AM 8:30
すぅ……すぅ……すぅ……
休日の朝、静かに寝息を立てるオータムさんに一つの影が迫っていた
「…………」
その影はオータムさんの前で止まった。 人の気配に気が付き、目を開けようとした時、頬に柔らかく暖かい感触が伝わってきた
目を開けてみるとそこには旦那の顔があった
「おはよう。 朝食できたから」
……キスで起すって普通、私が起す立場だよな? と頬を撫でながら部屋を出ようとする旦那の後ろ姿をぼんやりと追っているとふと旦那の足が止まった
「あ、今朝はちょっと寒いからちゃんと服を着てきなよ?」
そう言って旦那は部屋を後にした。 ちなみに今オータムさんは服を着ていない、つまり生まれたままの姿である。 なぜこのようなことになっているかは夫婦の事情という訳で察してほしい
服を着てリビングに向かうとバターを塗られたトーストにコーヒー、ハムエッグ、サラダ、そして何故かお味噌汁が付いていた
「この面子で何故お味噌汁がキャスティングされてるの?」
「ああ、これ? この間仕事で名古屋に行ったときに入った喫茶店のモーニングのメニューであったんだよ。これがなかなか良かったから真似てみたんだよ」
ミスマッチではと思いながら食べてみると意外と違和感なく受け入れている自分がいた。旦那によると他にもおにぎりや茶碗蒸しなど出るところもある様子。すげぇな名古屋の喫茶店のモーニングメニュー
AM 10:00
「スパイダー!!!」
アラクネから放たれた蜘蛛の糸が目標を捕らえ縛るように巻きつく!!
「……出来たね」
「うん、まさか出来るとは思わなかった……」
朝食を終えてしばらくゆっくりした後、旦那の家事を手伝おうと古新聞を縛ろうとしたのだが肝心の紐がなかった。どうしたものかと思っていた所、旦那が「アラクネの蜘蛛の糸で縛れない?」と言ったので冗談でやってみたら出来てしまったところである
普段通りに使ってしまうと粘着力が半端無いのでかなり粘着力を抑えてある
「これ、業者さん持って帰ってくれるかな?」
「ど、どうなんだろ?」
後日、試しに出してみたら無事に持って帰ってくれていた。アラクネの活躍が様々にありそうだ
PM 12:30
「で、出来ました。……チャーハン」
「…………」
私はあまり料理得意ではないのでなんとか改善しようとこうやって休みの日にはこうして昼は私が作るようにしている
さあ、今日の旦那の評価はどうなのだろうか
旦那side
大きいブロック状のタマネギや人参、微妙なこげに効いてない調味料に生焼けのご飯……
味見してこれが精一杯でしたという表情。 これらを総合的に評価すると……
「大変よく頑張りました!」
「ありがとう御座います」
激甘評価だった
PM 14:30
お昼を食べて膨れたお腹が落ち着いたところでいつもやっている発声練習をすることにしたオータムさんなのだが
「亡国機業が一人! オータムさんだぞ♪ 」 キラッ♪
「…………(゜д゜)」
時が……止まった……
なぜこんなことになったのかというと自分のキャラ設定が人気投票に響くのではと危機感を抱いたオータムさんが旦那に相談したところ、「試しにアイドル風にやってみたらどう?」と言われやってみたらこの様である
「……、や、やっぱ無理!! は、恥ず、恥ずかしすぎる!!!! 」
余りの恥ずかしさにうわぁぁぁぁぁぁぁと床を転がりまわる悪の秘密結社の幹部
それを見ていた旦那の口から出てきたのは
「その……、やらせといてアレなんだけど。 なんか色々ゴメン……」
心の底からの謝罪であった
PM 16:00
一通りの練習を終え二人でなにげなくテレビを見ているとニュース番組が始まった。 恋愛報道、スポーツ、政治家のスキャンダルなどが終わった後にそれは出てきた
「では次のニュースです。 行方不明だったISの生みの親である篠ノ乃束博士が日本に現れたとの事を受け日本政府は博士は我が日本にとって重要人物であり、見つけ次第早急に保護すると会見しました。 それについて専門家からは……」
束さん見つかっちゃったのか……。ん? というかうちら以外であの人見つけ出せる人がいたのか? それはそれで喜んだほうがいいのだろうか?
このニュースに複雑な感想を抱いていると隣で見ていた旦那が「あ」と大きな声を出した
「い、いきなりどうしたの?」
「この人、昨日見たわ。 ウサ耳してなかったけどこの人だ」
「この人って束博士? 何処で?」
「うちの近くの商店街で肉マン頬張ってた」
なにをやってるんだあの人は……
「周りはどうだったの?騒ぎになった?」
「いや? いつも通りだったけど?」
「……そっか」
うん、通常運転のようで安心した。 保護は……ないな
PM 20:00
いつもより早めに入浴を済ませると二人は食事をするためある店に向かった。 その店はスコールに教えてもらったあの居酒屋「いつもんとこ」である
共働きの二人が休みが合うのは中々ないのでたまに合う時はいつもこの店で食事を取る事にしている
入ってみると相変わらずの盛況だった。二人はいつものカウンター席に座ろうと足を向けたとき、カウンター席の端に既に先客が一人座っていた。 その人物は何故か軍服を着ていた
「では各員明日に備えて体調を整えておくように。後、ターゲットの位置、進行ルートの確認、壁サークルの動向もチェックしておくように、以上」
そう言って携帯を切るとなれた感じで日本酒を美味しそうに飲んでいた
「今回も大漁だといいですね」
「ええ。 しかし毎回、毎回が決戦ですから気が抜けませんけど」
親しげに店員さんと話をしている所を見ると常連さんなのだろうか?
「どうしたのオータム? うん? 知り合いの人?」
「あ、ああ。 ううん、ちょっと気になっただけだから」
旦那に声を掛けられて私は目線をメニュー表に移した。 しかしあの軍服確かドイツのものだったような、あとあの人何処かで? う~ん……
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店に入ってから旦那と二人でそれぞれお店自慢の定食に舌鼓しながら一杯やっていた。この雰囲気の中で飲むのやっぱいいな~
「ところでさ。ちょっと疑問に思ってたことがあるんだけどさ」
「うん?」
「なんで毎回カウンター席なの?」
そう、この店に来ると決まってカウンター席に座っている。 けして満席で座れないと言う訳ではない。 現に盛況ではあるがテーブル席も座敷も空いている状況である
「え、え~と、なんとなく、かな? あはは……」
実はカウンター席なら人目を気にせず必然的に旦那の隣に居れるからなんて恥ずかしくて言えか!!
「……ふ~ん」
なんだその「あーなんとなくわかった」みたいな目は!! っうかこっち見んな~!!
二人がそんなことをしている内にまた店に大勢の客が入り、二人の姿は盛況の中に隠れていった
まあ世界征服事業はたいへんなことは沢山あるけれど、旦那と美味しい物とお酒で私は今日も支えられている
さらっと初登場キャラだしてみましたがどうでしたか?……キャラ合ってたかな?(汗
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