ふぁ〜あ、久しぶりにぐっすり寝れたなぁ、時間は……結構ぎりぎりだけど間に合うな
……なんか忘れてる気がするけどとりあえず牢獄(学校)に行くか〜…………字が違う気がするが、まぁいいか鍵閉めて、っといってきまぁ〜す、誰もいないけどね
スタスタ、
〜悠夜移動中〜
やっと着いたな、そろそろHRの時間なんだが、なんか騒がしい?とりあえず教室に入るか
ガラガラ
「「「「………」」」」
シーン
俺が入った途端、一斉に人だかりがこっちを向いて騒がしかった教室が一瞬で静まり返った
俺なにかしたか?
と疑問に思っていたら人だかりの中から篠ノ之と織斑がこっちに向かって来た………右手に俺がやったブレスレットを付けながら……
………やべぇ、完全に忘れてた
俺が冷や汗を大量にかいているのも関係無しにウサ耳と織斑が挨拶してきた
「ゆーくんおっはよ〜!」
「おはようございます、悠夜さん」
一縷の望みをかけて俺は天災達に話し掛けた
「よ、よぉ、お前ら、どうしたんだそのブレスレット、お揃いみたいだけどどっかで買ったのか?」
二人は怪訝そうな顔をしていたが俺の意図に気がついたのか、顔を見合わせていたが、二人同時にニヤッという音がピッタリなあくどい顔をして俺にとっての死刑宣告をしてきやがった
「やだなぁ〜、ゆーくんなに言ってるの?このブレスレットとウサ耳はゆーくんがわざわざ私たちのために『手作り』でプレゼントしてくれたやつでしょ」
「そうですよ、私たちが一年ぐらい前に無理矢理お願いしたのを覚えていてくれて、わざわざ『手作り』で渡してくれた物じゃないですか」
やっぱりこいつら疫病神だ……
やたらと『手作り』を強調したセリフに顔を盛大に引き攣らせた俺としてやったり、というような顔をしている天災達を見ていたギャラリーは一斉に黄色い歓声を上げた
歓声を聞きながらこれからの学校生活を考えて深い、とても深いため息をついた
ガツンガツン!
とりあえずこんなことになった原因であるバカ二人をおもいっきり叩いておいた、かなり痛かったのか涙目でうずくまっていたが、俺のこれからの心労を考えると全然軽い罰なので放置し席に座って眠り(現実逃避)についた
それからは大変だった、休み時間のたびにあのブレスレットはどうやって作ったのか、ウサ耳は壊れたのを修理したのか、血液型は何か、あの二人とどんな関係なのか、付き合っている人はいるのか、などなど、初日に聞けなかったことを含めて様々な質問をされた
ちくしょう、せっかくうやむやに出来てたのにこれじゃ意味ねぇよ……
俺と天災達とがどういう関係か聞かれたときにウサ耳バカが夫婦だよ!とかほざきやがったからバカをシバいて、加害者と被害者、いや被災者だと言ったら凄まじく微妙な空気になったが、俺はなにも間違ったことは言ってないので平然としていた
夫婦発言で上がりかけたテンションがぶった切られて困惑していたがしばらくしたら復活してまた質問責めにあった
関係の辺りの発言が気にくわなかったのか天災達は若干不機嫌そうにしていたが織斑にもどういう関係か?という質問がきて織斑だけでなく篠ノ之も全く同時に
「「とても(とっても)大切な人だ(だよ)」」
とか言ってくれやがったからその日はもはや授業もまともに出来ず、ただただ俺の精神力を削る日になった
これからどうなんだろうなぁ、俺、授業が終わり捕まらないように直ぐさま寮の俺の部屋に入りそんなことを考えていた
しばらくはまともな生活が送れないことに絶望しながら部屋の扉の鍵を強化して寝た
さてさてあのブレスレット事件から時間が経ち、やっと二年生になって新しいクラスにも慣れてきた
あん?今回はマジで話しが急に飛びすぎだってか?……俺もそう思うけど駄目作者がここで切ったら話しが短すぎるとか言って無理矢理繋げたんだよ、だから俺に文句ゆ〜な
一年の時はいろいろあった、臨海学校を筆頭にいろいろと、な、そこはまたいつか語るとしよう、さて前置きが長くなったが今俺の置かれている状況を説明しようか、いや説明させてくれ、俺が自分で状況をおさらいしたいから、付き合ってくれ
よし、それじゃ言うぞ、俺は今なぜかISの世界大会であるモンド・グロッソの会場に来ている………
ちなみにモンド・グロッソとは21の国が協力して開く公式のIS世界最強決定戦みたいなもんだな
