幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee-   作:橘 雪華

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半年ぶりに…イキテマス、ハイ
分割回なので短め


Act.4-a 決戦! ブレイブ 受け継いだ想い

「ユニちゃん、わかってるだろうけど!」

「言われなくても、アイツが複製された別人だってことぐらいわかってるわよ!」

 

振り下ろされる剣の一撃を避けながらユニちゃんに言う。

ユニちゃんとブレイブは、敵同士だけどなにか感じるとのがあったみたいだから。でもあれがあの時の彼じゃないのは理解しているみたい。

 

「我が剣は、犯罪神様の為に…ぬぅん!!」

「あぶないっ!」

「っ…ラムちゃん、ありがと!」

 

面白みの無いことを言うようになってしまいながらも、迷いも躊躇もない剣から放たれる剣圧を、ラムちゃんが障壁で受けてくれる。

そう言えばそんなこともしてくるんだった、とラムちゃんに感謝しつつ考える。

 

「あの時のとは違うとはいえ、剣の速さ・鋭さ()()はあの時より上…ユニちゃん、何か作戦とかある…?」

「あんな図体だしその割に動くもの…生半可な攻撃は通らないでしょうね。だとしたらする事は一つよ」

「おっきな一撃でぶっとばすってこと?」

「そういうこと」

 

相手の剣に捉えられないように動き回りつつ、相談していく。

大きな一撃とは言うけれど、問題はそれを放つ隙を相手がくれるかどうかってこと。

 

「要は暫く気を引けばいいんでしょう。…それでできるのね? ユニ」

「う、うん、多分…ううん、絶対やれる!」

「そう。なら…援護は任せておきなさい!」

 

ユニちゃんの言葉を聞いて、ノワールさんがブレイブに突撃する。

この場合、わたしも前に出るべき…かな。だとすると…

 

「ラムちゃんはユニちゃんのお手伝い、でも良い?」

「えっ? 別にいいけど…何すればいいのよ?」

「ユニちゃんを魔法でブーストしてあげるのと、しっかり守ること。任せられる?」

「それくらいわたしにかかれば余裕よ! 任せといて!」

 

ユニちゃんが何するのかハッキリとはわからないけど、それでも支援はあった方が良いとラムちゃんを向かわせる。

そしてわたしは抜刀した刃に氷を纏わせて、ブレイブへと斬り掛かる。

 

「無駄だ!」

「うわ、っと…」

 

ノワールさんとは別方向からの不意打ち…のつもりだったけど、流石にそんなのでどうにかなる相手でもなく、容易く弾かれる。

大剣故に一撃は重い…けど、受け切れないほどじゃない。

 

「無理に前に出てこなくても良いのよ? はぁッ!」

「無理なんてしてません。刀は防御ロールだってこなせるん、ですよッ!」

 

ノワールさんと一緒に攻撃を仕掛け、敵の注意を引きつける。

相手も接近戦に慣れてるからこっちからも大打撃は上手く与えられないけど…

 

「小癪な!」

 

ちょこまかと動き回るのが気に触ったのか、動きの先を読むように大剣を振り下ろしてくるブレイブ。

避けきれずに刀で受け止めれば流石に重くて、気を抜けば潰されてしまいそうだ。

 

「ディール!」

「ッ…わたしはあなたとはあまり関わりがありませんでしたけれど…これだけは分かります」

 

心配してくれてたノワールさんの叫び声が聞こえた。

でも、平気。こんな剣にはわたしは負けない。

 

「そんな魂のこもってない剣じゃ、何も斬れないッ!」

「ぬおおッ!?」

 

大剣を受け止めていた刀を斜めに傾け、滑らせるように受け流す。

 

「はああッ!!」

 

そのまま地面に振り下ろされた大剣を足場に駆け上がって、ブレイブの顔面を一閃した。

 

「ぐうう! おのれ!」

「私を忘れて貰っちゃ困るわね!」

 

顔を叩き斬られて怒ったように(表情はわからないけど声的に)ブレイブがわたしに攻撃しようと剣を振り上げた所へ、空高くに跳び上がったノワールさんがくるくると勢いを付けるように回転し、叩きつけるように振り下ろす。

 

「ヴォルケーノダイブッ!!」

「ぐっ…!」

 

縦に斬りつけたと同時に、そのままの勢いで剣を叩きつけられた地面から爆炎が巻き起こり、ブレイブを焼き尽くす。

 

「まだ、だぁッ!」

「っ!」

 

