「――鬼、……剣鬼!」
ここ数日で耳慣れてしまった怒鳴り声が剣鬼を揺り起こす。
「ん、あ……」
いつの間にか閉じていた意識を瞳と同時に開く。
金色の髪と紫の道士服のコントラストが寝起きの目には痛かった。
「……起きてるよ。そう何度も呼ぶな」
背中を預けていた壁に深く体重をかけ、顔だけを上げて気怠げに口を開く。
「…………いいわ。もう何も言わないことにする」
剣鬼を起こした少女――紫は物申したいことが百はありそうなしかめっ面をするが、何かを言うことなく話題を切り替える。
「――あなたの最期の望みに叶いそうな場所を見つけたわ」
「ん、そうか」
紫の言葉を聞いて、剣鬼は歩くのも億劫になりつつある身体を起こし、立ち上がる。
傷の手当はほぼ手付かずも同然。永遠亭で止血を済ませただけのままだ。
あの後、剣鬼は自分を見届けていた紫のスキマに放り込まれ、彼女の住居に三度やってきていた。
それ自体は別に驚くことではない。むしろあの場所で朽ち果てようとしていた自分を拾ってもらえただけ感謝している。
おかげで――死に場所を選ぶ時間が得られた。
紫の後ろについて歩く。足取りの一歩一歩から力が抜けていくのが自分で理解できる。
要するに、長くない。
剣鬼の命は今度という今度こそ、終焉への秒読み段階に入っていた。
「……ずいぶんと気が抜けたみたいね」
ふと、紫が足を止めて声をかけてくる。顔をこちらに向けないのは彼女なりに理由があるのだろう。
「……まあな。斬りたいもの斬ったら、フッと力が抜けた。初めて味わう気分だ」
虚脱感とも、充足感とも違う何かが剣鬼の胸を満たしていた。煙草の一つもあれば、紫煙を吐き出して空を見上げていたところだ。
剣鬼は紫の返事を待つことなく、つらつらと独り言を重ねていく。
「俺はアイツを愛していた? 間違っちゃいないが、愛したものを斬った経験なんていくらでもある。
自分の集大成となる一太刀を放ったから? ……これも間違いじゃない。先がないとわかっているからこそ、感じ入るところがあるのかもしれない。
……さて、俺はどうしてこんな思いを抱えているのだろうな」
少なくとも、剣鬼はこの感情に名前が付けられない。複数の正解が混ざり合って、答えをぼやかしていた。
「…………さあ。あなたのような剣狂いの心など、私にはわからないわね」
「……そうか」
こいつは答えを持っている。
剣鬼は直感でそれを理解したが、追及はしなかった。自分で答えを見つけないと意味がない問題で、そしてその答えを見つける時間はもう残されていないのだろう。
「……でも、一つだけ言えることがあるとすれば」
「あるとすれば?」
続きを促す。紫との語らいもこれが正真正銘最後である。多少は楽しむのも悪くない。
「あの一太刀は綺麗だった。もう一度見るためなら何を捨てても良いと思えるくらいには」
「……そうか」
見せるために剣術を磨いたわけじゃない。剣鬼にとって何より優先すべきは他者の評価ではなく、自身の感情である。
そして剣鬼は自身の命に納得した。剣を愛し、剣に全てを捧げ、そのためにあらゆるものを踏みにじって生きて――不老不死を斬った。
その姿を美しいと紫が評するのであれば、受け取らない理由はなかった。
「俺も……ああ、あの一太刀が俺の完成だ。千年以上、剣を振り続けた先の到達点だ。……お前さんが作ったものには遠く及ばんよ」
「生み出したものの大小を語るなんて、ずいぶん殊勝になったわね。死の間際には誰もが卑屈になるのかしら」
「……さて、そうなのかもしれないな」
紫の言葉に剣鬼は怒ることもせず、天井を仰いだ。
斬りたいものを見つけたいという渇望も、剣の果てを見たいという渇望も、まるで白日夢のように静かになっている。
剣鬼を構成している要素の中で最も大きな二つが消えているのだ。多少卑屈になるのも当然かもしれない。
