完全に勢いだけで書きました。
誤字脱字は気にしない方向でお願いします。
相変わらずの独自設定です。
あくまでもネタ、没案であり続編どころか番外編ですらありません。途中まで書いて、勿体ない精神で上げました。
死ネタ、若干のグロ、胸糞。人によっては気分が悪くなると思います。
本編に目を通した時点で前書きを読み、かつ展開に同意したものとさせて頂きます。
その為、内容についての批判などは一切受け付けませんのでご注意下さい。
審神者という職には、上位者という一段階上の役職が存在する。
この噂は審神者についた者ならば一度は耳にするものである。
上位者には二つ名が与えられ、一般の審神者では到底なし得ない偉業を果たしているとも。
ただの怪談の類と思われがちだが誰も笑い飛ばす事が出来ない。
何故なら、実際に二つ名を持ち最前線で活躍している審神者が居るからだ。
もっとも、その審神者は酷く忙しいのか人前に姿を現す事はないが。
ある日、とある女性審神者の元に政府より一通の手紙が届いた。
その女性審神者の元には規格外の強さを誇る三日月宗近と、当時実装されていない筈の大典太光世が顕現していた。
手紙の内容はこうである。
女性審神者に二つ名「 」を与える。後日正式な命名式を行う為、政府本部に訪れたし。
女性審神者は二つ名を与えられる程己の事を評価して貰ったのだと喜び、彼女の刀剣達も主が正当な評価を受けた事に喜んだ。
命名式には何を着て行こうか、誰と一緒に行こうか、と女性審神者と彼女の刀剣達は当日までを楽しくも慌ただしく過ごす。
そうして訪れた命名式当日。
女性審神者は無難にスーツを着て、供には三日月宗近と大典太光世に頼んだ。
彼女を出迎えたのは明らかに高官と分かる政府の職員である。
普段ならばお目にかかる事のないような相手を前に、彼女は緊張しきりで案内されるがままに足を動かす。
命名式は特別な祝福である為、外部からの邪魔が入らないよう地下深くで行うとの事だった。
地下だというのに綺麗な花畑の中を通り、とある部屋の前で高官が足を止める。
この先は彼女と彼女の刀剣のみが足を踏み入れられるのだ、との説明を聞き女性審神者は頷いた。
扉を開けてみると中には一面に何やら真言のような物が書かれている。
奥に祭壇のようなものがあり、そこに行くと良いらしかった。
そして女性審神者が祭壇に近づこうとした時に、それは起こる。
「大典太…?」
困惑顔で刀剣の名を呼ぶのは女性審神者。
困惑している理由は簡単だ。
彼女の刀剣…大典太光世が女性審神者の前に立ちこちらを睨んでいる為である。
相変わらずの無表情のまま行く先を塞ぐような大典太光世に女性審神者は再び口を開きかけ、酷く冷えた目にぎくりと体を強ばらせた。
「主!」
叫ぶような三日月宗近の声にはっとした頃には、女性審神者は既に突き飛ばされ尻餅をついていた。
目の前には三日月宗近の背中があり、その先には…。
三日月宗近は今目の前の出来事が、にわかには信じられずに居た。
何故大典太が己と刃を交えているのか。
何故大典太が主に刃を向けているのか。
交えた刃から伝わるのは明確な殺意のみ。
何か理由がある筈だ、何かの間違いだと思いながらも戦闘に特化した大典太光世との戦いに口を挟むような余裕はない。
困惑はある。
しかし、主に害をなす気ならば見逃す訳にはいかない。
三日月宗近はほんの一瞬息を吐き出し、目の前の「敵」を鋭い視線を向け束を握り直した。
斬り、突き、フェイントを織り交ぜ、時には手や足を使い一体何合打ち合ったのか。
数えるのが馬鹿らしくなる程刃を交え、互いに息が上がってきた頃に戦況が動く。
「きゃあっ!」
上がったのは主の声。
「敵」は卑怯にも主を盾にこちらに刀を向けてきた。
ー…そこまで堕ちたか!大典太!!
