真夏特有の灼熱の光が第三新東京市を覆うここ数ヶ月。この日も例外でなく猛暑日であった。
しかし一方で、ただ暑い一日というだけの普通の日でもある。
ここ一年程にわたり第三新東京市を、いや日本を、いや世界すらも脅かす神の使い、使徒。かの者が襲来していない時点で、この日一日は相対的に悪いものにはならないことが予想された。
「パッと数値を見た感じでは、概ね正常値ね」
「そうですか」
「ええ。ここ最近は暑いから熱中症にだけは気を付けること。パイロットは身体が資本だからね。それじゃあ、今日はここまで。お疲れ様」
「ありがとうございました」
少なくともその使徒と最前線で戦うメンバーのうちの一人にとっては、尚更のことだった。
中学校は既に終業式を終え、夏休み。
先の第十二使徒との戦いもあって、健康診断という名目での経過観察が月に一度義務付けられていた。今日はちょうどその日であったということだ。
時間は、丁度昼休みの頃合い。日差しの強さもピークに達する時間帯だ。
それに反して人は思いのほか多い。飲食店を求め彷徨うサラリーマンに、どこかしら遊びに行く学生、親子連れ。その顔触れは様々なものであった。人口密度が高く、暑さを5割増しにしているようにも感じられる。
しかし、そんなうんざりするような真夏の日差しも、暑さにも関わらず絶えることのない人ごみも、戦いがない日となればいとおしさすら感じられた。
使徒がやってきたとなれば、次の日はこの暑さすら感じられないかもしれないのだから。
ふと、部屋を出る前にリツコの首元が光っていたことに気付いた。
「……あれ? 今日はネックレスつけてますね。珍しい」
「ええ、今日は友人の結婚式に呼ばれてるの」
「そうだったんですか」
「その歳にしては観察眼もあるのね。このままいけば女の子にもてるわよ」
そういえば、前史でもリツコたちは結婚式に行っていたんだったか、とふと思い出す。
あの時はミサトの家でチェロを弾いていると、不意にアスカが帰ってきたのだった。
そして、それから。その日から―――何かが、変わった気がする。
けれど、それが何かまではよくわからない。
そんな真夏の昼下がり。交差点に差し掛かり、この日の夕食は何にしようか、いやその前に自分の昼食はどうしようか、などと考えていると、音が鳴った。
気付くと目線は先ほどの半分ほどの高さになっていた。
横からの衝撃だった。突然のことに、声らしい声が出ることもなかった。
何があったかと衝撃の方向を振り向く。
そこには自分と同じようにして尻餅をつく少女の姿がそこにあった。
少しでもこの暑さを和らげようという意図もあってか、少女の服は白く薄いワンピース。
やや赤みの入った髪はどこかアスカにも似た印象を受けたが、一方で顔のパーツなどは一見してレイのそれにもよく似ている。二人を足して二で割った、という形容が最も近いように思われる。
お互いに考え事をしていたのだろうか、衝撃の強さがそこまで強くない割にお互いの身体は力の作用に抗うことなく地面へと吸い込まれていたようだ。
家路についていたシンジは暑さからか、不注意にも目の前の白服の少女に追突してしまったらしいこと、つまり自分に非があるのはこの様子からも明らかだった。
手を伸ばし、少女が立ちあがる手助けをしてやる。
「大丈夫ですか?」
「うん……ごめんなさい。前、ちゃんと見てなくて」
「こちらこそ」
少女を立ちあがらせたのはよかったが、ふと見ると彼女の小さな鞄からはギリギリ入るかどうかの大きさのファイルや、数冊の本も一部飛び出ていた。
本はタイトルからして参考書などの類。どうやら塾か何かの夏期講習の帰りだったものと推測された。
腰を屈めてそれらをひとまとめにして拾うと、目の前の少女に手渡した。
「どうぞ」
「ありがとう、わざわざ拾ってもらって」
「いいんですよ、僕だって悪かったし。それじゃあ」
「あ、待って。貴方も落とし物してる」
「え?」
少女が手渡したのは、自分の顔写真付きの何か。
……明らかにネルフのカードであった。
「これ。多分、貴方の保険証」
「わっ。ありがとうございます。危ない危ない……」
「碇君、っていうのね」
「はい。シンジ。碇シンジと言います」
「そっか。私は……」
恐らくシンジの名前が分かったということで、自分の名前も紹介するつもりだったのだろう。
「おーい! こっちこっちー」
「あっ、今行くー! それじゃあまたね、シンジ君」
ところが、それは叶わなかった。少女は手をひらひらとさせると、もう一人の少女のところへと走り去ってしまったのだった。
「ねぇ、今の誰? 彼氏? それとも彼ぴっぴ?」
「違うよ、たまたま道端でぶつかっちゃって」
「でも悪くないツラだったじゃん。お似合いだと思うよ~?」
「からかわないでよ、もう」