「忘れ去られたものが生きる最後の楽園。今だから言うが、お前さんが幻想郷を作り上げたことに対しては、それなりに尊敬しているんだぜ?」
「知っていたわ」
「おや」
感付かれていたようだ。とはいえ、紫は剣鬼との付き合いが最も長い存在の一人だ。
妹紅のように二人で旅をしては別れ、片方が幻想郷に腰を落ち着けた後はめっきり会う回数も減ったわけではない。
幽々子のように生前の彼女を知っているが故に生まれた付き合いでもない。
この男と継続的に付き合いを持ち続けた存在という点で語るなら、紫がそれに当たるだろう。
剣鬼の斬りたいものになることもなく、かと言って興味を持たず無視してしまう存在になることもなく。
斬りたいものと斬らないものの境界に位置し続け、剣鬼の所業を横で見続けてきた。それが八雲紫という妖怪だ。
剣鬼が紫の思惑を見抜くように、彼女も剣鬼の考えぐらい読めて当然なのだ。
「不本意ながら、長い付き合いですもの。それにあなたの剣を一番長く見たのは私だという自負もあるわ。だからこそ比較が出来る」
「……そうか」
「だからこそ――っ」
そこで紫は言葉を切った。こちらに顔を向けることもなく、二の句を継ぐこともなく静かにその場に佇む。
剣鬼は立ち止まったまま続きを待つ。彼女が続きを言うことはないだろうとわかっていて、それでも剣鬼から話を終わらせる気にはなれなかった。
やがて、歩くのを再開すると同時に紫が口を開く。
「……うんざりするぐらい察しの良い男ね。昔から、あなたのそういうところは大嫌いだったわ」
「俺もお前さんにからかわれるのが嫌いだったからな。煙に巻かれる前に主導権を握ってやろうって話さ」
出会ったばかりの時は紫が剣鬼を下に見て色々とちょっかいを出していたものだ。
あの頃はお互いに邪魔しないなら多少は見逃す。邪魔するなら容赦なく殺すというギスギスした関係だった。
割と本気で紫を殺す算段を立てたこともあるし、彼女も同様だろう。体の良い捨て石として使い捨てる気満々のお願いとかもあった。
それが巡り巡って最も長い付き合いになるのだから世の中わからない。
「そんなこともあったわね。……そろそろ着くわよ」
紫が襖を開くと、あるのは畳張りの和室――ではなく、どこかの山頂だった。
宵闇の帳が空を覆い、地上は絶えることのない光に覆われている。
地上と空が逆転したような錯覚を覚えるのは、剣鬼が古い時代を生きていた妖怪だからだろうか。
「人の営みが見下ろせる場所。あなたの死に場所を見つけておいたわ」
すでにスキマはつなげてあり、剣鬼が一歩を踏み出せば幻想郷から外の世界に行くことになる。
もう夜も深い頃合いだというのに、視界の先に存在する街並みから光が消えることはない。今もあの光の向こうには人間が動き、営みを続けているのだと思うとなんとも言えない感情が湧き上がる。
「助かる。死に場所を選ぶ自由が許されるなら、そういう場所で死にたかったんだ」
「……本当、理解に苦しむわね。あなたにとって人間なんてどうでも良い存在じゃないの。自分の剣にしか興味ないくせに」
「だからだよ。本気で戦って負けて、勝者と敗者が出来た。勝者に祝福を、敗者に悔恨を。勝てば全てが得られ、負ければ失う。大体どんな時代でも不変の真理だ」
とはいえ、自分の祝福が歪んでいることには剣鬼も自覚があった。だから傍観に留めていたのだ。
「何の因果か、大江山で負けてからずいぶんと長く生きてしまった。剣が振れて万々歳だったけど、それが終わったらやはり残るのは人間だ」
「……あなたが幻想郷に定住しないで良かった、と心から思うわ」
やはりこの男が幻想郷に住んだところで、ロクなことにならない。状況次第では管理者である紫にも平気で牙を剥くだろうし、その結果として幻想郷が滅びようと構わず動く。そんな男だ。
