ストライク・ザ・ブラッド〜獅子王機関の舞剣士〜   作:倉崎あるちゅ

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何ヶ月投稿してなかったんでしょうね……。申し訳ありませんでした。バイトと学校が……。それ以前に学校行けてなかったですww

今回短めです。すみません。

それでは、どうぞ!


 Ⅱ

 α

 

 

 夜明け前。巨大な船──メガヨット、オシアナス・グレイブの甲板に、ヴァトラーとオルートの二人が立っていた。

 俺はその二人に向けて、堅苦しいことを言う。

 

「アルデアル公、オルート卿。日本政府より回答書をお持ちしました」

 

「ん、やっと来たネ。待ちくたびれたヨ」

 

 振り返ったヴァトラーは、苦笑を隠しもせずにそう言う。

 俺が持つこの回答書。これはつい今しがた師匠の式神が届けてくれたものだ。本当なら俺達が立つ頃にはあるはずのものだったのだが、日本政府は、この"戦王領域"の"旧き世代"達が魔族特区である絃神島に行くことを大分渋ったようだ。そして、苦肉の策として護衛と監視を付けることにしたのだろう。まぁ、師匠や三聖はその苦肉の策を先読みしてたようだけど。

 俺は回答書が入った封筒を破り、回答書を取り出してその内容を読み上げる。

 

「本日午前零時をもって、アルデアル公、オルート卿の絃神島"魔族特区"への訪問を承認。以後はアルデアル公を聖域条約に基づく"戦王領域"からの外交特使、オルート卿はその客人として扱う、とのことです」

 

「それは結構。妥当な結論だね」

 

「来るな、と言われても勝手に行きましたけれどね」

 

 ヴァトラーは甲板に設置された手すりに寄りかかり、オルートは腕を組んで艶美な笑みを浮かべて言う。

 

「あ、それと、翔矢。そんな堅苦しい口調で言わないでくれ。ボクたち、悲しくなってくるヨ」

 

「そうですわ、翔矢さん」

 

 悲しいとかなんとか言ってるが無視しておいて。それよりも、俺には堅苦しい口調は似合わないのか。薄々自分でも気付いてたけど。

 俺は溜息をつき、二人に向けて砕けた言葉遣いで言う。

 

「さて、回答書の続きな。さっき言ったことには条件がつく」

 

「それが、君達ってことだよね?」

 

「そういうこと。俺と紗矢華の二人でお前達戦闘狂コンビの監視をする。あとは一応護衛な」

 

 護衛なんて要らないと思うけどな。何かあればこいつらが俺達より早く動くだろうし。

 俺はそう考えている中、何度も欠伸を繰り返している。何故なら、

 

「そういえば、翔矢さん」

 

「んー、なんだよオルート」

 

「紗矢華さんとはどうでした?」

 

「…………このヤロー」

 

 ニヤニヤと笑うオルートに向けて、俺は軽く殺気を放った。

 どうやら俺と紗矢華が同室だったのはこいつのせいらしい。こいつのせいで俺は寝不足になったのだ。絶対に報復してやる。睡眠の恨みは恐ろしいぞ。

 

「ヴァトラーの執事に案内されたからてっきりヴァトラーかと思えば…………やっぱりレヴィアタンにでも喰わせるか」

 

「いや、ボクも一枚噛んでいるよ翔矢」

 

「よし、殺してやろうか二人とも?」

 

 背中に背負っている竹刀袋に手をかけ、俺は頬を引き攣らせて怒りを露にする。だが、それは一瞬で終わった。

 何故なら、急に頭を叩かれたからだ。

 

「翔矢、やめなさいよ。こんなところで戦われたら元も子もないわ」

 

「紗矢華はいいの? こいつらのせいで仮眠が取れなかったんだよ?」

 

 部屋にいたはずの紗矢華が後ろにいて、少なからず驚きつつも、俺はヴァトラーとオルートに対しての文句を言う。

 しかし、紗矢華はごにょごにょと顔を少し赤らめて何かを言っている。

 

「……別に私は、いいんだけど…………」

 

 何がいいのだろうか。仮眠が取れなかったんだぞ。こいつらには天誅を下さねばならないんだ。

 俺がそう思っていると、ヴァトラーが何かを思い出したように話しかけてきた。

 

「そうだ、君達に訊きたいことがあるんだ。第四真祖についてなんだけど」

 

 第四真相という単語が出て来て、紗矢華の表情に怒りが灯った。おそらく第四真祖の監視に雪菜がついたことを思い出したのだろう。

 

「もう君達は、とっくに彼を見つけ出して、今も監視中なんだろ?」

 

「…………あえて否定はしない、とだけ申し上げておきましょう」

 

 そういう紗矢華の表情が段々怖くなっていく。綺麗で端正な顔が般若の如き形相になって、正直俺でも怖い。

 

「うふふ、ぜひ紹介してもらいたいですわね。貴方方が彼を匿う気持ちは分かりますけど」

 