折角なので名前くらいは訊いておきたかったが、人ごみに紛れた彼女は見る間に大衆に吸い込まれ、やがて見えなくなってしまった。
見渡せば、他にもいくらでも似たような外見の少女は見受けられる。特に何か面識がある訳でもなければ、その一人一人の見分けもつくことはない。
「……またね、か」
既に遠い昔のようにすら感じられる、あの日をふと思い出す。
遠い昔のようだが、決して忘れないあの日。
遠い昔のように感じるのは、年月にして既に三年も前の出来事になるからという、ただそれだけの話だろう。
「さよなら」と言われたあの日。
「またね」と同じ別れのあいさつでありながら、そこに再び会いまみえようという意思は含まれ得ない、一種の拒絶すら含んだことば。
哀しい言葉だった。
けれど、あの日あの時あの場所で死を覚悟していたならば、ひょっとして適切な言葉だったのかもしれない。
もっとも、それと今回とはまるで状況が違う。人にぶつかるということ自体はありふれた事象だ。精々ちょっとしたアクシデント。
この出来事はやがて脳の奥底へとしまわれるだろう。
少女の今回の「またね」も別に深い意味などはなく、やがてただの別れの挨拶としてのみ作用するのだろう。
それを裏付けるかのように、シンジの思考は少女に関する事項から離れてゆく。
その代わりに今晩の夕食をどうすべきか、などといった至極日常的なモノに移り変わるのだ。
そしてついにこの日、少女を思い出すことはなかった。
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闇の中を、その場の雰囲気には明らかに似合わぬ少女二人が進んでいる。異様な光景だ。
ただ、それは事情を知らない者からしての感想であろう。
「この程度の警備システムじゃ、また敵が来た時に困るんじゃないかにゃ」
「そうねぇ」
二人の少女が曲がり角に差し掛かったところで、片方が何かに気が付いた。
「……あっ」
「よぉ」
目の前にいるのは、男だった。
普段通りの飄々とした軽装は、実に彼らしい。
「加持じゃん」
「よかったのかい、ホイホイドグマなんかに侵入して。俺と……やらないか」
「何をやるっていうのよ」
「殺し合いじゃない? 勝負だよ」
「残念ながらそういう訳じゃないんだなぁ。二人とも、こんなとこまで何しにきた?」
「あ、話し合いか。別にあたしらがここに居たって何ら不思議ではないでしょ?」
「そりゃあ、君たち程摩訶不思議な女の子はいないな」
「十四歳目のマカフシギ~♪」
「君たちはここには初めてか? それとも」
「そうね、私は初めて」
「それはそれは、姫のバージン奪っちゃったね。赤飯炊かなきゃ」
「ウザメガネ、アンタそういうのイチイチ言わないと死ぬ生物なの?」
「あっ丁度良かった。加持君、赤飯用にその辺の赤い液体使っていーい?」
「大丈夫だろうがこれ全部LCLだぜ」
「作ってもいいけど食わせたら殺すわよ」
「そんなこと言っていつも殺せてないじゃん」
本来であれば、互いに緊急事態のはずである。
二人からすれば、誰にも見つからないに越したことはない。それに普通の研究員だとかであればまだしも、目の前にいるのは諜報のプロ。
例えここでその命を奪うにしても、まず間違いなく面倒な事態になりうる。
加持からしても、この二人が潜んでいる可能性は全く考えていなかったわけではないものの、かといってそれはいつでも有り得ることであり、それを警戒していてもどうしようもないことだった。
ブッキングが起きたら起きた時、と考えてこそいたが、実際にブッキングした時の対応ははっきり言って未知であった。
「おやおや~、いいのかな姫。此間のことバラしちゃうよ」
「何のことよ」
「ふふ、加持君聞いてよ。姫ったらね、実はアレに弱いの」
「アレ?」
「うん。とっても簡単なことだよ、特別な薬も要らないの。両手両指があれば――もごもご」
「分かった。分かったからそれ言うのだけは止めて」
「んんん、んー。んー、んー、んー、ん、んー。んんん、んー、んん。んー、んー、ん」
「余程都合が悪いのかな」
「幾ら加持さんでも教えられないこと位はあるわよ」
「そりゃあ残念」
「んー、ん。んー、ん」
「……そろそろ離してやったらどうだ?」
「んー、んー。んー、ん、んー」
「そうね。物言いには気を付けなさいよ」
「んー、んー。……ふぅ。姫ったら酷いなぁ全く」
加持に諭されることでやっと手を離すアスカ。
漸く手放されたことで、マリは肺からなくなりかけていた空気をなんとか補充する。
「でまぁ、目的ってことだけど……確認だよ」
「確認?」
「うん。槍、まだあるのかなって」
「槍……胸に刺さってたアレか」
「あるんだね?」
「おいおい、お前たちも来るのか」