………マジでなんで俺ここにいんだろ?普通ここに来んのって各国の代表だろ?俺代表じゃねぇのに………
……はぁ、いい加減現実から目を逸らすのはやめにするか、そうですよ〜、日本の代表として織斑が選ばれてそのサポーターとして篠ノ之で篠ノ之の頭を叩いた件で罰としてついて来るように言われたんですよ〜
俺としてはいまさら?って感じの上に余りにもやったことと釣り合わなかったから拒否したんだが……あいつら俺が来ないなら代表を降りるとか言い出しやがった、そのせいで政府のお偉方がでばって来て断れなかった
目立ちたくねぇのになぁ、あぁ、織斑が日本の代表として出てるのはどこぞのウサ耳バカと違って織斑は一応日本国籍だからだ………まぁ、そのことに異議を唱える国がいくつかあったんだがこの大会の期間だけ貴重なISが動かせる『男』のデータを取らせるってことで納得させたらしい
ん?俺じゃねぇぞ?そんなもんソッコーで断ったし天災達も一緒に拒否してくれたからな……連れて行かれるのは変わらなかったが……
で、俺の替わりにっていうか人身御供として変態君が選ばれた、というより俺以外に男のIS操縦者はあいつしかいねぇからなぁ、当たり前っちゃ当たり前だな
俺と天災達は一緒の飛行機で来たが変態君は別の便だった、理由は、まぁあれだよ、あいつらが全力で拒否ったからだ、拒否られた本人はVip待遇だとか思ってるみたいだからどうでもいいけどな
俺も別の便がよかったよ、飛行機なんて逃げ場がないところでハイテンションなウサ耳バカの相手は精神力の消費が半端なかったからなぁ
そんなこんなで今に至ると……やっぱ俺いる意味なくね?
……止めようなんか泣きたくなってくるしもう着ちまったんだから言っても仕方ねぇしな
はぁ、だっりぃなぁ、めんどくさいなぁ、帰りたいなぁ〜、ってなんだ?あれ
織斑達が登録やら準備している間に俺は会場をぶらぶらしていた、あの二人が目を離した隙にめっちゃ頑張って逃げてきた、俺もたまには休息が欲しいからな、これくらいは当然だ
で、ぶらぶらしてたらなんか人が集まってるところがあった、少し興味が湧いたので近寄ってみたら………変態がISスーツを着た各国の代表(・・)っぽい美人な女の人達に囲まれて浮かれていた
……ふーん、なるほどねぇ、大変だねぇ国ってのも、さてと巻き込まれる前に退散しますか
「ねぇ、あなた」
と歩きだそうとしたら後ろから声をかけられた
……正直関わりたくないんだがなぁ、天災達程ではないけど厄介事の気配がするし、けどわざわざ日本語で声をかけてきたんだから反応しないのはまずい、か
「なにか?」
返事をしながら振り返るとISスーツを着た美人などっかの『代表』がいた、もう一つ視線を感じるが監視や敵意の視線じゃないから放置だ………なんでこんなスキル身につけてんだろうな、天災達のせいですね、そうですね
「な、なんだかすごく疲れてるみたいね、大丈夫?」
声をかけてきた人がちょっと顔を引き攣らせながら心配してきた、いい人っぽいんだがやっぱり俺の勘は警鐘を鳴らしているから、油断は出来ない
「あぁ、大丈夫だ、いつものことだから気にしないでくれ」
「いつものことって、それは大丈夫とは言わないんじゃないかしら?」
「……それはそうだが、とりあえず何か用か?」
「まぁ、いいわ、自己紹介がまだだったわね、私の名前はナターシャ・ファイルス、アメリカの代表よ、よろしくね」
「ご丁寧にどーも、俺に声をかけてきたってことは多分俺のことを知ってると思うが一応名乗っておこう、水無月 悠夜、世界で初めてISを動かせる男っていう邪魔以外なんでもないレッテルを貼られた天災達の被害者だ」
若干芝居がかった仕種で返した、これで気を悪くして帰ってくれたら儲けものだが
「へぇ、なんであなたのことを知ってると?」
チッ、むしろ興味を引いちまったか、対応をミスったな
「俺は別に目立つような容姿はしていないし、特に目立つようなこともしていない、それに俺を見てすぐに日本語で話しかけてきた、正直ぱっと見でアジア系の顔を見てすぐに日本人だなんて分からないだろ?」
「なのにあんたは自信を持って話し掛けてきた、おかしいだろ?仮にたまたまだとしてもだ、なんで俺に声をかけた?今は大会の準備中で日本人なんていくらでもいるし俺である必要はねぇ」
