幻次元ゲイム ネプテューヌ 白の国の不思議な魔導書 -Grimoire of Lowee-   作:橘 雪華

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Act.6 がすとのアトリエ

あれからブロッコリーの案内で歩き続けてだいぶ経った。

わたし達はルウィー都市から出て、街外れを歩いている。

 

「ねぇ、本当にこんな所にあるの?」

「信用できないなら勝手に帰ればいいにゅ」

 

「錬金術士ってどんな子かな? 可愛い子だといいなー!」

「知的な大人の人かもですよ?」

「それはそれでよし!」

 

前でネプギアの仲間達が雑談してる中、わたし達二人は特に何も話すこともなく、一行についていく。

でもなんか、こころなしかロムちゃんが少し楽しそうに見える。

 

「ロムちゃんとグリモちゃんって仲良しなんだね」

「え?」

 

突然ネプギアにそんなことを言われて、思わず聞き返してしまう。

いや、それは間違ってはいないけど、どうして突然。

 

「いや、さっきあってからずっと手繋いでたから、仲が良いんだなーって」

「うん…なかよし…!」

 

ネプギアにそう言われたのが嬉しいのかどうかはわからないけど、繋いだ手をにぎにぎとしながら答えるロムちゃん。

なんだかくすぐったい。

 

「そういえば、ラムちゃんは一緒じゃないんだね」

 

あっ。

 

「……ラムちゃん…」

「大丈夫だよロムちゃん…きっと仲直りできるよ」

 

ラムちゃんの名前が出てきて一気に元気が無くなるロムちゃんをなんとか慰めようとする。なでなで。

なりゆきで付いてきちゃったけど、終わったら早く帰らないとなぁ…

 

「あ、あれ…もしかして私やっちゃった…?」

「見事に地雷を踏んだっぽいわね、ドンマイネプギア」

 

あっちはあっちで余計な事言ったと思って落ち込んでるみたいだけど…あっちは慰めに行かなくてもいいよね、アイエフとかが行ってるし。

 

「ついたにゅ」

 

そうこうしてる内に目的地についたみたい。

見れば、ぽつんと建っている生活感のある家が一軒。

街や街道からはだいぶ離れてるし、だからあまり人に知られてないのかな。

 

「がすとー、来たにゅー」

 

ブロッコリーが家の前でそう呼びかけると、中から「今行くですのー」という声が帰ってくる。

少ししてドアが開き、うさぎ?みたいな帽子を被り、白い大きな手袋をした茶髪の小さい女の子が出てきた。

…なんか小さい子が多いな、わたし達含めて。

 

「よくきたですの。後ろの人達がお客さんですの?」

「そうだにゅ。詳しい事情は本人に聞くにゅ」

「わかったですの。ともあれ、がすとのアトリエにようこそですの」

 

そう言ってがすとは「ひとまず入るですの」と言ってわたし達を家に招き入れる。

ネプギア達は少し困惑気味だったものの、がすと達に続いてアトリエに入っていき、それにわたし達も続く。

アトリエの中は割と普通な感じだった。ただ、大きな釜が置いてある一帯以外は。

 

「ん? お客さん?」

 

と、アトリエにはがすと以外にも人の姿が。

青い髪にゴーグルを頭にかけていて、赤いマフラーをつけた人だ。あと服装が少しこの地方だと寒そう。

 

「日本一もいたにゅ?」

「あれ、ブロッコリーだ。まぁね、ちょっと近くまで来たから寄らせてもらってたんだ」

「どうせ来るならめずらしい素材のひとつやふたつもってきてほしいですの。…っと、それよりも、用件を聞くですの」

「あ、はい。えっと…」

 

日本一と呼ばれた人とブロッコリーが話す中、がすとがネプギアに要件を聞いてきて、ネプギアがこれまでの事を説明する。

その説明を黙って聞くがすと。

 

「……ということです」

「なるほどですの。壊されたゲイムキャラのディスクの破片はもってきてるですの?」

「えっと、これです」

 

がすとに聞かれ、ゲイムキャラの破片を取り出してがすとに渡すネプギア。

それを見ながらふーむと考えるようにして、しばらくするとがすとは答えた。

 

「これなら、いくつかの素材があれば直せるですの」

「ほ、ほんとうですか!?」

「やったー!」

「ちょっと待ちなさいよ、いくら掛かるかだってまだわからないのに」

 

がすとの言葉に喜ぶコンパとRED。

でも、アイエフがそう言って水を差すと、不満そうな顔をしたのはがすとだった。

 

「いくらがすとでも、くにの一大事にお金の話をする程じゃないですの、失礼ですの!」

「ほらー、がすともそーいってるよ。失礼だよアイちゃん!」

「…どうして私が悪いみたいになってるのよ…?」

 

