オータムさん。   作:秀吉組

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とある悪の組織の支部がある町にやってきました

「ふふふ、またこの時が来るなんてね……」

 

 

「この町の奴等はおめでたい奴等だな。もうすぐこの町が恐怖に包まれるのも知らずに……」

 

 

「………」

 

 

とあるビルの屋上から見える町を見下ろす三つの影……

 

 

亡国機業のスコール、オータム、マドカの三人が今いるのは日本の神奈川県川崎市……

 

 

首都でもないこの町が今まさに未曾有の恐怖に包まれようとしていた!! 危うし!!川崎市!!

 

 

 

 

 

 

「……あの、ここでコレやる必要あったんですか?」 スイッチOFF

 

 

「これも大事なことよマドカちゃん。だってたまにこうやっておかないといざという時にパニッくちゃうでしょ?」

 

 

「そうだよ? まあ、私の場合はこうやって練習しててもたまにやらかしちゃうことあるけどね」

 

 

「言いたいことは解るんですけど……。 なにもここでしなくても」

 

 

三人が今いるのはデパートの屋上にあるヒーローショーの特設ステージの裏でフェンス側の一部を借りてやっていたのである。 常に努力することは大事なことである

 

 

 

「あの~、もうそろそろよろしいでしょうか?」

 

 

「あ、はい。 すみません、お邪魔しました~(汗」

 

 

「……今日の件大丈夫かな?」

 

 

係の人に言われてこの場を後にする先輩二人を追いかけながらマドカは昨日のことを思い出していた

 

 

 

「会合、ですか?」

 

 

 

「そ。 明日別の組織との会合があるの。 マドカちゃんにも参加してもらいたいの」

 

 

二つの悪の組織の会合。 きっとそれは互いを決して味方とは思わず、いかに相手を利用し始末しようか考えながらお互いの腹の内を探るそんなギスギスした空気の中で行われるであろう。そんなことを想像するだけでマドカに緊張感が走った

 

 

そんな緊張感を持って会合当日を迎えた訳なのだが……

 

 

「ねえスコール? こんなのどうかな? ロールケーキとか」

 

 

「うーん、いいけど向こう結構の大人数でしょ? この30個入りのお饅頭の奴のほうがいいんじゃないかしら?」

 

 

只今絶賛お土産コーナーで買い物中である

 

 

「あ、あの~? 何買ってるんですか?」

 

 

「うん? お土産だよ、向こうに持って行く」

 

 

「お土産?」

 

 

「そりゃあ手土産もないしに行ったら向こうに失礼でしょ」

 

 

「は、はあ……」

 

 

悪の組織の会合にお土産持って行くのが一般的なのか……。うーん、でもそのお土産がお饅頭30個入りの奴とかロールケーキって知り合いや家族に渡すような奴でいいのかな

 

 

結局持っていくお土産はお饅頭30個入りのに決定した

 

 

「さてお土産も買ったしそろそろ向かいましょうか」

 

 

「あのどうやって行くんですか? ISで直接行くんですか?」

 

 

「だめだめ。 ISで現地直行しちゃったら騒音とかで近隣の方に迷惑かけちゃうし」

 

 

え? 会合の場所そんな住宅密集地にあるの?

 

 

「じゃあどうやって行くんですか?」

 

 

それはね、と言われてついて行くとそこは

 

 

「これに乗っていきます」

 

 

それは市民の移動の足、電車である

 

 

「え!? これに乗って行くんですか?」

 

 

「そうです。 はい切符」

 

 

そう言って渡されたのは560円の切符、しかも準急のである

 

 

ガタンゴトン……ガタンゴトン……

 

 

ゆっくりと揺れる電車に乗り込んだ三人。 その揺れは心地よくついついウトウトしてしまう程だった

 

 

「……。 ん…、ハッ!? い、いけない、ついウトウトしちゃった。 す、すいません、せんぱ……」

 

 

