幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee-   作:橘 雪華

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Chapter EX:女神達の日常
After.1 ルウィーの双子なメイドさん


という訳で本編じゃイマイチ出番が少なかったネプ子さんのターンだよ! やっぱり原作主人公がいないとねー。

……え? mk2・Re;birth2の主人公はネプギアだろって? …ほ、ほら、タイトルは私だし?

 

…………ごほん!

 

それは置いといて、私は今ルウィーまで遊びに来てるんだー。

あ、いや、サボりじゃないよ? いーすんが厳しすぎるから逃げ出してきたとかそんなんじゃないからね?

犯罪組織とか犯罪神関連諸々の事後処理って言うのかな、まぁそんな感じのお仕事で来てるからね、私だって働く時は働くんだよ!

 

──できればいつもそのくらいの意欲を出してください… byイストワール

 

今なんか聞こえた気がしたけど気のせいだね! さーてブラン探さないとー

 

「ブランー! 私が来たよー!」

 

ルウィー教会の入口を開けて声をかける。

そうしたら大体教祖のミナって人か、フィナンシェって人が出てくるんだよね。

そう思っていた時期がネプ子さんにもありました。

 

「あ、ネプテューヌ…様。えと、いらっしゃい、です」

「やっと来たのね、もう。待ってる間にこの辺のお掃除終わっちゃったわよ」

「…お、おお?」

 

私を出迎えてくれたのはブランでもそのどちらでもなくて、二人の…メイドさん?(ルウィーだと侍女って言ってたっけ、どっちでもいっか)だった。

背は私とネプギアの中間…ネプギアくらいかな? とりあえず今の私よりはちょっと高いけど、何となーく誰かに似てるような…

 

「ちょっと、何ぼーっとしてるのよ。ブラン様に用事なんでしょ?」

「今は多分、執務室にいると思います。場所は知ってると思いますけど、ご案内しますね」

「あ、う、うん。よろしくー」

 

二人のメイドさんに先導されて教会内を進む。

この二人私的にも初対面じゃない気がするんだよね、うーん?

 

「ねえねえ、私達ってどこかであった事ある?」

「はい?」

 

思わずそう聞いてみたけど「何言ってるんだこいつ」みたいな顔された。

そ、そうだよね、私の気の所為──

 

「……割と分からないものなんだね」

「だから言ったでしょ? おねーちゃん達ならともかく、他の人からしたら別人に見えるってー」

 

って思ったら二人ともなんかコソコソ話し始めた。聞こえてるけど。おねーちゃん?

 

「ちょいちょい、ネプ子さんを仲間外れにしないで説明を求むよ!」

「ああ、えっとで「あ、ほら、着きましたよネプテューヌ様ー?」…」

 

どういう事か聞こうとすると髪の短い大人しそうな方の人がなにか言おうとして……髪の長い人に遮られたを

あ、不満そうに睨みつけてる…

 

……ま、まぁいっか。ブランへの用事済ませちゃおう。ついでに聞けばいいしねー。

 

「おね…ブラン様ー、お客様よー」

「……開いてるわ」

 

コンコン、とドアにノックしながらメイドさんが声をかければ中からブランの声がして、メイドさんがドアを開ける。

すると二人とも道を開けるように横に避けて、どうぞと入るように促してくる。

 

…うーん? 双子さん? なんか既視感があるような、ないような…

謎のメイドさんの正体を考えつつ、私は執務室に入っていく。

 

「やっほーブラン、遊びに…じゃないけど、来たよ!」

「ああ、なんだネプテューヌだったのね…」

「なんだとはなにさー!?」

 

ブランはお客が私だって見るやいなや怠そうに答えた。

ひどい! あんまりだー!

 

「それで? 遊びに来たんじゃないならなんの用?」

「ああそうだった。これこれ」

 

言われて持ってきた資料だか書類だかをブランの座ってる机に置いていく。

内容はプラネテューヌとルウィーの国境間周辺のこととか、犯罪組織の残党に関するもの、だったかな。

 

そう、私は強くて可愛い上に、仕事だってやれば出来るスーパー女神なのだよ! どうだ!

