カカシ「一度死んで目が覚めると教え子達の性格やら何やらが変わっていた。」 作:柚子ゴル
「迷子猫トラ捕獲完了。いつものことながら第七班は仕事が速くていいわぁ。次は芋掘りと工事現場の視察と…。」
「ちょっと待てよ。」
第七班は火影邸にて、任務の報告を伝え次の任務を承ろうとしていた。
相変わらず首に蛇をまいている姿は気味が悪いが慣れとは恐ろしいものでそこまで気にならなくなった。
火影はいつもの通り任務を言い渡そうとすしたが、Dランク任務にそろそろ飽きてきているサスケが待ったをかける。
「猫探しとか川のゴミ拾いだとか、忍びらしさを感じられないんだが。もっとなんか他になんかないのかよ。三代目。」
「あら嫌だサスケくん。気に入らないのかしら今の任務。」
「ちょっとあんた三代目に何言ってんのよ。謝りなさいよ。」
サスケに注意をするサクラだが、サスケと三代目は聞いていなかった。
ふふっと笑ってサスケを舐めるように見つめる三代目にサスケはぞくりと鳥肌をたてカカシの後ろに逃げ込んだ。
「それにしても、サスケくん。貴方随分と美味しそうになったわね…。」
「やめろふざけんな!だから俺はあんまり此処に来たくないんだ!」
頬を紅色に染め、はぁと吐息をつく三代目。それにサスケは恐怖を感じ拳をカカシの背中あたりに叩きつける。いつも2人はこんな感じであり、サスケはどうやらかなり三代目が苦手らしい。三代目も三代目で止めればいいのに、サスケを煽る。
はぁ…と溜息を吐いたカカシはとりあえず後ろで自分の背中を殴っているサスケを無視し、話を進めた。
「それで、三代目。次の任務を教えてください。」
「嗚呼、そうね。どうしようかしら。折角サスケくんがそこまで言うんだったら用意してあげなくもないわね。あれなんでどうかしら。ほらさっき来た波の国の…。」
「ちょっと何言ってるんですか?!駄目ですよ!彼等は下忍です。」
依頼人が誰か分かるとアカデミー時代の担任、うみのイルカが猛反発した。ちなみにカカシが知る限り彼は前と変わらず生徒想いで良い先生だ。変わった所と言えば、此方ではモテてモテてモテまくりという事だろう。彼の爽やかな笑顔や柔らかい雰囲気。人を安心させる表情。それに魅せられる人物は数多くいる。しかしイルカは特に恋愛をしている様子もなく、その様な事をしているならば子供達の問題を解決していきたいと言うほどだ。話は逸れたが、三代目は淡々とイルカに話す。
「いいじゃない。大丈夫よ。だって彼等は下忍の中でもより優れている子達よ?中忍にだって余裕でなれる器よ。それなら経験を積んだ方がいい。私はね、可愛い子ほど谷底に突き落としてその成長を見てみたいの。」
ふふっと笑うその表情は柔らかいものではない。イルカはもう仕方がないなぁと呟き依頼人を呼ぶ。
「全くもう知りませんよ私は。
すみません。入って来てもらえますか?」
(ああ、やっぱりタズナさんか…。)
がちゃりと音を立てて入ってきたのは予想通りといえば予想通りだが、小綺麗なしわくちゃなおじさんだ。
背は高いが髪は白くしわも多い。笠をかぶりじっとこちらを見つめる。探るような視線にカカシは違和感を感じた。この人は本当にあのタズナなのか?と。
タズナと目が合い、にっこり笑ってきたので愛想笑いで返す。
「わしはタズナじゃ!数日間護衛をしていただきたい。超大変かもしれんがよろしく頼む。」
✳︎
木の葉の里を出てためあんと書かれた大門を出た。
空は天気がよく、快晴だ。
だが、カカシの心は晴れやかではない。これから再不斬達と戦わなければならない。この依頼人が嘘をついているかとは今の所わからないが、何かを隠している。
