ストライク・ザ・ブラッド〜獅子王機関の舞剣士〜   作:倉崎あるちゅ

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遅れて申し訳ありませんでした!!!

遅れた理由は二巻を無くしまして、それで内容を確認出来なかったのです。……いえ、原作見なくても(紗矢華の登場巻なので)内容は覚えてますけど、出来れば原作見ながらやりたいので探していたのですが………見つからず。諦めて新しく買いました! テヘペロ(キモイ)

まぁ、中身はあまり原作と変わらずかな、と思います。それでもよろしければご覧下さい。

それと、お気に入り数が200になりました。本当に有難うございます。私は涙が止まりませんぞ(╥﹏╥)

それではどうぞっ!


 Ⅳ

 α

 

 

 キラリと、銀閃が奔る。それは俺の妹分である雪菜が持つ七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)雪霞狼(せっかろう)のものだった。

 戦闘機の副翼を思わせる副刃を持ち、鋭利な輝きを放つ穂先。雪霞狼は洗練されたデザインをイメージさせられる。

 その銀色の槍が、紗矢華が放った獅子と狼の式神を葬った。そのまま雪菜は暁古城の下へと走って行った。

 俺は雪菜に気付かれる前に撤退しようと考え、オルートから渡された黒い封書を、暁古城の近くに投げて急いで紗矢華の手を取った。

 

「封書は渡した。帰るよ、紗矢華」

 

「ちょ、待ちなさいよ翔矢! 雪菜が、雪菜がぁぁ!」

 

 さっきの憎しみに満ちた表情は何処に行ったのか、今は雪菜の所に行きたいと駄々を捏ねるように紗矢華は手足をばたつかせる。

 俺はそれを無視して、座標を"オシアナス・グレイヴ"に固定し、黒翔麟を振るって擬似的な空間転移をした。

 俺は紗矢華の手を引っ張りながら空間の狭間を歩いて行く。

 

「しょ〜や〜! 雪菜がぁ!」

 

「ダメ」

 

 まるで子供だと思うような感じだ、今の紗矢華は。

 俺のさっきの暗い考えはなんだったんだろう。考えて損したよ。

 小さく溜息をつくと、目の前に広がるのは柔らかそうなソファーが置かれた応接間だった。そして、そのソファーに座るのは優雅に紅茶を飲むオルートであった。

 

「おかえりなさいませ、お二人共。ちゃんとお渡ししましたか?」

 

「あぁ、渡したよ。ちょっと事故が起きたけどな」

 

「事故、ですの?」

 

「これ」

 

 首を傾げるオルートに、俺は未まだに雪菜雪菜と言い続ける紗矢華を指さした。紗矢華のその姿を見たオルートは苦笑を見せた。

 実は、俺達が出掛ける前にヴァトラーとオルートの二人と少し雑談をしていたのだ。主に彼らが聞き手で、話していたのは俺と紗矢華。話す内容は全部雪菜。二人にとっては会った事もない人の話をされ、どう反応をしていいか困っていたようだった。ちなみに俺は雪菜に関する補足などだ。

 それを思い出したのであろうオルートは引き攣った笑みを浮かべて蒼色の髪を掻き上げた。

 

「ま、まぁ……お渡ししていただければ良いですわ」

 

「なんか、悪い」

 

 本来ならただ単に封書を渡すだけだったのに、紗矢華の暴走により暁古城の襲撃。それに飽き足らず現在雪菜雪菜と駄々を捏ねている。溜息しか出ない。

 

「夜のパーティーまで、部屋に軟禁しておくか……?」

 

「いえ、そこまでしなくてもよろしいのでは?」

 

「そう思うか? でも、どうにかしてこの状態を治めないと」

 

 あれだな、これが俗に言う"駄目だこいつ……早く何とかしないと……"っていうやつか。

 その後、しばらく紗矢華を放置して俺とオルートは話し合ったがまとまらず、ヴァトラーにも参加してもらった結果、部屋に軽い軟禁をする事に決まった。

 流石にあれはうるさすぎたよ俺の方が久しぶりに雪菜と会うっていうのに、紗矢華の方がヒートアップしてどうするのさ。

 あぁあと、ヴァトラーは話している最中ずっとクスクス笑っていた。凄くウザかった。

 

 

 β

 

 

洋上の墓場(オシアナス・グレイヴ)、ねえ。趣味悪い名前だな」

 

 ディミトリエ・ヴァトラー、セリア・オルートからパーティに招待された暁古城と姫柊雪菜。

 二人の出で立ちはパーティということもあって、古城は黒のスーツ。雪菜は動きやすそうな白いドレスだ。

 

「で、姫柊は何やってるんだ?」

 

 その雪菜はスカートの裾を握って頬を少し赤らめて恥ずかしそうにしていた。

 

「い、いえ……その、変じゃありませんか?」

 

「いや、全然。似合うよ。 ……ん? 姫柊って髪飾りとかしてたっけか?」

 