「だって加持君、後ろ。こわあいお姉さんが睨んでるわよ。おっかないもんぶら下げて。帰ってもよかったけど、これ帰る雰囲気じゃないでしょ」
確かにその後ろには、睨みを効かせるミサトの姿があった。
その銃口は加持の後頭部にしっかりと向けられており、何かよからぬ動きをすれば即刻それを止めることが可能である。
だが、そのような抑止力としての利用がそれを用いる真の目的ではない。
「やあ。葛城か。昨日の酔いは冷めたか?」
「お蔭様でね」
「そりゃよかった」
「これは貴方の本当の仕事? それとも……アルバイト?」
「どっちかな」
「ネルフを甘く見ないで」
「誰が君を差し向けたのかな」
「独断よ。これ以上は……貴方、死ぬわ」
「俺の身を心配してくれるとは御光栄なことだ」
「ふざけないで」
「今はまだ俺は司令に利用されてるんでね。けれど、葛城に隠し事をしてたのは、謝る」
「……いつぞやの作戦のお礼に、チャラにするわ」
「そりゃどうも。だがな、碇司令もお前に隠し事をしている。そこの二人は知っていたようだが……それが、これさ」
懐から通常のネルフスタッフのものとは異なる仕様となっているカードを取り出す。
それをスキャナーに通すことで、目の前に立ちふさがる鉄の扉は静かにあちら側の世界へと一行を誘っていった。
そこにあったのは、白い巨人。顔面には不気味な覆面、心臓部に突き刺さる赤黒く光る槍状の物体。
禍々しい、という形容詞を具現化せよ、という問いかけを成された時の解答例としては充分すぎるものだろう。
「これは、エヴァ? いえ、違う……まさか」
「槍の方はともかく、そのまさかだ。セカンドインパクトの全ての要であり、始まりでもある……アダムだ」
「これが、アダム……」
それきり、言葉を失うミサト。記憶の中で蘇る巨人の姿とよく合致しており、自分の中の本能的な何かもそれがアダムであると告げていた。
一方で加持の表情は普段ほど明るさの伴うものではないが、それでも巨人を見上げる横顔からその思惑を読み取ることは出来なかった。
「すごく……大きいわねぇ」
「大きいのは分かるんだけどさぁ。あの赤黒さといい太さといい、刺さってる奴って実はシン・アームストロング槍じゃないの? 完成度たけぇニャおい」
二人の少女はかたや一度見たことがあるからなのか、そこまで驚いた様子はない。それどころかのんびりと会話までしている始末だった。
「……お前たちは、驚かないんだな?」
「まぁ、驚かない訳じゃないけどね」
「そうは見えないが」
「ネルフは私たちが考えてる程甘くはない。そうでしょ? 加持さん」
「なるほどなぁ」
アスカの一言に妙に納得した様子を見せた。
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パターン青。最早お馴染みとなったそのシグナルは今日もまた、第三新東京市を震撼させる。
モニターに映るのは、前回の戦いがバルディエルとくれば、恐らくは予想された彼。
ずんぐりむっくりとしたその体躯からは想像もつかない、恐るべき破壊力を持つ彼。力の天使、ゼルエル……
では、なかった。
光り輝く巨大な鳥型の使徒が、突如として衛星軌道上に現れたのだ。
一見してそれは前史で言うアラエルの姿とほぼ一致している。全く以って動きを見せないのもやはり彼らしい特徴であった。
「(このタイミングで、アラエルか……?)」
『一応ロンギヌスの槍はあるようだから、負けるということはないだろうけど』
「(ゼルエルはどこに消えたのだろう? ……サハクィエルの時みたいに、アラエルとの融合か?)」
『どうだろうね。しかしゼルエルとアラエルの攻撃方法はまるで対極的だ。接近戦を得意とするゼルエルに対し、超遠距離戦を得意とするアラエルが融合するのは厳しいのではないかな』
「(……どうかしらね。地上に降りてきてゼルエルのように攻撃するかもしれないわ)」
「(いずれにせよ、イレギュラーな事態なのは間違いない。慎重にいかないと)」
格納庫で二人、アイコンタクトを交わすレイとシンジ。
傍から見ると何をやっているかは分からないそれも、ここまでの数々の使徒戦からして既にお馴染みの出来事となっており咎める者もない。
せいぜい、同じパイロット同士気合を入れる儀式か何かだとでも思われているのだろう。
そんな儀式を行っている三人に、二人の少女が近づいてくる。一人は完全に私服。もう一人はレイ、シンジ同様のプラグ・スーツ姿をしている。
「それにしても、今回は惜しい時期に来たわね」
「惜しい時期?」
「ええ。だってこんな時期に来られたらいけないもの。第三新台場」
「そんなところに何しに行くのさ」
「九十回目のお祭りよ」
「お祭り……?」
レイから発せられる言葉はたまに不可解なものがある。
