ネタの種を頂き皆様の暖かい気持ちを受け、調子こいてがしがし書いてしまいました。
これを切欠に刀剣乱舞に興味を持った、と言って下さる方も居て感無量です!
万屋などについて捏造、独自設定満載ですので注意!
追記
質問がありましたのでこの場にて失礼します。
今の所、大典太光世が顕現しているのはこの本丸のみ、という設定です。
かつ表に出たのは演練一度限りなので、「刀剣男士としての大典太光世」の認知度は限りなくゼロに近いです。
政府に報告はいっていますが、今の所問題なしと判断されています。
まぁ、直接会ったら(今の所)もれなくトラウマ植え付けられているので広まるのも時間の問題かもしれません。
やぁやぁ皆、大典太光世さんだよ。
皆は風呂が好きかな?私は大好きだ!
風呂はいいねぇ、リリ…ごほごほっ、いや、うん、今朝は朝風呂行ってきたんだ。昨日の夜、風呂場で魔王様と鉢合わせしてさー、体だけ洗って慌てて出てきたから入り直してきた。
そしたら王子と一緒になってね、まったり風呂を楽しんできた帰りなんだよ。
のんびりと廊下を歩いてると先の方からワイワイと賑やかな声が聞こえてきた。
朝から元気だな、とか思ってたら王子の足が止まる。
どうした王子?
「す…すまない、俺にはどうにも出来ない…」
後退りをしたかと思うと何か青い顔して逃げてった。ちょっ、王子は何が見え…
「見ぃつけた…」
「ちょーっと付き合いな」
うわあぁぁっ!なになになにっ!?後ろからいきなり肩を叩かれて超ビビったよ!
振り向いたら男の娘と姐さんだった。もー、驚かさないでよ…。口から心臓出るかと思った。
ほっとしてる間にあれよあれよと引きずり込まれた部屋には色んな服と化粧品…と、疲れた風な審神者ちゃん。
…私に何をしろと?
どうやら二人して審神者ちゃんをコーディネートしてたらしい。流れは知らないし流石に興味ない。
んでもって二人とも趣味が違うから喧嘩になって誰かの意見聞こう、てなったんだって。
あれこれ聞かれたけど分かる訳ないじゃんかよー。服ならまだしも化粧とか聞く相手間違ってね?しかも段々二人でヒートアップしてくし。
王子…これから逃げたのか…薄情者…。
つーか肝心の審神者ちゃん…は、何か肩出してて寒そうだ。あ、私の服なら上着貸せるじゃんか。
上着を脱いで審神者ちゃんの肩に掛けて…審神者ちゃんなら別に化粧要らないんじゃないの?
おお、私のお土産の紅発見。折角だからこれでいいよ。
て紅の付け方なんて知らないし…指でいいか。今手袋してないし。はみ出さないよう塗って…うん、可愛い可愛い。
審神者ちゃんの頭を撫でて、後は部屋から逃げた。これ以上巻き込まれたくないもーん。
朝ご飯食べに行こう。今日は何かなー。
朝食は普通に食べて、今日は非番だから何しようかな、とか思ってたら朝の三人から買い物のお誘いを受けた。
女子三人の買い物…荷物持ちですね分かります。や、二人は男だけど。
暇だし万屋?だっけ?興味あるからいいよ、荷物持ちでも何でも使って頂戴よ。
て事でお買い物です。
おー、古風な感じの店がずらっと並んでて人が沢山だ。えーと、えーと、京都とかの昔ながらの商店街?うわ、我ながら貧困なイメージだな。
店も雑貨屋やら飲食店やら様々だ。
だよね、自給自足じゃ限界があるよね。こういうとこで買い物してたのか。納得。
それにいくら本丸が広いと言っても缶詰めじゃ参っちゃうよね。息抜き用も兼ねてるのかな?