二人に責められてため息を吐きながら、アイエフは話を本題へと戻していった、

 

「それより、その素材ってのは何が必要なの?」

「このタイプなら…レアメタルとデータニウムがあれば直せるですの」

「その二つが必要なのね?」

 

アイエフの言葉に、ですの。と肯定を返すがすと。

データニウムは知らないけど、レアメタルの方には聞き覚えがあった。

 

「レアメタル…それなら聞いたことあります」

「知ってるの? グリモちゃん」

「うん。確か、ルウィー国際展示場の一番奥にいる、メタルシェルってモンスターのドロップアイテムだったと思う」

 

隣のロムに聞かれて、そう答える。

そんなわたしの言葉を聞いてたみたいで、ネプギア達も話を進めていた。

 

「一つ目はあの子の言う事が本当ならこれで良いわけだけど」

「もう一つ、データニウムはどこにあるですかね…」

「データニウム? それならアタシ知ってるよ」

「本当ですか!?」

 

そんなネプギア達の会話に反応したのは、日本一とかいう人。

その日本一って人の知ってる、という言葉に、ネプギア達は食いついていた。

 

「うん。確か…世界中の迷宮ってとこにいる、変な奴が落としたと思う」

「世界中の、迷宮…」

「それってあいつらがいるところだよー!」

 

世界中の迷宮と聞いて、難しい表情をする一同。

確か、キラーマシンの巣窟になりつつあるのがあそこなんだっけ。

 

というか、特にでしゃばる所でもないせいでたいくつ。眠くなってきた…

 

「確か入ってすぐそれたところにいたはずだよ」

「それなら大丈夫…ですかね?」

「そうね。時間がもったいないわ、急いで取りに行きましょ」

 

日本一の情報を聞いて、早速と言わんばかりのアイエフ。

まぁ、時間が惜しい状況だし、そうなるものなんだろう。

他のメンバーもそれに同意して、アトリエを後にしようとする。

 

「それならアタシも手伝うよ! 困ってる人を助けるのはヒーローの役目だからね!」

「日本一が手伝うならブロッコリーも手伝ってやるにゅ」

 

そんなネプギア達を見て、協力すると日本一とブロッコリーが言う。

日本一に対しては頼もしいという雰囲気があったものの、ブロッコリーにも行くと言われて驚くネプギア達。

 

「えぇっ、日本一は強そうだけど、ブロッコリー戦えるの?」

「なめんなにゅ。お前らだけじゃ危なっかしいからブロッコリーが手伝ってやるんだにゅ。感謝しろにゅ」

「…まぁ、いいんじゃない? 人手は大いに越したことないし」

 

不安げなREDに強気な発言のブロッコリー。

そんなブロッコリーを見て、苦笑いを浮かべながらもアイエフが同行を許可していた。

 

「それじゃあ…日本一さん、ブロッコリーさん。よろしくお願いします」

「うん! よろしくね!」

「よろしくにゅ」

 

そんなこんなでネプギアのパーティーが増えていた。

あんまり大所帯になると空気化する人が…ごほんごほん。

 

「それじゃあがすとさん、素材はわたし達でなんとかするので、よろしくお願いします」

「しょうちしたですの。あ、修復はそっちの教会でやらせてもらうですの、だから素材を手に入れたらルウィーの教会に来るといいですの」

「わかりました。ロムちゃん、グリモちゃん、行ってくるね」

 

一通りの話を終えてから、最後にわたし達にも声をかけてくるネプギア。

忘れられてるかと思ってたけど。

 

「手伝えたら良かったんですけど、あんまり遅くなるとラムちゃんが怒りそうなので」

「あ、いいよいいよ、気にしなくて」

「ごめんね、ネプギアちゃん。…けが、しないでね」

「うん、気をつけるよロムちゃん。じゃあ行ってくるね」

 

 

そう言って、ネプギアも他の仲間達に続いてアトリエを出ていった。

…なにもしてないけど、とりあえずわたし達も帰ろう。

 

「…それじゃあ、がすとさん。あとは、よろしくお願いします」

「…おねがいしますっ」

 

帰り際に改めて頭を下げながらそう言う。

となりでロムちゃんもぺこり、と頭を下げていた。

 

「りょーかいですのー。あぁ、こっちの支度ができたらそっちに向かうから、連絡先教えて欲しいですの」

「連絡…じゃあ一先ず、わたしのを」

 

そう言ってわたしの端末の連絡先を伝えてから、わたし達はアトリエを後にして教会へと戻った。

…ラムちゃん、大丈夫かな。


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