慌てて起きたマドカは隣にいる二人に声を掛けようと振り返ると

 

 

「………」 こくりこくり

 

 

「………」 ウトウト

 

 

二人もこの揺れに見事に落ちてしまったようだった

 

 

「天気がいい日の電車の揺れはある意味危険なんだよね。 っていけない、起さないと」

 

 

マドカが二人を起そうとしたとき奥の車両から両手で荷物を運ぶおばあちゃんが入ってきた。 どうやら持っている手荷物は重たいようで辛そうに運んでいた

 

 

なんとか座れる場所を見つけようとするがどれも座られており、辛くなったのかとある場所で荷物を降ろしてしまう

 

 

「あ、おばあちゃんが!! うん? ええええ!?」

 

 

そんな光景をみて思わず立ち上がりその場に行こうとしたマドカは目を疑った

 

 

おばあちゃんが荷物を降ろした丁度その場所の手前に座っていた人物に驚いたのだ。 その人物は緑のジャージを着た普通の人より一回り体系が大きい人物だったがマドカが驚いたのはそこではなく顔にあった

 

 

その人物は何故か顔がトラだった。 それはもう着ぐるみで中に人がいるというレベルではなく正にトラそのものなのである

 

 

「あ、あの人一体なに!? っというか人? なんだか怖そう……」

 

 

いきなり現れたトラの人(?)に驚くマドカに新たな衝撃が襲い掛かる!!

 

 

「あの、もし良かったら座って下さい。 自分、立ちますんで」

 

 

「え? よろしいんですか? どうもすみません」

 

 

「いいえ。 あの何処の駅で降りますか?」

 

 

「はい、あと二駅先で降りようかと」

 

 

「自分もそこで降りるのでそこまで荷物お持ちします。 ウッス」

 

 

「そんな、そこまでしてもらう訳には」

 

 

「いえ、自分のトレーニングにもなるんで気にしないで下さい、ウッス」

 

 

「そうですか? 本当にすみません、助かります」

 

 

実はとってもいい人(?)だった!?!?  ……あれ?ちょっと待って

 

 

二人仲良く話している光景をみてまたしても気になるところを発見してしまったマドカ。 それは……

 

 

なんでここの人達この人(トラ)についてなんの違和感も無く接しているの!? これが普通なの? おかしいのは私のほう!?!?

 

 

などと悩んでいると『次、溝の口、溝の口に止まります』というアナウンスが流れてきた

 

 

「ふぁ?……ハッ!? 次降りなきゃ!? オータム、マドカちゃん、次の駅で降りるわよ!!」

 

 

「ふゎゎ……うい、了解」

 

 

「え、いや、ちょっと待って下さい。 今そこにトラの顔の人が」

 

 

さっきその人物が座っていたほうに振り返ると何故かいなくなっていた。 おばあちゃんも一緒に

 

 

「あれ? ついさっきまでいたのに」

 

 

「ほら、マドカちゃん急いで」

 

 

急いで電車を降り、しばらく徒歩で移動することになった

 

 

うーん、今さっきのはただ私が寝ぼけていただけなのかな? でもあれは確かに現実にあったことのような気が……

 

 

 

「あ、着いたわよ」

 

 

気のせいだったのか現実にあったことなのか悩んでいる内にどうやら目的地についたようだ。 そこは古い一軒家で表札には「フロシャイム川崎支部」と書かれてあった

 

 

「マドカちゃん、インターフォン押してくれない?」

 

 

「あ、はい」

 

 

インターフォンを押すとブーという音がなった。 え!? 今時インターフォンの音がブーってどれだけ古い建物なんだろう……

 

 

「あ~、はいはい。 あ♪ いらっしゃ~い」

 

 

引き戸の玄関から迎え入れてくれたのは兜を被った紫の布服を着た人物だった

 

 




元ネタが分からない人は天体戦士サンレッドで調べて見て下さい。ついつい怪人達を応援してしまうお話ですw

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