剣鬼の歩く幻想郷   作:右に倣え

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妖怪の在り方、人の自由

 翌朝、青年が目覚めると、すでに起きていた剣鬼が新品の松葉杖を持って、朝陽の差し込む部屋に入ってきていたところだった。

 

「お、目が覚めたか。調子はどうだ?」

「ん……はい。だいじょう……ぶっ!?」

 

 寝起きで感覚が鈍っていたのか、普段通りに布団から出ようとして、足首に走る激痛で失敗してしまう。

 

「ふぅむ……やっぱ片足はダメか。ゆっくりでいいから、もう片方の足で立ち上がれるか?」

 

 その様子を剣鬼は落ち着いて見ており、取り乱すことなく冷静に声をかけてくる。

 彼と自分は全くの他人であり、むしろ自分の痛みで相手まで取り乱すほうが不味いというのはわかるのだが、それでもここまで平静だと、思うところがないわけでもなかった。

 

「ぐ……っ」

 

 慎重に、痛みがなるべく少ないように足を動かし、剣鬼にくじいてしまった足のある身体の方を支えてもらいながら、どうにかこうにか立ち上がる。

 

「松葉杖があれば歩ける感じか?」

「……休憩を挟みながらだったら、何とかなりそうです」

「ちなみに向かうのは神社だから階段とかあるぞ」

「……その時は身体を支えてもらうか、おんぶをお願いします」

 

 さすがに階段を松葉杖だけで上るのは無理だと青年は判断した。

 剣鬼は特に驚くこともなく頷き、今日一日の予定を定めたところ、家主である妹紅が欠伸をしながら部屋に入ってくる。

 

「あ、起きた? それじゃ、朝ごはんにしましょうか」

「米と味噌汁、鮎の塩焼きで頼む」

「お帰りはあっちよ」

 

 目の笑っていない笑みを見せる妹紅と剣鬼のやり取りにも、少し慣れてしまった青年だった。

 

 握り飯と漬物の簡単な朝食を終えると、青年と剣鬼は揃って家の前に立って、家主である妹紅に別れの挨拶を告げていた。

 

「それじゃ藤原さん、お世話になりました。この御恩は忘れません」

「忘れていいわよ。悪い夢だったってことにしておいた方が身体に良いわ」

 

 深々と頭を下げる青年に、妹紅は照れた笑みを見せる。顔の前で手を振って感謝の言葉に羞恥を覗かせるそれは、通常の童女と何ら変わらないように見える。

 

「俺よりちょっと若いぐらいの歳で他人の感謝も素直に受け取れないとか、ぼっちこじらせすぎだろお前……。あのガキ以外とももっと付き合えよ」

 

 それを躊躇なく煽るのが剣鬼という男性らしい。しかも本気で憐れんでいるように沈んだ声を出す辺り、演技派である。

 

「よく言ったわ剣鬼。あなたと私の腐れ縁も今日でおしまいにしましょう。それとガキじゃなくて慧音! 彼女だってもういい大人なんだから、いい加減覚えなさい!」

「さあ行くぞ。こっからなら昼前には到着する」

「え、ちょ、わっ!?」

 

 青年の肩と松葉杖を担いで剣鬼が歩き始める。妹紅は怒りの炎を手に顕現させて煌々と燃え盛っていたが、さすがにそれを今放つと、青年が確実に巻き添えを食らってしまう位置取りをされていた。

 

「この……っ! 卑怯者ー!!」

「かっははははは!! また今度会いに行ってやるよ!」

 

 妹紅の怒りの声を背中に受けて、二人は博麗神社への道のりを歩き始めた。

 

「まったく……いつになったら私を斬ってくれるのかしら、剣鬼は」

 

 二人の姿が見えなくなってから、そんな言葉を誰にでもなくつぶやき、妹紅は自分の家へ戻っていった。

 

 

 

「あの、良かったんですか、あれ? 怒ってるように聞こえましたけど……」

「いいっていいって。俺とあいつは結構長い付き合いだし」

 