……普段からやれっていーすんの思念が飛んできた気がするけど気のせいだね、うんうん。

 

「……ブラン様、お茶が入ったので、少し休憩を」

「ああ、ありがと。…別にそこまでしなくていいのよ? ロムとラムの付き人でしょう」

「二人とも今はミナ様フィナンシェ様の手伝いで出払ってるから、教会待機のわたし達は掃除かお客様の対応くらいしかやることがないの」

「…そう言われたらそうだったわね」

 

ここで謎のメイドさん、親しげにブランと会話し始める。

つまりブランの知り合い? いやいやでも明らかにモブの人と雰囲気違うし! うううーん…?

 

「……それで、エスト。ネプテューヌをからかって満足した? ディールも、あなたまで一緒になってやるなんて」

「えっ?」

「ああー、バラしちゃう? …まぁいいけどさー」

「わ、わたしは、その…エスちゃんが黙ってようって言って、それで…」

 

ブラン、今この二人の事エストにディールって言ったよね?

ディールとエストちゃんと言えばロムちゃんラムちゃんにそっくり…どころか別次元のロムちゃんラムちゃんであって、でも目の前のメイドさんは二人みたいにちっちゃくなくて…?

 

「ふふん、ネタばらしね」

「はぁ、変な疲れが…」

 

正体をバラされた二人がそう言うと、突然二人が光に包まれて…

光が収まるとメイド姿のままの、けれどロムちゃんラムちゃんそっくりな背丈の二人が。

 

「ねぷぅっ!? ど、どういうこと!?」

「ええと、身体強化魔法の一種、といいますか。自分の成長度合いにブーストを掛けて、大人の姿に変身してた…って感じです。服はポーチに別にしてしまってあります」

「侍女のお仕事するってなってもこのままの姿だとどうしてもナメられちゃうからね。あと高いとこに手が届きにくいし、そういう理由(ワケ)

「は、はー、なるほど…」

 

二人の説明を受けて納得する。

まぁ確かに今の二人だと可愛いお手伝いさんにしか見えないもんね。時々いる頭の硬い人とかの対応をこのまましたら怒られそうかもしれない。

 

成長魔法かぁ…そういえばエストちゃんは前にも使ってたんだったかな?

…そうだ!

 

「ねぇねぇ、その魔法って私にもかけられたりしないかな? なんか面白そー!」

「あなたはそう言うと思ったわ」

「ネプテューヌちゃんわかりやすいもんねー」

 

興味が湧いてきてそう言ってみれば、予想通りだとブランとエストちゃんが顔を見合わせた。

えー、だって気になるじゃん? 女神化とは別枠っぽいし!

 

「ええと、すみませんネプテューヌさん。この魔法って自己強化に分類されるので、他人には…」

 

と思いきやなんか無理っぽそう。

私魔法はよくわかんないし、残念ー。

 

…まぁなんだろう、出来たとしてもブランが襲って来そうな気がするし、出来ない方がよかったのかもしれない。原作主人公的直感!

 

「んーそうなるとロムちゃんラムちゃんに、ネプギアとかブラン辺りなら使えるってこと?」

「う、まぁ、はい。一応…」

 

私は使えないとして、魔法ならその辺が使えるのかな、なんて思って聞いてみると、なんか歯切れ悪い? 目も逸らしてるような…

 

「………」

 

あれ? ブランが微妙に俯いてるような……あ、もしかして。

 

「ブランってば、もしかして試して悲しい未来を見ちゃった?」

「わ、バカ!?」

 

ついつい思ったことを言ってしまえばもう手遅れで、

ブランからゴゴゴゴ…と擬音が見えそうなくらいのプレッシャーが!

