やはり妹の高校生活はまちがっている。   作:暁英琉

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比企谷八幡+○○=イケメン

 そして来たる4月16日。

小町を送り届けた俺は生徒会室にいた。当初の予定では会場の隅でぼーっとしておくはずだったのだが――

「なあ一色、本当にこれやるのか?」

「せんぱい、今さらすぎますよ」

 呆れ顔の生徒会長様はすでに制服ではなく、給仕服、いや一般的にメイド服と呼ばれるものを身に着けていた。いつぞや材木座を召喚して入ったメイド喫茶で見たようなカラフルなデザインにミニスカートというものではなく、モノトーンのシックなデザインにロングスカートという正統派のメイド服である。いつもキャピキャピした女子校生然とした格好の一色がこういう大人びた服を着ると、普段とのギャップもありやけに魅力的に見える。

かく言う俺も、すでに制服ではなかった。スーツとはまた少し違うデザイン、燕尾服と言うのだろうか。普段動きやすい服か制服ぐらいしか着ていないのでこういうピシッとした服は、なんというか、慣れない。こういう服の知識はほとんどないのだが、ジャケットとシャツの間に着るベスト(ウエストコートと言うらしい)や胸ポケット装飾用のポケットチーフまでついており、布の質感もコスプレ服のようなテラテラしたものではない。一体どこでこんなもの用意したのか。

これは新入生歓迎会の企画当初に採用された一色の案だった。新入生歓迎会当日において生徒会の仕事はスケジュール進行、イレギュラーへの対処、お菓子飲み物の提供である。一色曰く、「メイド服とかでお菓子とか出したらふいんき出ますし~、皆制服でいるよりも一年生の緊張を和らげられると思うんですよ~。それにそれに、違う服着て生徒会の人間と普通の生徒の区別がつくようにすれば、質問とかもしやすくないですか~?」らしい。

確かに、特に一年生は同級生、先輩と仲良くできるか不安なはずで、大なり小なり緊張しているはずである。そこにいつもと違う服装の人間がいれば彼らは非日常感を感じることで多少の緊張緩和になるだろう。それに、服装を差別化することで運営側の人間を見分けやすくるという意味合いも分かる。しかし、だからといってなぜメイド服や燕尾服なのかは理解できん。いや、カラフルな服よりかはましではあるし、落ち着いた色だから裏方としてあってるのかもしれんが、単に一色がメイド服を着てみたいだけなのではないだろうか。後「ふいんき」じゃなくて「ふんいき」な。

「だからってなんで俺まで……」

「だって、生徒会だけだと四人じゃないですか~。ヘルプが欲しいっていうのは前から言ってたわけですし~」

「だったらせめて奉仕部全員に頼めよ。なんで俺だけ」

 本来なら俺の仕事は企画の手伝いと会場の設営のみだった。それがいつの間にか給仕役にカウントされており、始業式の日に一色に連れてこられた時にはすでに服も用意されていて断るのも躊躇われる状態だった。

「だってせんぱい一人の方が扱いや……扱いやすいですし」

「おい、それ言いなおしてすらねえじゃねえか」

 呆れすぎてもはや笑いすら出そうになるのを堪え、机に置いてあった眼鏡を取る。これも一色が用意したものである。細めの銀縁横長のシンプルなデザインのそれは度の入っていない伊達である。

「そもそもこんなの付ける意味あるのか? こないだつけたときお前が絶句してたじゃねえか」

「いや、絶句するほど似合ってたんですけど……」

 ぼそっと言った一色のセリフは俺の耳には届かなかった。眼鏡をかければ俺の腐った目もごまかせるとかこいつ言ってたが、そんなことでごまかせるならとっくにやってるっつの。初めてかけたときも効果なさ過ぎてこいつ絶句してたわけだし。

 まあ、弱みを握られすぎている俺にはこの生徒会長様に逆らう権利がないわけで、大人しくかけて鏡を見る。うん、別に似合ってないわけじゃないけど、特に変化ねえな。

 一度姿見で全体を確認して時計を見る。開始時間までもう少し、他の役員はすでに着替えて先に会場に行っている。

「じゃ、そろそろ行くか」

「そうですね~。あ、せんぱい。猫背にならないようにしてくださいね~」

「はぁ、めんど」

 言われるがまま意識的に背を伸ばし、一色を連れだって会場である体育館に向かった。

 