 いや、長い付き合いだからって煽っていいわけじゃないだろう、と青年は内心でツッコミを入れる。さすがに口に出して言う度胸はなかった。

 

「あいつの家は人里の外れにあるから、人里を経由して向かう。一直線に向かってもいいんだが、道が整備されてない」

「急がば回れの精神でお願いします」

 

 ただでさえ松葉杖でゆっくりと歩いている状態なのだ。せめて平坦な道を歩きたい。

 しかし、剣鬼が特に苛立つこともなく松葉杖のゆっくりとしたペースに合わせているのが、少々予想外だった。

 

「えっと、遅くないですかね?」

「お前さんのペースで歩け。俺はあくまでその付き添いだ」

 

 謙虚とも取れる剣鬼の言葉に青年は驚くが、同時に納得もする。

 昨日、彼の語っていた勝者(人間)への敬意、というのを何となく理解できた気がした。

 

「人里で一旦休憩入れます?」

「多少の路銀ならあるから、お前さんの判断に任す。ただ……」

「ただ、何ですか?」

「俺は人里の守護者を名乗る女に蛇蝎の如く嫌われている。出くわしたら面倒なことになると思う」

「なるべく急いで通過しましょうか」

 

 人間に敬意を払っているのは良いが、それとは別にこの剣鬼という男。傍若無人な振る舞いで多くの敵を作っていそうだった。

 この日に幻想郷を去る予定の青年は知る由もないが、この推察は実に正鵠を射ていたのであった。

 

 松葉杖をつきながら、人の足で踏み固められた土道を青年と剣鬼が歩いて行く。

 朝早くの日差しはやや涼しく、柔らかな風が草の香りを運んでくる。青年にとっては比較的慣れ親しんだ、自然の香りだ。

 青年にとって幻想郷とは月明かりすら届かない暗い森の中と、文明の明かりが灯る妹紅の家だけであったので、こういった光景は新鮮であった。

 

「こうして歩くと、結構牧歌的に見えますね」

「今は朝だからな。明るいうちから人間を襲う妖怪はそうそういねえ。逢魔ヶ刻は別だが」

「おうまがどき?」

「民俗学だ、調べておくと妖怪の知識が身につく。怪談話で言うところの丑三つ時に近い」

 

 一々気怠そうではあるが、青年の疑問に対して剣鬼はきっちり答え、豊富な知識を伺わせる発言も見受けられる。それに青年に合わせて幻想郷の言葉ではなく外の世界の言葉で、わかりやすく説明しようとしているのが感じられた。

 

「剣鬼さんって、民俗学に詳しいんですか?」

「人間が妖怪を解明した分野だから、手慰み程度にはな」

 

 妖怪にとって民俗学は身近な分野のようだ。と、そこで青年はふと疑問が浮かぶ。

 

「……ん?」

「どした?」

「いえ、確か幻想郷って外の世界で消え去る一歩寸前の妖怪が、寄り添って暮らしている場所なんですよね?」

「大体合ってるぞ。それがどうかしたか?」

「じゃあどうして人里なんてあるのかな、と……」

 

 自分たちを排除した人間をこの里に入れる必要なんてないはずだ、と青年は自分の考えを伝える。

 

「ふむ、良い質問だな。というわけでクイズを出そう。この答えがわかるなら、もうお前はその疑問に対する答えを持っている」

「どんな問題ですか?」

「――妖怪は、どのように生まれたと思う?」

 

 剣鬼の言葉に青年は考え込む。確か妖怪とは、お伽話とか空想上の存在が実際に肉体を得たもの……だったはず。青年の記憶である上、剣鬼の言葉自体が正しいかどうかもわからないあやふやな情報だが、確かめる術を持たない以上、この情報を起点に考えなければならない。

 

(……あ、確か)

 

 自分が最初に妖怪――あの縦に裂けた口を持つ犬――に襲われた時、気になることを言っていたはずだ。

 

 ただそうであれば怖い、と言う程度の思念から生み出された妖怪、だと。

 

