カカシ「一度死んで目が覚めると教え子達の性格やら何やらが変わっていた。」   作:柚子ゴル

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第7話 再不斬の決意

 

 

広い自然豊かな森の中、サスケは眼を赤くしながらナルトと対峙していた。タズナからの本当の任務を受けたのはいいが、今は昼頃。タズナ達は準備があるため、今は時間がある。時間を持て余すのは勿体無いとの事で、タズナ宅の近くの森で修行をしていた。ナルトとサスケはお互い試合をしていて、サクラは白と。カカシと再不斬はその様子を見ている。

サスケは自分に倒され、地面でバテているナルトに対して冷静に呟いた。

 

「これだから頭だけいいやつは実践に向かないんだよ。頭の運動もいいが身体の運動した方がいいんじゃないか?」

 

サスケの目の前で地面に伏していたナルトはカチンときたのか舌打ちをし土を握りしめボロボロになりながらも立ち上がろうとする。ナルトは言われっぱなしの性格ではない故に、サスケに言い返す。

 

「くっ…!調子乗ってんじゃねーぞ!馬鹿サスケ!」

 

それに対しサスケはフンと鼻で笑った後、ニヤニヤしながら言い放つ。

 

「負け犬の遠吠えにしか聞こえないな!今日サクラの隣は俺だ!」

 

「うるせー!お前を隣にしたら何するわからないだろ?!絶対負けないってばよ!次はお前を地面に擦り付けてやるってば!」

 

ナルトはサスケの言葉の途中で、サスケに殴りかかった。

しかしサスケはそれを簡単にひらりと避けナルトの足を掛ける。ナルトはぶへぇと情けない声を出しながら倒れた。

 

それを見てカカシは溜息を吐く。

ナルトは本当に頭がいいのだろうかと疑問を抱く。頭がいいのならなぜ真正面から馬鹿正直に行くのだろうか。少しは工夫すれば良いものを。ナルトは勉強面での頭はいいが、どうやら戦闘関係に関しては…元の世界のナルト以下というところだろう。正直他の二人同様強いものかと思っていたがどうやらそれは見当違いのようだ。そもそもの理由が、今日の任務での立ち位置でサクラの隣の場所を賭け戦っているのだ。ナルトとサスケの戦いは、そのレベルや理由が幼稚で頭が痛くなる。

それに比べサクラと白の戦いは…。

 

「もはや全然下忍のレベルじゃないんだけど…?」

 

カカシはチラリとサクラと白の戦いを見る。白は白で見事な剣さばきで素晴らしいのだが、やはりサクラが圧倒的すぎる。

サクラは苦無で白の剣を受けにこやかに笑いながら戦っている。白の白い肌に赤くうっすらした線が出来ているのはサクラが徐々にいたぶっているからだろう。…いい性格をしてる。精一杯の白に対しサクラは余裕そうだ。流石暗部の副隊長とでもいえばいいのか…。

サクラに感心しながら、本気で戦っている部下達にそんな本気で戦ったら体力なくなるでしょーが。温存しときなさいと注意をした。が、そんなもの誰一人として聞いてはなかった。カカシは上司というものは何たるかを小一時間ほど説明したくなった。

うなだれていると、再不斬が話しかけて来た。

 

「おい、カカシ。話があるんだが。」

 

カカシの肩がびくりと揺れる。

遂に来た。やけに大人しいから大丈夫だろうと思っていたがやはりきた。戦う事が三度の飯より好きそうな再不斬の事だ。戦いを挑んでくるに違いない。それはさせない!っと内心熱くなりながらも、カカシは冷静を装いクールに言い放つ。

 

「戦いならしないよ。流石に体力温存したいし。」

 

それに対し再不斬はイラつきながら不機嫌そうに答えた。

 

「んなこたぁ分かってんだよ。確かに戦いたいがその事じゃねぇ。任務のことだ。」

 

「任務?」

 

任務という言葉を聞きカカシの顔が真面目になる。再不斬はそんなカカシを見ながら話を続けていく。

 

「ああ、俺はタズナの所に残っていく。」

 