早速服屋に向かう三人の後をついて歩く。わー、女の子向けの服屋だ。私は入らないけど男の娘と姐さんは遠慮なく入ってたし誰も止めない。まぁ、あの二人だしね。
そんでもって店の前には私と同類らしき刀剣男子がちらほら。あの…私も同類なだけなんでガン見すんの止めて下さい。
長~い間ぼんやりしてたらようやく出てきた。あー、思ったより荷物は少ないかな。袋三つを受け取って適当に見物しながら三人についていく。
ついて…ん?忠犬カソックは?こういう時こそ忠犬の出番じゃないの?
とか思ってたら甘味屋に着いてた。
いいねいいね、お菓子は大好きです。私も食べよう。
これぞ和風!て内装の店内にはやっぱり女の子が多いね。皆審神者なのかな?
しかし、さり気なく混ざってる眼帯スーツの違和感の無さはいったい…おかんはおかんという性別だから?
丁度席が空いたらしくて四人がけのテーブルに座る。隣は審神者ちゃんです。
ふー、疲れた…。何で女の子ってこんなパワフルなんだろうね。
甘味屋なのに洋菓子もメニューにあったから遠慮なくケーキを頼んだ、コーヒーセットで。
や、和菓子はおかんや雅さんが作ってくれるけどね…洋菓子は基本出ない。だからここは洋菓子一択に決まってる!
女子トークは適当に流して私は目の前のケーキ…シンプルにイチゴのショートケーキだ…に集中…しゅ…あの…男の娘、すっごい見てるけど気になるの?
君の手元には美味しそうなぜんざいがあるのに。
あーもう、仕方ないなぁ、洋菓子なんか食べ慣れないだろうし。
泣く泣くケーキを一口分切り分けて男の娘の口元に運ぶ。頬をほんのり赤くして食べる姿にほっこりするね。そうかそうか、ケーキがそんなに嬉しいか。
甘味屋から出て…雑貨見て…目一杯引きずり回された…荷物は着々と増えてくし。
何か、合戦より疲れたかも…。店の人にお疲れですねー、て飴のオマケ貰ったのは嬉しかったな。あ、でもニッキ飴って言ってたな…私ニッキ苦手なんだよね。
…姐さーん、この飴あげるよ。姐さんならきっと大丈夫、飴も美味しく食べてくれる人がいいよね。
さて帰ろうか、てなった時だ。
見るからに頭空っ…ガラ悪そうでチャラそうな男二人が近づいてきた。後ろでは刀剣男子が慌てて止めてる。
…え、こんなのも審神者?深刻な人材不足なんじゃねーの?
「何だよこいつ、コスプレ野郎かよ!」
「ぶはっ、言うなって!可哀想だろ!」
明らかに私を指して言う二人。
あ、だよねー。コスプレみたいだよね、今は慣れたけど最初そう思った思った。
一人で納得してると審神者ちゃんと男の娘、姐さんから何か怒気が…。
あのさ、何を怒ってるか知らんけど私疲れたから帰ろうよ。いや本当、早く座りたい。
て三人を促したら渋々頷いてくれた。さぁさぁ帰ろう今すぐ帰ろう。
「あんな訳の分からないの連れてるとか審神者として底辺かよ!」
「大典太光世とか聞いた事ねーし、よっぽど下手くそなんだろ」
帰ろうかー、てゲートに向かおうとした私達の背後から聞こえてきた声はしっかり耳に入った。
…あ゛?