オマケに本気で戦うとしたら紫が手段を選ばず戦っても、自分が死ぬ危険性が排除できない。
そんな危険なネズミ花火式爆弾など、遠くで勝手に爆発してもらうのが一番なのである。
「お前が俺を貶す言葉はいつもそれだな。ま、それだけ幻想郷が大事ってことか。……ふむ」
剣鬼は左手を顎に添えて面白そうな顔になる。そういえば、幻想郷を訪れた時に引き止めるようなセリフを彼女が言っていたことを思い出したのだ。
紫も覚えていたのだろう。扇子を開いて口元を隠すと、剣鬼を見下すように睨む。
「忘れなさい」
「やなこった」
ニヤッと笑うと紫が不快げに目を細めた。
「……この際だから私も言いたいこと全部言っておくわ。あなた相手に遠慮して言いそびれるなんて末代までの恥よ」
「妖怪が末代語るなよ」
そこは末代まで呪うところだろう。
「剣鬼。あなたに声をかけたことは私にとって最大級の失敗だったわ」
「俺は割りと感謝してるけどなあ。これでも」
なんだかんだ言ってスキマを使った移動は便利だった。
それに面倒事はそこまで嫌いでもない。戦闘が絡んでいれば、だが。
「だけど……あなたの剣を間近で見続けることが出来た。それは掛け値なしに素晴らしいこととも思っているわ」
「……知っていたさ。お前が俺の剣を熱っぽい目で見ていたことくらい」
「だから今まで黙っていたのよ、バカ」
「だからこっちからは言わなかったんだよ、バカ」
何もかも捨て去ってまで求めた剣を美しいと評するなど、愚か以外の何物でもない。
それを言うなら、大切なモノを守るために剣を振るい続けた妖忌の刃の方が余程美しいに決まっている。
「俺の剣なんて上等でもなんでもない。誰もが、俺だって認める外道の剣だ。それを素晴らしいなんて言う辺り、やはりお前さんは妖怪だと思っちまうな」
「自分のことというのは、得てして自分が一番わからないものね」
剣鬼の言葉に対し、紫は揺らぐことなくため息をつく。この意見に関しては自分の方が正しいと確信している様子だった。
「性格は悪いし、口も悪いし、すぐ煽るし、身なりは汚いし、そのくせバカじゃないから扱いづらいし、人に迷惑かけることをなんとも思わないし、踏み越えちゃいけない一線を平気で越えるし、何度付き合いをやめようかと思ったか数えきれないわ」
「…………」
出るわ出るわ罵詈雑言の嵐だが、剣鬼は気分を害した様子もなくニヤニヤと笑っていた。
「…………」
「……ん? 最後なんだから好きなだけ聞くぞ? ほらほら言ってみろ」
「本っ当に嫌な性格してるわね……!」
そんな言いたくなさそうな顔をするから聞きたくなるのだ。それはつまり、秘しておきたい本音に他ならないのだから。
おためごかしを聞いて喜ぶほど剣鬼は初心な性根ではない。が、本心からの言葉を無下にするほど無粋でもなかった。
「…………私はあなたに恋をしているわ。あなたの剣に」
「……ほう」
恋とは大きく出たものだと剣鬼が感心していると、吹っ切れたのか紫が真正面からこちらを見据える。
「私だけじゃないわ。あなたと相対したもの。あなたの刃を間近で見たもの。あなたの剣を――その身で受けたもの。ほとんどがあなたに恋をしている。
覚えがあるでしょう? 一途に何かを思い続けられる人は強く、光り輝いている。それはあなたも例外ではないのよ」
剣鬼は呆気に取られた顔になってしまう。少々の言葉には揺らがない自負があったのに、紫の言葉に自身の根底とも言える部分を大きく揺さぶられる。
紫の言う通り、剣鬼は正負どちらであろうと、一つの願いを胸に歩けるものは強いと評価していた。芯があると言い換えることも出来る。
善悪はさておき、この評価自体はそう間違ったものでもない。しかし――剣鬼は自分をその評価の外に置いていた。
