オータムさん。   作:秀吉組

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かなり時期が遅いのですが年末のお話・w・;


仕事納め、ああなんと魅力的な言葉

年末の仕事納め

 

 

それは働いている人にとってとても魅力的な言葉である。 その日を無事に越えればその後は人によっては短いもの、長いものはあるだろうが連休が待っている

 

 

もちろん亡国機業にとっても例外ではない

 

 

12月28日

 

 

「この一年、よく頑張ってくれました! 今日で仕事納め、各々楽しい年末年始を過ごして下さい! では、……お疲れ様でした!!」

 

 

「「お疲れ様でした!!」」

 

 

スコールの仕事納め宣言で各々、友人同士で旅行に行く者、家族で過ごすもの、自宅でゆっくり過ごす者といった中、オータムさんはというと……

 

 

 

「やっぱり凄い人だよね」

 

 

「そりゃ、年末だしね」

 

 

オータムさんは今、旦那と二人で新幹線の中にいる。 年末というだけあってかなりの乗車率で自由席では立っている人もいるくらいである。 何故新幹線に乗っているかというと

 

 

「やっぱり今年も寒いのかな? 向こう」

 

 

「こっちより断然寒いね。 去年も行ったから身に染みてるでしょ? うちの実家」

 

 

旦那の実家へ帰省である。 ちなみに旦那の実家は青森である

 

 

「それにしても指定席取れて良かったね」

 

 

「去年は大変だったからね」

 

 

去年もこれくらいの乗車率で大変な思いをしたので早めの予約が功を奏していた

 

 

「そういえば、あの人達どうなったのかな?」

 

 

「あの人達?」

 

 

「ああ、実はね……」

 

 

それは新幹線乗車40分前に遡る

 

 

『そんな風に~♪そんな風に~♪僕は生きたいんだ~♪ 生きていきたいんだ~♪』

 

 

予定より早く駅に到着してしまい時間を持て余していたので携帯で適当に音楽を聴いていたそんな時だった

 

 

「今、新幹線のチケット取ってきたんだけど、ね?」

 

 

「ん? 何かあったんですか?」

 

 

「年末でしょ? 人多いでしょ? ……指定席三枚取れたけど、一枚自由席なの。ごめんね」

 

 

「タレント座らせない気かい!? 君!?」

 

 

近くの席に座っていた男性四人組がなにやら揉めていた。話を聞くところ何かの撮影のようだがカメラマンの人が持ってるの家庭用のビデオカメラなのは何故だろう?……それにしてもあのメガネの男の人、ヒゲ濃いな

 

 

「社長!! 僕らは指定席座る権利ありますよね!?」

 

 

「ここは若手が頑張る所じゃないのかい?」

 

 

「何いってんの!? 僕は座らせて貰いますからね!! じゃないと自然とハンガーストライキですよ」

 

 

「じゃじゃじゃ、とりあえず新幹線来てから決めるでいいかい?」

 

 

そして新幹線が到着し、指定席の列車に行く途中の渡り通路でさっき自分は絶対指定席に座ると言っていた若い男の人が無表情で外を見ているのを通りかかる途中で見かけた

 

 

そのことを旦那に話すとああ…と妙に頷いていた

 

 

「それはアレだね。 暗黙の制度、年功序列ってやつだろうね……」

 

 

「ああ……、なるほど」

 

 

頑張れ若手。 いつか君にも後輩ができれば楽できるはず! 後輩が出来れば、のことだけど

 

 

それから新幹線が途中で駅に止まるたびに手荷物を持った乗客が増え、車内は混雑し始めたがオータムさんと旦那は一切手荷物を持っていなかった

 

 

「手荷物があると色々大変なんだよね~」

 

 

「量子格納、だっけ? アレ便利だね」

 

 

手荷物は全てアラクネの量子格納に入れてきているので手荷物が一切無かったのだ。これを有効活用といえばいいのか、単にズルイといえばいいのか判断は難しいところである

 

 

新幹線が青森に近づくほど外の景色に雪があるところが増えていった。そして出発してから二時間後、目的地の青森に到着する頃には……

 

 

「うわ~、雪積もってるね。向こうじゃ考えられないくらい」

 

 

駅を出て外を見ると道路の隅に雪の山が出来ていたり、歩行者の歩道が雪一色とまさに毎年恒例の光景だった

 

 

「そうだね。 こりゃ今年も雪かき大変そうだね」

 

 

「だったら今年もアラクネ使って頑張らないとね」

 

 

「そうしてくれると父さんもきっと喜ぶよ」

 

 

去年はアラクネを使って雪かきを手伝ったのだけど今年もまた活躍することになりそうだ

 

 

旦那とそんなことを言っていると一台のワゴン車がゆっくりと近づき、私達の前で止まった

 

 

「ごめんごめん、待たせたかな?」

 

 

「ううん、今着いた所だよ」

 

 

「迎えに来てもらってすみません。お義父さん」

 

 

この優しそうな紳士みたいな人がうちの旦那のお義父さん。 バーテンダーとか似合いそうなんだよなこの人。 まあ私の勝手の妄想なんだけど

 

 

「ささ、外寒いから早く入りなさい」

 

 

私達はお義父さんが乗ってきたワゴン車に乗り込むと車は町から離れた郊外にある旦那の実家に向かって出発した

 

 

「父さん、今年は皆どうなの?集まれそう?」

 

 

「ああ、今年も皆集まれそうだよ。 賑やかな年末年始になるぞ。 あ、そうそう。オータムさん、今年もまたちびっこ達こっちに来るみたいだよ?」

 

 

「そうなんですか? これは確かに退屈しない年末になりそうですね」

 

 

車内からはははっと笑い声にも苦笑いとも取れる声が溢れる車は旦那の実家へと向かう

 

 

こうして旦那の実家で過ごすオータムさんの年末年始がスタートするのだった

 

 




話の構想は去年の年末に出来ていたんですが形にはしてなくて、まあ正月明けくらいに書ければいいやと思っていたらもう一月終わるじゃん!?と思って急いで書き上げてみたんですけどどうでしょうか?もちろんまだ続きがあるんで書いてる途中ですが……
あと話の中に一つネタを入れたんですけど分かる人いるかな?・w・;
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