 

「ネプテューヌぅ…? 叩き潰されるのと、叩き斬られるの、どっちが良い…?」

「あっ…これは地雷を踏んだ感じだね! どっちも嫌だよ!?」

「うるせぇ! テメェ人が気にしてることをバッサリ言いやがって!」

 

あーあーあー完全にキレてるよ、こんな時は…

 

「ほらバカテューヌちゃん! 逃げるのよバカテューヌちゃん!」

「バカバカ言わないで!? けどそれには賛成するよ!」

「あっこら! 待ちやがれ!!」

 

軽率な発言に対してエストちゃんがものすっごい辛辣だけどひとまず逃げるのが先決! ってことでエストちゃんと一緒に執務室を飛び出て逃げる。

 

あれ、でもエストちゃん逃げる必要あるのかな? まぁいっか。

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…なんとか撒けたねー…」

「ふぅ、ふぅ…もーネプテューヌちゃんてば、ちゃんとおねーちゃんの許容範囲を把握しながら言葉を選ばなきゃダメよー」

「あ、失礼とかじゃなく選択ミスを怒ってるんだ…」

 

てっきり言い過ぎーとかで怒ってるもんだと…というか、笑ってる?

 

「でも、あははっ。何だか怒ったおねーちゃんから逃げるのなんて、すっごく久しぶりな気がする。楽しかったわー」

 

けらけらと本当に楽しそうに笑うエストちゃん。

そっか、エストちゃんとディールちゃんにとって()()()()()()は、もう…

そんなことを考えていると、エストちゃんが腰に手を当ててむっとした顔に。

 

「ねーネプテューヌちゃん。間違ってたらあれだけど、わたし達の境遇に大してそんな申し訳なさそうにするのはダーメっ! 心残りがなんにも無いわけじゃないけど、わたし達はここで生きてくって決めたんだから」

「そ、そっか、そうだよね。ごめんね?」

「わかればいいのよ!」

 

私の表情から何か感じ取ったのか、エストちゃんはそう言った。

よくよく考えても見た目からは想像出来ないような経験してるよね、エストちゃんとディールちゃんって。ともかく、本人がそう言うならわざわざ掘り返す話でもないか。

 

「はぁ…二人して何やってるんですか」

 

と、ここで遅れてディールちゃんも到着。…あれ、なんか持ってる。

 

「すぐ入れられた麦茶でよければ、どうぞ。ほら、エスちゃんも」

「おぉ、ディールちゃん気が利くね…」

「ふふん、当然よ。ディーちゃんだもん!」

 

逃げ回ってる間に入れてきたのか、お盆に麦茶入りのコップを持って現れたディールちゃん。

褒めたらエストちゃんが得意げにしてるけど、こういう所はラムちゃんっぽい、かな?

 

「一応こんなでも3年くらいはずっとこう言う形でお手伝いしてたので…」

「3年…あーそっか。確かディールちゃんがこの次元に来たのもそれくらい前になるんだよね」

「わたしはかなり最近ー!」

 

それとなくディールちゃんに客間に案内されながら何気ない会話。あれ、なにげないかなこれ?

ま、まあいいや、それより気になってたことがあるんだよね。

 

「そういえばディールちゃんってメガネしてたっけ?」

「? ああ、これですか」

 

変身してる時からずっとつけてたけど、ディールちゃん青色のメガネしてるんだよね。

普段はかけてなかったし、目が悪い訳じゃなさそうだけど。

 

「伊達メガネですよ。元はロムちゃんと見間違われるから、って二人にプレゼントしてもらったんです。その頃は記憶喪失で自分の事もわかってなかったので…」

「あー、自分もロムちゃんだって知らなかったって事だね」

「はい。それで、見分けを付けられるようにしようって話になって、その時に二人がプレゼントしてくれたんです。ちょっと色々あってこれは二つ目なんですけどね」

 

あはは、と苦笑いしながら話すディールちゃんは、それでもどこか嬉しそうにしていて。

なるほどねー、それならかける必要無くなっても大事だよね。

 

「色々って、何があったのよ?」

「あー…えっとね、その時貰ったメガネと…ヘアゴムも貰ってたんだけど、どっちも海に落っこちた時になくしちゃったみたいで」

「「海に!?」」

「は、はい。しかも嵐の」

 

突然のビックリ発言にエストちゃんと揃って驚く。嵐の海に落ちたって、下手したらすっごくやばかったんじゃ…?

