ライブラの一員がダンジョンに潜るのは間違っているだろうか 作:空の丼
小説を書いて投稿するのは初めてですが頑張っていきたいと思いますので、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
ハロー アナザーワールド
ハローミシェーラ
元気ですか?
兄ちゃんは元気です
突然ですが兄ちゃん、
―――変な世界に迷い込んでしまったようです
ヘルサレムズ・ロットじゃ何が起きても不思議ではないということは肝に銘じていたつもりだけど、まさかファンタジーの世界に跳んでしまうなんて思ってもみませんでした。
まわりを見渡すと、西洋風な建物が目につき、僕らと変わらない普通の人間も多いけど中には御伽噺に出てくるエルフやドワーフにそっくりな人たちとか犬耳や猫耳を生やした人たちもいる。
そしてその多くが鉄のプレートや分厚い革のグローブなどで武装している。
ヘルサレムズ・ロットに住んでいる以上、異形のモノを見るのは慣れてるけど、これは別の意味で衝撃的だ。
「おーい、クラウスさーん! ザップさーん!」
呼んでも返事はない。どうやらこの世界に来てしまったのは僕だけのようだ。ヤバイ、孤独感も相まって頭がショートしそうだ。今にも涙が出そう。
そう思った時、肩に小さな生き物が乗り頬を突いて消えて行った。
「ソニック! お前も来てたのか……っ」
一気に胸が暖かくなる。
音速猿なんて見慣れない生物を見て周りの人たちがどういう反応をするか分からない以上、こんな街中で姿を晒して一緒にいることは出来ないが、独りじゃないと思うとパニックも収まってくる。
よし、まずはこうなった経緯を思い出そう。
―――――数時間前
僕たちは昼休みになり、いつものようにザップさんとツェッドさんと昼飯を食いに行くことになった。
「ちょっとザップさん、頼み過ぎじゃないですか? 言っときますけど、僕今月きついんでおごりませんよ?」
「金もなくこんな高い店入るかよ。実はよー、昨日ちょっと博打で一発当てちまってよ、今懐があったけーんだわ。そんなわけだからてめーらもこのザップ様にひれ伏せば払ってやんねぇこともねーぜ?」
「いくらお金を払ってもらえるということであってもあなたにだけは頭を下げたくはないですね。遠慮しときます」
「んだとコラ!」
「へー、でも珍しいですね、ザップさんがそんな大金を当てるなんて。あれ?でもちょっと前に借金が増えたとかで嘆いてましたけど……もうそれは返し終わっちゃったんですか?」
「……あ」
「あ~忘れてましたねコレ」
「う、うるせぇぞ陰毛頭! 今それとこれは関係ねぇだろうがよ!」
「本当にあなたの記憶力はひどいですね。そんな頭で日常生活大丈夫なんですか? いや駄目でしたね」
「黙れ魚類! おうおう今日はやけにからんでくるじゃねーか。嫉妬か? 金も女も手に入る俺に妬いてんのかおい?」
「ちょっとザップさんもツェッドさんも止めましょうよ。折角こんな高級な所に来たんですから料理を堪能しましょう」
流石にこういう上品な所で暴れるのは気が引けたので3人は大人しく(まあ口論はしてたけど)待っていました。
そんな時、いつかの昼休みを思い出させるかのように料理を食べる直前で魔の電話が……
『レオ、
出現ポイントは結構中央部に近いところ。さすがに吸血鬼が出たのに暢気に食べてくわけにもいかず僕たちは泣く泣く店を後にした。
「アルガストリ・ア・ミーゼヌシュルヒ・フォン・ウィストロハイム、貴公を『密封』する。」
「憎み給え、許し給え、諦め給え。人界を守るために行う我が蛮行を」
―――ブレングリード流血闘術
「レオっち!! 後ろ!!!」
「え?」
後ろを振り向くと、今まで何もなかった場所に大きな石造りの扉が。
その扉の中から『何かの腕』が出てきたのは視えた。
でも視えただけで、素早い動きに僕がついていけるはずがなかった。
クラウスさんが突き出した手を握ろうにも間に合わず、僕は扉の中へ。
――――――そして現在
「ここがどこか教えてくれませんか?」
「あん? なんだ迷子かにいちゃん? ここは北西のメインストリートさ。ギルドに向かいたかったらそのまままっすぐ行けばいい、ってにいちゃんみたいなガキが冒険者なわけないか! ガッハッハッハ」
