オータムさん。   作:秀吉組

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赤いあいつは出ないのかという質問がありましたが今回は見送りました


とある悪の組織の支部がある町にやってきました3

「あの、ヴァンプさんにお聞きしたいことがあるんですけど……」

 

 

「うん? どうかしたの? マドカちゃん」

 

 

私はここに来る途中に目撃したおばあちゃんを助けるトラの人(?)の事について尋ねた

 

 

「あ~あ。それはきっとアーマータイガー君だね、うん」

 

 

「知ってるんですか!?」

 

 

「知ってるも何もウチの怪人だもの。 そっかそっか♪ アーマータイガー君そんなことを」

 

 

私の話を聞いて、うんうん♪と頷いてとても嬉しそうにするヴァンプさん。 っていうかあの人怪人だったんだ……

 

 

「時間にルーズだったり、私生活だらしない所あったりするけどいい子なんだよね~」

 

 

時間にルーズでだらしない……? 人は見かけに、じゃなかった。 怪人は見かけに寄らないんだな意外と

 

 

「なんだあの時マドカちゃんが騒いでたのはタイガー君見て慌ててたのね。 ああ、納得納得」

 

 

「ふえ? スコール先輩はあの怪人さんの事知ってたんですか?」

 

 

「そりゃ何度か会合であったりしてるし、あと模擬戦で手合わせした相手だし」

 

 

え? 模擬戦? このことを隣にいたオータム先輩に聞いてみると悪の組織たるもの戦闘力のほうも向上する必要があり、そのためフロシャイムの怪人達と模擬戦を何度か行っているらしいのだが……

 

 

「彼、良い拳を持ってるのよね。 あれは磨けばまだまだ光るわよ、うん」

 

 

あんな強そうな怪人さん相手にこんな余裕のあるコメントをするスコール先輩。 先輩、貴方は一体何者なんですか……

 

 

「さて、と。 それじゃあ美味しいリンゴも頂いた所で今回の会合始めましょうか。 では……」

 

 

そう言ってスコール先輩がいくつかコピーされた紙を各自に配っていく。 その隣では「はあ~最近また悪くなってる気がするな、私」といいつつヴァンプさんがあるものを取り出していた。それは黒縁メガネ。あれって老眼鏡……?

 

 

「まず最初に我が亡国機業とフロシャイムとの合同出版された主婦のお悩み100選が一万部突破しました! 拍手~」 パチパチパチ♪

 

 

「へっ? 合同出版? 主婦のお悩み100選? なんなんですか?オータム先輩」

 

 

「出版業界にも進出することになってさ、大事な最初の出版本こける訳には行かないじゃない? それでウチで色々企画を検討してるところにヴァンプさんの知ってこの本の企画が立ったって訳。 あ、これがその本ね」

 

 

その本を見せてもらうと確かに出版が亡国機業、フロシャイムとなっており監修にヴァンプ将軍となっていた

 

 

「この本に監修ヴァンプさんてなってますけど?」

 

 

「そうだよ? すごいんだよヴァンプさん! 色んな家事のテクニック持ってたりしてこの辺じゃカリスマ主夫って呼ばれてるくらいなんだから」

 

 

「そんなことないですよ~。 ただ一日の半分以上は家事の事考えて色々思いついただけだから」

 

 

悪の組織の将軍としてはそれはそれでどうなんだろ……

 

 

「それにしても目標数より売れて良かったですねヴァンプ様」

 

 

「そうだね、これで家事に悩む主婦の皆さんの助けになれればいいんだけどね」

 

 

目標数五千部だったらしいのだが今回、倍も売れ大健闘したようだ

 

 

気になって本の内容を見てみると料理の時短テクニックやよく落とせる洗濯の方法、浴槽の掃除、特に何故か浴槽に生えるカビに関しての事が細かく書かれていた

 

 

「人気作家さんみたいな売り上げにはほど遠いですが当初の目標の倍も売れたのは喜ばしい事です。 この勢いに乗って出版第二段が決まりました!!」

 

 

「次はどんな本を出すの? スコールさん」

 

 

「それはですねヴァンプさん。 次はこの溝ノ口限定の本を出すことになってるんですよ」

 

 

「へー、この溝ノ口ですか。それなら私達にも色々協力できるよね」

 

 

こうして次の本の内容について話し合った。 溝ノ口のスーパーの月初めの安売りの事とか料理教室の事かなど色々検討しているうちに時間が経ち、一旦休憩に入ることになった

 

 

休憩に入っていると「助けて!! ヴァンプさま~」と玄関の辺りから可愛らしい声が聞こえてきた

 

 

声の主を探してみるとそこにいたのは顔の半分くらいが改造されてるみたいな可愛らしいウサギの人形だった

 

 

「きゃ~♪ 可愛い~♪」

 

 

「お、お姉さん、苦しい~。 離して~」

 

 

気が付くとその子を抱きしめていた

 

 

「あ、ごめんなさい。 大丈夫だった?」

 

 

「うん? どうしたのウサコッツ? ああ、マドカさんは初めてだったね。 この子はぬいぐるみ型怪人のウサコッツ」

 

 

ぬいぐるみ型の怪人……。 怪人にも色んなタイプがいるんだな

 

 

「いじめっ子のじん君にガムくっ付けられちゃって取れないの」

 

 

「ああ、こういう時はねコレを使うんだよ」

 

 

ヴァンプさんが持ってきたのはマーガリンだった

 

 

「マーガリンの油分にガムを溶かす効果があるの。他にバターでもオリーブオイルでもいいんだよ」

 

 

そう言ってマーガリンを少し含ませた布で張り付いたガムをやさしく拭くと簡単に取れた。 流石カリスマ主夫

 

 

そんな見ていて微笑ましくなっていると今度はウサコッツ君と同じくらいの背丈の猫のぬいぐるみの子が入ってきた。その子もウサコッツ君と同じく頭を抑えていた

 

 

「あ!デビルネコ君」

 

 

「どうしたのデビルネコ?」

 

 

「デビルネコ君もガムくっ付けられちゃったの?」

 

 

「え!? い、いや、そうじゃなくて、ね……」

 

 

押さえていた手を退けるとそこは円形に毛が抜けていた

 

 

「ストレスで……円形脱毛症に……」

 

 

「「…………」」

 

 

「分かって貰えないと思うけど家庭の…」

 

 

……本当に怪人って色んなタイプがいるようです

 

 

その後、休憩を終えまた会議を再開し次の本の内容について大体の事が決まったのは外が暗くなった頃だった

 

 

「結構遅くなっちゃいましたね。 外もう真っ暗だし」

 

 

「そういえばスコールさん達は晩御飯は?」

 

 

「あ、はい。 もうこんな時間ですから外で済ませようかと」

 

 

「だったらうちで食べていきませんか? 」

 

 

「いいんですか? ご迷惑じゃあ…」

 

 

「いいのいいの♪ それにうちで作れば外で食べるより安く済むしね」

 

 

「ヴァンプさま、今日の晩御飯なんなの?」

 

 

「今日はね、鶏タンゴ鍋」

 

 

こうして会合の夜は更けていくのだった

 

 

 

鶏の挽き肉に~♪ みじん切りの長ねぎ~♪ 酒と醤油と~♪ 卵白と生姜汁~♪




試しに書いてみたフロシャイムとのコラボどうだったでしょうか? 好評でしたらまた書いていこうかなと思います。 感想お待ちしてます

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