幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee-   作:橘 雪華

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(OVA視聴した双子ズ)
ディ「……なんかラムちゃん声変わりした?」
ロム「……そう、言われると…?(いわかん)」
ラム「そりゃそーだよ。わたし達は女神だから変わんないけど、中の人は最初の頃からもう8年mむぐーっ!」
エス「それ以上いけないっ」


Act.6 黒き夢の舞踏会

「ふふ、ふふふふふっ! 素敵ね、とっても素敵! ゾクゾクしてしまうのだわ!」

 

何がおかしいのか、楽しそうに笑うクロム。

けれど犯罪神も含めて、妙な威圧感を放っている為に誰も気を抜くことはしない。

 

「けれども、ううん。流石に全員と一緒には踊れないの。だから…」

 

そんなことを言ったかと思えば、クロムはゲハバーン…もどきを取り出して──

 

──犯罪神を、突き刺した。

 

「なっ…」

「貴女、何を…!」

「うふふふ。もう知ってるんでしょう? これが偽物だって。だから、神サマを殺すような力はないわ」

「グ……ォォオオオオオオ!!!」

 

突然の行動に困惑していると、刺された犯罪神が雄叫びを上げる。

それと同時に、嫌な感じがどんどん強くなっていく。

 

ネガティブエネルギーを…力を、移した?

 

「ッ! 皆避けて!」

 

ネプテューヌさんの叫び声に我に返ると、犯罪神が腕を振り上げていて、

腕を振り下ろすと、大地を割る程の衝撃波が放たれた。

 

幸いネプテューヌさんのおかげで誰にも被害は出なかった。

けれど…

 

「壁…!?」

「これじゃ向こうに行くのは無理そうね…」

 

割れた地面から吹き上がる負の力。

それが壁のようになって、わたし達を分断していた。

 

「ネプギア! 皆! 無事!?」

「お姉ちゃん! うん、私達は平気! お姉ちゃん達は!?」

「こっちも大丈夫よ! …っく!?」

 

どうやら綺麗に守護女神4人と候補生組で分断されたみたい。

ただそれだけで被害は出てないみたいだった、けれど、あちらでは犯罪神がネプテューヌさん達へと襲いかかっていた!

 

「クク、ハハハハ! 我を前に随分と余裕だな、女神!」

「なんだテメェ、随分流暢に喋るようになったじゃねぇかよ!」

 

戦いの音と共に、さっきまでとは違う犯罪神の声が聞こえる。

やっぱり、さっき刺したのは力を犯罪神に与えたんだ。だからさっきよりも知性があるような喋りに──

 

「ディーちゃん!!」

「っは! ッ!!」

 

なんて、考え込んでる場合じゃなかったらしい。

辛うじてわたしに向けて飛んできた黒い剣を受け流すように杖で防ぐ。

 

「ふふ、もうパーティーは始まっているのだわ。余所見ばかりはダメよ?」

「この…っ!」

 

くすくすと笑みを浮かべながら次の黒剣を宙に作り出すクロムを見て、こっちも魔法を唱える。

 

「ダンシングブレード…!」

「うふふっ♪」

 

鋼剣と黒剣が空中でぶつかり合う。

それを見届ける間も無く、次々に剣を生成して射出していく。

まだだ、もっと、もっと…

 

「ちょ、ちょっとアンタ! 待ちなさ──」

「──ストームブレード!!」

 

生成速度を一気に上げて、横殴りの雨のように剣を一斉射出。

 

「あははっ! もっとよ!」

 

けれどクロムは楽しげに、こちらを真似るように無数の黒剣を放って相殺していく。

くっ、まだ足りない、まだ…!

 

 

「ディールちゃん危ない!」

 

不意に、背後からラムちゃんの声。

それと同時に、真横からわたしを狙う黒剣が。

 

「ッ! ぁぐ…!」

 

咄嗟に身体を逸らすものの、かわしきれず脇腹に痛みが走る。

でもラムちゃんのおかげでかすり傷程度で済んだ。まだまだやれる…!

 

「こ、のっ!」

「ディールちゃん待って! 落ち着いて!」

「やあああああッ!!」

 

ネプギアの声が聞こえた気がしたけれど、それに構わず、

杖に氷を纏わせた太刀でクロムへと斬り掛かる。

 

わたしがやらなきゃ…わたしが…!