今回はまさにそれで、シンジは怪訝な顔をする羽目になる。
そうしていると、後ろから足音が聞こえてくる。
「なーにやってんの二人とも。出撃だよ」
「真希波さん……と、アスカ」
「あら。無敵のシンジ様にお名前を憶えていただけただなんて御光栄の極みですわねぇ」
「あ、当たり前だろ。パイロットなんだから」
「姫、戦う対象は今はこっちじゃなくてあっち」
前史の頃を彷彿とさせる「口撃」を早速シンジに喰らわせる。
普段ならマリも茶化すところだが、流石に使徒が接近中ということで目の前の戦いに目を向けさせようとしている。
「あ、珍しく真希波さんがツッコミ入れてる」
「こりゃ明日はロンギヌスの槍でも降ってくるのかしら」
「弐号機の人、貴女がそれを言うとシャレにならないわよ」
「聞こえてるよ三人とも。後で覚悟しといてね」
すると、またしても背後に何か気配を感じる。
「ほら遊んでないで話を聞きなさい」
お馴染みの長い黒髪に、赤いジャケット姿。葛城ミサト女史のご到着である。
「あっミサトさん。居たんですね」
「気付かなかったわ」
「居たのですね三佐」
「いるならいるって言って欲しいにゃ」
「聞こえてるわよ四人とも。後で覚悟しといてね」
それからミサトはオホン、とわざとらしく咳ばらいをすると、気を改めて作戦概要の説明をし始めた。
「今回の作戦はこうよ。改良型PSRで先の使徒に射撃。以上」
「ちょっとミサトぉ。それ作戦って言えるの?」
「言えないわね……でも現状はこれしか手はない」
「葛城三佐。下手に刺激すると危険なのでは」
「そりゃあ勿論リスクがないとは言えないわよ。でも何もしないことには始まらないでしょう」
「降りてくるまで待つとかはダメなんですか」
「使徒の攻撃方法が分からない以上それはそれで危険よ。先の使徒のように、自由落下による攻撃を始めるかもしれない。そうなったら手遅れ」
双方の言い分は平行線である。しかしいずれにせよ使徒とは刃交えねばならない以上、黙認し続ける訳にもいかない。
ここで、マリが一つの質問を繰り出した。
「ねぇミサトちゃん」
「何?」
「本当にないの? 手」
「あったら使ってるわよ」
「本当に?」
「……何が言いたいのかは知らないけど、私はないと思うわよ。むしろマリ。貴女の方が何か知っていそうだけど」
「私は知らないよ。何かないのかなって思ってさ」
「ふぅん……ま、いいわ。他に意見は。……ないなら、実行に移します。今回の弐号機パイロットは」
「私が乗るわ」
「そう。じゃあ、支度を急いで」
ミサトはやや早足で本部に戻っていく。
早鐘を打つ心臓かのようなテンポで打ち鳴らされるヒールの音は、パイロット各員を引き締めるのに充分な効果だった。
「アスカ」
「あによ」
「……相手は、アイツだ」
「だから何よ。どんな使徒でも倒す、それが今やるべきことでしょう?」
「そうだけどさ」
「精々足を引っ張らないで頂戴ね」
アスカとのやり取りは、まるで前史の使徒戦直前におけるそれと変わらない。
少なくとも、表向きは。
アスカはどうも、話を聞く限り前史の記憶はそこまで多くはないようだった。
最期の瞬間を初めとした特に印象深い幾つかの記憶はあるようなのだが、少なくともこの使徒との戦いは印象に残っていない……
あるいは余りのショックに、脳が思い出すことを拒否しているのだろうか?
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「……凄い」
『貴方の予知夢を信用して、作らせたのよ。オカルトにしては余りにも当たりすぎているから』
「碇君はオカルトじゃないわ、どこにでもいる人よ」
『レイ。……そうね、語弊があったわね』
技術部が用意していたのは、屋内からのポジトロンスナイパーライフル射撃装置。
相手にこちらの存在を勘付かせないことで、精神汚染攻撃を未然に防ごうという試みである。
初号機はこの中で射撃体勢に入っていた。
そして他の二体は補佐として、この施設から少し離れた外部において待機している。
PSRの砲身は既に使徒の方角を向いており、あとは本当に撃つのみである。ラミエルの時とは異なり、切羽詰まった状況ではないので狙いは充分なものだった。
『シンジ君。頼んだわよ』
「いつでも行けます。カウント、どうぞ」
『PSR発射まで……3,2,1,0』
「行けっ!」
その時、PSRから轟音が響き渡ったかと思うと、使徒の方角へと真っ直ぐな淡い青色の光線が走った。
前史でもレイが行った攻撃だが、前史と異なるのはその破壊力だ。
ラミエル戦以来更なる改良を重ね、既に数倍の出力の攻撃を可能としている。
そしてそのステータスを実証するかのように、通信音声が続々と響き渡る。
『光線、届きます!』
『使徒、光線に対しATフィールドを展開。……直撃!