「あの、ギルドってなんなんすか?」
「アラ、坊や冒険者志望なの? カワイイ顔してやるじゃない。ギルドは冒険者登録をしたりダンジョンで取れた魔石を換金したりできる場所よ。でもぉ、そんなところに行くよりアタシについてこない? スッゴイ鳴かせてあ・げ・る・わ・よ」
「す、すみません。冒険者について教えてください」
「ハッ、キミはそんなことも知らずにこの町に来たのかい? 冒険者とは、【
いろいろ聞いてみた結果、この世界のことが大体把握できた。
僕が今いるこの西洋風な町は「迷宮都市オラリオ」というらしくこの世界で最も大きく栄えている都市らしい。
その理由が都市の中心「バベル」の地下にあるこの世界で唯一の魔物が生まれる場所「ダンジョン」。本来、問答無用で人を襲う魔物が生まれる場所だなんて利益はなさそうだけど、その魔物が落とす「魔石」がとても有用らしい。「魔石」はその魔力で街灯になったり、ガスコンロになったり、僕たちの世界で言う電力のようなものみたいだ。
そしてダンジョンに潜るため、遥か昔に天界から降りてきたという神様たちに【
要は最初に思った通りの、ファンタジーなゲームと現実が混ざったような世界観だ。
あと「ヘルサレムズ・ロット」のことも知ってる人がいないか聞いてみたが、結果は惨敗。
誰も知らなかったし、こんなにファンタジーな世界なのに異世界のことを言及すると頭がおかしい人を見る目で見られた。
簡単には帰れそうにないか。皆には迷惑をかけちゃうな。
「帰る方法が分からない以上この世界でしばらく暮らすしかないよね、って、あ……」
そういえばこの世界の通貨って向こうとは全然違ったんだった……。
ど、どうしよう?これじゃどこかに泊まることも出来ないしご飯も食べられないじゃん!あ~くそぉ~こんなことになるならせめて昼飯食べときゃよかったかなぁ!?
「キミ、どうしたんだい? もしかしてお金を盗まれたりでもしたのかい?」
グギュルルルルーーとお腹を盛大に鳴らしながら頭を抱えていると、声をかけられたのでそちらを見る。
そこには見た目幼いツインテールの女の子が立っていた。ただオーラは小さな女の子のソレじゃなく心地いいまぶしさを放っている。
「……神様?」
「ん?その通りだよ少年!僕はヘスティア。これでもファミリアの主神なんだよ! ……まだ眷属は一人だけど」
僕が神様というとその子は嬉しそうに自己紹介をしてくれた。
「それで、なんだかこの世の終わりのような焦り方をしていたけど、どうしたんだい?」
「アハハ、実はですね、お金がなくて泊まるところも食べるものもなくて右往左往してるところでして」
「フム。君は今日オラリオに来たばかりなのかな。そんな調子じゃ向う見ずに故郷を飛び出したんだろうけど感心しないなぁ」
「……いろいろ事情があって」
神様なら何か知ってるかもとは思ったけど、また変な顔で見られるだけなんじゃないだろうかという思いが胸をよぎり、ついごまかしてしまう。
ふとヘスティアと名乗った神様は目を細めるが次の瞬間にはにこやかな顔に変わり、
「それならうちにおいでよ。豪華な食事とかは期待しないでほしいけど、数日ぐらいなら融通するさ。なんならそのままファミリアに入ってもいいんだぜ!」
眷属が一人しかいないって言ってたし多少の打算もあるんだろうけど、親切心からくるところの方が大きいように感じた。だから厚意に甘えることにする。
「ありがとうございます。ご迷惑おかけします」
「なに、この程度のことを迷惑に思うほど僕の器は狭くないさ。それじゃあ君の名前を教えてもらえるかな?」
「あ、僕はレオナルド・ウォッチっていいます。レオでいいです。よろしくお願いしますヘスティア様」
「うん、よろしくねレオ君。それじゃあ着いてくるんだ!」
「はい!」
眼以外は普通のレオ君はこの先この世界で生き残れるのか!?
といってもその眼がチートなんですけどね。他がチートになるようなことは避けたいと思います。
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