幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee-   作:橘 雪華

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スマホだとIDを1回タップしただけで即ブロックユーザーにぶち込まれるのどうにかなんないんですかねこれ…


Act.3 決戦の地へ

「皆さん、揃っていますね?」

 

イストワールさんに呼び出されて、プラネテューヌ教会の一室に女神や教祖…いつものメンバーが揃っていた。

全員が呼び出されたということは、つまり……

 

「はーい、皆さんを呼んだのは他でもな「剣ができたんだね!!」…かぶせないでくださいよーぅ…」

 

グリモが台詞を遮られた挙句言おうとしたことを言われてしょんぼりしてるけど、そんなことはいい。

 

「ひどい…ぐすん。……ネプテューヌさんの言う通り、剣の方はばっちり完成しました。最後の方は候補生の皆さんに手伝ってもらいましたけど」

「まぁ、武器弄れそうなのってアタシとネプギアくらいだし」

「わたし達はよくわかんなかったけど、まほーの力を送ったりしたわ!」

「がんばった(えへん)」

 

朝から姿が見えないと思ったら、いつの間にか開発の方に回ってたんだ。

…あれ? でもネプテューヌさん達はその辺にいたような…

 

「お姉ちゃん達なら、ゲームで白熱して喧嘩してたからハブられたのよ。わたし達はこの次元の女神じゃないしね」

「そ、そうなんだ…」

 

いくら向き不向きがあるとはいえ現守護女神を除け者って…

 

「ともかく、完成はしたんだろう? ならば次にやる事は明白だと思うけど」

「そうね。ぐずぐずしていたら何しでかしてくるかわからないし」

 

その言葉に、場の雰囲気が真面目な感じへと変わる。

犯罪神を倒す時が来た、そういうこと。

 

…わたしにとっては、クロムとの決着をつける事になる。

 

「お姉様、頑張ってください!」

「えぇ、チカ。私達に任せてくださいな」

 

「ブラン様、あなた達…くれぐれも無理はしないでくださいね…」

「えぇ。私より、妹達に言ってあげて」

「もーお姉ちゃん! わたし達だってもうすっごく強くなったんだから!」

「まだちょっぴり怖い、けど…わたしも、がんばる」

 

「さて、ノワール、ユニ。一筋縄では行かない大型の案件だけれど、問題は無いかい?」

「あらケイ。私が二度も負けるなんで思ってるの? だとしたら心配いらないわ。今回は頼もしくなった妹もいるんだから」

「お、お姉ちゃん…」

「とはいえ、油断は禁物よ、ユニ。わかってるわね?」

「うん!」

 

「ネプテューヌさん、ネプギアさん…」

「大丈夫だっていーすん! むしろこれだけいたらフルボッコのオーバーキルになっちゃうんじゃないかなー」

「ネプ子…そういう慢心がダメだっていうのよ」

「わたし達も一緒に行きたいですけど…その代わり、ねぷねぷ達がいない間、プラネテューヌはしっかり守るです。ねぷねぷ、ぎあちゃん、無茶だけはめっ、ですからね?」

「はいっ! 任せてください!」

 

「向かうのは女神全員とわたし達で、10人?」

「そうなるわね。一応、都市とか街の守備には色んな奴らが回ってくれるらしいけど。日本一だとかREDだとか」

 

ああ、あの人達…

 

「それでも女神全員って大丈夫なのかな」

「んーまぁほぼ復活してる犯罪神を倒し損ねたら結局滅ぶんだろうし、大丈夫でしょ」

 

文字通り、最終決戦ということになるんだ。

失敗は許されない、そういう戦い…

 

「剣はエネルギーの変換効率的にもネプギアさんのビームソードが適してるかと思ったので、これはネプギアさんに預けてありますー」

「は、はいっ!」

 

剣自体はビームソードとして作ったらしく、今はネプギアちゃんが持っているみたい。

そう言われると、そういうエネルギーを使う武器って言うのはネプギアちゃんが使うようなビーム兵器が一番なのかな。

 

「そういえばこの剣って名前とかあるんですか?」

「名前ー? 特には決めてないですねー。元の魔剣の解析やらエネルギー変換をどう組み込むかやらに集中してましたしー」

 

ふと疑問に思ったらしく、ネプギアちゃんが聞いた質問にそう答えるグリモ。

名無しの聖剣? いや、名前は特に重要じゃないし別にそこまでして決めるものでも…

 

「それなら…勝利を約束せし聖剣、なんてどうかしら?」

「お姉ちゃん…」

「えー何それ、覚えにくいー!」

「それにビームは撃てないと思いますよ…?」

「………」

「あー、ブラン。妹にフルボッコなところ悪いけどわたしもそれはないかなーって」

「うるせぇネプテューヌ!!」

「なんで私にだけ怒るの!?」

 

とにかく、宝具っぽいのとかミラシリーズっぽい言い回しはナシの方向として…うーん。

 

「名前なんてなんだっていいよ。安直にシェアブレイドとかでいいでしょ」

「確かにこういった強力なものには相応の名前を付けたくなりますけれど、今はあまり時間をかけていられませんものね」

 

とか言いつつベールさんも何か名付けたそうにしてたけど、こうして剣の名前はシェアブレイドということになった。

わかりやすさも大事。うん。

 

「では改めまして…皆さん、これが最後の戦いとなります。無茶な頼み事ばかりで申し訳ないのですが…」

 

申し訳なさそうに目を伏せるイストワールさん。

だけれどそんなイストワールさんを責めようとする人はいない。

 

