二次創作は初投稿します。温かい目で見守ってください。
プロローグ
駄目で元々。失敗しても当たり前、成功したら男前。昔、そんな言葉をドラマで聞いたことがあった。だから、今回も無理だろうと思っていた。買えなくて当たり前だと思っていたんだ。
《ソードアート・オンライン》という、VRMMORPG。そのソフトは初回ロットがたったの一万本。それほど希少な物を購入することができた。つまり俺は、男前なのだろう。
しかし、ゲームソフトは手に入れたものの、SAOを起動するには『ナーヴギア』というハードが必要になる。このハードが十万円を超す高級品だ。
いくらスカラシップによる錬金術が使える俺とはいえ、そうそう手が出せる代物ではない。まあ、妹の小町が親父に頼んで、ポケットマネーで買ってもらったんだが。
そして、いよいよ正式サービス開始の日だ。開始時間まで、後十分程。
俺は今、自分の部屋でナーヴギアを手に、時計とにらめっこしている。やばい、ただゲームの開始を待っているだけなのに、かなり緊張する。
妹の小町も、プレイするのは俺なのに、結構そわそわしながら俺の横に座っている。千葉の兄妹が二人きりでベットに座って……、いかんいかん。俺たちは千葉の兄妹でも、健全な方の担当なのだ。
「お兄ちゃん、明日は小町の番だからね?ナーヴギアを買ってもらったのは小町なのに、お兄ちゃんがどうしてもって言うから、初めてをあげるんだよ?あ、今の小町的にポイント高い」
「妙な言い回しするな。分かってるさ、明日はお前がやればいい。ただ俺は、妹のお前がするにあたって、本当に安全なのかを自分の目で確かめる為に先にプレイするんだ。言わば毒味なんだよ。あ、今の八幡的にポイント高い」
「はいはい。でもお兄ちゃん、働きたくないと公言してるお兄ちゃんが、実際に体を動かしてる気分になれるSAOでモンスターを狩ったりできるの?面倒臭くなっちゃうんじゃない?」
「その時は、宿屋で寝れば良いだけだろ」
「いや、それSAOでなくて良いよね。現実世界で寝たら良いよね」
うへぇ、と言わんばかりの表情の小町。
「まあ、その、なんだ。ゲームなんだし、働くことと違って楽しめるだろ。それに、ゲーム内で俺を養ってくれる人を見つければ、後々の為にもなるしな」
「ゴミいちゃん、MMOでの女性アバターは大半がネカマだよ」
そんな感じで、会話をしていたら十分はあっという間に経った。
「いよいよだね。感想聞かせてね」
「ああ。じゃあ、ちょっくら行ってくる。『リンク・スタート』」
こうして、俺の剣の世界での生活は、幕を開ける。