 雪菜の問い掛けに答え、古城は彼女の髪に注目した。

 そこには銀色の十字架を模した髪飾りがあった。黒髪である雪菜に栄えるため、とても良く似合っている。

 

「これ……もしかして変ですか?」

 

「いや、全然。似合うよ」

 

 先程と同じ台詞を繰り返す古城。語彙力があまりないためか、繰り返すことしか出来ないのだろう。

 

「高神の杜にいた時に、紗矢華さんと翔矢さんに……ルームメイトの子とわたしを妹のように思ってくれた人から貰ったんです」

 

「へぇ、しょうや、って男っぽい名前だな。その子達も姫柊と同じ剣巫なのか?」

 

 少し興味を惹かれた古城は雪菜に訊く。

 高神の杜とは雪菜が先月まで通っていたという表上は全寮制の女子校の名だ。本当は剣巫、舞威媛、舞剣士を養成する教育施設である。

 

「いえ、翔矢さんは男性ですよ。……顔は女の子みたいですけど。二人共剣巫ではありませんが、獅子王機関の攻魔師です」

 

 半ば独り言のように呟き、後半は何故か得意げに言う。雪菜の返答を聞いた古城は少々戸惑った。

 

「ま、待て姫柊。男性ってどういうことだ? 高神の杜は女子校だろ? なんで男が……」

 

「翔矢さん以外にも男性の攻魔師はいますよ。人数が少ないのもありますし、何より皆大人の方ばかりなので翔矢さんみたいなのは珍しいケースです」

 

「な、なるほどな。一応納得した」

 

 周りが女性だらけ。その光景を想像した古城は寒気を覚えた。もし自分がその場に放り込まれたら、吸血衝動を耐え切れるか。耐え切れないと、彼は考えて直ぐに答えを出した。

 

「二人共わたしよりもひとつ年上でしたので、今は正式な任務についています。翔矢さんについては二年前から長期任務についてるんです。いつ帰ってくるか解らないのでちょっと心配です」

 

「そっか……その二人と仲が良いんだな」

 

 はい、と古城の呟きに雪菜がはにかみながら頷く。

 

「本当の姉や兄のように思っていました。紗矢華さんは美人で可愛くて、性格も可愛くて。翔矢さんはかっこよくて、頼りになって、とても優しい人達なんです」

 

「そんなに絶賛するぐらいだから、ちょっと会ってみたいな」

 

 何気なく、そう古城は感想を零した。その瞬間雪菜は表情を曇らせ、ぼそっと小声で告げる。

 

「先輩は紗矢華さんには会わない方がいいかもしれません。翔矢さんが間にいれば良いんですが……たぶん命を狙われるかも知れません」

 

 その言葉を聞き、古城は顔を引き攣らせたのだった。

 

 

 そして、"オシアナス・グレイヴ"の甲板から雪菜と古城の姿を眺める長身の少女が、忌々しく古城を睨みつけていた。

 

 

 γ

 

 

 "オシアナス・グレイヴ"に乗り込んだ雪菜と古城は、浮いている、という事を感じていた。

 周りがニュースなので取り上げられている人々が多いにも関わらず二人だけ学生である。さぞ浮いているに違いない。

 

「にしても、俺達を呼びつけた張本人は何処なんだ?」

 

 そんな居心地の悪い、飾り付けられた会場内を見回して古城が呟く。

 

「上です。アルデアル公はおそらく外のアッパーデッキにいると思います」

 

 剣巫特有の霊視を用いて、雪菜は頭上を見上げながら言う。

 

「アッパーデッキか……。どうやって行けばいいんだ?」

 

「こっちです、先輩」

 

 広間の隅っこの方にある階段を雪菜が指を指し、古城達以外に招待された客で混み合う通路を歩き出した。

 古城は先に行く雪菜の後を追いかけると、雪菜が振り返って手を伸ばす。なんの疑問を抱かずに彼女の手を握ろうとしたところで、

 

「──せいっ!」

 

「させるかっ!」

 

「うおっ!?」

 

 二つの銀色の閃光が古城の目の前で交差する。

 よくよく見てみればその銀色の物は鋭く研ぎ澄まされたフォークだった。

 フォークを握っていたのは色素の薄い長い髪をポニーテールにしたチャイナ服の少女と漆黒の髪を長めに伸ばし、黄昏色の瞳をした何故か黒色のスリーピースを着た少女。どちらも長身だが、若干漆黒の髪の少女の方が高い。

 

「何するのよ翔矢っ! この変態を殺せないじゃない!」

 

「誰が殺させるか! まだ犯罪を犯していない奴を殺させてたまるか!」

 

 バチバチと火花が散りそうな雰囲気を醸し出す少女二人に古城は呆気に取られる。

 ふと、先程の言葉を古城は反芻した。

 

(しょう、や…………? それってもしかして……)

 