「理由があるとすればあそこにいるイケメン君に自分を紹介してもらうってことだが、あんたは俺があそこに行ってすぐに離れようとしたのを見てただろ?そんな奴がわざわざあそこに行く訳がねぇ、あいつの情報が欲しいならそんな奴から何かを聞き出せるとは思わないだろうしな」
「長々と説明したがこれが俺を知ってると思った理由だ、間違ってたら自意識過剰の馬鹿な奴がいたとでも思って帰ってくれ」
「……いいえ、合ってるわよ、確かに私はあなたのことを知っていて声をかけたわ」
ハズレてたらよかったのに、はぁ
「さいですか、で?結局何の用だ?」
「最初は特に声をかけるつもりはなかったんだけどね、あなたがあそこに向かってすぐに何かに気付いたみたいに離れて行こうとしたでしょ?」
「それが気になったのと世界で初めてISを男で動かした人っていうのがどんな人か気になってね、声をかけたってわけ」
「なるほどね」
「それでよかったらなんであそこにいる美人な人達のところに行かなかったのか教えてくれない?」
もう話しを切って帰るのは無理か
「美人なだけだったらよかったんだがなぁ、流石に撮影やら盗聴やらをわざわざされる趣味はないってだけだ」
ファイルスは少し驚いた顔をしてから今度はおもしろいものを見つけたって顔をしてきた
やっぱ厄介事か
「撮影と盗聴ってどういうことかしら?」
「分かってて聞いてるだろあんた、まぁいいや、あそこにいる美人達の髪に付けてるヘアピンとかイヤリングとかサインを貰うとか言って持ってるボールペンとか全部小型カメラやら通信機だろ」
「ぱっと見代表に見えるけど全員、重心が安定してねぇし、どう見てもスポーツとか武道、格闘技をやってる動きじゃねぇ」
「どっちかてーと、あれは接待とかに慣れてる人達の動き方だ、悪く言えば男に慣れてる人達だろう、国家の代表なんて人達ならわざわざ重心が安定しない振りとか男に媚びるようなことは代表のプライドがあるだろうし、しないだろうからな」
「ましてや、この女性が優遇される世界でそんなことをするのはそういう仕事の人達だろうしなぁ」
「ふーん、よく知ってるわね?接待に慣れてる人の動きなんて」
「ISを動かした当初それこそ腐る程見てきたっていうか相手してきたからな、いい加減見分けもつく」
「カメラや盗聴器は?」
「………知り合いにあれよりも高性能な発信機とか盗聴器を作る奴がいてな、見馴れてるんだよ」
「……どんな知り合いよ」
呆れながら聞いて来るが答えるのもめんどくさいのでスルーして、俺の癒しであるチョップチャプスを食べる
カサ、パク、カリコリ
「それで、もういいのか?いいなら帰るぞ」
いい加減帰りたいしな
「つれないわね、こんな美人と話してるんだからもう少しいいじゃないの、あなたは私に質問とかないの?たいていのことなら特別に教えてあげるわよ?」
スリーサイズとか、とやたらしなを作りながら聞いてきたのでとりあえずテキトーに質問する
「じゃあ、質問な」
「いいわよ、スリーサイズは上から」
「なんでそんなに日本語上手いんだ?」
「え?そんなこと?」
「あんたが言ったんだろ?たいていのことなら答えるって」
「そ、そうだけど、うーん、まぁいいわ、日本語が上手いのはISのコアの説明とかが全部日本語表記だからよ、コアを調べても出て来るのは日本語の説明ばかりで下手に触ってコアを壊したら目もあてられないから」
「ISに関わる人はみんな日本語を覚えているのよ、これで分かった?」
「あぁ、ちゃんと俺が知ってることと一致したな、流石国家代表だな」
「ふふん、そうでしょう……ってあなた知ってたの!?」
「知ってたな」
「じゃあなんで聞いたのよ!?」
「なんかテキトーに質問しないと、あんたあのまま俺をおちょくるつもりだっただろ」
「うっ」
「はぁ、やっぱりな」
「うぅ〜、なんか負けた気がする」
「何にだよ」
「ねぇ、私ってそんなに魅力ない?」
と涙目、上目づかいで聞いてきた、が
「客観的に見たら美人だし魅力もあるだろうが、わざわざボイスレコーダーを使って言質をとろうとする奴は俺は勘弁だな」
「あはは、ばれてたか」
と言って後ろ手に隠し持っていたボイスレコーダーをひらひらと目の前でゆらすファイルス
