ストライク・ザ・ブラッド〜獅子王機関の舞剣士〜   作:倉崎あるちゅ

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メインがダンまちといいつつ、こちらを投稿とは………はぁ……まぁ、近々投稿するのですが……

今回、結構ダメダメだと思います。ご了承下さい。

それではどうぞ!


戦王の使者篇
 Ⅰ


 α

 

 

 切れ目の中に入った俺と紗矢華は、空間の狭間を歩いていた。歩くと言ってもほんのたった数十メートルくらい。

 歩いている最中、紗矢華が俺に質問してきた。

 

「これって、どうやって向こうの空間を繋ぐことが出来たのかしら?」

 

「あぁ、それなら、俺があいつらの魔力を探知してそこを転移場所に固定したんだよ」

 

 俺の七体いる使い魔の内に、探知系の能力を持つ奴がいるので、それを使ったのだ。それは地球上ならどこでも探知出来るレーダーのようなもの。そのレーダーを使えば"蛇使い"達の魔力を探すことなど造作も無い。

 

「なるほど、そういうことね。納得したわ」

 

 俺の説明で理解出来たのか、二、三回頷く。

 説明していて気付かなかったが、もう船に着いた。

 

 

 β

 

 

 "洋上の墓場(オシアナスグレイブ)"の甲板に、一人の青年が軽薄そうな笑みを浮かべて、立っていた。

 その青年は綺麗な金髪に、碧い眼をもった美青年だった。

 彼の名はディミトリエ・ヴァトラー。"戦王領域"の貴族で、"蛇遣い"の異名で多くの魔族に知られている。

 

「はは…………楽しみだヨ。第四真祖、君に会えるのが」

 

 笑みは段々恍惚とした表情へと変わり、酒に酔ったような感じがとれる。

 しかし、急にブゥンという音が甲板に鳴り響き、ヴァトラーの表情はまた軽薄そうな笑みを浮かべさせる。

 

「誰かな、ボクの船に無断で搭乗する輩は」

 

 ほんの少し魔力と殺気を漏れさせ、音がした方向を見る。

 次第にその音は大きめのノイズを発生させて、虚空が割れる。そして現れた人物は、

 

「よっと、到着」

 

「少し目眩がするわ……」

 

 ヴァトラーにとっては、最大の好敵手であり伴侶候補でもある、漆黒の髪に黄昏色の瞳を持つ少年──黒崎翔矢だった。

 ヴァトラーは一緒に出てきた紗矢華には目もくれずに、翔矢に歩み寄る。

 

「翔矢じゃないか。半年振りカナ、君に会うのは」

 

 口を三日月みたく裂けさせて、ヴァトラーは翔矢に声をかける。翔矢は、げぇ、とあからさまな嫌な顔をして少し後ずさった。

 

「来るな、ホモ。俺はお前を恋愛対象で見てないから来ないでください。女の子オンリーなのでごめんなさい」

 

「ははは、酷いじゃないか翔矢」

 

 優しげな笑みを湛えて言うヴァトラーに、酷くない、と翔矢は言い返す。

 おいてけぼりの紗矢華は呆気に取られてしまっている。

 はぁ、と溜息をついた翔矢は甲板を見渡した。そこで彼はここにいると思っていたもう一人の人物がいないことに気付いた。

 

「ヴァトラー、女王は?」

 

「んー? セリア嬢かい? セリア嬢なら、もう少しで来ると思うが」

 

 翔矢の質問に、ヴァトラーは興味無いように答える。翔矢はそう、と言って黒翔麟を竹刀袋に戻そうとした。

 

「……っ!!」

 

 戻そうとしたところで、殺気をぶつけられた。だがそれは翔矢にではなく紗矢華に向けて。

 翔矢はバッ、と振り返って紗矢華の手を取り、黒翔麟を構えた。

 

「し、翔矢?」

 

 急に手を取られた紗矢華は戸惑いの声を上げる。

 翔矢は殺気の発生源を鋭く睨んで、黒翔麟に霊力を流し込む。

 

「趣味がいいとは言えないね、女王様」

 

 皮肉を込めて、翔矢は"焔の女王"──セリア・オルートにそう言う。彼女の容姿は、蒼い髪をゆるふわに巻いた長髪にスラッとしたスタイルを持っている。顔は文句無しの美女。

 

「あら? そうでしょう、かっ!」

 

 言って、彼女は橙色の焔を纏った猫型の眷獣を出した。

 

「火猫、ってことはお遊びだよね……」

 

「よく分かってらっしゃるのね、流石翔矢さん」

 

 綺麗な笑顔を翔矢に向けて、彼女は火猫に指示を出して翔矢と紗矢華を攻撃するように仕向けた。

 

「ちょ、お遊びでこの攻撃なのっ!?」

 

 紗矢華はセリアの攻撃を見て冷や汗を流す。その攻撃は、ただ火猫が飛びかかってくるだけだが、周りには橙色の火の玉が何十個も飛んでくる。

 

「紗矢華は下がってて。……女王様、俺に焔は無駄だってこと忘れてない?」

 