エネルギーは減衰しましたが使徒への明確なダメージが確認されました!』
モニターには確かに、ATフィールドを貫通して使徒へと突き刺さる光線が映し出されていた。
コアは破壊されることこそなかったが、それなりに損傷を与えることには成功したようだ。
クローズアップされた映像において、若干ヒビの入ったコアが確認できる。
「ミサトぉ。これじゃあ私たちの出る幕はないんじゃないの? 無敵のシンジ様にお任せしましょうよ」
『使徒はまだ殲滅できていないわ。油断しないで』
「へいへい……」
ポジトロンスナイパーライフルの充填は、まだ三分少々は掛かる。再充填までの間、ピリリと緊張感が走る。
このまま何事もなく二発目を当てられれば使徒は今度こそそのコアを砕かれ、その命を失うことになるだろう。
しかし、そう上手くいくほどこの使徒は甘い存在だろうか。
前作ではロンギヌスの槍によって殲滅が行われた。
それ程の使徒が、ここまで呆気ない終わりを迎えるのだろうか?
シンジは穿つことをやめない。例えどれ程有利な状況下でも、勝利を確信するまでは。
『使徒、下降開始! 猛スピードで第三新東京市を目指しています!』
このように、沈黙を保っていた使徒がまるでコンコルドのように此方への突撃を開始することもあるのだから。
その速度は並大抵のものではない。
使徒自身の推進力に加え重力も働き、着地予想時刻がPSR充電完了に間に合うかどうかになるスピードだ。
『アスカ、レイ! 食い止めて!』
「待ってました!」
「ポジトロンライフル、使用します」
二機のエヴァが急接近する使徒に対し、砲身を向ける。そして、大量の陽電子が使徒に向かって放出された。
ところが、使徒はその全てをATフィールドと恐るべき位置エネルギーとで完全に防ぎきり、微塵も減速する気配を見せない。
そして、突撃しながら展開する。
例の「光」を。
それは、PSRを打ち込んできたその施設を、丸ごと包み込んだ。
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「結んで 開いて 手を打って 結んで」
どこかで見たことのあるような砂場。
どこかで聞いたことのあるような歌。
「また開いて 手を打って その手を 上に」
夕暮れの中で、砂場の中にいる。
たくさんの、友人。
友人は、一緒に砂場で遊んでいた。砂場にはやがて、イビツな城のようなものが築き上げられる。
「結んで 開いて 手を打って 結んで」
イビツな城は今の自分たちから見ればとても大きく、強固なモノだった。絶対に崩されることのないと、確信を持てた。
何の根拠もなく、そう確信を持てた。
翌日になってみると、外はザンザンと窓越しにも聞こえる程の大雨になっていた。
昨日はあれ程晴れていたのに、どうして突然にこれ程の大雨になるのか。
この理由は神にしか分からないのだろう。
天候とは、そういうものだから。いつも、気まぐれだ。
突然の雨で遊べなくなってしまったことを不満に思いつつも、別の玩具でこの日は遊ぶ。
神の悪戯は、雨の降った翌日になっても爪痕を残した。
懸命に造った砂場の城は、いとも簡単に崩れ去ってしまっていた。
崩れないだろうという想定は、所詮思い上がりに過ぎなかったのだ。
辛うじて、城を作った場所だけちょっと盛り上がっている、というのが分かる程度。原型はとどめていない。
それでも新しく子供たちは城を建てる。今度は、崩れないように。
「結んで 開いて 手を打って 結んで」
斜陽の光が自分たちを照らすまで、楽しんで、でも真剣に。
時折別の遊びを挟みながら。
次の日は風が吹いた。
太陽は出ていたので、遊んだ。城はもうできていたし、まだ崩れている訳でもない。
この日は、別の遊び。とても、楽しい一日。
しかしその風は思いのほか強かったらしく、次の日に公園に行ってみると、二日前に造った城はボロボロになってしまっていた。
ある日雪が積もれば、かまくらを作る。
ある日ブロックが与えられれば、ブロックで城を作る。
ある日海に行けば、そこでも砂の城を作る。
ある日粘土が与えられれば、粘土でもっと凝ったものを作ってみる。
けど、その命はどれも永遠ではない。どれもやがていつかは、崩れ去る。
どれ程苦労をしたとしても、やがては元に戻ってしまうのだ。
こうして子供たちは、少しずつ学習する。
この世に、完全という概念はないのだということを。
どれ程の万全を期そうと、崩れるときは崩れるのだと。
少なくとも、子供たちがそれを認められるようになるまでは。
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次に気付いた時は、電車の中。
斜陽の光が差し込んできている。