「人間が、未知なるものに思いを馳せた時、ですか」

「……よくわかったな。昨日の説明だけでそこまで行くとは思ってなかったぞ」

「襲われた時、剣鬼さんがつぶやいていたことがなければわかりませんでした」

「なんか言ってたか俺……。にしても、よく覚えていたもんだな。あんな状況下で」

「自分でもそう思います」

 

 我ながらよく覚えていたものだと青年は自画自賛する。

 剣鬼も正解を見事に言い当てられてしまったことに少々驚愕しながら、説明を開始した。

 

「お前さんの慧眼の通り、妖怪ってのは人間の想像から生まれた存在だ。昔の人間っていうのは、自分たちではわからない物事を、何か得体の知れない存在に見立てたり、何もないはずの闇の中には何かがいるのだ、という想像を行ってきた」

「ふむふむ」

 

 青年が小さいころ、雷が鳴る度に母親が言っていた、へそを隠さないと雷様が取っちゃうぞ、という言葉もこれに近いものがあるのだろうかとぼんやり思う。

 

「それ自体は人間が危険から避けるために生み出した警句の一種かもしれんが、とにかくそういった言葉から俺達妖怪は誕生した」

「人間にとって得体の知れないものの象徴……ってことですよね」

「ああ。これも民俗学になるが、地方の奇妙な出来事をまとめた本とかがあるから読んでみると良い。雪女とかがわかりやすいかね」

 

 奇妙な話というのは意外と世界中に転がっているものである。過去の人々が残した教訓話に近いものでも、エピソード自体は現代では考えられないような摩訶不思議なものが多いのだ。

 

「当時の人間は雪山で死ぬ明確な理由――この場合は科学的なものか――がわかっていなかった。

 ただ寒すぎる場所に居続ければ死ぬ、ということを教訓に、雪山で死んでしまったのは雪女に見初められたからだ、という風な、話を後の人々に対する戒めとして残し、後の人々はそれを教訓に生きていく。

 ――さて、ここまで言えば、この話からどんな存在が生まれるかはわかるだろ」

「……雪女、ですか」

 

 雪山で遭難した人間を凍える(かいな)で抱きしめ、その生を終わらせる存在。

 青年は妖怪の生み出される理由の一端に触れ、少しだけ寒気のする気分に襲われた。

 

「雪女は結構有名だからな。雪の降る山なんて日本じゃ珍しくもないし、似たような話なら探せばいくらでも出てくる。この話が生まれた当初はそりゃあ猛威を振るった」

「今でも雪山を登山中に死亡するって話はありますからね……」

 

 というより、なくなることはないだろう。山があり、自分のように登る人がいる限り。

 

「だが、繁栄ってのは必ず終わりを迎えるものだ。お前さんは登山者だからわかると思うが、雪山で死んだ奴の死因を、雪女に見初められたからです、なんてTVのニュースでやるのを見たことあるか?」

「ないですね。低体温症による錯乱、凍傷によるネクローシス――手足の腐敗ですね――などによって動けなくなって亡くなっていきます」

 

 雪山で見つかる遺体の中には、靴下や手袋を外して素足を晒しているものもあるそうだが、それらの原因は低体温症によって意識が錯乱し、自分が何をしているかもわからない状態になっているためである。

 ……そして、その状態まで低体温症が進んでしまった人は、ほぼ例外なく亡くなっている。

 

「それだ。人間の執念と言うべきか、その探究心の賜物と言うべきか、雪山で人が死ぬ事象が消えてなくなることこそないが、それでも死ぬ原因がわかってしまった。――雪女を恐れる理由がなくなってしまった」

「あ……」

 

 青年は理解した。この幻想郷という隠れ里の存在意義。人間が生み出し、人間によって排斥された存在の最後の楽園――

 

「そうやって人間に解明されて、居場所をなくした妖怪たちの集まる場所なんだ、ここは。……で、最初の質問に話を戻すが、どうしてそんな場所に人間がいるのか、だったな」

「……人間に何らかの形で認識されないと、生きていけないから、ですか?」

 