 

「んー…少し直情的過ぎて面白みに欠けるのだわ?」

 

太刀を何度も叩きつけるように振るう。それを黒剣で防ぎながらクロムはむぅ、とつまらなさそうな顔をした。

 

「くっ、バカにして…!」

「まぁ、いつまで続くかは気になるところかしら」

「うっ、く…!?」

 

余裕ぶってるのかと攻撃を続けていると、横から不意打ちのように黒剣が飛んできた。

なんとか太刀で受け流しながら、一度距離を取ろうとする。けど…

 

「ほら、休んでいる暇なんて無いのよ?」

 

 

 

 

 

「ああもう! あの子完全に頭に血が上ってるじゃない!」

「っ…ダメ、ディールちゃんで射線が塞がって、上手く狙えない…!」

「ちょ、ちょっと! ディールちゃんを撃たないでよ!?」

「ぅ…補助魔法も、上手く狙えない…」

 

ディールちゃんがクロム…ちゃん? へと一人で突撃をしてから、後ろの私達は何も出来ずにいました。

 

私やユニちゃん、ラムちゃんエストちゃんで銃や魔法による遠距離援護をしようとすれば、前にいるディールちゃんがクロムちゃんとの射線を塞いじゃったり、そうじゃない時は黒い剣が飛んできてこっちの体制を崩されちゃう。

クロムちゃんしか見えてないディールちゃんと違って、相手の方はちゃんとわたし達も見て戦っているみたい。むしろディールちゃんの動きを誘導してクロムちゃんが射線を塞がせている?

 

「うわっ、と。ディーちゃんも問題だけど、抜かりなくこっちの攻め手を潰してくるのも厄介ね…」

「ううん…」

 

このままだと、ディールちゃんが…どうにか、どうにかしないと…

 

「……私達の中で素早さに自信があるのは」

「素早さ? まぁ、この中でなら…わたし?」

「じゃあ、エストちゃん。私とユニちゃんで援護するから、ディールちゃんの事連れ戻しに行ける?」

 

一つだけ思いついた作戦で、どうにかディールちゃんを引き戻そうと、エストちゃんに問いかけます。

 

「愚問ね。なんのためにわたしが強くなったと思ってるの?」

 

するとエストちゃん、これでもかってくらいのキメ顔。

自信たっぷりなところはラムちゃんの面影があるなぁ、なんて。

 

「そっか…じゃあ、お願い。援護は任せて。ね、ユニちゃん」

「んっ、え、えぇ。仕方ないわね」

「ラムちゃんとロムちゃんは、こっちを狙う攻撃から私達を守って欲しいの。お願いできる?」

「ディールちゃんを助けるのよね? それくらい余裕よ!」

「任せて…ばっちり守る…!」

 

皆の合意も得られたところで、四人に作戦を素早く伝えます。

 

まず、エストちゃんがディールちゃんを連れ戻すために突撃。エストちゃんを狙う攻撃は私とユニちゃんで撃ち落とす。

そしてこっちを狙う攻撃からはロムちゃんラムちゃんの二人に守ってもらう、そんな作戦。

 

「…そういうわけだから、エストちゃん。周りは気にしないでも大丈夫。だから…」

「言われなくっても! …任せるからね」

 

ディールちゃん達の方に向き直りながら、小さな声で。

…よしっ。

 

「じゃあ皆、行くよ!」

「ええ」「わかったわ!」「うん…!」

 

私の言葉に皆が答えて、それと同時にエストちゃんが飛ぶ。

黒い剣がエストちゃんを狙うように飛んできても、私とユニちゃんで撃ち落としていく。

 

クロムちゃんは気付いてると思うけど、今はとにかく体制を立て直すことに専念しないと…!

 

 

 

 

 

「つまらないのだわ」

「あぐっ…!」

 

黒い大剣で防御の上から叩き潰すような一撃に、わたしは耐えられずに後ろに倒れてしまう。

さっきまでとは一転して冷めた目でわたしを見下ろしながらクロムが右手を上げると、わたしを狙うように無数の黒剣が宙に現れる。

ぁ……に、逃げ…逃げな、いと…っ

 

「こんのぉぉぉおッ!! アイスコフィン! まとめて、発射(シュート)ッ!!」

 

痛む身体を動かして逃げだそうとした時、エスちゃんの声が聞こえて来て、直後に無数の氷塊がクロムへと降り注いだ。

 

「舌、噛まないように!」

 

そして飛んできたエスちゃんがわたしの腕を掴んで、素早く飛翔してクロムから距離を取る。

腕が引っ張られて少し痛い…けど、エスちゃんのおかげで助かった。すぐに反撃を……

 