どこかで見たことがある。いや、最早記憶にも新しい。
目の前に座っているのは、やっぱり幼い自分だった。
暫く、無言で目が合う時間が続く。自分がどんな表情なのかは分からない。けれど、そこにいる幼い自分は余りにも無表情だった。
「違和感を感じない?」
「違和感」
「そう、違和感。どうして、ここまで上手くことが運ぶの」
「変えようとしてきたからだ」
「本当に、変わった?」
「え?」
「確かに、一見して様々なことは変わったのかもしれない。けど」
「けど?」
目の前の少年は、ただひたすら淡々と、自分自身に対する疑問をぶつけてくる。
「薄々、気付いているんじゃないの」
「何に」
「僕は、此間も一度逃げ出した。山岸さんを殺したかもしれないという事実から」
「……」
「これまでは結果的にたまたま上手く行っていたから、何もせず済んだだけ。
でも結局、何かあったら逃げ出す。昔から何も変わっていないんじゃないの」
それは疑問であり、指摘でもある。
「カヲル君と、綾波。二人のおかげで僕はここまでやってこれた」
「それは分かってる」
「でもそれは、僕自身が何か変わっている訳ではない何よりの証拠だ」
「時間がまだ経っていないからね。でも僕だって、多少は」
「身体能力だとか、頭脳だとかが?」
「そうだよ。あの赤い世界はもう嫌なんだ。だから……出来ることを頑張らなくちゃ」
「それ自体は駄目じゃない。でも、怖いことから必ず逃げ出そうとする、本質的なところは変わっていない」
「本質」
「自分の本質すら微塵も変えられていないのに、世界の結末も変えられると思うの?」
「前の時より、街も皆も被害が少ない。トウジだって、三号機に乗らなくて済んだ。世界は変わりつつある」
「それは世界の結末とは関係があるのかな?」
幼い自分自身から投げかけられる、思いもよらない疑問。
当然だと思っていた、世界を変えられていると思う確固たる証拠。
「前だって、カヲル君の死から立ち直れるほどの強さがあればアスカも酷い目に合わずに済んだかもしれないし、量産型エヴァも倒せたかもしれない」
「……仕方ないじゃないか。あの時は、初号機がベークライトで固められてて」
「あんな地下でウジウジしてないで待機していれば、初号機が固められる前にアスカと共闘出来たかもしれない」
「それは、そうだけど」
「トウジのこともそうだ。しっかりと戦っていれば、使徒だけ倒してトウジは無事だったかもしれない」
「……でももう、終わってしまったことじゃないか。過ぎたことは、変えられないんだ」
「そう、もう終わったこと。でも僕は、その終わってしまったはずのことをもう一度やり直そうとしているんだ」
「それが強さとどう関係あるんだよ」
「まだ分からないの?」
「分からない」
それは疑問であり、欺瞞。
「嘘だね」
「違う」
「分からないんじゃない。分かろうとしないんだ。怖いから」
「違う」
「それが分かってしまうと、今までのことは無駄になってしまうから」
「違う!」
「そうやっていつも、嫌なことから逃げ出しているのね」
「綾波!?」
突然にして聞こえてくる、見知った少女の声。しかし、その少女の姿はどこにも見当たらない。
「今のは、誰のものでもない声。今の僕には、綾波の声のように聞こえたんだ」
「……」
「やっぱり本当は気付いているんだ。ただ怖いから、事実から目を背けているんだよ」
「どうして、逃げてるだなんて分かるのさ」
「綾波の声……いや、誰の声で聞こえてくるかは関係ないね。他人の声で聞こえてくることが重要なんだ」
「……」
「自分では分かろうとしない。他人からの指摘で、初めて気付いたふりをしようとしている。
自分は気付かなかった、知らなかった。知らなかったことを免罪符にしようとしている」
「……!」
「自分自身は変わっていない可能性を、分かっていない。分かろうとしない。
都合のいい虚構の世界だけ信じていることを。本当はまだ、赤い世界から脱する力なんて――」
その時、突然余りにも眩しく、全てを白としか形容できない世界が二人を包んだ。
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『初号機、シンクログラフ反転。パルス、逆流していきます』
『あの光は何なの? シンジ君は!?』
『ATフィールドに近い構成です、詳細不明!』
『心理グラフ、大きく乱れています。精神攻撃の一種ではないかと推測されます』
発令所はてんやわんやの事態へ陥っていた。
急速に下降、いや最早落下とすら言える行為を行う使徒。そして、その使徒が放つ詳細不明の光。
精神攻撃という未知の攻撃に対し、現在のネルフが、更に正確に言えば、人類が持つ術はないのだから。
『使徒、接地まであと十秒を切りました』