けれどまだ撃破するには至らないらしく、炎ごとわたし達を振り払うように大剣を振るってくる。

わたしは咄嗟に障壁を張り受け流すようにして、ノワールさんは飛び退くようにしてかわす。

 

「女神は…敵!」

「もう前の面影もないなんて…哀れなものね、ブレイブ・ザ・ハード」

「なんだと…「隙、あり…っ!」ぐッ!?」

 

目の前のわたし達を倒すことしか考えていなさそうなブレイブを、ノワールさんが冷めたような目で見ながら呟く。

それに気を取られた一瞬を突いて、ブレイブの足元を氷漬けにして動きを封じる。

あとは…!

 

「行きなさい、ユニッ!」「ラムちゃん、お願いッ!」

 

「わかったわお姉ちゃん! ラム、問題はないでしょうね?」

「誰に言ってるのよ、とーぜんでしょ! わたしが魔法で手伝ってあげるんだから失敗したらしょーちしないんだから!」

「その言葉、そっくりそのまま返すわ!」

 

ライフルを構えるユニちゃんと、そのライフルに手を添えるようにしながら傍に立つラムちゃん。

一見ラムちゃんがいる意味がないように見えるけど、ユニちゃんの反応からして多分何かしらの強化魔法で手助けしているんだと思う。

 

だとすれば、なるべくブレイブから離れた方がいいかもね…!

 

「アイツの想いを、アンタなんかに穢させはしない!」

 

ユニちゃんの構えるライフルの銃口に、光が集まっていく。

 

「ぐ、ぬおぉぉ…!!」

「いっけぇぇぇ! ブレイブカノンッ!!!」

 

あの一撃はまずいと判断したのか、氷から逃れようとするブレイブ。

けれど間に合うことはなく、ユニちゃんの銃から光が奔流の如く放たれ、太いビームとなってブレイブを呑み込んでいく。

 

「おの、れぇぇ! マジェコンヌさまぁぁああ!!」

 

そして光に呑まれたブレイブは断末魔のような叫びをあげて、

光が消えると、ブレイブの姿もそこにはもうなかった。

辺りの気配からしても避けて姿を消したという訳でもなく、完全撃破。

 

「これが、アタシの……アタシ達の想いの力よ。偽物なんかには負けるはずないんだから」

 

ブレイブのいた場所を見据えながら、複雑そうにユニちゃんは言った。

ブレイブとの因縁はユニちゃんが一番深いからこそ、あの偽物…強化型? は許せなかったのかもしれない。

 

「ともかく、早くみんなと合流しないと…」

「それはそうだけど、どっちに居るかが分からないと無駄に体力を使うだけになるわ」

「…一応、クロム…犯罪神がいそうな方角は、禍々しいというか、そんな感じのする方に向かえばいいと思いますけど、クロムの所にたどり着いてみんながいるかどうか…」

 

目印になりそうなものや、クロムがいそうな気配のする方角的にも、あのテレビ画面みたいなのがいっぱいついた塔みたいな方に行けばよさそうだけど。

 

「ネプギア達も同じように考えてるって思って行くしかないんじゃない?」

「わたしはロムちゃんが心配だけど…きっとだいじょうぶって信じてるわ!」

「…そう、だね。じゃあのあっちの方に行ってみよう」

 

ユニちゃんの言うように、はぐれたみんなも同じところに向かうと信じて、

わたし達は移動を開始した。




〜パロディ解説〜

・ぬぅん!!
『ファイアーエムブレム 暁の女神』より、主人公アイクの台詞から。
元出は上記作品のアイクの第一声であるが、一般的にはスマブラでの横スマッシュで聞いた人の方が多そうですね。

・刀は防御ロールだって〜
元ネタは『ゼノブレイド2』に登場するカタナ系のロール(役割)から。
個人的には味方が使う刀より敵が使う刀の方が印象強かったり。…トラウマ的に。

・そんな魂のこもってない剣じゃ、何も斬れないッ!
アニメ『刀使ノ巫女』より、衛藤可奈美が糸見沙耶香へと放った台詞。
元ネタでは沙耶香が成長していく切っ掛けの台詞でした。

・女神は…敵!
『機動戦士ガンダムUC』よりマリーダ・クルスの台詞が元ネタ。
洗脳みたいなことされてガンダムと戦わされるガンダム、というのと似た境遇だと、女神でありながら女神と戦わされていたピーシェが近いでしょうか?

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