【完結】京‐kyo‐ ~咲の剣~   作:でらべっぴ

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「出撃」

南三局0本場 親恭子 ドラ{七}

 

 

京太郎はオーラスまでになんとか追いついておきたい。洋榎はここで引き離したい。

そして、恭子は親故にここで挽回したい。絹恵は大きな手で一気に巻き返しを図りたい。

 

(狙い目は愛宕絹恵。大物手を作ろうと読みやすい手になる。跳満を直撃できればトんで俺の勝ち。マンガン以下でもオーラス勝負)

 

様々な思惑が交錯する中、京太郎が取った方針は絹恵を狙う事だった。

 

(愛宕洋榎と対戦して確認できた。レベルが一定以上を超えたプレイヤーは普通のやり方じゃまず振らない)

 

それが読みなのか勘なのか運なのか、それとも能力なのかは分からないが、福路美穂子戦を経てそう結論付ける。

 

(師匠が言った通り、相手の攻撃を躱して攻撃する。攻撃したら躱す。本当にそれだけだった)

 

如何に相手をかい潜ってアガるのか。

その単純な事が常時できるなら、『読み』も『技術』も『勘』も『能力』もいらない。

極端な話、圧倒的な『運』さえあれば他に何もいらないのだ。

師が言った『運を引き寄せるのは意志』。愛宕洋榎はこれの体現者。

確かな実力に対する絶対の自信が、洋榎を強者たらしめている。

ならば化物達と互角以上に戦う為には、『絶対に諦めない事』、『最後まで勝ちを疑わない事』こそがもっとも重要となるだろう。

 

(『絶対に諦めない池田華菜』を超えてきた。『最後まで勝ちを疑わない愛宕洋榎』はここで越える。もうあとは、勝つだけだ)

 

クリアできなかった課題の半分、師の教えを全てクリアしたと確信できた京太郎の第一打。

 

{三八九九⑥⑧⑨⑨23東南南} 打{西}

 

完成した京太郎は、長く長く続く、それこそ気の遠くなるほどの道のりが続く強者への扉を、漸くこじ開けた。

十順目、西家絹恵のツモ、{赤五}。

 

{六七七七八赤⑤⑥⑦133赤56} ツモ{赤五}

 

ドラの{七}3枚、赤2枚からさらに赤を引いてくる。

 

(これでドラ6や。三色も絡めば三倍満も夢やない。けど、下家の須賀君は明らかにチャンタ。端牌がどれも切り難い)

 

切る候補は{七八13}。

しかしチャンタ相手にどれが鳴かれてもおかしくはない。最悪振り込みさえありえる。

 

(もうラス前や……、この手をここでいかないついくねん)

 

{赤五六七七七八赤⑤⑥⑦33赤56} 打{1}

 

残り8000点しかない絹恵は最高目優先を選択した。

 

「チー」

 

瞬間、京太郎の鳴き。

 

(アカン、これで張ったかもしれん……。須賀君は{赤⑤}をツモ切りしとる。ドラはあっても一枚。恐いのはドラ周りと索子染めだけや)

 

{1}をチーした京太郎は{九}を河に捨てる。

 

(まずいで。打{九}てことはチャンタなら萬子の上は超危険や。{七}はドラやし……{六九}引いたら回らなあかん……)

 

自身の怪物手もイーシャンテン。しかし読んだドラ周りを勝負しなければならないのが痛すぎる。

そして十一順目のツモ。

 

{赤五六七七七八赤⑤⑥⑦33赤56} ツモ{七}

 

なんとこれでドラ7。しかも{八}を切れば{47}待ちでテンパイ。

 

(た、助かったわぁ。ドラの壁で嵌{八}もない。場に二枚でとるからあるとすれば{八}単騎やけど、それやとチャンタが消える)

 

{7}をツモればダマ三倍満という超巨大手だ。

 

(万が一打ち込んでもドラなしの役牌、もしくは鳴きイッツーか鳴き三色。最大2000にしかならん地獄単騎で待つアホはおらん)

 

それなら生牌の{九}単騎にする筈なのだから。

 

(お姉ちゃんとの点差考えたらオーラスまでに3900以上は欲しいやろ。ならこんなもん通るに決まってる)

 

絹恵は{八}を掴み、

 

{赤五六七七七七赤⑤⑥⑦33赤56} 打{八}

 

切った。

 

「ロン」

「嘘やん!? なんでそんなアホな単騎で待ってんねん!?」

 

泣きそうだ。

挽回するための勝負手をゴミ手で蹴られ、思わず叫んでしまった。

 

「いやそこ高目ですし」

「高目やて!?」

 

そんな馬鹿な。

高目も安目もあるか。それは{八}単騎の筈だ。

驚愕しつつ凝視した倒される手牌。

 