「バカディール! 一人で勝手に先走らないでよ!」

「っ! あ、ぅ……」

 

ネプギアちゃん達の後ろまで下がってくると、エスちゃんが怖い顔で叫んだ。

バカ、だなんて罵られながら怒られて、思わずびくりと身を震わせて恐怖してしまう。

 

「あいつはディーちゃんにとって因縁の相手だってのはわかってる。でもね、この戦いはこの世界の為の、みんなの戦いよ! ディーちゃん一人で戦ってるんじゃないの!」

「そ、れは、そんなの、わかって…」

「わかってるんなら一人だけで突っ込んだり戦おうとしないでよ! ちゃんとみんな…わたし達を頼りなさいよ!!」

「そういうこと。ちょっとは頭を冷やしなさいよ?」

「うん。皆で力を合わせれば、きっと大丈夫だから。私達にも手伝わせて?」

 

わたしの目を見ながら叫ぶように言うエスちゃん。

クロムの迎撃をしながらユニちゃん達も気遣うような言葉をわたしに向ける。

 

そっか…そう、だよね。わたしは…一人じゃない。

 

「ディールちゃん…わたしも、頑張るから。だから、信じて…?」

「そーよ、それにねディールちゃん。約束したでしょ? 破ったら絶対許さないんだから!」

「…ぅ、ん。うん…っ」

 

……ふぅ、ダメだな、わたし。こんなに頼もしいみんながいるのに…

ぱちん、と両手で自分の頬を叩く。

 

うん…よし。

 

 

「もう、大丈夫」

「そ。じゃあ、反撃開始ね?」

「…んっ!」

 

杖を拾い上げて構え直す。

もう一人で突っ走ったりはしない…みんながいるから。

 

「うふふふっ、良いわ良いわ! さっきよりも素敵な目になったの!」

「…それは、どうも」

「ええ。だから、盛り上がって行きましょう?」

 

不敵な笑みを浮かべながらクロムが右手を上げると、夥しい数の魔法陣がクロムの後ろに現れ、そこから黒剣が生えるように出てくる。

ああもう、王様の宝物庫じゃあるまいし…!

 

「ロムちゃん!」

「うん、準備できてる…!」

「「やああッ!!」」

 

黒剣が射出される前にロムちゃんの元へ。

ぎゅっと手を繋ぎ、二人の力で大きな障壁を展開する。

それと同時に放たれた黒剣の嵐が障壁にぶつかり魔力の爆発を起こしていく。

 

「くっ…!」

「絶対に、守る…っ!」

 

障壁が割れないようにロムちゃんと力を合わせて維持して、どうにか攻撃を防ぎ切れたようだ。

一息つきたいところだけど、そうもいかない。

 

「ユニちゃん、お願い!」

「了解! エクスマルチブラスター(X.M.B)、エンプレスッ!!」

 

叫ぶと同時に障壁を解けば、ユニちゃんがビームを照射する。

 

「きゃ…っ!」

 

小さな悲鳴。攻撃が当たった?

 

「追撃、行きます! マルチプルビームランチャー(M.P.B.L)…シュート!」

「わたしだって! いっちゃえ!」

 

ネプギアちゃんとラムちゃんが追い打ちをかけるようにビームと魔法を放つ。

 

「やった!?」

「ユニちゃんそれフラグ!」

 

爆煙が立ち上り、声も聞こえてこなくなると思わずユニちゃんがフラグ発言。つまり…

 

「…! 何か来る! 飛んで!」

 

煙の向こうから殺気を感じて指示を飛ばし、空へ飛ぶ。

すると煙の中からエネルギー弾のようなものな飛んでくる。

 

「ふふふ、素敵ね。でも流石にワタシ一人だと寂しいのだわ。……だからね」

 

クロムの声が聞こえてきて、だんだんと煙が晴れていく。

そして、そこにいたのはクロム一人……だけではなかった。

 

「あれは…」

「わ、私達…?」

 

煙が晴れたその先にいたのは、黒い影のような、けれど本人達とそっくりな姿をした──ネプギアちゃん達がいた。

 




〜パロディ解説〜

・王様の宝物庫じゃ〜
Fateシリーズに登場するアーチャークラスの彼の宝具「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」のこと。
とはいえ剣の射出方法がそれに似てるだけで、飛ばしてくる武器は宝具でも模造品でもないので下位互換どころではありませんが。

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