さて、これで視線による圧力からは開放されるな、………別の意味で注目を集めそうだけどなぁ、とりあえず
「おりむら〜」
「終わりましたか?」
「あぁ、とりあえず大丈夫みたいだk「ちーちゃん!ちーちゃん!見て見て!新しいウサ耳だよ〜♪ほらほら!このウサ耳動くんだよ!すごいでしょ!すごいでしょ!」……」
スパァン!
テンションが戻った途端うるさくなったからハリセンでシバいた、
「黙れ」
「うぅ〜、ゆーくんがひどい〜、さっきはあんなに優しかったのに〜」
「なんだ、弱ってるところにとどめを刺して欲しかったのか?」
「ごめんなさい」
「たくっ、それでだ、織斑、ここの片付けは俺がしとくからそこのウサ耳バカを風呂に入れといてくれ」
「あぁなるほど、わかりました」
「なんで?」
織斑は分かったようだがウサ耳バカは気付いてないみたいだ、
ウサ耳バカを見る、よれよれの服、ボサボサの髪、目の下の隈、うん、いろいろと終わってるな
とウサ耳バカは見られてようやく自分の恰好に気がついたのか直ぐさま織斑を連れて出て行った、……やっぱりしばらく放置して置いた方が良かったかも知れない。
はぁ、とりあえず片付けを始めるか、ゴミを集めてドアは……めんどいからそのままでっと。
〜片付け中〜
やっと終わった、あぁ疲れた、最近あんま寝てねぇからなぁ、そろそろ限界だ。
と、ちょうど上がって来たみたいだなぁ、それじゃとっとと渡すもん渡して帰って寝よう、そうしよう。
スタスタ、
「あ!ゆーくん!」
「悠兄ちゃん!」
「悠兄さん」
「……悠夜さん、とりあえず終わりました」
無駄にテンションの高いウサ耳バカとかなり疲れた様子の織斑が紅葉と海と一緒にいた。
やっぱりハイテンションのウサ耳の相手はかなり精神力をもっていかれるみたいだな、………押し付けて正解だったな。
織斑が恨めしそうに見ているがスルーだ、
「……はぁ、それで何故私はともかく一夏まで呼んだのですか?」
織斑がこれ以上見ていても意味がないと悟ったみたいで諦めて質問してきた。
「あぁ、それはあれだ、同時に渡した方が楽だからだよ」
「渡す?何をですか?」
「これだよ」
そう言って俺はウサ耳が入っていた袋からそれを取り出して四人に投げ渡す
「わぁ〜!ちーちゃん!これすごい綺麗だよ!」
「かっこいい〜!」
「……綺麗」
「うるさいぞ束、悠夜さんこれは」
「お前らの頼みの品と紅葉達の進級祝いだ、気にいらなかったらテキトーに処分してくれていいぞ」織斑姉弟には細かく模様の彫られた銀色のブレスレット、篠ノ之姉妹には同じく細かい模様の彫られた金色のブレスレットをそれぞれ渡した、まぁ、ブレスレットって言っても細いリング状のやつだけど、その分余計に彫るのがめんどくさかった、もうすぐ仕上げってところで新しいウサ耳を平行して作ってたから、睡眠不足でヤバイ、
「頼みの品って?」
「何の話しですか?」
ビキッ、
「ほぉ、テメェら自分達が言ってたことすら覚えてねぇのか」
今のはイラッとしたね、自分達が言っといて人がわざわざ実行してやったのにそれを忘れやがって、
「え?なにか言ってたっけ?」
「えぇと、何でしたっけ?」
「『私達が高校に入学したら(ゆーくん)(悠夜さん)の作ったアクセサリーをお祝いとして下さい』って俺がフランスにいるときにやたら言ってきたからわざわざ作ったんだが?俺の気のせいだったか?」
こいつらはどこで知ったのか分からんが俺がアクセサリーを作れると知って向こうに行った当初さんざん作ってくれと言ってきてたくせにもう忘れてやがる
「あぁ!そういえば言ってたね!」
「……言ってました」
「何か言うことは?」
「ごめんなさい、ゆーくん」
「すみませんでした、悠夜さん」
はぁ、こいつら言うことがちげぇだろ、
「お姉ちゃん、千冬さん、違うよ、こういう時はありがとうって言わないとダメだよ」
……ちょっとびっくりした、よく覚えてたなぁ、紅葉結構前に言ったことなんだがな
「箒ちゃん……うん!そうだね、ありがとう、ゆーくん」
「箒に教えられるとは私もまだまだだな、あらためて、ありがとうございます、悠夜さん」
「悠兄ちゃんありがとう!」
「悠兄さんありがとうございます」
と笑顔で礼を言ってきた、まぁいいだろ、喜んでるみたいだしな、さてと帰って寝ますか〜、っとその前に
「篠ノ之」
「何?ゆーくん」
はしゃぎまわっていたウサ耳に声をかける、これは言っとかないとなぁ
「紅葉に礼言っとけよ」
「箒ちゃんに?」