{八九九九⑨⑨⑨南南南} ロン{八} チー{横123}

 

{七八}待ち。

 

「役牌三暗刻。こっちだとテンパネして6400です」

「槓子外し……ッ!」

 

打{九}は隠れ暗刻の隠れ蓑。

しかも絹恵は瞬時に気付いた。

 

「{七八}のどちらかが必ず溢れるんも読み切ってたんか……」

 

だからこその{七八}待ち。

 

「はい」

 

{赤五}を切れば回避できた待ちだが、点棒が残り少ない絹恵にドラと三色をまとめて切り捨てる打牌などできないと読んだのだ。

京太郎は絹恵の心の中まで読み切っていた。

 

「なんやそれ……きつすぎや……」

 

年下の一年生に良いように手玉に取られ、絹恵の顔が下を向いたまま動かなくなってしまう。

 

「顔上げ、絹! まだ勝負終わってないやろ!」

 

姉から厳しい叱咤を受けるも、その言葉は届かない。

なぜならそれは、強者の言葉だからだ。

 

「私、新しい主将やのに……、こんな弱い主将なんておらんよ……お姉ちゃん……」

「絹……」

 

なお悪い事に、現在の姫松の主将は愛宕絹恵だったのだ。

 

「何もできひん……。お姉ちゃんと須賀君の麻雀にまるでついてけんよ……」

 

この対局、絹恵は二度の振り込みの上にノーホーラ。

京太郎に6400点振り込んだ事により現在の点棒は僅か1600点しかない。

これでは心が折れてもおかしくなかった。

 

「それは私も同じや、絹ちゃん」

「末原先輩……」

 

これはまずい、と感じた恭子はすぐさまフォローする。

自身も才能の無さに悩んだ口だ。

普通の麻雀しかできないものは、その普通を極限まで鍛え上げるしかない。

しかし心が折れたら自身を鍛える事すらできなくなってしまう。

 

「元大将がなにもできずに残り8400点。たいして変わらへんよ」

「…………」

「でもここが終わりやない。どうすればこの差が埋まるかを考えんと」

「…………」

「絹ちゃん、きつい言い方やけどそれは甘えや。やる事は最初から一つしかない」

「…………」

「私らみたいな凡人は、練習して練習して、ここにいる化物共の何倍も練習するしかないよ」

「だれが化物やねん!」

「洋榎。今大事な話してんねん。ちょっと黙っとき」

「あ、はい。いたらん姉でご迷惑おかけします……」

 

同じ人種として諭す恭子へ、絹恵が口を開いた。

 

「でも、主将としては今すぐ強くならないとあかんやないですか……」

「それは……」

 

強豪校の宿命だ。

求められるのはまず強さ。弱小校とは事情が違う。

恭子が言っている事は正しいが、絹恵もまた正しい事を言っている。

 

「何倍も練習して強なるて、それじゃすぐに強くはなれませんやん!」

「なれますっ!」

「「「「「ッ!?」」」」」

 

みんなが驚いたのは絹恵の声だったのか京太郎の声だったのか。

まあ、絹恵もビックリしたので京太郎の声にだろう。

 

「こ、高校生になってなんとなく麻雀部に入りました!」

 

いきなり人生を語り出したのだが、実はおかしくない。

京太郎は、6400を直撃した女子が俯いて鼻声になった瞬間パニクッたのだ。

迷惑になる事は重々承知していたのだが、久が危惧したように女子相手に問題を起こしてしまった。

あれほどゆみが注意してくれたのに完全な不祥事である。

先程までずっと黙っていた京太郎の思考はこう。

 

『おおおおもちっ、おもっおもっおもちを泣かせてしまったっ、おおお俺が、ここここんな綺麗なおもちををををを――』

 

己がしでかしたあまりの罪深さにブッ壊れていたのだ。

 

「面白いけどなかなか役覚えられなくてっ、点数計算もインターハイの直前にようやく覚えました!」

 

そして人生を語り出したという次第。

 

「毎日毎日トバされまくってっ、インハイ予選のふるい分けすら突破できずっ、ほとんどトビまくりです!」

 

故に何もおかしくはない。

 

「だからインハイでみんなが全国優勝するまでずっと雑用してました! おもに部長と優希の使いっパです!」

「さっきの話ほんまやったんかい……」

 

憐れな記憶を口にしても全然へっちゃら。

 

「自動卓担いだりデスクトップ担いだりタコス買いに行かされたり、みんなの為にがんばりました!」

「なんやそら!? いじめか!? 部長てウチと戦ったあの中堅やろ!?」

「マナーも悪かったですけど、中身相当エグイですやん……」

「須賀君いつ練習したんよ……」

「さすが優勝校なのよー。私達にはない残酷さが差に現れたのね」

「そんなん嫌ですよ……。今でも十分辛いのに……」

 