溜息をつきながらタズナを見るが、和やかそうにサクラ達と話していた。
「へー!じゃあタズナさん今手怪我してるんですか!」
「そうなんじゃ。超不便でなぁ。素早く指は動かないわ、手は回らないわで…。」
「タズナさんって普段何をしてるんだってば?」
「俺は普段橋を作っとるよ。超楽しいぞ!」
「じゃあ橋を作れないんじゃないか?手を怪我してるんなら。」
「いや橋ぐらいは作れるんじゃが…
どうもなぁ。肝心な時に役に立たん手よ。」
「肝心な事?」
「はいはい。そのぐらいにしなさいっての。今は任務中だよ?緊張感持って。」
あまりに自分の教え子たちがずかずか依頼人に質問をしているので、止める。忍と依頼人は仲良くするのはあまりよろしくないと俺は思ってる。情をお互い持つといざという時が大変だ。まぁタズナさんは絶対守るし、教え子たちもかなり強いから大丈夫だろうが。
それにしても、前はこの辺りに水溜りがあったのに。何故今はないのか。これではタズナさんに確信をもって責められない。
そわそわしながらも、歩き続ければナルトがいきなり苦無を投げつけた。そこには身代わり用の白うさぎがいた。
「まじかよ、いきなりってのは流石にひどいんじゃないの?」
ボソリと呟けば、くるくると巨大な大刀・断刀首斬り包丁が襲ってきた。すぐさま伏せろと叫び、刀は全員の頭を通過した。
敵から攻撃をうけ相手を見やると巨大な大刀・断刀首斬り包丁を担ぎ、口を覆う包帯の奥には残忍な表情を浮かべている男。霧隠れの抜け忍、かつて霧の忍刀七人衆の一人、鬼人・再不斬としてその名を轟かせた実力者がいた。
「やーっぱり出て来ちゃうわけね。君は。」
「ふっ、随分と馴れ馴れしいな。何処かであったことがあったか?はたけカカシ。」
「いやー、まぁなんつーか、会ったことはないね。」
前の世界ではあった事がある。そもそもこの再不斬はそのまんまな気がする。此処に暫くいてわかったのが、変わった人と変わらなかった人がいる。残念ながら自分の知り合いはほぼ変わってしまっていたが…。
「悪いがタズナ…を渡してもらおう。」
「タズナさんね〜…。」
「ああ。その前にどうやらお前らを殺さなきゃいけないがな。忍法 霧隠れの術。」
ちらっとタズナを見れば、居心地が悪そうにニカリと笑った。
それには呆れる。やっぱりタズナさん任務内容誤魔化してたな。
全く…。勘弁してよ本当。
とりあえず、ナルト達には注意点を言った。
「まずはオレを消しにくるだろうが…桃地再不斬、こいつは霧隠れの暗部で無音殺人術の達人と知られた男だ。気がついたらあの世だってことになりかねない。
オレも写輪眼を全て上手く使いこなせるわけじゃない…お前達も気を抜くな!」
話しているうちにも霧がどんどん濃くなってきており周りが余り見えない程になっていた。
「8カ所、脊柱 肺 肝臓 頸静脈に鎖骨下動脈 腎臓 心臓…さて、どの急所がいい?くく…」
ふと聞こえてくるのは再不斬の声。今、この状況がたまらないというような声を出している。
が、カカシが印をくんだときその空気が一変した。
殺気だ。
眼球の動きひとつでさえ気取られ殺される。そんな空気。
小一時間もこんなところに居たら気がどうにかなってしまうようだ。
上忍の殺気。自分の命を握られてる感覚。
カカシは自分教え子を見る。前のサスケは震えていたが、ここのサスケは全く震えずいつでも迎えうつ構えをしていた。
サクラは言うまでもない。ナルトも意外なことに冷静だ。だがそれ以上に意外なのは、タズナが震えもなにもなくじっとこの戦いを見ていることだった。まるで戦いは慣れている様なそんな様子だ。明らかにおかしいが、実力がなさすぎてこの殺気がわからないほどなのか?
