オータムさん。   作:秀吉組

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亡国機業がテロを起すようです

世界の影で暗躍する悪の組織、亡国機業

 

 

世界征服を目標に日々邁進している組織だが、思うように上手くいかない昨今

 

 

この状況を打開すべく亡国機業の幹部の一人、スコールは作戦会議を開くことにした

 

 

「えー、皆様、準備は出来ましたでしょうか? ……ごほん、では……」

 

 

周りが静寂に包まれ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様でしたーーっ!!!! 乾杯ーーー!!!!」

 

 

「「乾杯ーーーー!!!!」」

 

 

作戦会議という名の飲み会が始まった

 

 

「あ、あの~? スコール先輩」

 

 

「うん? どうしたの? マドカちゃん」

 

 

「作戦会議と聞いてたんですけど、……これってただの飲み会ですよね?」

 

 

「いいのいいの。 ただ部屋に閉じこもって案を考えるよりこういった場の雰囲気で意外といい案がでたりするんだから」

 

 

「そうですか~?」

 

 

今回、この作戦会議もとい飲み会にいつも行っている居酒屋「いつもんとこ」を貸切で行われた。賑やかな店内の様子を見ながらマドカはコップを手に取った。 もちろんまだ未成年なので中身はジュースである

 

 

……これやっぱりいつも通りの飲み会にしかなってないような気がするんだけどな~と心の中でツッコミを入れているとぐぅ~とお腹の虫が抗議の音を鳴らした

 

 

「そういえば、晩御飯まだだったねうちら。定食もやってるみたいだし今日はここで食べようか」

 

 

「あ、あはは……。 そ、そうですね」

 

 

お腹の虫の声をオータムに聞かれ、恥ずかしながらマドカはここで晩御飯を取ることにした

 

 

「えーと、メニュは……」

 

 

メニューを色々見ているととあるメニューに目が留まった

 

 

「宇和島風鯛めし膳?」

 

 

メニューに載っている写真を見ると鯛をまるごとご飯と炊き込む一般的な鯛めしとは異なるようだ。 気になるので今日の晩御飯はコレに決めた

 

 

「すみません、この宇和島風鯛めし膳お願いします」

 

 

カウンター越しで注文し、しばらくするとそれは来た

 

 

「おまたせしました、宇和島風鯛めし膳お持ちしました」

 

 

「おお~」

 

 

運ばれてきたのは生卵入りのだし汁、キラキラと光る鯛の身。 ご飯が入っている御櫃

 

 

どうやって食べたらいいか分からなかった為、店員さんに食べ方を教えてもらう

 

 

まず卵の入っただし汁を混ぜ、その中に鯛の身と備えてあった海藻、しその葉を入れ軽く混ぜる

 

 

暖かいご飯をお茶碗に盛り、ご飯の上にだし汁に入れた鯛の身、海藻、しその葉を乗せ、最後にだし汁を好みの量をかける

 

 

そうして完成に至ったそれを見て、唾をゴクリと飲み込むと同時に私の胃袋の発電所がフル稼働する

 

 

「頂きます!!」

 

 

そういって鯛めしを一口入れた。 感想は一言、美味。 ひたすら美味のみでる。

 

 

生卵がかき混ぜられているのでだし汁の塩分をあまり感じさせず、まろやかな味に仕上がっていた。 これはキング・オブ・たまごかけご飯と言っても過言ではないはず!!

 

 

自然と箸が進み、気が付くと無くなっていた。おかわりをしようと御櫃から暖かいご飯をお茶碗に装う。ここにご飯がある幸せ……。 君がここにいるだけで……。

 

 

こんな風にマドカが幸せを味わっている中、ほかの2人はというと……

 

 

「う~~~ん♪ やっぱりお酒に合うわね」

 

 

「……ふ~、おいし」

 

 

2人もまた幸せを味わっていた

 

 

オータムがこの日注文したのは青森の郷土郷里だった。しかし今回頼んだのはせんべい汁ではなかった

 

 

下北みそ貝焼き。 ホタテの貝殻を鍋代わりにし、焼き干しのダシ汁、ホタテや旬の食材、味噌や溶き卵を入れて煮込む郷土料理である。

 

 

オータムは海の幸がたっぷりのそれを日本酒を飲みながら味わっていた

 

 

そんな2人とは対象的にスコールの頼んだ品は焼き鮭に冷酒といったシンプルなものだった

 

 

最初の一口は焼き鮭の皮を、二口目は鮭の身を、と。それらを交互にちびちび食べながら冷酒をちびちび飲むといった自分なりの楽しみ方で味わっていた

 

 

こうして三人がそれぞれ思い思いの食べ方でグルメを楽しみながら飲み会という名の作戦会議はスタートしたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの~ところでスコール先輩」

 

 

「うん? なに?」

 

 

「タイトルに私達がテロを起すなんて過激なこと書いてありますけど、そういうの全然ないですけど?」

 

 

「ちゃんと起してるじゃない」

 

 

「どこがです?」

 

 

「飯テロ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




深夜にやっているお腹が減るあの番組を見ていて思いついたまま書いてみましたがどうでしたでしょうか? 感想おまちしてます

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