『シンジ君! 応答して、シンジ君!』
必死に呼びかけるミサトの声だったが、シンジが応答することはない。
その表情は、使徒が接近する程にどんどん無へと近づいていく。
光線は当然至近距離になるほど凶悪な効果になる筈なのに、である。
その証拠に心理グラフの周期性はみるみる失われ、まるで子供のラクガキのようにぐちゃぐちゃとした線の集合になる。そして端っこから徐々に、再び一定のラインを保つようになる。
そのラインは、ゼロとして定められた値。
それは、前史でのアスカとはまるで対照的であった。精神を開かれる程に、犯されていく程に、その表情は能面の如く冷たい、無へと収束していくのだ。
まるで過ぎ去ったあの日、射撃訓練を行っていた時の自分のように。
「……」
『シンジ君。戻ってくるんだ、シンジ君!』
「…………」
カヲルの呼びかけにも、応えない。
やがてその表情が、完全に無になったその時。
「―――――」
PSRの充電完了を知らせる電子音が鳴り響いた。
その音とほぼ同時に、シンジの指はトリガーを引く。
使徒は、高度数百メートルにまで迫った地点でそのコアを撃ち抜かれた。
超至近距離になっていたこと及び、それまでの落下エネルギーが相対的に作用したのもあって、コアは一瞬で木端微塵になる。
使徒は純白の輝きを失い、絶命した。
しかしあくまで使徒が絶命したというだけであり、その巨体のそれまでの落下エネルギーがなくなることはない。
使徒の死骸は撃ち抜かれた衝撃で幾つかの欠片になり、巨大隕石と同等の質量および速度をもって地表へと衝突しようとしていた。
『アスカ、レイ。残骸を打ち落として』
「もうやってるわよ!」
アスカの言葉通り、その残骸の欠片の多くは零及び弐号機で処理された。
特に弐号機の活躍はめざましい。アスカの人類離れした身体能力からして、余程零号機に近い破片以外は全て彼女によって叩き落とされた。
しかし、最も巨大な塊が初号機の方へと落ちてきていた。
使徒の面影を最も残したソレは、そのまま落下を認めればサハクィエルの時に予想されたのと同等の被害をもたらすことだろう。
不幸にもそれは弐号機が飛び込んだ方向と真逆の場に落ちてきており、アスカであっても追いつくことは極めて困難であることが予想される。
「ち、あの距離は間に合わない……シンジ! アンタいつまで寝てんのよ!」
そのアスカの声がシンジに届いたのかは、定かではない。
ただ、
「分かってるよ。君に、言われなくたって」
独り言かのようにそう呟くと、シンジの目は一瞬だけ赤色に染まった。充血などではなく、文字通り赤くなっていたのだ。
その「一瞬」において初号機は施設の屋根を破壊して外部へ出ると、その両手を広げる。
ATフィールドを示す淡く赤い光が発生したかと思うと、落ちてくる使徒の死骸を、粉々に破壊してみせた。
『使徒残骸、全破壊を確認。戦況オールグリーン』
『パターン青も消滅。状況終了』
淡々と声が挙がる。
使徒の脅威から救われたことに胸をなで下ろす者、もしも殲滅できなかったらと震えあがる者、発令所の人間の反応は様々だった。
そんな中で、ミサトの表情は険しい。
ある程度の周期性を取り戻した心理グラフを睨み付け、佇み続けていた。
初号機の方から聞こえてくる声に、耳を傾けながら。
日「こんにちは。日向マコトです」
青「青葉シゲルです」
伊「伊吹マヤです」
パーパラッパッパパーラパッパー♪
パーパラッパッパパーラパッパー♪
日「いやぁいい夏休みだった」
青「そうだなぁ、いやまぁ発令所の椅子に座ってなきゃいけないってのは面倒だったけど、作業そんなに多くないし」
伊「実質休みでしたもんね」
日「漫画やラノベの読破が捗る」
青「エアギターの練習も捗る」
伊「センパイとの妄想も捗る」
日「いや、本当にいい休みだったよ。マヤちゃんのはよく分からないけど」
青「って思ったら使徒戦、それも精神汚染だろ? なかなかガツンと目を覚ましてくれたよなぁ」
伊「そうですねぇ……平和ボケが一発で治りましたよ」
日「それはさておき、今日は休み明けだし」
青「さぞや質問もたくさん来ていそうだけど、どう?」
伊「うーん……まぁ、それなりの数ですねぇ。それじゃあ一つ目から書いてみましょうか。
『葛城三佐が真実にガンガン近づいてるんじゃないか』ということですか」
日「流石葛城さん! って言ったところだよな、美しさに頭脳が備わって最強に見える」
青「それは多分お前がミサトさん贔屓なだけだと思うんだが」
日「何言ってるんだ。あの女性を贔屓しない理由がないだろ?」
青「まぁ、確かに才色兼備という四字熟語がよく似合う人だけどさ」
伊「私からしたら仕事は出来るけどだらしない人に思うんですよね」
日「そりゃ同性だしそうなるよ」