今明らかに審神者ちゃんの悪口言っただろ。
ビビりヘタレだって大事なもの馬鹿にされたら怒るぞ。
振り返って二人組を睨み付ける。
一歩足を踏み出した所で二人つきらしき刀剣男子に必死に謝られた。
…どうする?て審神者ちゃんに視線を向けたら首を横に振るから…ちっ、仕方ないな、OHANASHIはしないでやる。
…決して手を出す騒ぎにならずに済んだ事にホッとはしていない。してないったらしてない。
気がつくと辺りはしん…としててすっごい気まずい。
段々居心地悪くなってきた…あの、もう帰ろうよ。今度こそさ。
あー…うー…暫く買い物とか行けない…。折角外出たのになぁ…。
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乱藤四郎はお洒落が好きだ。折角可愛い外見をしているのだから可愛くしていたい。常々そう思っている。
更に言うなら主を可愛く着飾らせるのも好きだ。
折角可愛い女の子なのだから、もっと可愛くしたかった。
乱藤四郎は今日は主と買い物に行く約束をしている。他にも一人誘われていたが…そこはまぁいい。とにかく、買い物をより楽しむべく朝から気合いを入れて主を着飾る為に主の部屋を訪ねた。
すると先客…次郎太刀が居てずらりと並ぶ着物。次郎太刀は主に和装を勧めていた。
「なっ!ちょっと!今日はボクと買い物なんだからボクが主の服選ぶんだからね!」
「いいじゃないか、今日はアタシもお誘い受けてるし。ああほら、こっちの赤いのもいいねぇ」
「勝手に勧めないでよ!ねぇねぇ、主。洋装がいいよね?えーと…」
勝手知ったる何とやら。
乱藤四郎は洋服を引っ張り出し次々と審神者の女性の前に持ってくる。
が、次郎太刀も負けていない。色々と着物を組み合わせ勧めてくる。
そして二人は段々と喧嘩腰になり始め、最終的には主に決めて貰う!と審神者の女性に詰め寄る事となった。
「あ…えと…その…お、男の人の意見も聞きたいなー…」
そしてどちらを取っても面倒になる、とほとほと困り果てた審神者は心中で謝り倒しながら全力で他人にぶん投げた。
そして捕まった哀れな生け贄が部屋に連れてこられる事になる。
相手が常識人な大典太光世だった事に審神者の女性は心底安堵した。
二人より余程うるさそうな燭台切光忠や色々引っ掻き回しそうな鶴丸国永でなくて良かった。と。
ちなみに、へし切長谷部は何をどうしようが「主ならば何を着ても素敵です!」としか言わないのが分かりきっているので最初から除外されている。
思い切り巻き込まれた大典太光世だが、常の無表情は崩れる事なく乱藤四郎と次郎太刀の話を静かに聞いていた。
だがそれも二人がまた喧嘩を始めるまでであった。
二人の意識が完全に反れてしまった事に審神者の女性が溜め息を吐いていると、徐に上着を脱ぎだした大典太光世に驚き目を瞬かせる。
それが自分の肩にかけられた事で先程の小さなくしゃみが聞こえていたのかと審神者の女性は少しばかり恥ずかしくなった。
しかもそれだけでは終わらない。
大典太光世は何ともないような顔と仕草で審神者の女性の唇に指で紅を塗り、仕上げに頭を撫でて去っていった。
大典太光世が上着を脱いだ辺りで喧嘩を止め二人を見ていた乱藤四郎と次郎太刀は無言のまま彼の背中を見送る。
そして姿が完全に見えなくなると耐えきれずに悲鳴を上げた。
「きゃー!タラし!あれタラしだよ!!」
「あんなのさらっとやるなんて色男だねぇ!」
「この紅の色ならこの服でこうで…!」
「なら小物はこれとこれを…」
テンションの上がりまくった二人は今までの喧嘩が嘘のように息のあったコンビネーションで主を着飾っていく。
その間審神者の女性は大典太光世の行動に固まっておりされるがままであった。
乱藤四郎は朝食を食べながら大典太光世の事を興味深そうに見ていた。
あの無表情ぶりから今までは少しばかり苦手意識を持っていたが、先程の事で意識ががらりと変わったのだ。
故にあんな事をさらっと出来てしまう人はどんな人なのだろうか、と見ていた。
天下五剣てちょっと変わった刀ばっかり?とりあえず、あの人もかなりマイペースなのは分かった…かな。
朝食の時間を使い分かったのはこの程度である。
一体何があったのか?