 人間が未知のものに恐怖し、想像したことから妖怪が生まれるのであるならば、逆に言ってしまえばその想像が成されなくなった時が妖怪の死ぬ時である、と青年は考える。

 

「……なんかもう、俺がお前さんの疑問の答え合わせでもしている気分だな。これも人間の貪欲な好奇心と思考を止めないことと考えるか……」

「あ、すみません、自分ばっかり色々と」

 

 そこで青年はかなり話し込んでしまったと自戒するが、剣鬼は別に構わないというように手をひらひらと振る。

 

「構わん構わん。話していた方が痛みも紛れるだろうし、お前さんは頭の回転が速い。俺としても話していて悪くない気分だ」

「ど、どうも……」

「質問の答えだが、お前さんの答えが大体正しい。妖怪が生きるために必要なのは野菜や肉といった食物ではなく、人の恐怖といった感情なんだ」

 

 妖怪として認識されることが妖怪にとっての食事であり、それが摂取できなくなる――忘れ去られてしまうことが妖怪の死に繋がる。

 

「人の恐怖……」

「手っ取り早く集めるためにはビビらせるのが一番簡単だから、人間を文字通り食らうことで恐怖を満たす手法も存在する。鬼なんかは割りとその辺で有名かな」

 

 お伽話でもあるように人間の集落を襲い、女や財宝を強奪していく鬼の姿にはそういった意味も含まれていた。

 ……そして当然でもあるが、人間に直接害をなす未知があるならば、それをどうにか排除しようとするのも自然の理である。

 鬼にも鬼の言い分はあるだろうが、結局のところ鬼は人間に敗北した。過程はどうあれ、それは揺るがぬ事実だった。

 敗者は勝者に逆らえない。自分がどういった因果で未だ生きているのか、それは剣鬼自身にもわからないが、人に負けた鬼として敗者の矜持は通す。それだけの話であった。

 

「……だから人里があるんですか」

「そういうことだ。人間に排斥されて、妖怪の側が人間を見限ったとしても、妖怪は人間がいないと生きてはいけない」

「…………」

 

 青年の頭の中には、これまでの話で色々と明らかになった事実がグルグルと渦巻いていた。

 妖怪は人間に害を及ぼす存在で、けれどその妖怪を生み出したのは人間の想像で――

 

「……なんて言ったらいいんでしょうね。よく、わからなくなってきました」

「別に何も変わりゃしねえよ。人間は死ぬのは嫌だと必死になって、妖怪も同じように死にたくないと足掻いた結果だ」

 

 生きたいという願いに正否など存在しない。

 自分たち妖怪を敗者と断じる剣鬼とて、妖怪が生きようとすること、それ自体まで否定するつもりはない。

 だが、敗者である妖怪が生きようとするならばそれ相応の負担を背負うべきであり、その負担を勝者である人間に押し付けるなど言語道断。それが剣鬼の言い分だった。

 

「そういうわけで、人里の文明レベルは正直高くない。あまりに発達してしまうと外の世界みたいに未知が解明されちまう」

「未知が解明されず、妖怪への恐怖を忘れないように、ですか」

「そういうこった。妖怪が人間を飼っている、という悪い言い方もできるがな」

 

 剣鬼の言葉に、青年は色々と思案を巡らせる。妖怪と人間、単純なように見えて複雑な、しかしどちらも生きたいという叫びに嘘はない関係。

 

「……でも、人間の都合で生まれたものが人間の都合で消えるというのも……救われない気がします」

「妖怪が散々人間たちに迷惑かけたのも事実だぜ? 実際、お前さんだって殺されかけただろう?」

「う……」

 

 そう言われると何も返せない。確かに妖怪に襲われた当初は妖怪を酷い存在だと思ったのも事実である。

 しかし、こうして妖怪の誕生した理由を聞いてしまうと、彼らを一概に悪と言い切ることも出来ないのではないか、と思ってしまう自分がいるのも事実であった。

 何も返せず言葉に困っていると、剣鬼が口を開いた。

 

