やはり鋼鉄の浮遊城での奉仕部活動はまちがっている。   作:普通のオタク

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有名タイトルを元ネタにしている効果だと言われないように努力していきます

サブタイ、変えました


創部準備
こうして、彼らは電脳世界でも邂逅する


ログイン時間をずらした効果があったのか、初期スタート地点に人の影はまばらだ。

まばらと言っても、街中であるようで、人通りは多い。人混みが苦手は俺としては早くもログアウトしたくなる光景だ。

だが、それ以上に。

 

「すげぇ……リアルだ」

思わず口に出してしまうほどには、この世界は現実だった。

試しに地面を軽く蹴って見る。

石を蹴った感触。反動こそ弱く、少し不快感があった。ペイン・アブソーバーというやつが、痛みと判断したのだろう。だが、それだけで、質感などは本物のそれだ。

フィールドに出て柔らかい地面など、痛みに関する要素がない場所を蹴れば、また違う感覚があるはずだ。

俺は少しでも早くこの世界を探索したい衝動に駆られるが、一呼吸して落ち着く。

今は待ち合わせ中だ。この場でできることだけやろう。これ全然落ち着いてないよね。

自分にツッコミを入れながら右手で空中をタッチ。するとメニュー画面が出てきた。説明書通りだ。

アイテムストレージ覧、プロパティ画面、スキルスロット、フレンドリスト、パーティー申し込み、決闘モード、設定、ヘルプ。

8項目が俺の目に映る。スマフォのタッチ画面を触るように、メニューを操作していく。空中でやれるってのがまた新感覚だ。

「思わず冬アニメの聖剣使いの気分に浸りそうだぜ……」

「貴方、なにこんな目立つところでブツブツ言ってるのかしら。気持ち悪い」

部室で聞き慣れた声が後ろから聞こえる。

「うるせぇよ……ちょっとボッチスキルが発動してただけだろ」

「あら、そんなスキルまで再現できるなんて本当にレベルが高いのねこのゲーム。てっきり違反通告が発生して即ログアウトされるかと思っていたわ」

「人の存在を犯罪扱いするのはやめてくんない?」

言いながら振り返る……誰?

 

いや、アバターなのだから当たり前だろう。とはいえ、些か似ていないにも過ぎる。

髪はリアルを模しているのか黒髪のロングだし、美貌も……リアルとまぁ遜色はない。

だが、二部分。どうしても現実とは違う部分があり、そこがめっちゃ気になる。

「お前……身長と胸、自分の理想値に設定したろ。しかもかなり高く」

「あら、いきなり胸の話なんてさすがね。エロ谷君」

「リアルネームを持ち込むな。こっちではハイキーだ」

「廃棄、なんてまた自虐的な名前にしたのね。自分がゴミだって自覚が出てきたようで安心したわ」

「お前、今日は毒が少ないとか部室で思った俺の時間を返せ」

いつも通りの雪ノ下だった。身長と胸はでかいが。

思わず苦笑いしてしまう。

「外見といえば、あなたは、ほぼそのままを意識したのかしら。一目で分かりすぎて逆に別人かと思ったのだけれど」

「ああ。俺は俺を気に入ってるからな。なるべくリアルにした」

そう言うと、雪ノ下は俺をまじまじと見つめる。恥ずかしいだろ。

そして一泊置いて、ポツリと、言葉を発した。

「……後ろ姿はそうだけど、こうして向かい合うと別人じゃない。その腐ってない目とか新鮮すぎて別人よ? あなた」

「目くらいいいだろ……」

いっかしょくらい、いいじゃない。あばたーだもの はちまん

 

雪ノ下……スノウにしたらしい。まんまである……とそのまま他愛のない舌戦を繰り広げていると時間に少し遅れているからか、慌てた様子で一人の少女が出てくる。

「え、えと、あの。すいません! この辺で目の腐ってる人と、超美人な高校生くらいの人みませんでした!?」

「……落ち着けウイ。俺達だ」

「へ? 私の……あ、もしかしてヒッキー!? じゃあそっちの人がゆきのん!? 全然違う……って、そっか。アバターだもんね」

ほへー。と間抜け面で言う由比ヶ浜の外見は、なんていうか、普通だ。

リアルがエセビッチなのだから派手派手なアバターを想像したが、むしろ逆な印象を受けた。全体的に大人しい配色でまとめられており、俺の知ってる人で言うなら……海老名さんに近いかもしれない。部位ごとのパーツもリアルより控えめになってるし。胸とか。

とはいえ、いつまでも黙っていては話が進まない。こっちから気になる点を指摘することにする。

 

「自己完結してるところ悪いが、俺は外見ほぼリアルのままだろ」

「あら、きっとあなたの目が腐ってなかったから分からなかったのよ。それだけ強烈だということね廃棄谷君」

「ハンドルと本名混ぜてこっちでまで罵倒するのやめてくれない?」

「二人共、見た目違ってもいつも通りだねー……あ、そうだ! 早くフレンド登録しようよ!」

ウイの介入で俺たちは舌戦を止め、メニューボタンを開く。

「ほれ。送っておいた」

「あ、出た出た! えーっと……ヒッキーのまんま?」

「ウイ、スペルくらい流石に読めてくれ。笑えないレベルだぞ……。ハイキーだ」

「み、見間違えただけだってばー! ゆきのーん……!」

「大丈夫よゆ……ウイさん。この男の下水のように濁った性根は今更だもの」

「慰めるふりして罵倒するな。この流れ、今日だけで何回やってんだよ……」

スノウに泣きつく姿は現実と変わらず百合百合しい。君たち、ここ街の中心でもあるから注目度ヤバイんですけど?

 

そんな心配を他所に、スノウはこちらに視線を向けてくる。どことなく冷たいのは気のせいですかねー?

「……ハイキーくん。どうしてあなた、ウイさんのハンドルを知っていたのかしら?」

「いや、なんでって。ハンドルネーム決まらないって俺にメールしてきたからな。そいつが」

俺の返事にスノウはなるほど。とでも言いたげにため息を付き、泣きついてくるウイを慰める。今のため息の動作、必要あった?

「はぁ……早くフレンド登録済ませて、ゲームなんだしやることやりに行こうぜ」

そう言いながら俺はスノウにもフレンド申請を送った。ゲームの中でも「ごめんなさい、それはムリ」と言われることを、覚悟してたのは言うまでもなく。

 

実際にそうなったのはもはやお決まりすぎて蛇足まである。




原作読んでる人向けすぎるかな……?(文章

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