「バレバレだっつの」
「あなたっておもしろいわね、たいていの男なら鼻の下伸ばしていやらしい顔で見てくるのにあなたはそんなことないしね」
「あそこにいる気持ち悪い銀髪とは正反対ね」
「なんだ、イケメン君にあったのか?」
ファイルスは嫌そうな顔をして話してきた
「えぇ、何か急に声をかけてきて、まるで私のことを分かってるみたいな感じで馴れ馴れしくしてきたのよ」
……どっかで聞いたことのある台詞だな
「それで適当に話しを切り上げてきたところであなたを見かけたのよ、あの気持ち悪い奴と同じような人ならぶっ飛ばしてたけど、あなたみたいなおもしろい人でよかったわ」
おいおい、俺はもしかしたら変態のとばっちりで殴られたかも知れなかったのかよ、あぶねぇな
「そうかい、それは重畳」
「それで」
「ナタル〜!どこにいるの!準備サボってんじゃないわよ!?」
「あちゃ〜、もう時間ぎれか」
「なんだ、お迎えか?」
「そうみたいね、もう少し話してたかったけどここでお別れね」
「そうかじゃあな、とっとと帰れ」
「冷たいわね〜……そうだ!」
ファイルスが何か思いついたみたいな顔をしてこっちを向いてきた
……嫌な予感がするな
「楽しませてくれたお礼をしなきゃね♪」
「いらんから早く行け」
「そんなこと言わずに、ね」
タッ、ヒョイ
「「………」」
タッ、ヒョイ、パッ、サッ、バッ、スッ、ダン!ズザッ!
「もう!なんでよけるのよ!」
「急に飛び掛かられたら普通は避けるだろうが!」
「せっかくこんな美人がキスしてあげようとしてるのに避けないでよ!」
「なんで初対面の奴にキスされなきゃなないんだよ!」
「挨拶よ、挨拶、アメリカじゃ普通よ?」
「生憎俺は日本人だ」
「あっ!もしかして初めてだった?大丈夫よ?私もだから」
「余計なお世話だ、それにどこに大丈夫な要素があんだよ」
「隙あり!」
パッ
「あ」
とため息をついた瞬間にくわえていたチョップチャプスを奪われた
「ふっふーん、やっと一本取れたわね」
「洒落のつもりか?正直微妙だぞ」
「違うわよ、ってそろそろホントにマズイわね、それじゃあね悠夜!また会いましょ」
と不吉なことを言ってファイルスは俺がくわえていたチョップチャプスを口に入れて走り去っていった
俺のチョップチャプスが……まぁいいか、間接キスになるけど特に気にするようなことでもねぇし、とりあえず帰ろ
と俺はもときた道を帰り始めた……
悠夜Sideout
ナターシャSide
「あっ!やっと見つけた!ナタル、あんたよくも準備を押し付けてって、どうしたの?なんかすごいご機嫌だけど?」
「ごめんねイーリ、ちょっと気分転換がしたかったのよ」
「ふーん、気分転換はできたみたいね?」
「えぇ♪すごくおもしろい人にあったわ」
「そのアメもその人に貰ったの?」
「ううん、無理矢理取っちゃった♪」
「取っちゃったって、その人も災難ね、ナタルに目を付けられるなんて、同性として同情するわ」
何言ってるんだろ?
「何言ってるの?イーリ?悠夜は髪は長いけどれっきとした男よ?」
「えっ?男?ていうか悠夜ってもしかしてあの水無月悠夜?」
「そうよ」
「……はぁ、かわいそうにこれから会う度にナタルに迷惑をかけられるなんて」
「どういう意味よ」
「言葉通りの意味よ」
むぅ、イーリってば準備を押し付けたことまだ怒ってるわね、まぁいいわ、今は気分がいいし許してあげる♪
「気持ち悪いわね、何ニヤニヤしてるのよ、ナタル」
「べっつに〜、また悠夜に会えるかなって思ってるだけよ」
「どうせ大会が終わるまでここにいるだろうから会えるんじゃない?」
「そっか、そうよね、うん、そうと分かれば面倒な準備をちゃっちゃっと終わらせましょ♪」
「サボってたあんたが言うセリフじゃないわね」
イーリが何か言ってるけど気にしな〜い、ふふっ、次に会ったら何話そっかな〜
私は悠夜が食べていたアメを舐めながら少しだけ頬を赤く染めて自分達の拠点に戻って行った
ナターシャSideout
ゾクッ
うぉ、なんか寒気が………風邪かな、風邪だな、うんきっと風邪だ、そうに違いない、だからこの胸騒ぎは気のせいだから早く帰ろう
俺は少しだけペースをあげて来た道をショートカットしながら帰ることにした