 古城がそう思っていると、先に行っていた雪菜が帰ってきた。

 

「紗矢華さん!? それに、翔矢さんまで!?」

 

 まだバチバチしている二人を見て、雪菜はその二人の名を呼んだ。

 その名を聞き、古城は自分が予想した通りだと思った。

 雪菜が名を呼ぶと二人のバチバチした雰囲気は一瞬にして霧散して、優しい愛情に満ちた雰囲気に豹変した。

 

「雪菜!」

 

 弁解。

 二人ではなく一人だった。漆黒の髪の少女……ではなく少年──黒崎翔矢は疲れたような表情になっている。それでも優しい雰囲気ではあるが。

 ポニーテールの少女──煌坂紗矢華は勢い良く雪菜に抱きつく。それを見た翔矢と古城は、ポニーテールが犬の尻尾のようだと思った。

 

「久しぶりね、雪菜! 元気だった!?」

 

「は、はい」

 

 ぱちぱちと、戸惑っているのか、それとも驚いているのか雪菜は眼を瞬かせている。

 だが、雪菜のそんな反応を無視して紗矢華は頬を彼女の首筋にぐりぐり押し付けた。

 

「あぁ、雪菜、雪菜、雪菜っ!! 私がいない間に第四真祖なんかの監視任務を押し付けられて! 獅子王機関執行部も私の雪菜になんて仕打ちをするのかしら!」

 

 頬を紅潮させ、紗矢華はどんどんヒートアップしていく。

 そんな紗矢華の暴走を見て、翔矢ははぁ、と盛大に大きな溜息をついて彼女に歩み寄る。

 翔矢に気付いた雪菜は助けを求めるように彼に目を向ける。翔矢は軽く頷き、ポンッと紗矢華の後頭部にチョップした。

 

「こら、その辺にしなよ紗矢華」

 

「あっ……ご、ごめんなさい、雪菜…………」

 

 正気に戻ったのか、紗矢華は雪菜に抱きついてはいるが先程のような暴走はなくなっている。

 

「い、いえ……大丈夫です。少し驚いただけなので」

 

 そう言う雪菜は抱きつく紗矢華を見て微苦笑する。

 一方古城は紗矢華の豹変ぶりに、またしても呆気に取られており、恐る恐ると言った感じに訊ねる。

 

「それで……誰なんだあんたらは?」

 

 訊ねる古城に、紗矢華と雪菜の二人を見守っていた翔矢が反応する。

 

「ああ、悪い暁古城。自己紹介がまだだったよね」

 

 そう言って彼は苦笑をして、胸ポケットから黒色の手帳らしき物を取り出して見せた。

 

「獅子王機関所属、舞剣士の(くろ)(さき)(しょう)()だ」

 

 見せたのは翔矢の顔写真が貼られた攻魔師の資格証──Cカードと呼ばれるものだった。

 

「で、こっちのチャイナ服娘なんだけど──」

 

 自分の自己紹介を終え、翔矢は未まだに雪菜に抱きついている紗矢華をジト目で見る。

 

「な、何よ翔矢……?」

 

「紗矢華も自己紹介しなよ。初対面なんだし」

 

「嫌よ、この変態の下卑た視線に危険を感じるわ」

 

 そう言う紗矢華は古城を鋭く睨んだ。

 翔矢は小さく溜息をつき、古城に向けて申し訳なさそうに微笑む。

 

「ごめん、紗矢華はこんなんだから代わりに俺が紹介するよ。彼女の名前は(きら)(さか)()()()。同じく獅子王機関所属で舞威媛の肩書きを名乗ることを許されている」

 

「あ、あぁ。よろしく」

 

 先程のフォークが交差する場面や紗矢華の豹変ぶりに、未まだ混乱から抜け出せない古城は頬を引き攣らせながらも笑う。

 

「それじゃあ、アルデアル公──ディミトリエ・ヴァトラーとセリア・オルートの所へ案内するよ。ついてきてくれ」

 

 そう言った翔矢は紗矢華に近寄り、ほら行くよ、と言って彼女を雪菜から引き剥がしてアッパーデッキに繋がる階段を上がっていった。

 古城と雪菜も急いで二人のあとを追っていったのだった。

 後に聞いたところによると、翔矢と紗矢華のフォークを用いた争いは、翔矢が人払いの結界を張ったことにより騒ぎにはならなかったそうな。

 




あ、文字数4000文字行ってたwwww全く気付かなかったw

ちなみに最後の紗矢華の台詞は俺ガイルの雪ノ下雪乃の台詞を使いました。あれ好きなんですよね。
雪乃みたいな毒吐くオリキャラ出そうかな。でも出すとしても監獄結界まで出せないかな。

とりあえずオリキャラは置いといて。
殆ど書いてなかったので翔矢君のキャラがブレてないか心配です。てか、古城君はアレでいいですかね? ま、少ししか出てないんで大丈夫ですよね(殴

それでは失礼致しました!!

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