 にやりと笑って、呟く。

 翔矢は火猫に向かって手を掲げる。その手には、薄緑色の魔力が漂っている。

 

「飲み込め、嫉妬(インウィディア)()大罪(レヴィアタン)

 

 火猫が後数センチで翔矢にぶつかる寸前、船が大きく揺れた。

 出てきたのは十メートルはあろう巨体を持つ蛇型の使い魔(悪魔)。薄緑色に輝く鱗を持ち、頭に六本の角を生えさせており、その間には魔力が漏れて翼のようになっている。

 その使い魔は翔矢に迫る火猫を睨み、雄叫びを上げる。

 

『クォォオオンっ!!』

 

「なんか、前見た時より大きくなってる…………」

 

 嫉妬の大罪を見た紗矢華は、顔を引き攣らせて言った。

 使い魔は、眷獣と違って魔力の塊ではない。別次元に存在する生き物だ。それ故に成長する。死ぬ時は契約者が死ぬ時である。

 雄叫びを上げた瞬間、水の塊が火猫を覆った。同時に、宿主であるセリアも水の塊に覆われた。

 

「っ!」

 

(魔力が、吸われていますわ……!)

 

 目を見開き、セリアは水の塊の中で藻掻く。しかし、手首と足首には水で出来た鎖が繋げられていた。息は出来るみたいだが、魔力は吸い取られ、体の動きも封じられ、何もできない状態だ。

 

「紗矢華に殺気ぶつけた罰だよ。今度したらレヴィアタンに喰わせるからね、女王様♪」

 

 そう言って、世の中の女性が堕ちるような笑顔を浮かべる翔矢。紗矢華とヴァトラー、セリアはその笑顔を見て、"あ、本気だ……"と心の底からそう思った。

 

 

 γ

 

 

 あのあと、女王様を自由にして俺達は豪華な船の中に入った。

 そして今、フカフカなソファに座り、テーブルを挟んでヴァトラー達と向き合っている。

 

「それで、君は?」

 

 さっき俺が紗矢華の名前を出して、それまで気付いてなかったのであろうヴァトラーは、紗矢華に訊く。紗矢華は姿勢を正して恭しくお辞儀をした。

 

「獅子王機関の舞威媛の肩書きを名乗ることを許された、煌坂紗矢華と申します。この度は、"焔の女王"、オルート卿の護衛と監視の任務に当たらせていただきます」

 

 紗矢華が堅苦しいことを言う。

 たまに紗矢華はこういう場所になると、こんな硬いことを言う。しかし、俺としてはこの蛇遣い(ホモ)と女王様に関しては雑に扱っていいと思う。

 

「ふぅん、だってさセリア嬢」

 

「そうですの。翔矢さんが良かったですわ」

 

「残念だったネ。この様子だとボクの護衛と監視は翔矢だ」

 

「本当、遺憾ですわ」

 

 なんなんだ、この二人の会話は。別に俺はジジイ(ホモ)ババア(女王様)の取り合いになられても全然嬉しくない。

 

「紗矢華、俺もう帰りたい……」

 

「え、このまま帰られると私が辛いんだけど」

 

 確かに俺が帰ってしまえば、紗矢華の負担は二倍に跳ね上がるだろう。あぁ、紗矢華に負担をかけるのは気が引ける。仕方ないよな……やるか。

 

「はぁ…………今回、僕はアルデアル公(笑) の護衛と監視をします。面倒臭い行動はしないように。いいですか、アルデアル公(笑)?」

 

 キチっとしたことを言おうと思ったのだが、どうも上手くいかない。(笑)付けちゃったし。

 

「はは、(笑)は酷いな、翔矢」

 

 苦笑いをするヴァトラーに俺はうるさいよ、とツッコミをいれた。

 その後、俺と紗矢華はヴァトラーによって割り当てられた部屋に向かったのだが──

 

「な、なんで一緒の部屋なのよ……っ!」

 

「さ、さぁ……?」

 

 その部屋は高級ホテルのスイートルームも匹敵する程のものだった。ただし、これが一人部屋なら大はしゃぎものだが、残念なことに二人部屋だ。しかも女の子との。

 

「まぁ、ベッドは二つあるから大丈夫だろ」

 

「そ、そうよね。大丈夫大丈夫」

 

 そう言い合う俺達だが、顔は真っ赤になっており、少しぎこちなさが残る。

 昔こそ同じベッドで寝ていたが、今は思春期真っ盛り。とてもじゃないが一緒に寝るなど、出来ない。

 仮眠を取るために、俺達はその後ベッドに潜り込んだ。しかし、寝られるはずもない。

 結局、俺達はヴァトラーとオルートに日本政府からの回答書を持って行く間の仮眠は取れず、目の下にクマを作ったのだった。

 




あれ、オリキャラのセリア・オルートっていう名前がISのセシリアに見えるwwwwwwwあ、あれ? こんなんじゃなかったはずなのに……………………まぁ、いいですよねっ!(殴

翔矢君の使い魔……これもう眷獣と大差ないような感じが否めないですね……


そ、それでは失礼致しましたっ!

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