 

 お兄ちゃんと別れて小町は先に体育館に向かいました。体育館に入るとメイド服を着た人が受付をしてて一瞬たじろいじゃいました。

 受付を済ませるといくつか区分けされた席の一つに行くように言われたのでその場所に向かう。10人ほどで一グループにするようで、受付の方を見てみると一緒に来た人たちは意図的に別のグループを指定しているみたい。

 それを見て小町はこれがお兄ちゃんの考えた案だって気づいてしまいました。大体の人は友達が同じ空間にいると、その人とよく話します。そうなると周りはその人たちに話しかけづらくなり、交流がしづらくなるんだね。だから、なるべく友達と一緒のグループにならないようにしてそのグループで積極的に他の人と話しかける環境を用意したんだと思う。そこで友達ができれば友達の友達は友達理論でつながっていけるだろうしね。いきなり大人数の中に放り込まれると、人見知りの激しい人は誰にも話しかけられずに結局友達が作れなくなるだろうから、強制的に友達(仮)のグループを作らせて話しかける機会を用意するって意味合いもあるんだろうな。こういうことは思いつくのになんでお兄ちゃん友達いないんだろ。やっぱり目? 性格? 全部?

 最初から皆で同じ会を楽しんで皆で仲良くではなく、まず小さなコミュニティから慣れされるってところが、ぼっち慣れしたお兄ちゃんらしい。まあ、最初から皆に話しかけることができる子ならこの会がなくても友達できるだろうしね。

 そんなことを考えて、ふと苦笑しちゃいます。十五年暮らしているとはいえ、お兄ちゃんの考えがここまでトレースできるのはさすがにブラコンがすぎるのかもね。もしくは同じ遺伝子を持っているからかも。

 そうこうしているうちにだいぶ人も集まってきていました。小町のグループは全員埋まったようで、上級生三人に一年生が七人。壇上横の時計を見ると十時前、もうすぐ始まるみたい。

 と、会場の明かりがフェードアウトして、壇上にスポットライトが当たりました。目を向けるといろはさんが受付の人同様メイド服を着て優雅にお辞儀をしているのが目に入ります。あの人かわいいからああいうのも似合うなー。心のお義姉ちゃん候補メモに記録。

「今日は皆さん休日にも関わらず集まっていただきありがとうございます」

 おぉ、奉仕部でしか会ったことないけど、あの人あんな丁寧にしゃべったりするんだ。

「っていう堅苦しい挨拶は皆も飽きると思うんで~、早く本題に入っちゃいましょう~」

 あ、すぐやめちゃった。しぐさ一つ一つがいかにもかわいいって感じだなー。あれがお兄ちゃんの言うかわいくない小町なのかな。小町あんなしぐさしないと思うけど、してないよね? まあ、男の子ってああいうのに弱いからなー。グループの男子もデレデレしてるし。男の子ってちょろ……純粋だなー。

「というわけで~まずは今いるグループでお話ししてくださいね! 意外に面白い人や趣味の合う人とかがいるかも? あ、分からないこととかがあったら私と同じ服か、執事服を着ている人が生徒会メンバーなので、気軽に聞いてね!」

 いろはさんが今度はかわいらしくお辞儀をすると照明がつきました。館内からちらほら談笑が聞こえ始めます。小町のグループの上級生も話し上手な人達みたいで一年生に積極的に話しかけていました。小町も自己紹介とか雑談とか少ししただけで、気さくな先輩方なんだなと思うくらい明るい人たちです。どうやら各部活から選ばれた人たちみたいで、こんな役お兄ちゃんは絶対合わないなーとか思っちゃう。そういえば、お兄ちゃんはどこにいるんだろ。どこかのグループにいるとは思えないんだけど。

 少し回りも見ても、お兄ちゃんらしきアホ毛は見当たらなかったのでグループに視線を戻すと、あまり皆の会話に入っていない子目に入りました。黒髪を一つの大きな三つ編みに大きな丸メガネの女の子でいかにも内気な見た目。周りは今放送されているドラマの話をしていて、話題に入れないみたい。