 ヴァトラーとオルートの二人は、俺達獅子王機関が現在進行形で監視をしている第四真祖の話をする。その際に、何故か分からないが普通の人間がいれば意識を失うほどの邪気を放ってくる。

 しかし、そこは獅子王機関の舞剣士である俺と舞威媛の紗矢華。俺達からしてみればほんの少しの邪気程度では動揺などしない。

 紗矢華はイライラしながら首を振った。

 

「いえ。彼を庇う理由はありません」

 

 そう言って彼女は、俺が持つ第四真祖の写真を奪ってヴァトラーとオルートに見せる。

 その写真に写るのは制服を着た平凡な男子高校生、(あかつき)古城(こじょう)

 

「第四真祖、暁古城は私達の敵ですから」

 

 ぐしゃりとその写真を紗矢華は潰した。

 俺達四人を乗せたメガヨットは、ゆっくり絃神島に近づいていく。

 はぁ……何もなければいいなぁ……。無理か。

 

 

 β

 

 

 時刻は昼過ぎ。夜明け前の一件が遠い出来事のように思えるほどの天気だ。

 こういう天気に昼寝をすると凄く気持ちがいいものだろうが、残念ながら、隣にいる紗矢華が許してはくれないだろう。

 しかし、ダメ元で訊いてみて損は無い。

 

「ねえ紗矢華」

 

「ん? 何、翔矢?」

 

「昼寝したら、ダメかな?」

 

「却下よ」

 

 分かってはいたのだが、笑顔で即答された。

 俺は溜息をついてソファにだらしなく背もたれに寄りかかった。

 現在、俺達はやることがなく、こうして駄べるだけである。内容はアルディギアでの任務のことだったり、ヴァトラーとの戦闘のことだったりする。

 

「はぁ……。暇……」

 

「確かにそうね」

 

 俺の呟きに、紗矢華は読んでいた本を閉じて相槌を打った。その後、紗矢華はあー、うー、などと唸って意を決したように俺の顔を見た。

 

「しょ、翔矢……」

 

「何?」

 

「か、買い物とか、一緒に行ってあげても、い、良いわよ……?」

 

 やや上から目線な口調なのだが、言っている最中にだんだん俯いていき、最終的には上目遣いになって訊いてきた。それに、若干目が潤んでる。

 な、なんでそんなに目を潤ませて訊いてくるの!? というか紗矢華、買い物行きたいんだ!?

 俺は心の中でそう叫ばずにいられなかった。

 

「翔矢が行かないんだったら、べ、別に私はいいんだけど……」

 

 紗矢華は俺から目を逸らして、チラチラとこちらを少し不安そうに見てくる。

 そういえばと、俺はふと思った。

 俺が二年間長期任務に就く前に紗矢華と買い物をしたのは、一年前くらい。買い物などに行く時は必ず声をかけてくれていたのだが、俺は師匠との鍛錬で時間が無かった。

 久しぶりに、行くとしよう。せっかく紗矢華が誘ってくれてるんだし。

 

「まぁ、暇だしね。行ってくる?」

 

 よいしょっ、と言って俺はソファから立ち上がって紗矢華に手を差し出した。

 

「ええ、行きましょう」

 

 笑顔を見せて、紗矢華は俺の手を握って立ち上がった。

 しかし、後ろから声がかけられた。

 

「おや、お出掛けですか? 翔矢さん、紗矢華さん?」

 

 後ろを振り向いて見ればオルートが何か、黒い封書を持って来ていた。

 

「あぁ、ちょっと買い物をな」

 

「そうですか。でしたら、ついでにこれを第四真祖に渡してくださいな」

 

「ん?」

 

 妖艶な笑みを浮かべて手渡される黒い封書を見て、俺は溜息をついた。紗矢華も封書を見て頭を抱えている。

 宛名は暁古城。すなわち第四真祖だ。こいつらは何がなんでも世界最強の吸血鬼、焔光の夜伯(カレイドブラッド)と会いたいようだ。

 

「既に他の方々には配っていますわ。最後は第四真祖です。宜しくお願いしますわよ」

 

「はいはい、分かった。パーティまでには間に合うように渡す」

 

 オルートをぞんざいに扱い、俺はパシッと封書を奪った。

 今回、第四真祖と会いたいがために、わざわざ他の魔族と繋がりのあるお偉いさん方を招待してパーティを主催するのだ。本当に面倒な事をしてくれる。

 その後、俺と紗矢華はオシアナス・グレイブから出て、暑苦しい絃神島へと赴いたのだった。

 




古城君達サイドを書こうとしても翔矢君の話題すら出せないから原作と同じになっちゃったんでカットしました。
というか全然話が進まないww早くガルドシュとの戦闘が書きたいです。(戦闘描写が得意でもないくせによく言う)

次投稿するのは少し間があくと思います。ダンまちも投稿しないとなんで。

それでは、失礼致しました!!



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