ハイスクールD×D ~絶対悪旗のラスト・エンブリオ~ 作:白野威
『来るがいい、英傑たち。そして踏み越えよ――――我が屍の上こそ正義であるッ!!!』
後に" "の二つ名で畏れられる白銀の蛇龍は、敵対者である世界にそう告げた。
*
意識が再起する。
雲一つも無い青い空が視界に写る。同時に周りには木々が生えているため、森の開けた場所に出たのだろう。と、そこまで考えて疑問が出た。
――――どこ、ここ。
“彼”はなんのへんてつもないただの人間だ。容姿が秀でているわけでなく、能力が優れているわけでもない。ましてや天才などという存在ではなく、何方かと言えば凡才の方に類するだろう普通の人間。普通に生まれて普通に生きて、普通に恋人と仲良くデートしていた際に此方に向かって突撃してきたトラックを避けようとした際にバナナの皮を踏んで逃げ遅れたこと以外、何ら変わったところはない人間だ。多少運が悪い所はご愛嬌である。
しかし“彼”が轢かれた時、周りに森なんてなかったはずだ。というより、街中でデートしていたのにトラックに轢かれて気が付いたら森の中に居るとは、何処のSF映画だろうか。ゴールデンラズ○リー賞を総なめにするつもりか。
くだらない事を考えながら大の字で寝っ転がっていた身体を起き上がらせ、自分の身体にある違和感に気付く。
――――身長が異様にデカいし、なんか視界が三つある。
“彼”は、ある種コンプレックスになっているほど低身長であった。何度二十歳になっても150cmしかないのかと自問自答しただろうか。しかし今の身長は周りの木々に生い茂る葉が頭にかかるぐらいの大きさ……大凡3mほどの大きさとなっていた。何故気が付いたら150cmの身長から3m程度まで伸びるのか。青狸のビックラ○トで大きくなったわけじゃあるまいし、普通に考えて3mの身長を持つ人間なんてどこで暮らせというのか。
まあ身長云々はこの際おいておくが、視界が三つあるのは違和感しかない。どこかに水辺は無いだろうかと三つの視界を使って探し、ちょうど真裏に水辺があったのでそこを覗き込み――――絶句した。
夜天に輝く凶星のような紅い瞳を持った、白い蛇の様な三つ首。
両手を見れば四本の指が生えた、まるで
双肩で縫い留めた“
“彼”が持つ記憶に該当するその存在は、たった一つ。
世界が一丸となって倒すべき不倶戴天の化身。汝“悪であれかし”と人々に願われた存在。
“
『アジ……ダカーハ……?』
――――最古の魔王が一つ、“
気が向いたら続くかも?