だらしない姿など晒した事のない大典太光世がシャツ姿で現れた事が珍しく、三日月宗近が何故そんな姿なのか問いかけたらしい。
そしてそこに主が大典太光世の上着を持って現れた事で広間にざわめきが広がったという。
ここまでは兄弟に聞いた話だ。何せ乱藤四郎は主と次郎太刀と一緒に遅れてやってきたので流石にここまでは知らない。
とりあえず、不穏な空気を感じとった乱藤四郎は短刀の機動力を生かし主を避難させ自分も朝食をとる事にした。
次郎太刀は次郎太刀で勝手にやるだろう。
その後が見物であった。
主が恋愛的な意味で好きな和泉守兼定が大典太光世に突っかかり、へし切長谷部がそれに乗り歌仙兼定やにっかり青江が加わる。
しかしながら大典太光世は何も聞こえないように食事をしていた。
隣の三日月宗近や山姥切国広も大典太光世が反応をしないからか全く気にした様子はない。
背後で凄く言ってるけどあの三人はうるさくないの?
余計な心配をしている内に文句の矛先はお互いに向いたらしい。今度は四人が言い合いを始めた。
ふと、こんな時面白がって場を引っ掻き回す鶴丸国永に目をやると全力で目を逸らしている。
一体何があったのか…。
そして四人が言い争っている間に食事を終えたらしい大典太光世は食後のお茶を飲んでいた。
「はっはっは、仲良きことは美しき事かな」
同じようにお茶を飲みながら朗らかに笑う三日月宗近に乱藤四郎は若干引いた。
基本的に干渉しないのは知ってるけど、マイペースにも程があるんじゃない?
次郎太刀は買い物を楽しむ主と乱藤四郎を微笑ましそうに見ていた。
うんうん、女の子とちっちゃい子が楽しそうなのは可愛いよねぇ。
と呑気なものだ。
そしてちらと店の外で待つ大典太光世に視線を向ける。
朝の一騒動から連れてきたらさぞや面白かろうと誘ったが…彼の周りの刀剣男士達が実に居心地が悪そうだ。
大典太光世は天下五剣の内の一振りであり、実力も非常に高い。ある程度練度を高めた者ならば彼の強さを肌で感じ取っていても可笑しくはない。
おまけに無表情で雰囲気が氷かと言いたい程に冷たいのだ、彼の人となりを知らない者にとっては畏怖の対象であろう。
次郎太刀も彼が仲間でなければ正直関わるのを遠慮したいと思うので、周りの刀剣男士達の態度には納得している。
でもこいつって冷たい奴とは真逆で、基本的に面倒見いいし優しいんだよねぇ。
買い物が進む中、全ての荷物を持つ大典太光世に視線を流し次郎太刀は考える。
主は勿論だが、自分も乱藤四郎も男だと知っているくせに当たり前のように荷物は持たせない。
甘味屋では乱藤四郎の言いたい事を察して菓子を分けてやる。あの時の乱藤四郎は完全に照れていた、何せ「あーん」だ。彼氏力が馬鹿高いなと感心する。
退屈だろうに文句の一つもない。まぁ元々彼は喋らないが、嫌がったり咎めるような視線など全く感じない。
そして今、自分が少し疲れたな、と思ったタイミングで飴を渡してきた。
これ、もしかして大典太が主に恋愛感情持ったら他の奴ら惨敗じゃないの?