自分はどうしようもないロクデナシであり、そんな男が振るう剣に価値を見出す者など、己以外に存在しない。
そう思っていたのだが――
「そうか。……そうか。――そうか」
胸に言い表せない何かが溜まり、天井を仰ぐ呼気となって口から溢れる。
不老不死を斬って満足したと思っていた心が更に満たされていくのを感じ、剣鬼は自嘲気味に唇を歪める。
「なるほどなるほど。認めよう。認めてやるよ八雲紫。偉い口を叩いても何のことはない。――お前が剣士ではない俺を一番理解していた。ハハッ、ハハハハハハッ!!」
呵呵と笑い、自分が剣以外のことに対してどれだけ適当だったかを顧みて、更に笑いを深めていく。
そうして一しきり笑い終えると、今度こそ話は終わりだと言うように剣鬼はスキマの先に広がる景色へと踏み出そうとする。
「待――」
「たない。その問答は散々やっただろ。もう俺の剣は見納めだ」
背を向けてこれ以上の言葉を封じる。言うべきことを言って、聞くべき言葉を聞いた。これ以上は蛇足である。
最後まで剣鬼は自分勝手に動いた。紫の言葉を聞くこともなくスキマへ身を投じようとする背中に、最後の言葉が投げかけられた。
「――忘れない。あなたの顔も声も何もかも忘れたとしても――あなたの剣だけは忘れないから!!」
「ハッ、あいつも悪趣味な女だ。こんな男の一芸に惚れ込むとは男運のない」
剣鬼は紫を嘲笑うと同時、自虐も多大に含ませた笑みを浮かべた。
そして地面に着地――することなく、膝から地面に崩れ落ちる。
「お、あっ?」
手足に力が入らない。動かすための筋肉がまるまる失われてしまったような脱力感が倒れ伏している剣鬼を襲う。
「あ、そう、か」
これが、妖怪の死――
肉体的な死ではなく、存在そのものが忘れ去られてしまう妖怪にとって本当の死。
手足から痺れにも似た感覚が広がり、凍えるような喪失感に変わっていく。
これが全身に広がった時、剣鬼という存在は跡形もなく消え去るのだと確信出来る感覚だった。
「ハ、ハハハ、ハハハハハ……」
不思議とおかしかった。長い時を生きて、剣に全てを捧げて、好き勝手に生きた妖怪の末路としては上等に過ぎると思ったのだ。
か細い呼吸をする度に砂が口に入ってジャリジャリと不快な感触を伝えてくる。それも自分の行いに対する結果だと思えば受け入れられた。
「もう少し、だけ……」
一しきり笑った後、剣鬼は上手く動かない左腕を動かしてジリジリと前に進み始める。
もう少し、せめて眼前の小高い岩に登って地上の光を見たかった。
足で立てるならそれこそ数秒で到着できるような場所に、剣鬼はたっぷり数分の時間をかけてようやく到達する。
力が上手く入らず岩からずり落ちることもあったが、そんな自分の惨めさが楽しかった。
そうして登り切った剣鬼の身体は、すでに痺れは全身に伝播していた。
地上に広がる光の平原を眺めていると、ニンマリと土だらけの顔に笑みが生まれる。
やはり自分は間違っていなかった。諦めず、貪欲に求め続ける存在こそが最も強い。
弱さを知ることが力への渇望を生み、その渇望は人間を妖怪よりも遥か上の位階へと押し上げる。
彼らの進歩は止まらないだろう。それがどのような結末を迎えるのか、見届けることが出来ないのは少々残念だと思うが、同時に安堵もする。
敗者より早く勝者がいなくなるなどあってはならない。勝者である人間には全て――自分含めて――を置き去りにして前に進むくらいが丁度良い。
人間の未来に祝福を送りながら、剣鬼は仰向けに転がる。そして視界に広がる満天の星空に目を奪われて――
――あれは斬れるだろうか。
決定的な思考を、持ってしまった。
「ああ、ああ、ああ……!」
狂おしい情動が胸を焦がす。
世の大半のものを斬ってきた? 不老不死を斬って満足した? ――何を莫迦な!!
空の向こうにあんなにも多く、斬ってないものがあるではないか!