いかん。誤解から久の悪評が全国へと広まろうとしている。

事実しか言っていなかったとしても、真実は人の数ほどあるのだ。

 

「インハイ後はあいつらさらに強くなっててっ、東場で何十回もトバされ続けました!」

「インハイ後て、ついこの間やんけ」

「どないな拷問食らってるんですか、この子」

「ひどい……」

「恐ろしいのよー。清澄は鬼の城なのよー」

「私の扱い全然マシですやん。でこにマジックがご褒美に思えますわ」

 

シャレにならん。

久どころか咲達の悪評まで拡散寸前とはどういう事か。

 

「そしたら12日前に麻雀の師匠と出会って特訓してもらいました!」

「「「「「12日前?」」」」」

 

さあ、ここからが佳境だ。

 

「スゲー辛かったですけどがんばって特訓した結果っ、五日目でもう初心者じゃないって師匠に言ってもらえました!」

「ほー。ずぶの素人から五日で初心者脱出か、そら中々のもんや」

「よほどええ師匠やったんでしょうね」

「がんばったんやなぁ、須賀君は」

「絹ちゃんもらい泣きしてるのよー。私も感動で胸がいっぱいよー」

「いやそれにしたって早過ぎませんか!? 五日て!?」

 

次の挫折こそが雀鬼誕生秘話。

 

「師匠からまだみんなと打つなって言われてたんすけど! 初心者脱出して調子に乗った俺はっ、次の日咲達と対局しました!」

「「「「「アカンアカンアカン! アカンて!」」」」」

 

姫松の部員達は、既に結果を予測済みだった。

 

「また東場でトバされました! 咲の嶺上開花防いだと思った瞬間っ、なぜか責任払いでトんでました! もちろんノーホーラです!」

「「「「「だからアカンってー……」」」」」

 

もう目に映っているかのように、光景が頭に浮かぶ。

酷い話だ。

 

「咲達の前ではヘラヘラしてましたけどっ、学校を出たら涙が止まりませんでした! ちょうど一週間前の出来事です!」

「なんちゅう凄惨な人生歩んどんねん……」

「だれかこの子の涙を拭いたげて……、私のハンカチはもうびしょ濡れやから……」

「分かるぅ! すごくよく分かるぅ! その涙は私の涙やぁ!」

「もうどうやったらこの子の傷を癒せるか見当もつかないのよー!」

「なんでそんな酷い事ができるんですか! 人の形をしてるなら人の心を持つべきでしょう! 私の言うてる事間違うてます!?」

 

たくさんの同情と一人の共感。そして怒りに震える一人のテンションが超やばい。

 

「俺ぇ! みんなに追いつきたくてぇ! 俺だって麻雀打ちだって言いたくてぇ! 師匠との残りの四日間っ死に物狂いで特訓したぁ!」

「安心っせぇよぉ! 京太郎は立派な麻雀打ちやで! ウチが保証したるわ!」

「だれかこの子を助けたってくれ……! もう見てられん……ッ!」

「うええぇぇぇぇぇぇん! うえええぇぇぇぇぇん!」

「涙で前が見えないのよー!」

「私が倒したりますよ! 来年のインハイ見ててください! ええ、この上重漫が清澄をボコボコにブッチめてやりますわ!」

 

号泣。

感情が高まりまくった京太郎の熱い魂は、自身と姫松部員全員の号泣を呼んだ。

 

「最後にぃ! じじょうがぁ! だぐざんの強い奴と打でっで言っだがらぁ! 強い人がいるがっごう行っで全部だおずぅ!」

「おう! えらいゴンジョーモンや! だおぜだおぜ! うぢが許ず! 『宮永でる』も『宮永ざぎ』も全部倒ざんがい!」

「ごの子に力貸じでぐれぇ……ッ! 麻雀の神がいるならごの子にぢがら貸じでやっでやあ……ッ!」

「びぃぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! びぃぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「水分と塩分が足りないのよおおお! 涙で干がらびるのよおおおおお!」

「ぐぞお! ぐぞお! ぐぞお! ぐぞおおおおおおお!」

 

みんなの涙で水没しないよう早くなんとかするべきなのだが、全員が狂ったように泣き喚いているのでどうにもならない。

 

「ごれがぁ! 俺がじじょうにでぎるぅ! 唯一の恩返じだと思うがらあああああ! ぜっだい強ぐなるんだああああああ!」

「ブラーーボゥ! ブラーーーボゥ! ブラーーーーーーボゥ!」

「ええ子ずぎで涙どまらないですわーーーー!」

「わだじも強ぐなるううううう! ずが君みだいに死に物ぐるいでずぐ強なっだるうううううう!」

「人はごごまで強ぐなれるのよおおおおおおおおお!」

「十倍やああああああああ! 十倍がえじやああああああああ!」

 