「水臭いよいーすん! そんなの気にしなくっていーってば」

「まあゲイムギョウ界を守るのは、女神として当然の仕事だしね」

「それに、ルウィーの女神として実物の犯罪神には興味があるわ」

「ラスボス戦は一番の醍醐味ですもの、楽しみですわ」

「アタシも、今度こそお姉ちゃんと一緒に戦うわ!」

「すごく怖いけど…でも、ラムちゃん、ディールちゃん、お姉ちゃん…みんなといっしょなら…!」

「わたしも! みんなでハンザイシンなんてぼっこぼこにしてやりましょー!」

「…うん。絶対に負けるわけにはいかない」

「ま、これだけ女神が揃ってればきっと大丈夫よ。…きっとね」

 

全員がやる気満々。かくいうわたしもそう。

わたしやエスちゃんにとっても、犯罪神との決戦は経験したことのない事だからこそ、緊張もするし、恐れもある。

でも止まるわけにはいかない。今の犯罪神は、前の次元の犯罪神よりもずっとわたしにとって重要だから。

 

「大丈夫ですよ、いーすんさん。私達、絶対に勝ってきますから!」

「決戦用武器があるとはいえ、くれぐれも油断はしないようにー。なんて、言わなくても大丈夫ですよね」

「そうですね。…どうか、皆さんの手でゲイムギョウ界の未来を守ってください…!」

 

「それじゃあ……行ってきます!」

 

そしてネプギアちゃんの言葉と共にギョウカイ墓場への転移が始まり、身体が光に包まれる。

 

──決着をつけよう、クロム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結構奥まで来たけれど…」

「中々犯罪神の姿が見えてきませんわね」

 

道中襲ってくるモンスターを蹴散らしながら、ギョウカイ墓場の奥地へと進んでいく。

手強いモンスターが多いとはいえ、こんなところで手間取るようなことは無い。

 

「くすくす…」

 

と、進み始めて暫くした頃。

子供の笑い声が聞こえてきて、全員が臨戦態勢に入った。

 

「お出ましってわけね…!」

「きゃあ、揃ってピリピリ、怖いのだわ。くすくす」

 

ふわりふわりと宙に浮かんでわたし達を見下ろすように笑うクロム。

何かを企んでる…?

 

「ええ、ええ。折角女神様方が揃っていらっしゃったのだから、早速ワタシからのおもてなしを……と思っていたのだけれどね、その前にゲストが来ているの」

「ゲスト…?」

「そう、ゲスト。紫の貴女にご用があるらしいのだわ?」

「わ、私…ですか?」

 

ゲストとやらが居ると語りながら、それの相手がネプギアだと示す。

かと思いきやわたし達全員を見回すようにしながら、まるで困ったとでも言いたげな表情を浮かべた。

 

「このままじゃ数が多すぎね? 申し訳ないけれど、何人かは座興に付き合ってくださいな」

「どういう──」

 

ことか、と言い切る前に、クロムは姿を消した。

何を考えてるのか全然分からない…ゲストってなんのこと?

そう考えかけて、ハッと辺りを見回す。

 

「…ネプギアちゃん達は!?」

「え? あれ!? い、いない…っていうかお姉ちゃん達もいない!?」

「いるのはアタシにお姉ちゃん、ラムとディールだけね…どうなってるの?」

「…もしかしたら…私達だけが別の場所に飛ばされたのかもしれないわね」

 

気がつくとラムちゃんとユニちゃん、ノワールさん以外の姿がない。

それどころかユニちゃんが言うように、一見どこも瓦礫だらけで同じようにみえるけど、良く見ればさっきいた場所と違うということが分かる。

 

つまりクロムにどこか別の場所に飛ばされた…?

 

「そういえば、座興がどうとかって…」

「来たな、女神共」

 

戸惑うわたし達に、いつかどこかで聞いたことがあるような声がかかる。

その声を聞いたユニちゃんがハッとして、わたし達が声のした方を見ると、そこに居たのは──

 

「ブレイブ!?」

「………」

 

ブレイブ・ザ・ハード。

マジェコンヌ四天王であり、ユニちゃんに倒された奴がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

時を同じくして、ディール達のように別の場所に飛ばされたネプテューヌ、ブラン、ベール、ロム、エストの前に、マジック・ザ・ハードが立ち塞がる。

 

「わたし達が多すぎる。つまり分断させてもらうって意味ね…!」

「フン…忌々しい女神共よ、今一度マジェコンヌ様より賜ったこの命で、今度こそ貴様らを葬ってやろう」

「あ、あわわ…勝てる、の…!?」

「逃げられそうにもありませんし、どうやらやるしかなさそうですわね…!」

「もー、倒されたのにまだ出てくるなんて! ベール、ブラン、準備いい?」

「誰に言ってるのよネプテューヌ。…ロム、エスト、下がってなさい」

「はっ、冗談言わないでよお姉ちゃん! わたしだって前衛よ!」

 

 

 

そして、残されたネプギア…

 

「ゆ、ユニちゃん!? お姉ちゃん!? どこにいったの!?」

「安心してくれていいのだわ。少し別の所に移動させただけだから」

「そ、そんなことをして、何が目的なんですか!」

「目的? ンなもん決まってるだろ…?」

 

クロムを問い詰めようとするネプギア。

そんな彼女の問いに答えたのは、クロムではなく──

 

「テメェにリベンジする為だ!」

「はぁ、コンパちゃんもいないのになんでオイラが付き合わなくっちゃならないんっチュかねぇ」

「あ、あなた達は…!」

 

下っ端こと、犯罪組織マジェコンヌ構成員リンダとワレチューだった。

 

分断された女神達。

それぞれの場所にて強敵との戦いが始まった──




〜パロディ解説〜

・勝利を約束せし聖剣
Fateシリーズより、セイバーの宝具である「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」が元。
ビームが云々というのも上記の宝具にてビームにしか見えない攻撃をする為ですね。全員でもないけどなんでセイバーは結構な人数がビーム撃つのが好きなんだろう…

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