 このグループはお兄ちゃんが考えた話しかけやすい環境づくり。けど、上級生が皆お兄ちゃんと同じ考えなわけじゃないし、お兄ちゃんみたいにぼっちの気持ちが分かるわけじゃない。友達を作りたいと思ってここにきているこの子が会話に入るには、この子が得意な話題でかつ皆も分かる話題を提供する必要があるんだ。その子のバッグを見てみると持ち紐の付け根にピンクのあく……天使のキーホルダーがついていた。

よし、お兄ちゃんが用意してくれた話しかけやすい環境。小町は話しやすい話題を提供してお兄ちゃんをアシストしてあげるよ!

「ね! ね! カービィ好きなの?」

「え、う、うん……」

 その子が驚きながらも答えると、他のこと話しながらも気にかけていたんだろう先輩たちも話題に入ってきた。

「カービィってかわいいよねー。毛糸のカービィはよく遊んだなー。ね! どんなゲームやってるの?」

「えっと、最近だとトリプルデラックスとかで、古いのだとスーパーデラックスとか」

「スーパーデラックスってスーファミ? だっけ? 俺達が生まれる前の奴じゃない?」

「あ、お姉ちゃんもカービィが好きで」

 最初はおずおずとした話し方だったその子も次第に饒舌に話すようになっていきました。国民的キャラクターなだけに、他の一年生たちも話しやすいみたいで、次第に皆で話すようになっていったよ。別の話題にシフトしてもその子も会話に混ざるようになっていったのでうまく溶け込むことに成功したみたい。

 少しはお兄ちゃんの手伝いができたかな? 思わず緩んでしまう口元を引き締めて私も輪の中に入るのでした。

 

 

「飲み物やお菓子は足りてますか?」

 だいぶグループで話し込んでいると、執事服? に身を包んだ人がお菓子や飲み物の追加を運んできました。グループのテーブルをちらっと見るとなくなっているお菓子や飲み物を先輩たちに手渡している。銀縁眼鏡をつけたその顔は結構イケメンで、ピョコンと跳ねたアホ毛がギャップを生んで……アホ毛?

「え? お兄ちゃん?」

「ん? あぁ、小町このグループだったのか」

 眼鏡をつけたお兄ちゃんらしき人がお菓子を配る手を止め、向き直った。この学校の上級生の小町のことを知ってる人はそんなにいないはずで、小町の記憶にはこんな人知り合いにいなかったはず……けど、アホ毛あるし声はお兄ちゃんだし、お兄ちゃん……なの……かな? 照れた時に頭を掻くしぐさ取ってるし、お兄ちゃんなんだろう……たぶん。

「その眼鏡どうしたの?」

「あ? やっぱ変か? 一色に外すなって言われてるけど外すか」

「ああ! いや、外さなくていいです!」

 眼鏡を外そうとするお兄ちゃん(仮)を止めるためになぜか敬語が出ちゃった。お、おうと動揺しながらも眼鏡に伸ばした手を戻すお兄ちゃん。お菓子の配給の続きを手早く済ませると、「じゃ、楽しめよ」と行ってしまった。

「ねえねえ比企谷さん! 今のお兄さん?」

「ちょっとかっこよくなかった? 生徒会なの?」

「なんか物静かでクールな感じー」

 お兄ちゃんがいなくなると一年女子に囲まれてしまった私ガイル。囲まれても私が困るんだけど、小町も困惑してるんだけど! いつもは無愛想とか言われるのに、イケメンだとクールになるあたり、人の評価って顔基準なんだなと思ってしまったり。

 けど、眼鏡かけただけであんなにイケメンになるとか小町聞いてないよ。ちょっとドキドキしちゃったじゃん! って、なんでドキドキしてんの? お兄ちゃんだよ!?

