「オータム、これから用事とかある?」
仕事を終えて家に帰ろうと私服に着替えていると後ろからスコールが声を掛けた来た
「ん? ううん、とりあえずこのまま家に帰るだけだけど?」
「だったらちょっと飲みに行かない? 飲み友達にオータムのこと紹介したいからさ」
飲み友達? ああ、この前言ってた仕事で出会った飲み友達の事か
「うん、いいけど? あ、旦那に飲みに行くから帰るの遅れるって連絡入れとくね」
そういってオータムさんは旦那にメールを入れる
すると返信には「生きて帰ってくるのだぞ勇者よ!」とのこと
だれが勇者だと笑うオータムさん。 しかしその数時間後行くと選択したこと後悔することになろうとはそのときの彼女は知る由もなかった
「ところで何処で飲むの? 」
「ああ、それはね……」
居酒屋 いつもんとこ
そう、それは仕事で疲れたサラリーマンのお父さん達やOLのお姉さん達が一杯やりにいくあの居酒屋である
「このお店?」
「そうそう♪ ここ美味しいお酒が色々あるのよ♪」
悪の秘密結社が居酒屋で酒飲むのはイメージダウンだ!って言われそうだよなと思うオータムさんだが
まあ旦那ともこういう所で飲んだりもするし今更かと思い気にしなかった
店に入るとなかなかの盛況でたくさんの来店客でいっぱいだった
「それでその飲み友達はもう来てるの?」
「私より先に来てるって言ってたんだけど」
そう言ってスコールが周りを見渡していると
「あ! スーさん! スーさん! こっち! こっち!」
声のするほうに視線を向くと奥の座敷に紫の長い髪の女性がぴょんぴょん跳ねていた
「束ちゃん! お~い♪」
その女性にスコールは駆け寄るとハイタッチしていた
……しかしなんだろう、この釣り○カ○誌みたいなあだ名の呼び合いは
それにしてもこの紫の髪の人。 どっかで見たような……?
そう思いながらスコールの後を続くオータムさん
三人で座敷に座るととりあえず店員を呼んで何か注文することにした
「生三つお願いします」
「生三つですね、分かりました! 生三つ入ります!」
店員がそう言って調理場のほうに戻るとスコールが話を切り出した
「紹介するね、この子が前に言ってた私の部下、う~んというか妹分みたいな子でオータムっていうの」
「ああ、この子がスーさんが言ってた子なんだ。 よろしくね!オーちゃん」
「あ、はい。 よろしく」
オーちゃんって私の事か? と思いながらとりあえず相槌を打っておいた
「ねえスコール? そろそろこの人の事紹介してもらえない?」
「ああ、ごめんごめん。 えーとこの子は」
とスコールが紹介しようとした時、タイミング悪くさっき頼んだ生ビールがやってきた
「とりあえず乾杯しよっか」
私達はそれぞれビールが入ったジョッキを持つとカチンと合わせた
「「かんぱ~い。 お疲れ様でした!!」」
ごくごく……
喉に染み渡るこの感覚……、やっぱ仕事のあとの一杯は美味しいな~♪
「そうそう。 この子の紹介だったわね。 この子は篠ノ之束ちゃんね」
ごくごく……
ふ~ん、篠ノ之束さんね……、篠ノ之束……篠ノ之束……
……………………
篠ノ之束!?!?
思わずブッ!?っとビールを吹き出してしまった
「うあ!? 汚ったないわね~どうしたのよ? オータム」
「ゴホゴホ!! 篠ノ之束ってあのISを作った天才科学者のあの篠ノ之束?」
「そうに決まってるじゃない」
何を言っているんだお前はというような目でみるスコール
いやいや!? その反応はおかしいでしょう!? っていうかそこ!!いや~照れますな~みたいな顔するな!! アンタそういうキャラじゃないだろう!?
「でも周り国の監視役みたいなのいないよね? こんな居酒屋くらいひとりやふたり紛れ込んでもいいはずなのに」
店の周りをざっと見たがそういう対象になりそうなのは居なかった
そう尋ねると篠ノ之束(さん?)はなんか遠い目をし始めた
「普通はそうだよね……。 普段ウサ耳着けて世間に出てたせいかいつの間にかウサ耳=篠ノ之束ってみたいなことになっててウサ耳外したら全然気が付かれないんだよね……。 ウサ耳がない私ってなんなんだろうね……」
あ…、これ不味い……
「スコール、……もしかして地雷踏んだ? 私」
「ええ、踏み抜いたわね」
この飲み会、只じゃ終わらないだろうなとひしひしと感じるオータムさんだった
まだもうちょっと続きます。感想まっとります!