「……俺たち妖怪は、お前たち人間にとって未知の象徴であり、人間にとって未知とは、越えるべき壁であった」

「え?」

「かつてライト兄弟は空を飛ぶ飛行機を人類で初めて制作し、それ以来空は人間のものとなった」

「何を……」

「それ以前にはボルタという人間が電池を発明し、急速な電化技術発展の先駆けとなった。それまで、電気の構造自体を知る研究はあったにしても、電力として活用しようという発想はなかっただろう」

 

 これまでの話とは関係のないことを唐突に話し始める剣鬼に青年は戸惑いながらも、話の続きを待つ。

 

「……これらが生まれる以前、人間にとって空は不可侵のものだった。電気とはエネルギーではなかった。……人間とは、不可能を可能にする生物であると俺は考えている」

「…………」

「妖怪が人間に負けるのも必然だったんだよ。いや、そもそも勝負ですらない。人間にとって俺たちは隣人などではなく、追い越すべき壁でしかなかった」

 

 共に切磋琢磨できたならば隣人と呼べただろう。だが、妖怪はその有り様を変えることはできず、人間は一日とて同じ場所に留まることがなかった。

 起こるべくして起こった結末と言えよう。むしろギリギリの状態とはいえ、踏み止まっていることが凄まじいのである。剣鬼もその点に関しては幻想郷を作った知り合いを高く評価していた。

 

「だからお前たちは過ぎ去ったものなんて気にすることはない。人間は自由にあれば良い。それが勝者の特権であり、義務だ」

「……つまり、好きにしろってことですよね」

「そそ。難しく言ったけど、それだけの話だ」

 

 好きにすればいい。お前たちにはその権利がある。剣鬼はそう言っているのだと青年は理解する。

 妖怪に手を差し伸べるも、または完膚なきまでに潰してしまうも、全て自由であると。

 

 あらゆる可能性が人間の手に委ねられている。今、隣を歩いている剣の鬼を名乗る妖怪を横目に、青年は自分の先に待つ未来の広さに、身体の芯が震えた。

 ただ漠然と大学を出て、漠然と就職をして、そんな風に生きていくのだと、青年は言い表せない閉塞感を感じながらも思っていた。

 だが、違うのだ。自分は自由で、何でもできるのだ。目の前に存在する可能性の広大さに、視界が開けたような錯覚さえ覚えた。

 

「……剣鬼さん」

「どした?」

「帰ったら色々と挑戦してみようと思います。人間は不可能を可能に……変えられるんですよね」

 

 妖怪を知りたい。これまでの話を聞いて、強く思ったことだ。

 自分は何も知らない。剣鬼の話す内容が事実であるのかどうかを見分ける知識すらない。

 彼の語るように妖怪の時代はすでに斜陽を迎え、滅びへ向かうままなのか。それとも――彼らを生み出した人間として、何かできることはないのか。

 試したい、と思った。自分の全てを懸けて、挑んでみたいと思った。

 

 そして、今、隣を歩く剣鬼は人間のそんな思いを肯定する妖怪だった。

 

「ああ、やってみればいい。それがお前たちの勝ち取った自由だ」

 

 妖怪に殺されかけて、怪我をしてこんな場所に迷い込んでしまった。それ自体は紛れも無い不幸であったと青年は確信している。

 だけど、こうして生き延びて、剣鬼の話を聞けたこと。人間の可能性を誰よりも肯定している存在と出会えたこと。

 これは絶対に幸運である。青年はこれからの未来を想像し、弾む気持ちで歩き出す。

 

 青年が帰途につく博麗神社まで、あと数十分――




 この出会いは間違いなく幸運だった→錯覚です(真顔)。

 民俗学、歴史全般に言えることですが、昔のことを勉強するならその当時何があったかを単語で書き出して機械的に覚えるより、その当時の人々が何を思ってそのような行動を取ったのか、という点に焦点を当てながら研究すると楽しくなります。
 今の人から見ればバカバカしいようなことでも、当時の人々は必死でやっていたわけですから、そこには様々なドラマがありますので。

 あ、青年は未来の民俗学の権威です(適当)

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