当の本人は「あの時は大変だったなぁ…」なんてまるで気にしてないように見えるけど…

 

「実を言うと、その時から水に浸かったり潜ったりがちょっと苦手になったかもしれません」

 

あ、そんなことないね、ガッツリ心の傷になってるね…

 

「と、とにかく、その時に一度なくしちゃってたので、この間二人と一緒に新しいのを買い直したんです。ヘアゴムは同じのがなかったので、ヘアピンに変わっちゃいましたけどね」

 

言われてディールちゃんの髪を見てみると、前髪右側を雪の結晶飾りのついたヘアピンで留めている。これのことかな。

はーはー、なるほどねぇ、ただのオシャレじゃないんだね。

 

「うーん、いいなぁディーちゃん。わたしもなんかお揃いになりそうなの買おうかな…」

「いいんじゃないかな。その時は一緒に行こ?」

「! うん!」

 

あ、なんかネプ子さんいつの間にか置いてけぼり? あれー?

でも二人とも楽しそうだし、きゃっきゃとしてる様が可愛いからいっか。可愛いは正義って言うもんね。

 

「……あ、こんな時間…お引き留めしてすみませんネプテューヌさん」

「いいよー気にしないで。聞いたの私だしね」

「私達もそろそろラム達帰ってくるだろうから、お仕事に戻らないとね」

「うん」

 

おおう、二人ともロムちゃんラムちゃんとほぼ変わらないのに勤勉だなぁ。

なんて関心していると、ブルブルと私の端末に着信が。誰だろ?

 

「ちょっとごめんねー」

 

二人に断りを入れてから端末の着信を受け取る。

と、画面の先には、それはとてもにこやかないーすんの顔が。

 

……あっ。

 

「…ネプテューヌさん? どこをほっつき歩いているのですか?」

「や、やぁいーすん。いやーちょっとルウィーでお茶に…」

「私、頼んだ事の後にもまだやることがあるから早めに戻るようにと伝えましたよね?」

「あ、あははー…てへっ☆」

「帰ったらオハナシがありますので、楽しみにしていてくださいね(にっこり)」

 

あああああ…いーすん激おこだよぉ、これはお説教何時間コースになるかな…

 

「……という訳だから、私は帰るね」

「す、すみません、わたし達が引き止めて話したせいで…」

 

急遽帰らざるを得なくなったことを二人に伝えると、おこいーすんの声が聞こえてたからか申し訳なさそうな顔になるディールちゃん。

 

「いやいや、二人は悪くないからね? 気にしない気にしない!」

「そ、そう、ですか?」

「なら気にしないわ!」

「エスちゃんそこはもっと気にしよう…?」

 

私がそう返してみれば、二人とも違った反応を見せてくれる。

ロムちゃんラムちゃん本人達とは違うけれど、なんとなーく二人の面影がある感じがする。うーん、これはこれでありなのかもね!

 

「余計なお世話かもですけど、道中お気をつけて」

「道中って言っても、ネプテューヌちゃんの事だし飛んで帰るでしょ。へーきへーき」

 

な、なぜばれたし! や、まぁ変身は疲れるけどそうしないと時間かかっちゃうからねー。

女神特権ってやつ?

 

そんなこんなで二人とも教会前まで見送りに来てくれる。

 

「それじゃ、お茶ありがとね!」

「また来てくださいね、きっとラムちゃん達も遊びたがるでしょうし」

「今度はゆっくりできるように、ちゃんと仕事しなさいよー!」

「うっ……ぜ、善処します……じゃ、またねー!」

 

手を振る二人に見送られながら、女神化。

そのままプラネテューヌの方角へ向けて飛び立った。

 

……あぁ、憂鬱だなぁ、いーすん怒ってたもんね…はぁ…

 


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