでご褒美を伝えます」

 

 

 

ちくしょう、やっぱ覚えてたか、せっかく慣れないしやりたくもないキャラを作ってごまかして帰らそうとしたのに、はぁ

 

 

 

「伝えにってどういうことだ?」

 

 

 

……凄まじく嫌な予感が

 

 

 

「私が望むのは次のモンド・グロッソに出て私と本気で戦って下さい」

 

 

 

「嫌だ断る!」

 

 

 

ふっざけんな!そんなん嫌に決まってんだろが!

 

 

 

「駄目です、それに言ったでしょう?『伝え』にきたと」

 

 

……まさか

 

 

 

「もうこのことは世界各国で知られていますよ?私がパーティー会場で言ったのと束が流した情報で」

 

 

 

またそのパターンかよ!何だよそんなに俺の平穏を崩したいのかおまえら天災は!

 

 

 

「そんなもん俺が拒否したら終わりだろ?」

 

 

 

天災印のハッキング技術を使えば何とか出来るしな………多分

 

 

 

「それでも、お願いします」

 

 

 

織斑がさっきまでの悪戯が成功した子供のような表情から真剣な顔になって頭を下げてきた

 

 

 

「……なんでそこまでする、戦うだけなら学園のアリーナ借りてやったらいいだけじゃねぇか」

 

 

 

「それじゃ意味がないんです、今の世界はISによって緩やかにけれど確実に女尊男卑の形になってきています、今でも女だから偉いと言った考えが根付き始めている」

 

 

 

「そんな考えを払拭するためにもモンド・グロッソという世界中が注目する大会で男である悠夜さんに戦って見せ付けて欲しいんです、男でも十分に強いと言うことを」

 

 

ふーん、確かに筋は通ってるな、けど

 

 

 

「建前はいいから本音を言え本音を」

 

 

 

「……やはり分かりますか?」

 

 

 

「理由が大仰過ぎて理由になってねぇ上に嘘臭い」

 

 

 

「割とまともな理由だったんですが」

 

 

 

「お前ならどっちかというと、嘗められるような行動をするな!自分に自信をもって動け!っていうタイプだろうが」

 

 

 

「ひどくないですか?」

 

 

 

「全然、で本音は?」

 

 

 

「……悠夜さんは私にとって憧れであり越えて行きたい目標でもあるんです」

 

 

 

「いや、意味わからんぞ」

 

 

憧れってどこに憧れるんだよ

 

 

 

「しいて言うならどんな時でも揺るがない生き方などですが、その他にも色々です」

 

 

 

「私は憧れるだけじゃなくて追い付きたい、その為にも戦って欲しい、それが本当の理由です」

 

 

 

「戦って目標を越えるって、戦闘狂かよ」

 

 

 

「そうかも知れませんね、戦女神ですから」

 

 

 

そう言って微笑む織斑は普通の男、いや女でも見惚れるような姿だった、普通ならな、言ってることは最悪だし

 

 

 

「わざわざ大会に出る理由は?」

 

 

 

「せっかくですし悠夜さんの強さを知らしめようかと」

 

 

 

「いらんお世話だ、それに俺が織斑と戦う前に負けたらどうする」

 

 

 

「ないと思いますがその場合は」

 

 

 

ガタガタ、パカ、スタン

 

 

 

「束さんとちーちゃんとキスしてもらうよ!」

 

 

 

織斑が何か言う前にウサ耳バカが通気孔から落ちてきた

 

 

 

「なんでだよ」

 

「それならゆーくんわざと負けたり手を抜いたりしないし、負けてもこんな美人な二人とキスできる!なんのデメリットもないでしょ?」「そうだな、悠夜さんがそれで勝ってくれるなら条件はそれで」

 

 

 

おいおい、誰も了承なんかしてねぇぞ

 

 

 

「おい、ちょっとまt」

 

 

 

「じゃあ決まりだね!そろそろ戻るね〜、ちーちゃんいこっか、ゆーくんまた明日〜♪」

 

 

 

「そうだな、それではおやすみなさい悠夜さん」

 

 

 

………逃げられた、まぁいい、明日会ったら覚悟しておけよあいつら

 

 

 

俺はどうやってあの発言を撤回させるか考えながら眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海外に来ても結局こんな落ちかよ畜生


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