任務内容はタズナさんを残し鬼鮫と対決させイナリ達を木の葉へと連れて行く。タズナさんの実力はわからないがきっと鬼鮫の方が強いだろう。現役と元現役だ。差は明らかになるだろう。つまりいい難いがタズナさんは…死ぬつもりなのかもしれない。話を戻し、もし再不斬が残るのなら死ぬ可能性は弱まるかもしれないということだ。

カカシは率直な疑問を問う。

 

「…。それは鬼鮫と戦うってこと?」

 

再不斬は目をキっと強め嬉々とした表情で話した。

 

「ああ、そうだ。鬼鮫と戦ってみたいんだよ。強いともっぱらの噂だがどんなもんなのか気になるしな。…それにタズナは手を怪我しててまともに戦える状態じゃねーし。」

 

最後の方はボソボソと照れながら話す再不斬にカカシはマスクで顔の表情こそ見えづらいものの目元をニヤニヤさせながらからかった。

 

「へー、心配なんだ?」

 

からかうカカシに再不斬は焦ったように否定する。

 

「なっ!別に心配とかそんなんじゃねーよ?!ただ…。」

 

「ただ…?」

 

「タズナにはいろいろ教わったからな。俺は貸しを作りたくねー。これでプラマイゼロになるだろ。」

 

「…ふーん。」

 

カカシは再不斬がタズナがいる方角をしっかりと見、呟いているのを見てここの再不斬はなんだか元にいた再不斬に似ているような気がした。

それがなんとなく嬉しくてまたニヤニヤとしていると再不斬がチラリとカカシを見て舌打ちをし、言った。

 

「なんだようぜーな。やっぱりヤるか?」

 

それなカカシは慌てて拒否する。

 

「いやいや。白君はどうなの?」

 

話を逸らし再不斬の気を紛らせる。

再不斬はチラリと白を見て言った。

 

「白は連れてってくれ。あいつはああ見えていい奴だから。ちっと腹黒いかもしれんが、木の葉の役にたつだろう。」

 

「わかった。だけど白君は知ってるのそれ?」

 

きっと白君は再不斬が来ないとなると自分も残ると言いそうだ。もし話をして納得してくれているのなら、余計な混乱はせず済むのだが。

しかし再不斬はバッサリと期待を裏切った。

 

「いや知らねーよ。だから俺の影分身でも連れてけ。俺の言うことはよく聞くんだよ白は。それにあいつにはこんなところでくたばってほしくねーしな。なんたって俺とタズナが指導した弟子だからな。」

 

ニヤっと笑い再不斬は自信満々で誇らしげに言ってのけた。カカシはそんな様子の再不斬に驚きつつも、ここの再不斬は結構熱い奴なのだとわかった。

それにしても、カカシは正直この任務が上手くいかないような気がして仕方がなかった。

 

(嫌な予感がするんだよなぁ)

 

最近思い通りにいくことがないためかなり心配だ。

なんとなく今戦っている自分の教え子たちを見る。するとナルトとサスケは何故か呑気にジャンケンをしていた。そんな様子を見て考えるのが馬鹿らしくなってしまった。

 

「うんまぁ、なるようになるでしょ。」

 

✳︎

 

 

カカシに任務についての話をした後、俺は白たちから離れ、タズナと初めて会った場所、ガトーの元アジトに来ていた。なんだか懐かしくその建物を見つめる。いつのまにかそこには草が生えて随分と野生的になっていた。しかしそこにはタズナが暴れた証拠である、もはや壁や床に染み付いてしまっている血が今でも生々しく残っている。それが初めてタズナと会った時のことを思い出させた。

 