三日月宗近は胸の内を業火が焼くような感覚を覚え奥歯を噛みしめる。
大典太光世は女性審神者の首に腕を回し締めながら、祭壇に向けて少しずつ移動を始めた。
百戦錬磨と言って良い彼の刀に隙などあろう筈もなく、三日月宗近は悔しげな顔をしたまま視線を向けるしか出来ない。
そして、大典太光世が祭壇に辿り着いた瞬間に目が合い…三日月宗近は反射的に駆け出し、予定調和のように突き飛ばされた主を抱き締める。
主の無事を確かめ、顔を上げた先に居た大典太光世は酷く穏やかな顔をしていた。
いったい何の茶番かと三日月宗近が声を発そうとしたその瞬間に…
ぐしゃりと
音もなく
大典太光世は見えぬ顎に
食われた
三日月宗近は主の視界を塞ぐべく強く抱き締める。
とにかく、主を避難させなければ。
その一心で三日月宗近は主を抱いたまま出入り口へと走る。
部屋から出ようとドアノブに手をかけた瞬間に、かけられた呪に気がつき、全てを悟ってしまった。
二つ名、上位者とはつまり…。
ぎちりと奥歯を砕かんばかりに歯を食いしばり三日月宗近は来た道を走る。
困惑しきりな主を気にする余裕もなく、「見逃され」て己の本丸へと転がるように逃げ帰ってきた。
本丸では、通常では有り得ない姿を見せる三日月宗近や主の様子、そして大典太光世の姿がない事に騒いだ。
しかし、主と三日月宗近の尋常ではない姿に暫し時間が必要として本丸の刀達はそっとしておく事に決める。
三日月宗近は己の部屋で膝をつき額を畳に押し付ける。
「俺は…俺、は…」
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私が「それ」を見つけたのは本当に偶然だった。
最初はさ、審神者ちゃんが昇格するっていうからそわそわワクワクで政府本部に来た訳ですよ。
でも、案内される場所に向かう内に段々嫌な気持ちになっていく。
いや、別にこう、何か汚い訳じゃなくて…神聖?な、感じなんだけど嫌な?
んん?て顔をしながら最後尾を歩く。
途中でいくつかの部屋の前を通って、へーって扉を見てると少しだけ開いてる場所があった。
見たのはただの好奇心。
ちらっと見てみただけだった。
そのつもりだった。
その中には、妙な祭壇?みたいな所に埋め込まれたヒトが居た。
…は?え?…さ、最後のファンタジーな十番目の祈りのあれですか?
思い切り混乱して、突然に思いつく。
え、これってまさか審神者ちゃん、生け…。
とかやってる内に審神者ちゃん部屋に入るし!
慌てて追いかけると例の祭壇があって、お腹の中が一気に冷える。
せ…政府のぼけなす!!
くそがっ!あほんだらぁ!
頭の中で罵詈雑言だよ!なのに私のお口は動いてくれない!
くっそこうなりゃ何としてでも部屋から出さなきゃ。
て事で、テンパり過ぎて有り得ない事に刀抜いちゃった訳ですが。多分、こういう部屋には仕掛けがしてある筈!私知ってる!
ははっ、審神者ちゃんの事は魔王様に任せれば大丈夫だよな?だよな!?
あー…うー…怖いな、怖い。うわぁ、泣きそうだ。
でもさぁ、やっぱ可愛い女の子は助けたいよね。うん。いっぱいお世話になったしね。
よっし、良い感じに誘導出来たか?
て事で、後は任せた魔王様!!
…最後は、笑えてたかなぁ…。
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とある本丸で「ちょっとした」騒動があってから暫く経った頃。
政府より「大典太光世」が新しく力を貸してくれるという発表がされた。
その事にとある本丸の三日月宗近は、己の掌に爪が食い込み血が滴る程に強く手を握る。
「あの部屋」には、贄を捧げなければ出られないよう仕掛けが施されていた。
たった一人の犠牲で、百や万を救えるならば確かにそうすべきであろう。
しかし…。
己の記憶の大典太光世とは、似ても似つかぬ新たな大典太光世に三日月宗近は…。
蛇足
刀一振りに対して生け贄一人。つまり、新しい戦力が欲しかったら人柱は増えていく。
途中の花畑はお供え。
大典太光世は魂は人間なので生け贄として認識された。
二つ名を持つ上位者=生け贄。
色々救われない。