 自分でも制御しきれない心臓の高鳴りを抑えつつ、お兄ちゃんがほったらかしにしてしまったこの場を必死になだめるのでした。

 

 

「感触的にはそこそこ……てとこかな」

 一通り食べ物飲み物の補充も終わり、会場を見渡すと、どのグループもある程度盛り上がっているようだった。中にはフルーツバスケットなど軽いゲームをしているグループも見受けられる。交流役の上級生は各部や社交的な生徒に数名お願いをしたりしたので会話に困ることは少ないだろう。葉山や戸部、由比ヶ浜にも参加を要請したのは成功だった。あいつらの参加してるグループはなかなかの盛り上がりっぷりだ。ちなみに雪ノ下は由比ヶ浜にずっと腕を掴まれていて逃げたそうにしている。ガンバレーユキノシターオウエンシテルゾー。

 交流できる環境はこちらで用意した。元々全員が満足する結果を望んだわけではないし、これで交流ができないなら後は自力で友達を作るか、ぼっちの道を歩むだけだ。奉仕部の精神は「魚を与えるのではなく釣り方を教える」のである。釣り方を教えても釣る気がないなら魚は手に入らないのだ。

 時計を見ると丁度いい時間だ。壇上近くに待機していた一色に目で合図を送る。

「みなさ~ん! グループ交流はいい感じですかね~? それじゃあ、ここからは第二部~、立食形式で自由交流にしたいと思います~」

 一色の声で上級生は立ちあがり、一年生を先導し始める。小グループ同士をくっつけて交流を促すのだ。友達作りが得意な子はすぐに友達を作り、多少口下手、人見知りな子も先ほどで慣れているから苦戦しつつも何とかなるだろう。さらに、新しい友達ができても人はついつい付き合いの長い友達と会おうとする。そこに今回できた友達を連れていけば、とりあえず「友達の友達」になれるわけだ。そこから「友達の友達は友達」になれるから本人達次第だが、あいにくそこまで世話を焼く義理はない。

「せんぱ~い、どうですかどうですか?」

 一仕事終えた一色が寄ってくる。そんなに距離は慣れてないのにやけに歩数多かったな。それもあざといアピール?

「ああ、まあ順調なんじゃないか? 葉山達の上級生のおかげもあるが、予想以上に交流が進んでるな」

「えへへぇ、頑張ったかいがありましたね」

「そうだな」

「ひゃぅっ!?」

 無意識のうちに右手を一色の頭に乗せていた。最近一色へのガードが甘い気がする。いや、こいつが「あざとい」から「あざとかわいい」くらいにランクアップしたせいで対応が余計に小町に近くなってしまっているというか。

「あぁ、すまん」

「いえ、いいですよぉ」

 慌てて手を引っ込めると一色は何やら名残惜しそうにしている。そのくせ顔がふやけてるんですが……。というか、いつもの罵倒がこないぞ? いや、別に罵倒を待ち望んでいるわけではないんだけど、八幡Mじゃないよ?

 改めて見ると、やはり葉山の周囲に人が集まっているな。あそこだけ他の集団の5倍くらいになっている。別にそれ自体は悪くはないが、そのせいであぶれてる子もちらほら見える。特に男子。あ、あの一年男子はすでに葉山に「リア充爆発しろ!」光線を浴びせている。いいぞもっとやれ!

 しかし はやま に こうか は なかった

 ……少年、強く生きろ。

「おにーちゃーん」

 近くのグループにいた小町が駆け寄ってくる。そんなにお兄ちゃんに会いたかったのかかわいい奴め。ん? 一色はなぜ俺を白い目で見ているんだ?

 小町の後ろには由比ヶ浜と雪ノ下もいた。どうやら、さっきいたグループで合流したらしい。二人は俺を見つけると、一瞬首をかしげ、目に見えてパニックになりだした。由比ヶ浜はともかく雪ノ下までそうしたんだろうか。

「えっと、ヒッキー……だよね?」

「おお、どっからどう見て俺だが」

「いえ、どう見ても比企谷君に見えないから聞いているわけだけど……」

 こいつらはなにを言っているんだ。確かに燕尾服に身を包んで眼鏡をかけているが、その程度で俺が俺に見えないとか冗談言っちゃいけない。ひょっとして、この燕尾服がハンサムスーツの可能性が微粒子レベルで存在している? 比企谷八幡から葉山隼人に変身してしまったのだろうか。恐るべし燕尾服!