「あぁ、紅葉はお前が学校休んだ日に俺に電話をかけてきて、『お姉ちゃんが元気ないんです、すごく落ち込んでて、何かあったんですか』って半泣きで言ってきてたからな、詳しいことは俺には分からんかったから、とりあえず学校でちょっとウサ耳を壊された?からかなって言ったんだが」
「『私をお姉ちゃんのカチューシャを壊した人のところに連れて言って下さい、お姉ちゃんに謝って貰うように言います!』って今度は怒りながら言ってきてなぁ、かなり焦った」
「で、いろいろ説得して落ち着けたんだが、ここ一週間、毎日俺に電話してきてずっとお前の心配してたからな、その分ちゃんと礼を言っておけよ」
ほんと、優しい子だよ
「織斑にも聞いてたみたいだし」
織斑も似たようなことがあったのか苦笑している
「ほんとに?箒ちゃんが?」
あぁ、と頷いてやると篠ノ之はプルプル震えたかと思うと、紅葉に飛び付いた
「ほうきちゃ〜ん、ありがとう、おね〜ちゃんの心配してくれて、それからごめんね、心配かけて」
「お姉ちゃんもう元気になった?」
「なったよ〜、ほうきちゃんのおかげだよ〜」
「よかったぁ」
篠ノ之半泣き、つかもう泣きながら紅葉に礼を言って、紅葉はそれを笑顔で受け止めていた………マジでどっちが姉だよ
としばらく姉妹で抱き合ってたんだが、ウサ耳バカが今度は妹自慢を始めたのでその間に紅葉をこっちに呼んだ
「紅葉、ちょっときな」
「悠兄さん、どうしたんですか?」
紅葉の質問を聞きながらウサ耳やらブレスレットやらが入っていた袋から目当てのものを取り出す
「ほれ、これやるよ」
と言って俺は黄緑色の両端に黒いラインの入ったリボンを渡した、
「え?わ、私にくれるんですか?」
「いや、今言っただろうよ」
嬉しそうだがなんでくれるのか分からなくて困惑してるな
「な、なんでですか?」
「お姉ちゃんを心配して自分から行動したご褒美だ、いらないなら別にいいんだが」
「欲しいけど……私に似合うかな」
あぁ、そゆことね
「はぁ、紅葉」
「はい」
「お前はもう少し自分に自信を持て」
「でも、私はお姉ちゃんみたいにかわいくないし」
だんだんネガティブになってきたな、マジで眠いし多少強引でも説得して帰ろう
「紅葉、お前は自分が思っているより十分かわいいぞ?ウサ耳バカも外見だけは確かに整ってるが、紅葉も方向性は違うが将来ウサ耳バカに劣らない美人になると俺は思う」
「か、かわいいですか///」
「あぁ、だからこれ貰ってくれ、流石にこれで自分の髪を縛る気にはならん」
「ありがとう、悠兄さん///」
顔を赤くして礼を言ってくる紅葉の頭を軽く撫でて俺は帰るためにウサ耳シスコンバカとその演説を聞いて、いや、聞かされている奴らに声をかける
「じゃ、帰るな」
「あ、ゆーくん待って!」
「……なんだよ、俺は帰って寝たいんだ、邪魔するな」
「えぇ〜、帰っちゃうの〜ってそれよりもゆーくん!私があげたネックレスをちょっと見せて?」
「なんだ、とうとう爆発させるのか?」
「違うよ!?まだそんなこと思ってたの!?」
「用があるなら早くしろ」
「ゆーくんがひどい〜、もう、少し見せてね」
と言って俺が首にかけていたネックレスを引っ張って何か調べ始めた………外させろよ……
「最適化は九割で最良化は八割、適応化も九割か、ほとんど終わってるけどゆーくんの望むような形になるのにまだもう少しかかるかな?」ぶつぶつ
「終ったか?」
「……うん!終わったよ〜、ゆーくんちゃんとこのネックレス外さないでくれたんだね!」
何言ってるんだ?こいつ?
「そんなの当たり前だろ」
「ゆーくん、そんなに私があげたネックレスを大切に」キラキラ
なんかやたら目を輝かせてるが
「だって」
「だって?」
「爆発するんだろ?」
「しないよ!?なんでそんなに爆発させようとするの!?ゆーくん束さんのこと嫌いなの!?」
「はぁ、もう爆発物のことはいいだろ、もう帰るぞ、織斑達もまたな」
「だから爆発しないよ!?それに束さんの質問は無視!?」
「また明日悠夜さん、ブレスレットありがとうございました、大切にさせてもらいます」
「悠兄ちゃんありがとう!」
「悠兄さんありがとう」
織斑が嬉しそう微笑んで、海と紅葉も笑顔で礼を言ってきた、まぁ気にいったならいいや
ウサ耳バカが最後まで騒いでいたがスルーして帰る、かなり疲れたなぁ、とっとと帰って寝よう
そうして俺はやっと家に着いてベッドに入った、やっとまともに寝られるな
あ、ブレスレットのこと口止めすんの忘れてた………学校休もうかな行くのが怖いし、はぁ〜、平穏ってなんだろ