いや、そんなこと考えている暇はない。今はとにかく再不斬の事を考えるべきだ。
再不斬は下忍とタズナの間に出現しすぐさま首切り包丁で殺そうとした所カカシに止められた。
しかしそれは水分身でカカシの後ろに再不斬が現れた。けれどもそれはカカシの影分身で再不斬の首元に苦無を突きつけた。流石はオリジナルというべきかその再不斬は水分身であり本体であるカカシの首元に包丁を突きつける。
カカシはとっさに池に逃げる。その途中でまきびしも巻いたが効果なし。水の中に入ってしまった時点で勝負は決まっていた。
きっと前の世界のやつがこれを知ったらお前何同じことしてんだよ!同じことに引っかかってんじゃないよ!と怒られるだろうが、勿論わざとだ。俺はまだいまいちナルト達が理解しきれていない。強さや性格。誰が司令塔に向いているか。いろいろ知りたいがためにわざと捕まったのだ。前の世界では、ナルトとサスケが力を合わせ助けてくれた。今回も助けてくれるだろうことを見越して捕まった。これで三人の実力がわかるはずだ。試すようなことをして悪いが今後のために是非知っておきたい事である。
今まで閉じていた目を開け、とりあえず俺にかまわず行けと言おうとした。
「お前ら!俺にかまわず行……け…。」
最後の言葉が掠れる。何故ならいるはずの教え子とタズナさんがいないからだ。再不斬が可愛そうなものを見る目でカカシを見て言った。
「残念だがカカシ。あいつらはお前が捕まった瞬間、瞬身の術で逃げたぞ。」
「え?」
「更にいうならばマキビシ巻いたあたりからもう指を動かしていた。」
「……。」
「おいあんまり落ち込むなよ…。
木の葉の里はあまちゃんばかりだと思っていたがなかなか骨のあるやついるじゃねーか。」
敵に慰められ更に悲しくなる。
「わかってるよ!忍としてそれがあってることも!よく俺を見捨てれたと褒めるべきだということもわかるさ!だけど…、だけどなんかカルチャーショックだよ‼︎」
絶対に自分を助けるために動くという謎の自信があったことが恥ずかしくなる。それにマキビシまいたあたりから負けだなと思われ逃げる準備を始めた事にも驚きだしそもそもあいつら瞬身の術使えたのかよという驚きもある。
「ああ!もうなんか本当最近駄目だな俺!」
叫ぶカカシをわずわらそうに見ながら再不斬は言った。
「まぁ、とりあえず死んどけカカシ。」
カカシの首元へ再不斬の刀が動いた。
✳︎
「おいお前ら。先生置いてきてよかったのか?」
「いいんです。
大丈夫だ。
心配ないってばよ。」
「そ、そうなのか?」
「ええ、あんな覇気の無い戦いをしてるから駄目なんです。本気を出したカカシ先生は凄いですよ。負けるわけないんです。」
「あんぐらいでやられるようじゃ、担当上忍なんて降りてもらうしか無くなる。」
「その通りだってばよ!そもそもあれが実力ならあそこで死ぬのも定めだってば。」
「お前ら結構厳しいな…。」
サクラが先頭を走り、サスケが真ん中、ナルトが後ろの配置で走っていた。サスケがタズナをおんぶして、タズナの家に向かう。話題はやはりカカシのことだ。手を抜いているのがまるわかりというように第七班はカカシを批判した。
それにタズナは驚いたような反応をしめす。
「それはそうともうすぐ家着きますよね?」
「ああ、あと1キロぐらい…。」
タズナが距離を答えた瞬間、サクラの足元に千本が飛んでくる。それをサクラは苦無でとめ、立ち止まる。
苦無が来た方を見れば、木から同じ歳ぐらいの綺麗な顔をした子供が立っていた。
「タズナさんを置いてってもらえますか?」
その子がにこりと笑い、腰にさしてある刀を抜いた。
「とある任務で貴方を殺さなければならない。悪いが貴方方には死んでもらう。」
ふぅとサクラは溜息をつき、綺麗な顔をした子をじろじろ値踏みしたように見つめる。
「ナルト、サスケ。先に行きなさい。私が相手になるわ。自分の実力もわからない馬鹿がこのハルノを相手にして勝てると思ってるのかしらね。」
「サクラちゃん、お手柔らかにね?」
「最近暗殺とかしてないもんなお前。」
「たまにしないとね。技術が落ちそうで。」
やれやれというサクラ。タズナはこの会話の異常に何も言えないでいた。こいつらはこの年でそんな話をするのかと。
ナルトはサクラをちらっと見た後、一言言い、サスケもそれに続く。
「でも一応残るってばよ。」
「まぁ大丈夫だろうが、相手を知らないのも此方は同じだ。もしかしたらとんでもない技を持ってるかもしれない。」
「そうね。ならそこで見学してて。
さぁ、始めましょう?命をかけた闘いをね!」
サクラは改めて苦無を握り思いっきり白に投げつけた。その表情はまるで戦いが楽しくて仕方がないというような満面の笑みであった。
話のスピードが速いかもしれない…
次は丁寧に書こう。
カカシvs再不斬
サクラvs白
みたいな感じですかね。まぁここの戦いはあっさり終わらせようと思います。