やっぱり雪ノ下さんの青春らぶこめでぃーは間違っている! 作:眠り羊
いつもの様に機械的な鐘の音が鳴り、授業の終りを告げる。
放課後になると私は手早く支度を整え、教室を後にする。
その姿に憧憬と羨望の眼差しを向けられる。
ああ、なんて完璧で美しい私。・・・これはもう一種の罪ね。
部室の鍵を開け、部屋の中に入ると窓を開き空気の循環をする。
いつものようにカップに紅茶を入れ、自分の席へ座り本を開き、後からくるであろう二人を待つ。
そう、この位置とこの角度!窓から指す光のコントラストと、もの憂げに本を見つめる私!so beautiful!
「はぁ完璧すぎるわ、私。」
その時廊下から二つの足音がした。
いけない、いけない、声が漏れていたわ。
気をつけなければ、と心を落ち着かせ気を引き締める。
廊下の足音が部室の前で止まると、いきなりドアが開いた。
「やっはろーゆきのん」
「うっす」
「こんにちわ、由比ヶ浜さん、比企谷君。紅茶を用意するわね。」
なんて気が利く私、良い女すぎる。
二人のカップと湯飲みに紅茶を入れると優雅に元の席に戻り本を開く。
「おぉ、さんきゅー」
「ありがとーゆきのん」
由比ヶ浜さんがお礼を言うと私に抱きついてきた。
「ちょっと、由比ヶ浜さん暑いのだけれど・・・」
いつもの様に抗議するが、いつもの様に聞いて貰えない。
本当に暑いんだけど、そして髪が乱れるからやめて欲しい。あーもう、鬱陶しい!
んん・・・、いや、悪い気はしないのだけれど、もうちょっとスマートに絡んで欲しい。
そしていつもの様に二人ともいつもの席に座る。
・・・あら?何か由比ヶ浜さんの席が微妙に遠いような・・・
とゆーより二人の席近くない?ねーねー近くない?勘違いじゃないよね?
本から目を逸らし二人を見ると、なにやらコソコソ話している
「えー別に良いだろ」とか「もーじゃー私から言う」とか聞こえる
はーはん、分かったアレだ、なんかサプライズ的な何かをやるつもりでしょ?
今日は何か特別なイベント的なものなんてあったかな??
・・・まぁ良いわ、いつも通り、暖かな心になりました風に静かに微笑んであげるわ、ふふふ。
すると二人が立ち上がって、こちらへ来た。
私は何かしら?という風に二人を見つめる。
すると由比ヶ浜さんが恥ずかしそうに口を開いた。
「あ、あのね、ゆきのんに話があるの」
きたきた、むふふ、、、私は何かしら?と指を顎に置き小首を傾げる。
由比ヶ浜さんは指と指を合わせてもじもじしながら言った
「じ、実は私、ヒッキーと・・・この間から付き合ってるの!」
「そう」
暖かな心になりました風に静かに微笑・・・めなかった、顔が固まってしまった。エーーーーーーーーーーーーーーーー!
寸での所で表情に出るのを押さえ、冷静な顔で微笑みながら言う。
「由比ヶ浜さんにしては面白い冗談ね」
「えー!それじゃ私の冗談がいつもつまらないみたいじゃん!」
「ごめんなさい、つい本音が」
「ひどい!」
え?何これ?いや、本当に冗談よね?え?どうなの?
「で、この冗談にはいつまで付き合えば良いのかしら?」
「いやいや、冗談じゃなくて事実だから、結衣と俺はこの間から付き合ってる」
はぁ?なんでそうなるの?
身近にこんな眉目秀麗、才色兼備、容姿端麗、純情可憐、沈魚落雁 、面向不背な私がいるのに!
※同じような語句を並べていますがパニックの為ですご了承下さい
まぁそりゃ、高嶺の花に見えちゃうだろうけど。
でもよりにもよって、あのガハマさんよ?
まぁ多少は可愛いけど、私の5分の1?・・・いえ20分の1くらいは可愛いけど、私に行かないで、
あの、なんでこの高校に入れたか分からないガハマさんよ?ないわー、ないない
あーわかった、わかった、私わかっちゃった、はいはい、アレねアレ、胸だろ胸、私の可憐で慎ましやかな胸より、ガハマさんの下品で自己主張の強い胸が好きなのね、ちくしょー!
わかりましたよーだ、私もちょっとは良いなーと思ってたのに・・・あ、なしなし、今のなし!
「結衣・・・名前で呼んでるのね、由比ヶ浜さんは元のままだけれど」
私が疑問に思ったことを口にする。
「ああ、なんか他に誰もその名で呼んでないから、特別な感じがするからだと」
最初からそーじゃん!最初からその呼び方じゃん!じゃー最初から特別だったんですかー?
私は指をこめかみに当てるとため息をついた
「ふぅ、どうやら付き合っているのは本当みたいね。でもどうしてそうなったのかしら?」
ほんとどーして?何かキッカケになることでもあったっけ?私が知らないとこで何かあったとか・・・
あ、それは、とショックから立ち直ったがはm・・・由比ヶ浜さんが照れた顔で理由を口にした
「もうすぐ3年生になるでしょ?そしたらヒッキーとはクラスが変わっちゃうかもしれないし」
「そしたら今までより話す機会なくなっちゃうかなぁって思ったら、なんか告白してた・・・たははは」
私は冷静な顔で
「そう・・・」
と言った
いや、まてやその理由、普通すぎるでしょ、てかいつも通り部室で話せるし!その前に私はずっと違うクラスなんですけど?
ずっと違うクラスだから全然そんな事考えなかったよ?もーやだ何これ!
ふぅ、とため息をつく
「相手が相手だから素直に祝えないのだけれど、おめでとう由比ヶ浜さん」
「そして相手が誰であれ、あなたに付き合ってくれる人なのだから喜ぶしかないと思うわ、おめでとう比企谷君」
ほんとに素直に祝えないんだけれど・・・
「ちょっとまて、告白されたのは俺なんだからその言い方はおかしいだろ」
と、ひとのものがや君が異論を唱える。
「あら?そんな腐った目と付き合ってくれる人が他にいるのかしら?そんな心の広い人がいたら私にも紹介して欲しいわね」
と微笑んだ。
くっ・・・と比企谷君は唸った
私がいるんだけどなー、あーあー、私のが良いと思うんだけどなー
「ありがとーゆきのん!私誰よりも、ゆきのんに祝って欲しかったんだ!」
ひしっと泣きながら思いっきり抱きつかれた、嬉し涙なのかしら・・・
「暑いわ、由比ヶ浜さん」
本当に熱い・・・基本的には良い子なのよねぇ
頭を数度撫でると元の席に戻って行った
・・・・・・
キャッキャウフフ
・・・でもこの状態良く考えたら、私以外には恋人がいて私には誰もいない・・・
何か負てる感じがするんですけど・・・
※雪ノ下さんは勝負事に負けるのが大嫌いです
・・・・・・
キャッキャウフフ
なんか見下されてる感じがするわ・・・
※雪ノ下さんの主観です
・・・・・・
キャッキャッ
二人でいちゃいちゃして、彼氏のいない私をバカにしてる気がする!
※あくまで雪ノ下さんの主観です
・・・・・・
ウフフフフ
ほら、今もクスクス笑って・・・
※何度も言いますがあくまで雪ノ下さんのsy
うるさい!あったまきた!この勝負受けて立つわ!
・・・・・・
よし!良いこと思いついた!
「ごめんなさい、少し席を外すわね」
私は微笑んで、二人に断り席から立つと部室から一人出て行った
・・・終わらない・・・