やはり俺の真・恋姫†無双はまちがっているฺฺ   作:丸城成年

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両翼

 今、俺の周りでは兵士達が慌しく盗賊討伐の遠征準備をしている。それに比べて俺はと言えば、偶に意見を求められるだけで特にする事は無かった。

 大まかに何が必要なのか、どういう手順で準備をするのか、遠征中にどういう事態に陥る可能性があるのか、そういった事を想像する事は出来る。しかし行軍の日数や装備、糧食の具体的な数などは経験が無いので予測のしようも無い。華琳もいきなり俺がそんな事まで出来るとは思っていないようで指示を出したり、必要事項を確認している所を横で見ているよう言われた。

 しばらくすると春蘭が二人の少女を連れてやって来た。

 

「華琳様、連れてきました」

「曹子孝ならびに曹子和、命により参上いたしました」

 

 二人の少女は華琳の前で片膝をついて頭を下げた。

 

「二人共、そこまで畏まる必要は無いわ。従妹なのだからもう少し楽にしなさい」

 

 華琳がそう言っても二人は顔を上げなかった。華琳ってすげえビビられてるのか? まあ、気持ちは分かる。偶に何か覇気というかオーラの様な物が見える気がするしな。

 それにしても、この二人が華琳の従妹……誰だろうか。夏侯惇や夏侯淵がいるという事は曹仁辺りだろうか。三国志はゲームで少しやった位であまり知らないから分からん。

 

「八幡、当分の間はこの二人を貴方の補佐に就けるわ。祐筆とやらが欲しいと言っていたでしょう。彼女達は文官ではなく武人なんだけど武芸の心得の無い貴方の補佐としては好都合でしょう?」

 

 華琳の突然の決定に二人の少女も驚き、顔を上げている。華琳の従妹だけあって二人共、顔が整っている。その折角整っている顔を少し歪ませて俺を見ていた。

 そらそうだろ。いきなり俺みたいな訳の分からん人間の補佐に就けと言われても嫌だろうよ。こんな目の腐った上司、俺でも嫌だ。

 何だかテンション下がってきたからもう部屋に帰っても良いだろうか?

 

「二人共、不満かしら? こう見えて彼は今の所唯一の軍師候補よ。それに天の御使いという大層な肩書きも持っているわ」

「「えっ!!!」」

 

 驚いてる、驚いてる。急に天の御使いなんて言っても驚くだけだろう。

 華琳は分かっていてやっている。二人の驚く顔を見て楽しそうにしているし。良い性格してるなあ。

 

「まだ天から来たばかりで、こちらの世の事はあまり知らないのよ。だから貴方達の様な信頼の置ける身内をその補佐に就ける事にしたの。まだ何か問題があるかしら」

「い、いえ、その様な役目を与えていただき光栄です」

 

 二人のうち大柄な少女が華琳に恐縮しつつ答えた。そして少女達は俺の方に向き直った。

 

「私の名は曹仁。真名は夏蘭。この真名、天の御使い様に預けます」

「私は曹純です。真名は冬蘭と言います。私の事も真名でお呼び下さい。姉の夏蘭共々よろしくお願いします」

 

 夏蘭は赤毛で大柄な少女で気の強そうな目をしている。おそらく俺と同じ位の年齢だと思う。冬蘭は小柄で俺より二、三歳年下だと思う。髪の色は灰色で優しげな顔つきだった。

 

「おいおい、いきなり真名を預けていいのかよ? 自分で言うのも何だが、大抵の人間は俺の目を見て第一印象は最悪になるもんだぞ」

「確かに胡散臭いな。そう言えば、斬首される寸前の盗賊がこんな目をしていた」

「おい、待てこら」

 

 夏蘭の辛辣な例えに流石の俺も不満の声を上げる。

 

「姉さん、流石に言い過ぎですよ。せめて盗みを働いて腕を斬り落とされた盗人位でしょう?」

 

 ニコっと微笑みながらそう言う冬蘭は可愛かった、とても。しかし言っている事は相当酷かった。小町の三馬身位後ろに位置してるかな。あれ結構競ってない?

 

「さて、冗談はこの位にして置きましょう。私達の真名は呼んでもらって問題ありません。軍師候補に挙げられる程、姉様方から信頼されている天の御使い様なら真名を預けるのに否はありませんよ」

「そ、そうか。俺の名は比企谷 八幡だ。……八幡と呼んでくれて構わない」

 

 冬蘭相手にどもりそうになった。俺はどうも年下で妹属性のある奴に弱いみたいだ。それにしてもキツイ冗談だったぞ。思わず跪いて許しを請うレベル。

 

「八幡、夏蘭と冬蘭はうちでも春蘭と秋蘭に次ぐ実力者よ。本来であれば一軍の将としてやっていける人材だから有効に使いなさい」

 

 権利と言う物はそれと同等の義務を伴う物だ。この二人が補佐になるという事はどれだけの義務が生じるのだろう。春蘭達に近い実力を持った者の補佐が心強いような、怖いようなどちらとも言える様な複雑な心境だった。

 

 




オリキャラ出す気なかったけど初戦から八幡を活躍させるには、直属の部下が欲しくて出してしまいました。オリキャラと言っても史実の武将なんですが・・・・・。


正直言って曹仁は加入させるには強すぎるかとも思いましたが曹純がいるのに曹仁がいないというのも可笑しいかな?と思いまして急遽出すことにしました。

今回登場した曹仁、曹純をオリキャラと上で書きましたが公式でこの2人の情報が公開されているのを読者さんからの指摘で私も確認しました。

私の調査不足でした。ただ今からこの話の曹仁、曹純を公式の曹仁、曹純へ変更しようにも私の持っている情報が少なすぎて書けません。そういう理由でこの「やはり俺の真・恋姫†無双はまちがっているฺฺ 」では今の私が考えたキャラ設定のままで進めたいと思います。



今回、凄く短いのは本来投稿予定だった話を3~4分割する事になったからです。すみません。見積もりが甘過ぎでした。ざっと計算し直してあと最低でも10時間位は書くのに時間が必要でした。


桂花の登場シーンは来週の日曜より前に投稿出来る様に頑張ります。


読んでいただきありがとうございます。

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