絹恵のモチベーションを元に戻した京太郎はいよいよオーラス、南四局を迎える。

トップの洋榎とは微差の2400点差。二飜40符、2600点をアガれば無条件で逆転。

『愛宕洋榎』を超えるべく、運命の一局が始まった。

 

現在の点棒状況

絹恵   1600

京太郎 43800

恭子   8400

洋榎  46200

 

 

南四局0本場 親洋榎 ドラ{⑧}

 

 

洋榎がサイコロを回し、全員が配牌を取っていく。

 

(気持ちはわかった。やから尚の事手は抜かんで、京太郎)

(精一杯やらせてもらいますわ)

(もうどうやっても逆転はできん。けど、みっともないまま終りたない。強くなる為の麻雀を打つんや)

(絶対に勝つ)

 

そして配られた手牌がこれだ。

親の洋榎手牌。

 

{一二四赤五九②赤⑤赤⑤⑧⑧17発} ツモ{発}

 

配牌三シャンテン。

 

(おっも!? 1000点でええっちゅうのになんやこの重い配牌!?)

 

{発}が重なったはいいが、赤を合わせてドラが5個もある。

 

(こらまいった。時間かかるでぇ……)

 

しかも中張牌の対子がドラスジの{⑤⑧}。

ここら辺を面子にするのはきついと、洋榎は泣きすぎて真っ赤にった目を鋭くしながら第一打を{1}でスタートした。

南家の絹恵手牌。

 

{二二44799東南北白中中} ツモ{二}

 

こちらはチートイリャンシャンテン。

 

({二}が暗刻った。ここはもう迷うとこやない。真っ直ぐや)

 

絹恵もまた、真っ赤な目とかみすぎて赤くなった鼻のまま、第一打を{北}とした。

西家の京太郎配牌。

 

{一一六六九35667南西西} ツモ{白}

 

京太郎もリャンシャンテン。

 

(安いのに手が重い!? 二飜40符で勝ちって時にチートイなんか狙ってられねえぞ!?)

 

京太郎の感想は洋榎とほぼ同じ。

時間がかかる事を予想しながら、まずは手を目一杯広げる事を決意した。

真っ赤になった両目に碧の炎を灯し、第一打{白}ツモ切り。

恭子手牌。

 

{一三五八①②③19東北白発} ツモ{東}

 

八種九牌。

役満ツモでなければトップを取れない。であれば、このゴミのような手も好配牌と化す。

 

(ええ配牌や。国士四シャンテンと考えれば悪ぅない)

 

恭子第一打、{五}。

もちろん目は真っ赤だった。

そして十順後、十一順目の洋榎。

 

{四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧78西発発発} ツモ{①}

 

(重い上にツモがきかん……ッ)

 

{四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧78西発発発} 打{①}

 

同じく十一順目の絹恵。

 

{二二二4447799白中中} ツモ{8}

 

絹恵イーペーコーテンパイ。

 

(張った。けどイーペーコーのみアガってもなんも意味無い)

 

しかし、ダントツラスである以上はせめて四暗刻を目指す。

 

(末原先輩の国士にもそろそろ切らなヤバイし。このまま重くなっててや……ッ)

 

{二二二44477899中中} 打{白}

 

同順の京太郎。

 

{一一一六七356678西西} ツモ{八}

 

(くはっ、やっと入った……ッ。けどどうする? リーチのみじゃ役が足りない。{47}もほぼ待ちなし……)

 

他家を読んだ限りでは、待ちの残りは{4}ただ一枚。しかもツモらなければ逆転不可。

このままリーチはいくらなんでもリスクが高すぎた。

 

(くっそー、{123}は山にいる筈だから{3}残したのに、まるで引いてこねえ。まさかほとんど王牌なのかよ……)

 

しかし既に十一順目、この重さでは{56}落としが間に合うとは思えない。

 

(西が鳴ければまだ活路はある。ここはテンパイにとるしか道はねえな……)

 

京太郎は重い{3}を、歯を食いしばって河に捨てた。

 

{一一一六七八56678西西} 打{3}

 

恭子の十一順目。

 

{一九①①⑨1東東南北北白発} ツモ{9}

 

(これでイーシャンテン……、このまま全員重いままでいてや……ッ)

 

{一九①⑨19東東南北北白発} 打{①}

 

十二順目、親の洋榎のツモ。

 

{四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧78西発発発} ツモ{⑧}

 

さらに重い方を引いてくる。

 

(なんでそこ!? 頼むでスパッっとテンパッてくれ!)