大典太光世にそんな感情はないと理解はしているが、次郎太刀はそう思わずにはいられなかった。
存分に外出を堪能し、そろそろ帰る頃合いにそれは起こった。
折角良い気分で帰ろうとしたのに、見るからに馬鹿っぽい男の審神者二人に絡まれた。
と言うより正真正銘の馬鹿だなと次郎太刀は思う。
大典太光世の神気が分からず、ただの人間が妙な格好をしていると言ってきたのだ。まず神気が感じ取れない時点で程度が知れる、彼らに呼び出された刀剣には心底同情する。
しかしながらそれはそれ、これはこれ、だ。仲間を馬鹿にされて怒らない筈がない。
主たる審神者の女性が馬鹿二人に食ってかかり、乱藤四郎と次郎太刀が睨む。刀剣が余所の審神者相手に実力行使に出る不味さは理解しているので睨むだけで我慢した。
それにしても審神者のくせに天下五剣も知らないのだろうか。大典太光世の銘を知らないとは…。
二人組が口を開けば開く程三人の怒りのボルテージは上がっていく。
しかし当の本人、大典太光世はどこ吹く風で帰還を促してきた。
審神者の女性と乱藤四郎は納得いかないようだが本人が言うならと頷き、次郎太刀は確かに相手をする価値無しと逆に納得して頷いた。
しかし。
多少騒がしくはなったが丸く収まりかけた所だったというのに、馬鹿二人はご丁寧に特大の地雷を踏み抜いた。
大典太光世に聞こえるように主を馬鹿にしたのだ。
一瞬で周囲の温度は下がりとんでもなく強い剣気が飛ぶ。
各々の審神者についていた刀剣男士は辛うじて主の前に出るも、盾となるのが精一杯で皆一様に顔を青くしている。
乱藤四郎と次郎太刀も主を剣気から守るべく前に出たが、二人が出来たのはそこまでだった。
騒がしかった街は今、一瞬にして彼の神の領域へと塗り替えられた。この空間は大典太光世の支配下にあり、彼の許可がなくては指先一つ動かす事も物音一つ立てる事も許されない。
支配者が振り向いた際に、砂利を踏む音がやけに大きく響いた。
前に出ている近侍を通り越し、直接怒気を向けられた馬鹿二人は立ったまま失神し失禁している。
酷く情けない姿であったが誰一人として彼らを笑える者はいない。寧ろ下手に物音を立てて己に注意が向くのを皆が恐れた。
神が罪人を断罪する空気をもって大典太光世が一歩を踏み出したその瞬間、馬鹿二人の近侍二振りは死の覚悟を持って大典太光世の前に出た。
自分達はどうなっても構わぬ、どうか主の命だけはと必死で懇願し頭を下げる。
彼の神は二振りを一瞥した後、主と仰ぐ審神者の女性に視線で問いかけた。
許すか否か。
審神者の女性は直ぐに二人を許すと伝えた。
普段は穏やかな気性である大典太光世も、やはり神であったのだと少しだけ震えながら。
主君の意から馬鹿二人を見逃す事に決めたらしく、ようやく神の領域が解かれる。
しかしながら動ける者は誰もいない。皆が皆、先程の剣気と領域の重圧からまだ解放されずにいた。
最後の最後につまらない事があった、と大典太光世は氷の視線で周りを見渡すと、まだ固まっている三人を促し今度こそ己の本丸へと帰っていく。
姿が見えなくなってようやく空気が緩み溜め息があちこちでこぼれ落ちた。
皆、今の恐怖を塗り潰そうとわざとらしい程明るく振る舞う。特に大典太光世達の側に居た者達はそれが顕著に現れた。
馬鹿二人の近侍は命拾いした事を感謝しつつ、震える手ながら主を引きずり各々の本丸に帰る。
主だなど関係ない、きっちり教育しなければと心に決めながら。
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おまけ
買い物終了後の会話
「あーもう、最後の馬鹿のせいで楽しいお出かけが台無し!」
「まさか審神者にああいった輩が居るとはねぇ。アタシらの主があんなのじゃなくて良かったよ」
「ホントホント!にしても怖かったぁ、絶対怒らせないようにしないと…」
「でも、主の為に怒ったんだからいい男じゃないか」
「そりゃあそうだけど」
「と言うか、最後まであいつはアタシらを男扱いしなかったねぇ」
「ボクはれっきとした男の子なんだけど…まぁ、悪い気はしないかな。何かいち兄に通じるもの感じたし」
「にひひ!確かにねぇ、あれは兄貴みたいな感じだった。男の前に弟扱いかね、ありゃ」
「今度お兄ちゃん、て呼んでみようかな」
「相変わらずの無表情で受け入れる姿しか思い浮かばないんだけど」