「ヒッキーってイケメンだったんだ……」

「まさか眼鏡をかけるだけでこんなに変わるだなんて……」

「お前ら何言ってんだ……?」

 一色にも言ったが、眼鏡をかけた程度で見た目がそんな変わるわけないだろ。いや、眼鏡が変身アイテムだったらワンチャンあるかもしれないが、残念ながらこの眼鏡は極々普通の眼鏡だ。発信器機能なども付いていないから名探偵にもなれない。

 ハッ、わかったぞ! こいつら皆して俺を褒めることで褒め慣れていない俺の心を乱そうとしているんだな。俺の純情を弄んで俺で遊んでるんだな。女って怖いまじ怖い。

 俺の中で女性不審が膨れ上がっていると、小町が袖を引いてきた。

「お兄ちゃん。今のお兄ちゃんはね、謎の眼鏡パワーでイケメンになってるの。見た目だけなら葉山さんに負けないんじゃないかって小町も思っちゃうくらい」

「いやいや、眼鏡かけただけでイケメンになるとかありえないだろ。多少腐った目がかくせてる程度で――」

「ありえないことが起こってるから皆困惑してるんだよ! さっきからところどころで『あの先輩誰?』って話題になってるんだよ!」

 え、マジで? 確かに多少視線は感じていたが、どうせ「うっわ、あいつ執事服とか着てるにっあわねー」とか思われてるのかと思ってたんだけど。しかし、最愛の妹が言うなら信じてやるのが兄というものだ。恐らく小町の言っていることは事実なのだろう。実感ないけど。

「小町のグループでもお兄ちゃんのこと聞かれて大変だったんだから!」

「お、おう……迷惑掛けて悪かったな」

「ぇ……いや、別に小町的にポイントかかったし、迷惑ってわけじゃ……」

 いや、大変だったってことは迷惑だったんだろう。妹に迷惑をかけるダメ兄貴でごめんよ。ところで、さっきから思っていたのだが、小町の奴、だいぶ顔赤くないか? 頬は普段見ないくらい朱色に上気しているし、耳もほんのり赤い。呼吸も荒いように思える。

「お前、少し顔赤くね? 熱あるんじゃないのか?」

 ひょっとしたら、高校生活にはしゃぎすぎて風邪をひいてしまったのかもしれない。心配するあまり昔やっていたように額を合わせて熱を確認する。んー、熱はないみたいだな。

「はわ、はわわ……」

「熱はないみたいだけど、無理すんなよ? 風邪引いたらせっかくできた友達と学校行けないからな」

「う、うん……」

 本当に大丈夫かこいつ。というか、周りも大丈夫か? 雪ノ下たちも顔赤めだし、周りからの視線も多くなったように感じる。ハッ、いくら兄妹だからって人前で額くっつけるのはまずかったか!? きもいやつとか思われたかな……。けど、小町が心配だったからしかたないんですよ。小町のためだったらきもいと思われても辛くない。ごめん嘘辛いです。

「ぁ……そ、そろそろ終了の時間ですね~。みなさ~ん! 今日はお疲れさまでした~!」

 時計を見るとお昼すぎ。特に前半はほぼ配給するだけの機械になっていたので、思ったよりも時間の進みは早かったように感じる。帰っていく一年生達の表情を見ても、なかなか成功の部類なのではないだろうか。

 生徒会役員と俺はとりあえず借りものらしい服を着替え、上級生参加者と共に撤収作業を行った。眼鏡も一色に返して戻ると、なぜか雪ノ下と由比ヶ浜にがっかりなのか安堵なのかわからない表情で迎えられて、女心が余計に分からなくなってしまった。俺が女心を理解する日は遠い未来なのだろう。

 小町は、昼食を取って家に帰るまでどこか上の空で、あまりしゃべらなかった。

 




八幡に眼鏡をつけるとイケメンになるという法則のビックウェーブに乗ってみた。細身男性の銀縁横長眼鏡は鬼畜男子臭が出て個人的にGOOD(゚д゚)b

しかし、自分で書いててあれだけど、この八幡イケメンすぎる気がしてきた
こんなんじゃ間違った青春ラブコメむかえられないよ・・・

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