 

しかしイーシャンテンは変わらないのだが、受けが倍にはなった。

 

(……しゃあない、ここが勝負どころか。恭子から幺九牌が出てきたし、京太郎にも限界くさい)

 

洋榎も歯を食いしばって、

 

{四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧⑧78発発発} 打{西}

 

打{西}。

 

「ポンッ!」

 

そして京太郎、役無しテンパイから自風の{西}をポン。

 

{一一一六七八6678} 打{5} ポン{西横西西}

 

打{5}で待ちを変える事に成功する。

 

(やっぱ京太郎の奴{西}持っとったか。これで確実に張った。もう一役あれば出アガリオッケーやな……ラス牌の{⑧}持っとるか?)

 

場に{赤5}が出ていたので、ドラはほぼ洋榎が握りつぶした形。

最後の{⑧}を持っているなら非常に厄介だと洋榎の顔が歪む。

 

({35}切りやと{3556}か{3566}からの{35}落とし……、いや{356678}からって形もあるか。索子の上は切られへんな)

 

しかし最後は枚数を逆算してきっちりと読んだ。

恭子の十二順目は無駄牌をツモ切り。

そして洋榎の十三順目のツモ。

なんと、

 

{四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧⑧78発発発} ツモ{七}

 

無駄ヅモ。

 

(嘘やろおおお!? {西}勝負は失敗かいな!?)

 

あまりの重さに心の中で絶叫する。

 

(いやいやいや焦るな、まだ終わったわけやない。こうするんや。次順張ったらウチの勝ち、張れへんかったら京太郎の勝ち。ええな?)

 

しかし、自分に相当都合のいいルールを設定し、その自信には微塵の揺らぎも見えない。

もちろんツモ切りだ。

十三順目の絹恵のツモ。

なんと、

 

{二二二44477899中中} ツモ{9}

 

ツモリ四暗刻テンパイ。

 

(きたで! この四暗刻ツモっても須賀君には勝てん、けどお姉ちゃんには勝てる! これが今の私の精一杯や須賀君! お姉ちゃん!)

 

真の悲しみを知った絹恵は、姉と違って無駄ヅモではなかった。

なにやら京太郎の株が大幅に上がっている気もするが、自身の可能性を信じ、

 

{二二二44477999中中} 打{8}

 

打{8}。

{7中}待ちだ。

 

「チー」

「え!?」

 

瞬間、京太郎が{8}を鳴いた。

 

(なんやのそれ!? {5}切っとるやん!?)

 

絹恵の疑問はごもっとも。

前順、京太郎は{5}を切っているのに、{横867}で鳴き返したのだ。

 

(もしかして鳴き三色やろか……?)

 

恭子も頭を捻り、

 

(ははーん、さては役が足らへんな? そっちはそっちで二飜40符作るのに苦労しとるっちゅうわけか。お互い大変やな、京太郎?)

 

ドラをガメてる洋榎は直感した。

ラスドラの{⑧}を持っていず、さっきまで一飜の手だったと予測したのだ。

その直感は当たっている。京太郎の手にドラはない。

しかも、これで{6}は場に三枚見えた。

 

(絹に{9}が固まっとるし索子の上が待ちや思とったけど、これで本命は三色がらみ一本。ウチの手牌から筒コロの上で確定や)

 

と、京太郎の鳴き返しによって更に読みの精度を引き上げる。

そして二順続けて恭子がツモ切りした直後の洋榎のツモ、十四順目。

 

{四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧⑧78発発発} ツモ{三}

 

重い重い手をなんとかテンパイへとこぎつけ、{7}に手を伸ばす。

{69}は待ちがなく、{⑤⑧}を京太郎へ切るのは自殺行為だからだ。

しかしその{7}も、

 

(絹には超危険牌。やけど絹の手ぇはツモリスーアンや。アタリたくてもアタれへんやろ)

 

と考える通り、絹恵のアタれないアタリ牌。

危険な筒子を止め、とりあえずは{8}単騎へと受ける。

 

{三四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧⑧8発発発} 打{7}

 

萬子か筒子を引いての多面張にする腹積もりだった。

 

(ぐっ……、お姉ちゃんそれアタってんで! 意味無いからツモらん限りはアガらへんけど、でもそれアタってんで!)

 

出アガってもトイトイ三暗刻の8000点。

ウマもないしせめて二着連対でなければ格好がつかないだろう。

出アガったところで三着確定。喜ぶのは二着の京太郎のみだ。

いや、オーラスにそんなショボイ事されたら京太郎も喜ばないに違いない。

あの涙はただ勝ちたいのではなく、強くなる為の涙だったのだから。

 

(分かってて切ったんやろうけど、私が鬼やったら容赦なくアガっとったわ! 優しい妹に感謝してや!)