あの頃の俺は、自身の力が強いがために里に見切りをつけられた。昔は強いものこそが最高であるとされ、俺はいい意味で注目を集めた。だが、時は流れ平和を愛する里へと変貌を遂げた途端 、俺は悪い意味で注目を集めた。同胞殺し、仲間殺しと罵られ、里に見切りをつけられた。そんな里を俺自身が見切りをつけ水影を殺し白を連れ里抜けをした。しかし貯めていた資金はすぐ尽きるもので、働かなければいけなくなった。そこで自慢の強さで雇われ雇い主の敵を殺す日々に戻った。その頃の目標は、故郷霧隠れの里を手中にすることだった。しかし今思えば、ただ霧隠れの里に必要とされたい、認めらたかっただけなのかもしれない。だけどその頃の俺はその事しか頭になく、里を手中にするのには金が必要でただただ雇い主の敵を殺す日々だった。しかし、そんな日が続いていたある日いきなり俺の世界にあの人が飛び込んできた。それは、霧隠れの里や他里でも伝説の刀の遣い手、仲間殺しのタズナだった。噂通りの実力で、白と二人掛かりでヤっても敵わなかった。白はボロボロになりながら、俺の前に立ち小声で僕が相手にしますから逃げてください。ようやく道具としてお役に立てることが出来そうです。と笑顔で言ってきた。白の身体は俺よりも酷くやられており立っているのもやっとという感じなのに、白は俺を庇った。その瞬間、俺は自分が死んでもいいから白をなんとか助けたいと心から思った。俺に背を向けている白の首に手刀を落とし、気絶させた。白は驚いた表情をしていたが、このぐらいの敵、逃げなくても勝てんだよと言えばなんで…と言って目を閉じた。

気絶したのを確認した後、俺は仲間殺しのタズナに目を向ける。この人は里の裏切り者として霧隠れの里では受け継がれていた。鬼鮫はそれに対し異様なまでに否定していたが、俺も里のものと同じ、こいつは単なる弱虫だと思っていた。が、今は何故里抜けをしたのかなんとなくわかる。勿論こいつの時代は強さは崇めらていたが、俺と同じでこいつは大切な人が出来たのだろう。どうしても殺せない大切な人が。だから止むを得ず里抜けをした。大切な人とというのはとても恥ずかしいが、俺にとっては白…の様な存在がいたわけだ。

そして同じような立場のタズナなら話を聞いてくれる気がした。

交渉をした。俺を殺させてやるからこの子は見逃してほしいと。俺の頭には多額の金がかけられている。がこの子には何もかけられていない。だからこんな小僧見逃してはくれないか。と。

勿論忍びとして甘いのもわかっている。本当に俺を殺した後白を殺さないとは限らない。けれど何故かこいつは約束を守る気がした。真っ直ぐ真剣な目をしてこちらを見つめるこの老人が俺には約束を破るようには見えなかったから。

すると、タズナは突拍子もないことを言い始めた。

 

「刀の使い方がなっとらんなぁ…。」

 

その一言からタズナと俺と白の奇妙な関係が始まった。タズナはお前等を弟子にすると公言し俺達を家へと連れて行き手当てをした。白が動くようになった日にあまりに怪しすぎるタズナの元で生活なんて出来ないと逃げ出そうとした時もあった。しかしタズナはそれを力、つまり己の強さで止めた。此処から逃げたいのなら俺よりも強くなり倒していけばいいと言って。それから白と俺は死に物狂いで修業をした。最初は此処から出るために。しかしそれは次第にタズナに認められるためにへと変わった。そしてその途中、刀がどうしても2人の力に耐えられず壊れてしまうので、タズナは2人に刀を与えた。それは今や俺の相棒とも言える大刀・断刀首斬り包丁だ。それからその相棒と一緒に日々鍛錬した。

守りたいものがいて、タズナという師があり、家ではおかえりと言ってくれるイナリとツナミがいて、疲れて帰ると暖かいご飯があり寝床がある。明日が来るのを楽しみにしながら就寝する。それは今までにないぐらい充実した毎日だった。しかしそんな毎日が続くはずもなかった。鬼鮫がタズナを殺しに来る。今までの夢が一気に元の現実世界へと変わる。鬼鮫は強い。俺よりもずっと。戦えばきっと勝てないだろう。けれど怪我をしているタズナを見殺しにするほど、弟子になった期間は浅はかな物ではなかった。この人が死ぬのなら、俺はこの人に代わり死んでやろう。それが俺が唯一出来るあの幸せな空間を与えてくれた恩人に対する感謝だろう。どうせガトーに雇われてタズナに会った時一度死んでいた命。使い捨てることなど容易いことだ。

ただ、 白が少し気掛かりだ。が、白は賢く強い。だから木の葉の里でも上手くやっていける。

 

そう確信をして、再不斬はタズナ達のところへと戻って行った。

 

 

 




かなり遅れて申し訳ないです。
なるべくはやく更新できるよう頑張りますので、応援の程よろしくお願いします。

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