伊「同性とか抜きですよ。同じ同性でも、そこに来るとセンパイは……」
日「出たな」
青「ああ」
日「まぁマヤちゃんだし」
伊「それでですね。あの時のセンパイと来たら。突然押し倒してきて『マヤ、貴女こんなにびしょびしょになっちゃって。私がしっかりケアしてあげるわね』って」
日「やめてマヤちゃんこれ以上はいけない」
青「てかマヤちゃん殆どの時間発令所でデスクワークかなんかしてたよね、そんなことになる暇なかったよね」
赤木「そうねぇ。……マヤ?」
伊「はい? あ、センパイ。もしや婚い……あ」
赤「あの時は貴女ただゲリラ豪雨に見舞われてびしょぬれになってただけでしょ?」
伊「あ、えぅ、その」
赤「オーケー、そうね。パイロットたちに支給しようと思ってた薬のモルモットが丁度不足していたところなのよ……」
伊「あっあっあっあっ」
赤「覚悟しておくことね……」スタスタ
伊「は、はひ……」ポォー
日「あーこれ早くも今回のラジオ終わりかな」
青「仕事終わりかあ。お疲れーっす」
伊「い、いえ……なんとかやってみせますよ。それでは二つ目の質問です。
『これ何時からスパシンになるんだよ』ということですが」
青「えっ」
日「いやスパシンじゃん、脳内に渚君がいて、ATフィールドも使えるし?」
伊「リリスの力を使おうと思えば使えるレイもいて」
青「これのどこがスパシンじゃないのっていうお話なんだが……とはいえ分かりにくくはあるな」
日「確かに。バンカーバスター撃たれたらその反撃としてエヴァの口やら背中やらからあちらこちらに紫色のビーム発射して使徒を焼き払う訳じゃないしな」
伊「なんの話ですかね……」
日「大丈夫だろ、観てなきゃ分からん」
青「そうだな、指摘されなければ分かんないってそういう問題じゃねえだろ」
伊「あ、この流れ、もしかして……」
青「……」
伊「……」
日「……いやなんだよお前ら。その異常な目つきは」
伊「いや、ねぇ……」
青「マコトがそういうネタを使ってくるときって決まってなんか作ってんじゃん」
日「いやいやお前ら、俺がいつまでもそんな危ない橋を渡る訳ないだろ」
青「そ、そうか?」
日「ああ、危ないものは作ってないよ。ただ作ったもの自体はあるんだ」
伊「へぇ、日向君が危ないことをしないなんて気になりますね」
日「ふふふ、気になるか。説明しよう! 今回作ったのは『霧の中』と言ってな」
青「うん、パッと見怪しくはない。怪しくはないけど……駄目だやっぱスゲー怪しい!」
伊「普通の時期ならともかくこの時期に出すのに悪意しか感じませんよね」
日「何を言っているんだよ……それじゃあおしまいまで話を聞いてくれ。これはサードインパクトの話でな。タイトル通り、シンジ君が迷い込んでいた霧の中のような世界から始まるんだ」
青「ほほう?」
日「それでな。ある女子高生が、補完されてゆく中で全く知らない男子高校生になるという補完内容になってな」
伊「版権アタック!!」ドグシャ
日「あべしっ!!!」
伊「よし。危険因子は排除したので最後の質問に行きましょう。
『そんな不定期更新で大丈夫か?』とのことですが」
日「大丈夫だ、問題ない」
青「不定期と言ってもそうだな、大体月一くらいで労働日を設けると予定してるつもりらしいが」
伊「おかげで今日からまた一月ほど遊べますぅ」
日「ネルフ入っておいてよかった……!」
青「だなぁ。そうだ。よかったらそこの貴方もネルフへの就職を考えてみてはいかがでしょう。
重役以外は基本的に繁忙期は月一回のみ! それ以外の日は四、五時間程度の簡単なデスクワークのみ! まぁ今月は二回になりそうだが」
日「完全週休二日制なんていうバカげた言葉もないしな。完全も何も週に二日ずつ休むって一般的な国民として当たり前だよなぁ?」
伊「人によっては土日働いて平日遊んでますがそれでも二日は確約されてますよね、少なくともネルフでは」
青「てか思ったんだけどさ、俺たちもミサトさんやリツコさんよりは地位が低いってだけで普通にそれなりの重役なんじゃね?」
日「確かに。じゃあもう重役も繁忙期月一なんじゃね? 出世し放題だな」
伊「今なら十段階特進して速攻で司令になる方法もありますからねぇ」
日「まぁ殉職しなきゃならんがな」
青「ショックな話だよ」
伊「ジョークはおいといて次回予告行きましょうか。葛城さーん」
葛「はいはーい。
『二回目の精神汚染を受けた碇シンジ』
『重い足取りで歩くシンジは少女と再開しその関係を深めてゆく』
『一方、第三新東京市には新たなる使徒が迫りつつあった』
『次回、『鋼鉄の意思』さぁ~て、次回も?』」
「「「「サービスサービスゥ!!!」」」」
葛「あ。マヤちゃんは後で覚悟しておいてね~?」
伊「え? 何の話ですか?」
葛「さっきの話、聞こえてたからね」
伊「あっ」