 

そんな怒り心頭の絹恵をチラリと見た京太郎は、『怒りながらも一生懸命なおもちは愛らしい』とニヒルな笑みを浮かべる。

 

(ツモったれ!)

 

と気合を込めるも、愛らしいおもちは無駄ヅモ。

 

(あかんかった……)

 

落胆する絹恵を尻目に、京太郎も{③}ツモ切り。

 

(私の運も捨てたもんやないな……)

 

そして、遂に恭子が追いつく。

 

{一九①⑨19東東南北北白発} ツモ{西}

 

さすがは激戦区大阪の名門、姫松高校麻雀部の元大将。

 

(ラス牌二枚の内一枚もってきたわ。おそらく残り{中}三枚の内二枚は、絹ちゃんの手牌の中やろ)

 

最後は見事に逆転の手を入れてきた。

 

{一九①⑨19東東南西北白発} 打{北}

 

{中}は場に一枚、絹恵が二枚持っていたが、最後の牌をツモれば文句なく逆転だ。

 

(おうおう、さすが恭子や。きっちり張ったくさいな)

 

仲間の強さを再確認しつつ、それでも洋榎は自身の勝ちを微塵も疑わない。

それこそがエースというもの。そしてだからこそ『愛宕洋榎』なのだ。

 

{三四赤五赤⑤赤⑤⑤⑧⑧⑧8発発発} ツモ{⑦}

 

洋榎の十五順目のツモ、三面待ちとなる{⑦}。

 

(ほれぇ! この待ち何枚生きとる思てんねん! 残りの牌山みーんなウチのアガリ牌や!)

 

もちろんそんなわけはない。

しかし、その自信は素晴らしいと言うしかないだろう。

まさに洋榎の麻雀は自信の麻雀だった。

 

(こら三暗ついて倍満までいってまうな!)

 

洋榎は{8}を掴み、

 

{三四赤五赤⑤赤⑤⑤⑦⑧⑧⑧発発発} 打{8}

 

切る。

 

「ロン」

 

そして室内に声が響いた。

 

「……なん、やて?」

 

真っ赤な両目に碧の炎を宿し、ニヤリと笑みを見せる姿に呆然とするしかない。

 

「俺の『読み』は愛宕洋榎すら上回った。ならきっと化物だって倒せる『読み』だ。それを心の底から確信できました」

 

倒された手。

 

{一一一六七八8} ロン{8} チー{横867} ポン{西横西西}

 

河へ切ったスジの{8}を鳴きかえし、それでも更に待ちになっていた{8}単騎。

 

「役牌のみ。テンパネして1300。200点差で俺の勝ちです」

「で、出来面子食っとったんか……ッ」

 

一飜40符の直撃。

京太郎が鳴く前の形はこう。

 

{一一一六七八6678} ポン{西横西西}

 

この時点でも一飜40符あるが、洋榎が{69}を持っていない。

しかも全国クラスであるならば、索子の上待ちだと容易に看破されてしまう。

だからその読みをズラした。

待ちもズラした。

全員の心理を卓上ごとズラした。

 

「おととい長野個人一位を倒した時に感じは掴んだんで、今回もうまく騙せると思いましたよ。洋榎さん」

 

場の掌握。

師の教えを、京太郎は完全にものにしていた。

しかし、ニヨニヨと洋榎を見る姿は本当にデリカシーがない。

 

「あー……なんちゅうかこう、負けるなら負けるで、もっとこうスカッと……あかん、なんやこれ!? なんか悔しすぎるでえ!?」

 

うがー、と頭を掻き毟る姿が、二日前の美穂子を彷彿とさせる。

これは悔しいだろう。

なにせ騙されて、自信満々にアタリ牌を叩き切ったのだから。

 

「私も索子待ちはない思ったわ。須賀君さすがやね」

「こら悔しすぎて今夜は眠れんちゃいますか? 洋榎?」

「騙すなや! もっと力で上回ってくれ! なんか気持ち悪い!?」

 

洋榎の滑稽な姿に絹恵と恭子も苦笑をもらすしかない。

 

「須賀君強いな~。貴子ちゃんが~相当打てる言うたんよう分かるわ~」

 

今さら出てきた監督代行の郁乃。

絹恵が折れた時、一人でちゃんと立ちあがれるかな? と主将としての自覚を促そうとしていた。

その後は京太郎の話に、部員達と一緒にビービー号泣していたのである。

化粧を直すまでは出る事ができなかった。

 

「真っ向勝負の叩きあいで洋榎に勝つのは凄いのよー」

「ほんまですね。清澄帰っても、もう嬲られる事はないんちゃいます?」

「いやいや別に嬲られてませんからね!? あいつら人格はいいやつらばかりっすから!」

 

と慌てて誤解を解こうとするも、

 

「「「「「……………………嬲られとったよ」」」」」

 