剣鬼の左腕が腰の刀を求めて彷徨う。しかし、刀のある場所へ動かしているにも関わらず、手にその感触がいつまで経っても伝わってこない。
手を眼前に持って行くとその疑問も氷解する。
――すでに腕は半ばまで空気に溶け消えていたのだ。
「嗚呼……口惜しい……!」
斬りたいものがあんなに多くあるのに、すでにこの身体には刀を持つ手もなくなっている。身体を起こす力すら残されていない。
口惜しく、滑稽だった。腸が煮えくり返るような心地だというのに、納得してしまう自分がいた。
土を舐める程度では足りぬと言うのか。やはり世の中というのは上手く出来ている。
剣鬼という男が最も苦しい死に方は――斬りたいものを前に、何も出来ない絶望を抱いて逝くことであると。
万物の行末を決めることの出来る存在がいるとするならば、それは物の道理がよくわかっている。
自分の生涯を捧げて磨き抜いたものが、最後の最後で使えない。その絶望たるやどれほどのものか。
――これこそが、己の末路に相応しいものだ。
「ハ、ハハッ、ハハハハハハハハハハハハハ!!」
最期の力を振り絞って快哉を上げる。斬りたいものを斬れない口惜しさも、狂ってしまいそうなほどの絶望も全て噛み締めて、剣鬼は哂った。
自分の都合であらゆるものを踏みにじり、人も妖も等しく斬ってきた悪の末路がこれだと。剣鬼は自分の終わりに納得していた。
これが自分だ。この終わりまで含めて剣鬼という存在だ。この終わりがあるからこそ、自分は何も考えずに剣の道を追いかけることが出来た。
後悔も未練も今しがた出来たものが山のようにある。それを晴らせぬ身体のなんと憎らしいことか!
しかし、彼の哂いが途切れることはない。今の状況が憎らしくもあり、この上なく愉快でもあった。
そうして彼は自分という存在が徐々に消えていく中、声なき哂い声を上げ続けて――
――自分の全てが消えるその瞬間まで、哂い続けていた。
そして、後には何も残らない。剣鬼が存在していたという痕跡は何一つ残らず、服とは思えないボロ布と数打ちの希少価値など何もない刀が残るのみ。
それすらも時間の流れの中で朽ち果て、消えていくのを待つだけであった。
風が一つ吹いて、ボロ布を巻き上げ何処へと運んでいく。土に塗れ、自然に戻る時も遠くはないだろう。
ただ一つ残された刀も、このような偏狭な場所に来る者でなければ気づくこともなく。まして誰かの手に握られて振るわれる時など永遠に訪れない。
雨を防ぐことも出来ない。遠からず錆びて折れ、そして土に還るのであろう。
と、その時だった。持ち主がいなくなり、野ざらしになるばかりの運命だった刀を白魚のような手が拾う。
手の向こうに見えるべき顔は見えない。手は無数の目が蠢く空間から伸びており、それに握られた刀も空間へ消えていった。
――そして、後には何も残らなかった。
これにて剣鬼の物語はひとまず完結とさせていただきます。
実を言うと比較的最初の段階からこのオチは考えていました。
「あ、こいつ死ぬまで止まんねーわ」というのが見えていたので、明確な区切りとして不老不死を斬らせたら死のう、という感じに流れを構想していました。
矛盾していますが、あの終わり方で剣鬼は満足しています。むしろこれ以上の終わりがあったら怒っています。
そして最後の最後にヒロインをかっさらっていったゆかりん。プロットもへったくれもない話でしたが、最後のオチを考えた時に彼女の立ち位置に戦慄すらしました。
こいつ、実に上手い立ち位置にいる……!
ちなみに一番剣鬼が執心した相手としては妹紅になります。
つまりゆかりん→剣鬼→妹紅 という三角関係が成立する(ry
今後のことですが、一応まだ閑話として思いついているのが一つあるので完結扱いにはしません(本編完結のお知らせでタイトルぐらいは変えるかも?)
あとは私の頭のなかにある設定やその後などのお話をつらつらと乗せるかもしれません。乗せないかもしれません。