全員が一斉に反論してくる。

 

「ほんとあいつら友達っす! いじめとかそういうの全然ないですから!」

「「「「「……………………」」」」」

「ただちょっと加減を知らないというか、全力攻撃しかできないというか……」

「やめーや! また胸が痛なるやろ!」

「もうお腹いっぱいですよ。須賀君はこのまま幸せになってください」

「ほんまやで! 須賀君は幸せにならないかん! 何かあったらすぐ連絡してや! 魔王相手になにができるとも思わんけど……」

「とても立ち向かえる気がしないのよー」

「私はやりますよ。とりあえず春季大会をみたってください」

「いや、ほんとそういうんじゃないっすから……」

 

どうやら誤解が解けるのはもう少し後らしい。

誤解なのか真実なのか判断できないところが微妙だが。

 

「そういえば~、須賀君は明日白糸台に行くんやろ~?」

「はい、そのつもりです」

「おう、ならもう一局どや? 宮永照、大星淡、弘世菫の三人相手なんや、いくら練習しても足らんやろ」

 

京太郎は一日参加の、いわば今日だけ姫松麻雀部員だ。

洋榎は面倒みよく、特訓相手を務めるつもりだった。

もちろんうれしい申し出だ。

これに京太郎は喜んで飛びつこうとする。

しかし、

 

「でも今日明日の二日間は~合同練習って聞いとるよ~? 須賀君も参加するん~?」

「は?」

 

郁乃の言葉に頭が混乱してしまう。

 

「なんや代行、その合同練習て?」

 

洋榎の疑問に、郁乃が説明。

 

「他校の何校か呼んで~交流試合やって~。ウチら姫松にも声かかっとったんよ~」

「ほうなんか!? 全然聞いてへんで!?」

「インハイ後やもん~。東京まで遠征するお金ないよ~」

「金の話かいな!」

 

その話を聞き、京太郎の顔は青くなった。

もともとアポなし。

この姫松で、なんとか連絡をとってもらえないかと甘い事を考えていたのだ。

しかし、さすがに他校と合同で試合している日に潜り込めるわけがない。

迷惑の度合いが今までとは比べ物にならないだろう。

 

「か、監督さん!」

「なあに~?」

 

京太郎は駄目元で言ってみる。

 

「お、俺をそこに参加させる事ってできないでしょうか!」

 

無茶なお願いだ。

 

「ん~、さすがに無理やわ~。申し出を断った手前もあるし~白糸台だけなら連絡してもええけど~、何校にも迷惑かけられへんよ~」

「……ですよね」

 

そうだ。それが世間の常識だ。

落ち込んだところで無理なものは無理なのだ。

 

「来週じゃあかんの~?」

「いえ、今週までです……。俺が好き勝手するのは今週いっぱいまでって、咲と約束しました……」

「どういうこっちゃ? 一度帰って、もう一度別の日に白糸台行けばええやろ?」

 

洋榎の疑問はみんなの疑問である。

部活がない日、もしくは一日だけ休んで日曜日にでも東京へ行けばいいだけではないか。

 

「今はまだ咲達とは打てません。打てない理由があるんです」

「なんや、トバされたっちゅう話から一度も打ってないんかい。その理由て聞いてええんか?」

「すみません……」

 

しかし、どうやら京太郎の内面的な問題らしい。

 

「咲達にも、誰にも知られたくないっす……」

「別にええて。話せん事の一つや二つあるやろ」

 

洋榎は気にした風もなく続ける。

 

「けどそうなると、やっぱ明日は潜り込むしかないなあ。代行、なんとかならんやろか?」

 

みんなで一緒に泣いた仲だ。なんとか力になってやりたい。

洋榎の中で、京太郎は既に仲間だった。

 

「無茶やって~。たしか参加校が~永水女子と龍門渕や言うてたし~。どっちも超お金持ちのお嬢様校やもん~」

「おおう、あの二校か……。たしかに規則とかしきたりとかにはうるさそうやな……」

 

そんな会話を聞き、京太郎の心臓がドクリと大きく跳ねた。

 

「龍門渕……? 永水もなんですか?」

 

自身で声が震えているのが分かる。

 

「天江衣と神代小蒔もくるんですか……?」

「そらそやろね~。あの二人が龍門渕と永水女子の目玉なんやし~」

 

姫松の前に戦う筈だった化物、『天江衣』。

場所的に戦う事を諦めた化物、『神代小蒔』。

そして、インターハイチャンピオンにして正真正銘の化物、『宮永照』。

その三人が一堂に会すというのか。

 

「そ、そこのパソコン貸してください!」

 

京太郎は了解を待たずに、部屋の隅に設置されていたPCへと飛びつく。

 

「……………………」

 

そして夢中でキーボードを叩いた。

 

「アハッ……、アハハハハ……」

 

そして歓喜の声を上げた。

 

「ど、どないした、京太郎?」

 

ちょっと尋常じゃない様子に、引き気味の洋榎が聞く。

 

「今日、満月です」

「は? 満月?」

 

京太郎の目に炎が宿る。

 

「『天江衣』が最大の力を発揮できる日なんですよ!」

 

ポカンとする洋榎に目もくれず、壁時計を見た。

時刻は14:15。

 

「……まだ間に合う」

 

時間を確認した京太郎は、もう覚悟完了だった。

 

「いきます! いますぐ倒しにいきます!」

「……京太郎、お前ほんまアホなやっちゃなぁ」

 

洋榎が呆れながら苦笑するしかない。

 

「その前にその卓貸してください! 一分だけ!」

「ええよ、好きに使い」

 

何をするのか知らないが、心おきなく行けるようにしてやらなければ。

京太郎は今まで使っていた卓に座り、時計を見ながら洗牌する。

そして秒針が12を指した瞬間、

 

「シッ!」

 

凄まじい速度で牌を積みだした。

 

「うおっ! メチャメチャ早いがな!?」

「す、すごいですね」

「私手積みは苦手や」

「手積みの練習なんてしないのよー」

「あれも練習なんですかね?」

「えらい古風な事してんねんな~」

 

洋榎、恭子、絹恵、由子、漫、郁乃が感心する中、

 

「フッ!」

 

最後の山を音もなく積み上げ、少し斜めに前へ出した京太郎。

時計の秒針を見る。

 

「37秒……」

 

一山10秒かからずだ。

 

「これで全部クリアしましたよ、師匠」

 

ニヤリと口を吊り上げた後、満面の笑みで言う。

 

「愛宕洋榎さん、そして姫松の皆さん、ありがとうございました!」

 

京太郎は一路、東京へ向かう。

弾丸のように走り出した少年を止めるすべはもうない。

コネなし、アポなし、何も無し。白糸台へ入れるのかすら分からない。

しかし、そこには三人の化物達がいる。

この胸の澱を拭い去る為に、戦うと決めた化物達が。

 

 

心のモヤモヤを晴らしにいこう。

ウダウダ考えるのはもう飽きたから。

全てを周る事はできなかったけれど、一人旅だから許してほしい。

頼れるのは己だけじゃなかった。

師がくれた力を、みんなが鍛えてくれた。

だから、清澄高校麻雀部員『須賀京太郎』、最後の地へ向けて、発進。

 

 

姫松大好き編 カン

 

 

 

 

 

 

「なんや、鉄砲玉っちゅうんはまさにアレの事やな」

「それでも好感はもてます。あの行動力は尋常やないですね」

「私も須賀君みたいにがんばって、お姉ちゃんの後を継げるようにならな」

「その意気よー。絹ちゃんなら洋榎より主将らしくなれるのよー」

「愛宕先輩は強い分、おかしな行動ばかりしてましたからね」

「どういう意味や漫! そんなんしてへんわ!」

「「「「え!?」」」」

「な、なんや……、え? してへんよ? ウチおかしないよな、絹?」

「お姉ちゃん……」

「なんで目ぇそらす!? え!? ウチっておかしいんか!?」

「自覚なかったんですか、洋榎……」

「だからおもろいって言われるのよー」

「麻雀強なると、人として大事なものが無くなっていくんですかね……」

「そ、そんな事ないやろ? ウチかて普通の女子高校生や。ごく普通の乙女なんやから」

「「「「…………」」」」

「ま、まあその話はええて。見解の相違っちゅうやっちゃ」

「「「「…………」」」」

「き、京太郎大丈夫なんかなあ……」

「誤魔化し方が下手すぎるのよー」

「そやな。須賀君が心配や」

「絹ちゃんも乗るんやね……」

「姉妹ですからね。思考回路そのものは単純なのかもしれません」

「あーなんかほんまに心配になってきたわ」

「白糸台の警備員に捕まったりせんやろか……」

「それは、あるかもしれませんね。けど大丈夫ですやろ」

「おいおい、やばいんちゃう?」

「あわわわわ……、須賀君の幸せが遠のいてまう……ッ」

「……なんか洋榎と絹ちゃんが心配しすぎなのよー」

「ホレたんちゃいますか?」

「まさかなのよー。でも、姉妹で男をとりあう修羅場を生で見れるならそれもありなのよー」

「……輝く笑みなのに黒いですね、真瀬先輩」

「そしてそれを横からかっさらうのも楽しそうなのよー」

「「「「「黒すぎる!?」」」」」

 

 

もいっこ カン

 




おそらくあと二話。
多くても三話完結です。
もうひと踏ん張りなので、皆さんも最後までお付き合いください。

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